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第二章 旅は道連れ
78 ルーライオ
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ルーライオと他の町の一番の違いは、建物の殆どが陽の樹の建物だということですね。
樹の隙間から中が見えないように、内側にレースっぽい布が取り付けてあります。
家の中が見えないようにすれば、通気性が良く、暑い場所では住みやすい家になるでしょうね。
この織物の製法をカカルの民に教えることができたら、彼らの暮らしが豊かになるのでは?
時間を見つけで調べてみましょうか。
住人は、『いかにも南国!』といった感じの見た目です。
日に焼けた肌、目鼻のくっきりした濃い顔、ニカッと笑ってキランと光る歯…いえ、これはイメージですけどね。
荒くれ者の漁師という感じではなく、陽気な南国のノリなイメージです。
ごっつい男性達が、肩を組み大声で笑っていたり、女性達もお互いの肩をバンバン叩きながらにこやかに話してたり。
正直に言いましょう、少し苦手なノリです。
夜になると、鉄パイプを片手にバイクを走らせていた私とは、正反対な感じですね。
陰で何かやっていそうなホルノーンの雰囲気の方が、怖いけれど肌に合っている気がする私です。
所詮元ツッパリ小僧ですからね、健全な空気はどうも、ね……。
「明るい雰囲気の土地ですね」
「そうだな、人も多いし。
アイツを探すならギルドへ行くのが早いな」
私達は冒険者ギルドへ向かうことにしました。
ギルドは周囲から浮いている石造りの建物です。
流石に陽の樹の建物では差し障りがあるでしょう。
窓や扉を全開にしているので、風は通りますけど暑いです。
海が近いので湿気もあり、苦手な気候です。
クーラーが恋しいです。
受付カウンターで、ブルースが職員に話しかけに行きました。
私達は少し離れた場所のテーブルについて待っています。
タクワサさんが言っていたように、冒険者が多いですね。
特に若い方々が目立ちます。
「少し聞きたいのだが、クルトゥスの居場所を知らぬか?」
ギルド内が一瞬ざわつき、周りの視線がブルースに集まっています。
「あー、またクルトゥスさんの信者か」
「あの人にいきなり会えるわけないじゃん」
「物知らずがまだ居るんだな」
周りのヒソヒソ声が聞こえてきます。
「あの方のパーティはこちらを拠点にしていますけど、プライバシーに関することはお答えできません」
受付の若い男性が無表情で応えます。
きっと尋ねる人が多いのでしょうね。
「ふむ、冒険者と言えども個人の情報はそうそう吹聴出来ぬよな。
ならば伝言を頼もう。
ケイエスアーモストが会いたがっている、とな」
その言葉に、ざわつきが大きくなります。
「なんだあいつは!」
「なんで上から物を言っているんだ」
「なぜあの男が呼び出すような事をするんだ!」
「クルトゥスさんが相手にするわけないだろ」
非難轟々ですね。
「……お伝えはしますけど、お会いできるとは限りませんよ」
「うむ、心配要らぬ。
アイツが我と合わぬ事などあり得ぬ故、今すぐ伝えてもらおう」
「………………わかりました、少々お待ちを」
不承不承(ふしょうぶしょう)ながら、受付の男性が席を立ち奥へ引っ込むのと入れ替わりに、ギルドの中に居た男達がブルースを囲みます。
「お前、あの方を呼び出すなんて何様だ!」
「調子乗ってんなよコラ!」
「思い上がりも大概にしとけよ」
「身の程を弁えろ!」
あ、懐かしい感じが……なんで浸っている場合ではないですね。
取り囲まれて因縁つけられていますけど、ブルースは素知らぬ顔で無視しています。
「何シカトしてんだよゴルァ!!」
一番体格のいい男が、胸ぐらを掴もうと伸ばした手を、ブルースがはたき落としました。
「小物が囀るな」
受付カウンターの椅子に腰掛けたまま、ブルースが男を睨みあげます。
なんでしょう、ブルースから何か怖い雰囲気が漂ってきます。
「何も殺気を放つことはないでしょう。
子犬がじゃれ付いてきた程度なのに大人気ない」
いや、アインさん、子犬が…ってそんな可愛い物じゃないですよね?
