【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

文字の大きさ
上 下
84 / 206
第二章 旅は道連れ

84 次の目的地は

しおりを挟む
翌朝、朝食時にクルトゥスさんが話しかけて来た。
「あれからさ考えたんだけど、ジョニーだけじゃなく、僕も長く続く趣味があるのが良いんじゃないかな」
「趣味ですか」
以前なら、妻と過ごす時間、毎月のちょっと豪華な外食、年に一度の旅行、庭いじりの手伝い……全て妻が居てこそでしたね。

「寂しさに打ち勝つなら、友達たくさんもだけど、打ち込めるものがあれば寂しさもあまり感じないんじゃないかな、って」
クルトゥスの言葉に長生き組が頷きます。

「成る程な、我は元から長寿なうえ、種族的に一人でいることに感じるものは無いが、気を紛らわす物があるのは良いのではないか?」
「そうですね、私の場合は住民を守る事…仕事が趣味のようなものでしたけど、打ち込めるものがあるのは良い事だと思いますよ」
  
以前の私は妻中心でしたけど、こちらに来てからは、妻は根本ですが、こうして旅をしている、新たな人との出会いなどで、心穏やかで居られますね。
妻と再び会うと言う目的…打ち込めるものがあると言うのはのは良い事ですね。

今は旅と出会い、そして住む場所を決めてからは、その場所での新しい生活、それが落ち着いてからは、また何か別の打ち込めることを探しましょう。
農業や酪農などを始めてみるのも良いですね。
あ、チャックやシナトラの子供や孫を立派に育てるのを目標にするとかもアリかもしれませんね。

やるとなればのめり込む方ですから、妻と再会した時に、一緒に楽しく続けられる趣味を探しましょう。

「アドバイスありがとうございました。
長く生きると言うことを考えていませんでしたから、とても為になります」
「役に立てたなら良かった。
………友達だからね」

後半はちょっと早口で言うクルトゥスさん。
照れているのですかねえ。



「この後はどこに行くの?」
シナトラが尋ねてきましたけど、目的地はここでしたからどうするんでしょう?
アインに視線をやると、
「この国を出てさらに東に行った国に、興味を惹かれる領地があるのですけど、一度行ってみたいですね」

アインの興味を惹く土地?
どんなところなのでしょう。

「あ、あれかな。
最近農家の息子が上位の位をもらい、領地を得た所かな?」
ファラスさんの言葉に頷くアイン。

「ええ、わたしのところ……西には情報が入って来ていなくて、山を越えて初めて耳にしたのですけど、こちら側は位に厳しいのではないのですか?」
アインの言葉に頷くクルトゥスさん。

「身分には厳しいと思うけどね。
だから初めて聞いた時には僕も驚いたよ」
「情報が山の西に届いていないのも無理ないかと思うわ。
だって私たちでさえ聞いたのはひと月ほど前だもの」
本当に最近のようですね。

どうやら件の場所は東の砂漠を越えた先の国だそうです。
砂漠の向こうはこの大陸の東端。
クルトゥスさん達の考えでは、田舎だから多少緩いのではないか、との事です。

「勿論他の皆が良いと言ってくれるのなら、一度行って自分の目で見てみたい、と言う話なのですけど」
アインが言うと、皆が答えます。

「我は構わぬ」
「オレも皆が良いなら良い」
「僕もあっちこっち行くのは楽しいから大丈夫。
美味しいものもがあるかも知れないからね」
シナトラの言葉に、ライラヒルラさんが笑顔で教えてくれました。

「あら、美味しいものなら沢山あると思うわよ。
だってその農家の息子が貰った位って【食位】って新しい位だって話だから」
「【食位】ですか?」
「何でもそれまで有った作物で、画期的な物をたくさん生み出したとかで、新しく作った位だそうよ」

ライラヒルラさんの言葉をファラスさんが引き継ぎます。
「実際は数年前に色々開発して、位を貰ったそうなんだけど、情報は伏せられててね。
商品だけが先にあちらこちらに広がっているんだよ。
調味料と食材と、新しい料理のレシピ。
広がり過ぎて隠しきれなくなって最近公開したって感じかな」

「一人の人がそんなに色々考えだしたんですか?」
チャックの問いかけに頷くファラスさん。

「僕達もそのうち行ってみたいって言ってるんだけど、砂漠越えがなかなかね」
コブウマに乗って5日ほどかかるそうです。
コブウマ…きっとラクダですね。
「バスならもう少し早いでしょうけどね」
とのアインの言葉に、答えたのはブルースです。

「なに、我が運べば問題ない」
あ、そうですよね、ブルースなら広大な砂漠も一っ飛びでしょうね。
「でも、ブルースに負担をかけるのは気が進みません」
私が言うと、
「たかだか砂漠を越えるだけ。
それにたまには翼も伸ばしたいしな」
何でもないようにブルースが言います。
でもあまり元の姿に戻るのは良くないことですし…と、私が悩んでいる間も会話は続いています。

「砂漠向こうのどの辺りなのだ?」
「詳しい場所は知らないけど、平地の真ん中あたりだそうだよ。
海寄りは他の大陸との交易をしている国で、砂漠側は少数民族の住む場所、その間の国。
国は二つだと聞いているけど、砂漠向こうは閉鎖的だから、情報もあまり回ってこないんだよね。
商品は回ってくるのに」
「確か国の名前は【ベジュール】と【リアンス】でしたか?」
「そのベジュールの方。
農家の息子が治める事になった領地の名前が【ダイズスキー領】だと聞いたよ」

ナニ?大豆好き?
いやいや、これもそう聞こえるだけで、大豆とは関係ないパターンですよね……?

「小豆(こまめ)を品種改良?とか言う作業をして、新たに【ダイズ】と名付けたんだって。
その【ダイズ】で【ミソ】【ショーユ】【ダイズユ】とか言う調味料や【トーフ】?とか色んな食材を作っているって言う話だよ」

やっぱり大豆かーーー!!!

「よし!すぐに行きましょう!
すぐに行って味噌と醤油と豆腐を手に入れましょう!」
椅子を倒す勢いで立ち上がった私に視線が集まりますけど、気になりません。

だって味噌や醤油ですよ?
日本人なら欲しいでしょう⁉︎
これは一刻も早く移動をしなければ!
ブルースに頑張ってもらいましょう!






しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

処理中です...