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第二章 旅は道連れ

85 砂漠越えの途中で

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「この国を早く離れるのは正解だと思うよ。
ブルースは念話を使えたよね?
ライラも念話使えるから、何かあったら連絡するよ」
クルトゥスさんが言います。

「あ、私も念話使えますから、ライラヒルラさん、クルトゥスさんへの伝言を頼んだりしても良いですか?」
私が聞くと、了解と頷くライラヒルラさん。

「え?ジョニー念話使えるんだ。
良いな、便利でしょ」
「そうですね、便利です。
でも直接なら転送魔法で手紙などのやり取りも出来ますよ。
手紙以外でも、ある程度の大きさまでなら物のやり取りもできますから、離れていても繋がれます」
私が言うと、クルトゥスさんが驚いた顔をします。

「転送魔法まで使えるんだ⁉︎」
「そうですね、もう少し熟練度を上げると、転移もできるようになるそうすから、そうすれば行き来も自由ですよ」
「えっ⁈⁈ちょっ……」

なぜか焦っているクルトゥスさんの肩を、ブルースがポンと叩き、首を左右に振っています。
「無性でもないのに名付けも出来るし、念話も転送も、攻撃魔法も時空魔法も使える。
これから更に色々と使えるようになる。
コイツは規格外なのだよ」

「「「………………………」」」

クルトゥスさん達3人の視線が刺さります。
何故?

「なにか凄いの?」
「うん、うちの父ちゃんってなんか凄いの!」
「そのうちわかるよ」
子供達まで?
私は普通ですよ?
規格外なのは私ではなく、アインとブルースですよ?

「類は友を呼ぶ、だわね」
「さすがクーの元メンバー…の連れ」
「いや、僕は一般的な無性人だよ?」
「まあ、ジョニーさんよりは普通かしら」
何故でしょう、味方が一人もいません………。




連絡を取ることと、再開を約束してクルトゥスさん達と別れた私達は、北東の砂漠地帯を目指します。
残して来たポニーに、更に東へ向かうので、契約を解除するか聞いてみました。

《まだ戻るまでに時間がかかりますし、契約解除しますか?》
《また戻って来るんやよね?なら待っとるよ。
ここにおればご飯出てくるし、ブラッシングとかマッサージとかしてくれて、至れり尽くせりでええわ~。
このままのんびりしとくけん、戻って来たら遠慮せんと声かけてくれればいいよ》
《ありがとうございます。
ではまたその素晴らしい乗り心地を堪能させてくださいね》
《ハハハ、更に磨きをかけとくわ。
それかさ…………》


2日ほど進むと砂漠地帯へと出ました。
砂漠地帯はホルノーンの国の外となりますので、草むらが鳴るたびにビクビクしたり、足元に細心の注意を払わなくて良くなりました。
サクサク進み、人目のつかない場所まで移動したら、ブルースに元の姿に戻ってもらいます。

砂漠上空の移動は……思ったより過酷です。
太陽が近い!
空気抵抗を受けなくするために風魔法でシールドを張っていますから、風を感じることはなくとも、直射日光はガンガンと降り注ぎます。

ブルースに乗せてもらったのが昼過ぎ(感覚的に3時くらいですかね)ですけど、一気に行くには過酷で、途中で長めの休憩を挟んだので一日で横断する事はできず、少し広めのオアシスで一泊しました。

聞いたことはありましたけど、砂漠の夜は寒い!
昼との気温差で体調壊しそうです。
ブルースが居なければ砂漠を越える事など、私には出来ないでしょう。
ブルースに感謝です。

そして翌朝、『今日も移動だ、空が青いぜ』などと思いながら朝の空を見上げていると、キラキラと陽の光を反射する物が視界に入りました。
キラキラ綺麗に輝くその正体は…

「おや、王様トカゲですね。
色からして氷属性の個体でしょうか」
透明に近い薄い水色の鱗に覆われた王様トカゲは、空を飛ぶダイヤモンドの様で、とても綺麗です。

「なんだかこっちに向かって来てない?
ブルースさんの知り合い?」
チャックが聞くと、首を振るブルース。
「我の知り合いに氷のトカゲは居ぬな」
言っている間に近付いてきた王様トカゲは、私達の近くに降り立ちました。

《……貴方、無性人かしら?
私の声聞こえる?》

王様トカゲが念話で話しかけて来ました。
どうやら女性の様です。

《聞こえますけど、私は無性人ではありませんよ》

私が答えると、《嘘⁈》と少し慌ててしまいました。

《だって貴方その人達と【繋がって】いるわよね?
魔素が混じっているもの》

《おや、分かるのですか?》

《ええ、私目が良いの》

鑑定か何かなのでしょうか。

《確かに私が名付けをしたので繋がっていますし、魔素が混じる様な事もあるのでしょう》

見てわかるのなら、隠しても仕方ないですよね。
私は素直に答えました。

《【名付け】ができるのに、無性人じゃないの?》

《そう言う人も居るんですよ、ははは》

詳しく言うわけにも行きませんから、とぼけるしかないですよね。

《………名付けが出来るのならいいわ。
ねえ、私に名前を付けてくださらないかしら?》





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