しかしこれが本場?の殺気という物ですか。
成る程成る程。
ギルド内が静かになったところに、若干顔色を悪くした職員が戻ってきました。
職員は元の椅子に腰掛け、口を開きます。
「クルトゥス氏がお会いになるそうです。
今からこちらに向かうので、この場でお待ち下さいとの事です」
静かになっていたギルド内が、先程より更に騒がしくなりました。
英雄を辞退した一流の冒険者とは、そんなに凄いものなのでしょうか。
粗相をしないように気をつけましょう。
しかしクルトゥスさんとはどう言った方なのでしょう。
無性人と聞いていますので、初めは中性的な線の細い方かと思っていました。
でも冒険者なのですから、華奢ではないでしょうと、次に浮かんだのが、マッチョなオネエ………これは内緒にしておかないといけない案件ですね。
この国に来てからのイメージは、大柄なラテン系のノリの人でしょうか。
ブルースに聞けばいいのでしょうけど、前のパーティを気まずい形で抜けていますので聞き辛く、今まで詳しく聞いたことがないのです。
誰でも言いたくないことはありますし、長生きしている分、過去には色々あるでしょう。
本人が喋りたくなったら聞きますけど、こちらから根掘り葉掘り聞くのはいいことではないと思うのですよね。
ですから聞いたことは無いですけど、どんな人であるのかを想像することは仕方ないですよね。
でも一つだけ確信を持っている事は、絶対に美形ですよ、絶対に。
だって出会う人出会う人、タイプは違えど皆美形。
美形の大安売りですよ。
普通だったのは以前一緒に飲んだ、メンバーに捨てられた冒険者……(名前なんでしたっけ?)とししゃもさんとタコワサさんくらいですよ。
町には地味な人も不細……容姿が不自由な方もいらっしゃるのに、私たちに絡む人々はほぼ美形。
地味な自分の顔を隠したいですよ、本当に。
でも、美形は女性でも男性でも、見ていて目の保養になりますよね。
樹の隙間から中が見えないように、内側にレースっぽい布が取り付けてあります。
家の中が見えないようにすれば、通気性が良く、暑い場所では住みやすい家になるでしょうね。
この織物の製法をカカルの民に教えることができたら、彼らの暮らしが豊かになるのでは?
時間を見つけで調べてみましょうか。
住人は、『いかにも南国!』といった感じの見た目です。
日に焼けた肌、目鼻のくっきりした濃い顔、ニカッと笑ってキランと光る歯…いえ、これはイメージですけどね。
荒くれ者の漁師という感じではなく、陽気な南国のノリなイメージです。
ごっつい男性達が、肩を組み大声で笑っていたり、女性達もお互いの肩をバンバン叩きながらにこやかに話してたり。
正直に言いましょう、少し苦手なノリです。
夜になると、鉄パイプを片手にバイクを走らせていた私とは、正反対な感じですね。
陰で何かやっていそうなホルノーンの雰囲気の方が、怖いけれど肌に合っている気がする私です。
所詮元ツッパリ小僧ですからね、健全な空気はどうも、ね……。
「明るい雰囲気の土地ですね」
「そうだな、人も多いし。
アイツを探すならギルドへ行くのが早いな」
私達は冒険者ギルドへ向かうことにしました。
ギルドは周囲から浮いている石造りの建物です。
流石に陽の樹の建物では差し障りがあるでしょう。
窓や扉を全開にしているので、風は通りますけど暑いです。
海が近いので湿気もあり、苦手な気候です。
クーラーが恋しいです。
受付カウンターで、ブルースが職員に話しかけに行きました。
私達は少し離れた場所のテーブルについて待っています。
タクワサさんが言っていたように、冒険者が多いですね。
特に若い方々が目立ちます。
「少し聞きたいのだが、クルトゥスの居場所を知らぬか?」
ギルド内が一瞬ざわつき、周りの視線がブルースに集まっています。
「あー、またクルトゥスさんの信者か」
「あの人にいきなり会えるわけないじゃん」
