【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

89 合流

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「この場で彼女に常識を教えるのは難しいですので、連れていく事にしました」
アインに告げられて了解しましたけど、一つ懸念が…。

アインを連れて少し離れます。
「連れていくのは良いんですけど、ブルースで飛んで行くのはやめた方が良く無いですか?」

もし同じ王様トカゲであるブルースが、人の姿と元の姿を行ったり来たりしてるのを知ったら、自分もそうするとごねそうな………。

「ええ、ですから歩いていくしか無いんですよね。
水や食料は貴方の転送魔法に頼るしか無いのですけど…」
申し訳なさそうに言うアインにある事を相談してみました。



オアシスでそのまま昼を取り、暫くその場に留まります。
そして日暮れ前、待っていた姿が見えました。

《早かったですねポニー、夜になるかと思っていました》

《うちらそんな鈍足とちゃうよ》

騎獣屋に預けていたポニー達ですが、どうにか合流出来ないかと相談したところ、アインの知り合い(部下?)がホルノーンに居るので、事情を伝えて料金を支払ってもらい、ホルノーンの待ちの外まで連れて行ってもらいました。

ポニー達には念話で説明して、人の少ない場所を見繕って進んでもらい、砂漠の途中のオアシスで合流しようと伝えたのです。

どうやら、【人の乗る動物】が蛇を踏み殺すと処罰の対象になるのですけど、動物が誤って踏んでしまっても、それは【仕方のない事】となるそうです。
野生動物まで処罰の対象にしていたらキリが無いですからね。

なのでポニー達単体で、その上なるべく人目の少ない場所を通って移動をしてもらいました。

砂漠を超えて東での用件が片付いた後の帰りも助かりますし、おおよその場所が判れば、人の気配を探して見つけると仰ったので、オアシスで休憩をしつつ待っていました。

人の気配をある程度察知できると言っても、町中や人の多い場所だと、個別判断ができるわけではないので無理ですけど、砂漠の中を移動している人は少ないので、見つける事ができたそうです。



《トカゲさんで飛んどったんやろ?
思ったより進んどらんかったんやね》

《思った以上に砂漠の上を飛ぶのがキツくて、休憩を長く取っていたんですよ》

《それやったら最初からうちが乗せとけば良かったね。
快適な移動やったらうちらに敵うものはおらんよ》

《そうですね、ブルースも早いし凄いですけど、乗り心地でポニーに敵うものなんていないですよ》

そやろそやろと、嬉しそうに頷くポニー。

《それではまた移動をお願いしますね。
一先ず朝まで休みますか》

《いや、夜の移動でもかまへんよ。
アンタらは寝とってくれれば良いし》

《夜の移動は危なく無いですか?
それに疲れていませんか?》

《ははは、こんな見通しのいい場所で何が危ないん?
せいぜい砂の中から虫やら蛇やらが出てくるだけやろ?
そんなん踏み潰すだけやし。
もうここやったら蛇踏んでも問題無いんやろ?
それにちょっと歩いたくらいで疲れるほど柔なヤツはバスを名乗れんわ》

頼もしい台詞です。
それに砂漠はホルノーンの領地の外ですから、蛇を踏ん付けて死なせてしまっても、捕まることは無いですから、ここはお言葉に甘えましょうか。

《ドドさんの方は良いのですか?》

《あっちはあっちで『王様トカゲを二匹も乗せるバスなんて俺しかいない』って逆に張り切っとるわ》

二匹とも頼もしい限りです。

言葉に甘えて、私達はすぐに移動を開始しました。
相変わらずとても素晴らしい乗り心地です。
日が暮れて寒くなって来たら、花弁を閉じてくれたので、寒さが和らぎました。
それにチャックを抱えていますし、そのチャックの胸元にはリンが居ますから、防寒対策はバッチリです。

ゾゾの方を見てみれば、四人は頭まで毛布をぐるぐる巻きにして、くっついています。
ああ、ポニーで良かったと思いながら、眠りにつきました。


翌朝、快適に目覚め、チャックにクリーンをかけてもらい、サッパリしたところで、ポニーから砂漠を抜けたと念話が伝わってきました。

私達は一旦降りて朝食に。
ポニー達にも果物を渡します。

《やっぱり餌用の草や果物より新鮮なんが美味しいわ。
見た事ない果物も有るし、見たことあるやつだって、なんか知らんけど美味しいわ》

《それって山の向こうの果物なんだって。
土地によって魔素が変わるから、味も変わるとか聞いたことあるんだけど、それなんじゃない?》

ゾゾも会話に加わって来ます。

「それはあるかも知れませんね。
私は食事をしないので、味の違いはよくわかりませんけど、同じ原材料のお酒の味が違うのは、使う水が違うからと聞いた事がありますね。
だから果物なども土地によって味が変わるのでしょう」

実は私も味の違いはあまりよくわからないです。
味がわからないんじゃないですよ?
微々たる差をわかるほどの舌を持っていないだけです。

「あっちの果物の方が味がぎゅっと詰まってるっていうか、味が濃い気がする」
チャックが言いますけど、
「そうか?変わらんと思うけどな」
と大雑把なブルースが答えます。
「果物なんてどれも同じじゃん。
でも肉はあっちの方が美味しいと思うよ」
ああ、大雑把と言うより、ブルースとシナトラは果物の味に興味がないのですね。

そんな会話を少し離れた場所で眺めながらルシーは、
「手掴みで食べてるじゃないの。
道具を使って食べてないじゃない、話が違わない?」
と、ブツブツ言っています。
臨機応変などはまだ無理なんでしょうね。
頑張れ、アインとブルース。



砂漠を出て平原、林、小高い山と越えた先に農業国家のべルージュが有るそうです。

砂漠の東にある国は二つ。
農業国家のベルージュと、交易国家のリアンスです。
広さは二国合わせても、アイン達の連合国の五分の一もない広さです。

ベルージュの国民は、半数以上が農業従事者で、二割ほどが狩人だと言う話です。
東側の食糧庫ですね。

リアンスは漁業と交易ですから、役割が分かれていて、国同士の繋がりも強く、争いなど起こることがないそうです。


ティちゃんの地図によると、砂漠を出た辺りからベルージュの領地のようです。
さて、ダイズスキーはどの辺りでしょうね。



陽が完全に昇って、暑くなってきましたけど、やはりポニーは最高ですね。
花弁を大きくしてくれて、日陰を作り、さらには花びらからほんのり涼しい冷気が。

《そう言えば、見た目の色は使える魔法の種類になると聞いたのですけど、ポニー達は土魔法ではないのですか?》

ポニーはベージュで、ドドは赤茶色ですから、土魔法だと思ったのですけど、座るイス…花を大きくしたりするのは、シナトラと同じ植物魔法なのでは?
それなら緑色系統の筈でしょうから、ふと疑問に思ったのです。






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