「物知らずがまだ居るんだな」
周りのヒソヒソ声が聞こえてきます。
「あの方のパーティはこちらを拠点にしていますけど、プライバシーに関することはお答えできません」
受付の若い男性が無表情で応えます。
きっと尋ねる人が多いのでしょうね。
「ふむ、冒険者と言えども個人の情報はそうそう吹聴出来ぬよな。
ならば伝言を頼もう。
ケイエスアーモストが会いたがっている、とな」
その言葉に、ざわつきが大きくなります。
「なんだあいつは!」
「なんで上から物を言っているんだ」
「なぜあの男が呼び出すような事をするんだ!」
「クルトゥスさんが相手にするわけないだろ」
非難轟々ですね。
「……お伝えはしますけど、お会いできるとは限りませんよ」
「うむ、心配要らぬ。
アイツが我と合わぬ事などあり得ぬ故、今すぐ伝えてもらおう」
「………………わかりました、少々お待ちを」
不承不承(ふしょうぶしょう)ながら、受付の男性が席を立ち奥へ引っ込むのと入れ替わりに、ギルドの中に居た男達がブルースを囲みます。
「お前、あの方を呼び出すなんて何様だ!」
「調子乗ってんなよコラ!」
「思い上がりも大概にしとけよ」
「身の程を弁えろ!」
あ、懐かしい感じが……なんで浸っている場合ではないですね。
取り囲まれて因縁つけられていますけど、ブルースは素知らぬ顔で無視しています。
「何シカトしてんだよゴルァ!!」
一番体格のいい男が、胸ぐらを掴もうと伸ばした手を、ブルースがはたき落としました。
「小物が囀るな」
受付カウンターの椅子に腰掛けたまま、ブルースが男を睨みあげます。
なんでしょう、ブルースから何か怖い雰囲気が漂ってきます。
「何も殺気を放つことはないでしょう。
子犬がじゃれ付いてきた程度なのに大人気ない」
いや、アインさん、子犬が…ってそんな可愛い物じゃないですよね?
しかしこれが本場?の殺気という物ですか。
成る程成る程。
ギルド内が静かになったところに、若干顔色を悪くした職員が戻ってきました。
職員は元の椅子に腰掛け、口を開きます。
「クルトゥス氏がお会いになるそうです。
今からこちらに向かうので、この場でお待ち下さいとの事です」
静かになっていたギルド内が、先程より更に騒がしくなりました。
英雄を辞退した一流の冒険者とは、そんなに凄いものなのでしょうか。
粗相をしないように気をつけましょう。
しかしクルトゥスさんとはどう言った方なのでしょう。
無性人と聞いていますので、初めは中性的な線の細い方かと思っていました。
でも冒険者なのですから、華奢ではないでしょうと、次に浮かんだのが、マッチョなオネエ………これは内緒にしておかないといけない案件ですね。
この国に来てからのイメージは、大柄なラテン系のノリの人でしょうか。
ブルースに聞けばいいのでしょうけど、前のパーティを気まずい形で抜けていますので聞き辛く、今まで詳しく聞いたことがないのです。
誰でも言いたくないことはありますし、長生きしている分、過去には色々あるでしょう。
本人が喋りたくなったら聞きますけど、こちらから根掘り葉掘り聞くのはいいことではないと思うのですよね。
ですから聞いたことは無いですけど、どんな人であるのかを想像することは仕方ないですよね。
でも一つだけ確信を持っている事は、絶対に美形ですよ、絶対に。
だって出会う人出会う人、タイプは違えど皆美形。
美形の大安売りですよ。
普通だったのは以前一緒に飲んだ、メンバーに捨てられた冒険者……(名前なんでしたっけ?)とししゃもさんとタコワサさんくらいですよ。
町には地味な人も不細……容姿が不自由な方もいらっしゃるのに、私たちに絡む人々はほぼ美形。
地味な自分の顔を隠したいですよ、本当に。
でも、美形は女性でも男性でも、見ていて目の保養になりますよね。
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