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第二章 旅は道連れ
69 ダンジョンへ
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「……困っておるのなら、手を貸すのもやぶさかでは無い。
なんなら報酬も要らぬ」
おお!ブルース!漢だねぇ~。
「その代わり………」
「いや、言ってみるもんだな」
私達はドドに乗ってダンジョンへ移動中です。
ポニーはお留守番してもらっています。
アインが移動で使うかもしれませんからね。
乗り心地はやはりポニーが最高です。
ドドのオニバスは産毛みたいな柔らかく細かい毛が生えているおかげで滑らず、ふわっと柔らか。
見た目はタライの縁に背を預け座っているみたいですけど、実際は悪くはありません。
でもやっぱりポニーでしょう。
「ランクを二つも上げれるなんて、ギルドマスターの権限は凄いんですね」
ドドの背中で揺れながら、ギルドでの会話を思い浮かべます。
ブルースがシーシャムさんに告げた条件は、ランクを二つ上げて、私達全員をランク4にすることでした。
「ランク4までなら、ある程度の実力さえあれば、マスターの権限で上げられるのは知っておったからな。
マスターから直々に依頼が来ると言う時点で有名になる。
つまり後ははやり方と交渉次第だな」
悪い顔でブルースが笑います。
「でもブルースはともかく、私達に実力は有るのでしょうか?」
ブルースなら大丈夫でしょうけど。
「は?この前亀の甲羅叩き割った奴が何を言っておる。
シナトラだって大口トカゲを一人で倒してたろう」
そう、シナトラは結界の向こうで移動中、川で大口トカゲ…ワニを倒したんです。
美味しかったです。
私が倒したのは、ゾウガメ?でした。
美味しかったです。
「………オレはまだランクアップ早いと思う…」
俯いたチャックが小声で呟きます。
「えー、そんな事ないよ。
だって僕が大口トカゲ倒せたの、チャック兄ちゃんが麻痺で痺れさせてくれたからじゃん」
「そうですよ、私が叩き割った時も、チャックが空から亀の注意を引いてくれたからですよ」
私達の言葉にブルースも頷きます。
「そうだぞ、直接倒すだけが実力ではない。
我らはパーティなんだぞ、一人ではなくサポート有っての勝利と言うものもある」
チャックの頭にぽんっと手を乗せ、何より至近距離の戦い方は学び始めたばかりだろ?と言うブルースは、珍しく年長者らしいですね。
………いえ、いつも残ね……子供っぽ…………ゴホン。
……あ! いつもはアインが収めてくれますからね。
ブルースの大人さ加減が目立たなかっただけです…よね?
《目的地に着いたよ。
俺はその辺で草でも食ってるから、帰る時また呼んで》
私達を下ろしたドドは道に生えてる草を食べだしました。
まさに道草を食うですね。
さて、ダンジョンです。
私の知っている巨大迷宮と違い、土まんじゅうに扉が付いている、と言う感じです。
扉の横にある水晶?にカードをかざすと、重たい音を立てて扉が自動で開きました。
中は下へ降りる階段が有ります。
「ダンジョンは地下なのですか?」
「大抵はそうだな。
たまにバカでかい樹の中や、山の中の空洞とかも有るが、地下が多いぞ」
「中真っ暗です」
「ああそうだな。
ライトを頼む」
「? ライトもカンテラも持っていませんけど?」
「は?」
ライト…私は懐中電灯やペンライトみたいなものかと思ったんですけど、光を照らす魔法の事でした。
どっちみち使えませんが。
「あー、そうか、光魔法使える奴居ないか」
「……………あ!少し待って下さい」
《アイン、アイン、今大丈夫ですか?》
私が念話で話しかけると、すぐ応答がありました。
《ジョニー?どうしたんですか?
今依頼を受けているんですよね?》
《そうなんです、今からダンジョンへ入ろうとしているんですけど、灯りがないんです》
以前買い物をした時、ランタンは魔法があるから要らないと言われたので、返品したんですよね。
《………………………私としたことが……》
どうやらアインはあの時、私が余りにも無駄買いが多く、最低限以外のものは要らないと返品させたのですけど、自分が光魔法を使えるから、ランタンも要らない、と思ったそうなのです。
《そうですよね、私が使えるからと言って、いつも行動を共にしている訳ではないのですから、ランタンは返品してはいけませんでしたね》
《いえいえ、あれは調子に乗って買いすぎた私が悪いのですから。
それより今あかりが欲しいので、出来れば買ってきていただけますか?
受け渡しは転送魔法がありますから》
《ちょっと待って下さい》
アインとの念話が一旦途絶えましたけど、すぐにまた繋がりました。
《私の神殿でヨルゼルが準備しましたので、そちらから受け取ってください》
おお、そんな裏技が使えるのですね。
私からアインへ、アインからヨルゼル氏へ伝達されて、ヨルゼル氏から品を受け取る。
アインの神殿なら色々ありましたもんね。
念話も転送も便利ですねえ。
私は無事カンテラを手にしました…3つほど。
これは私とチャックとシナトラの分ですよね。
折角ですから、先頭を行くブルースと、しんがりのシナトラ、真ん中で並んでいるチャックと私で一つと、3つ共ありがたく使うことにしました。
なんなら報酬も要らぬ」
おお!ブルース!漢だねぇ~。
「その代わり………」
「いや、言ってみるもんだな」
私達はドドに乗ってダンジョンへ移動中です。
ポニーはお留守番してもらっています。
アインが移動で使うかもしれませんからね。
乗り心地はやはりポニーが最高です。
ドドのオニバスは産毛みたいな柔らかく細かい毛が生えているおかげで滑らず、ふわっと柔らか。
見た目はタライの縁に背を預け座っているみたいですけど、実際は悪くはありません。
でもやっぱりポニーでしょう。
「ランクを二つも上げれるなんて、ギルドマスターの権限は凄いんですね」
ドドの背中で揺れながら、ギルドでの会話を思い浮かべます。
ブルースがシーシャムさんに告げた条件は、ランクを二つ上げて、私達全員をランク4にすることでした。
「ランク4までなら、ある程度の実力さえあれば、マスターの権限で上げられるのは知っておったからな。
マスターから直々に依頼が来ると言う時点で有名になる。
つまり後ははやり方と交渉次第だな」
悪い顔でブルースが笑います。
「でもブルースはともかく、私達に実力は有るのでしょうか?」
ブルースなら大丈夫でしょうけど。
「は?この前亀の甲羅叩き割った奴が何を言っておる。
シナトラだって大口トカゲを一人で倒してたろう」
そう、シナトラは結界の向こうで移動中、川で大口トカゲ…ワニを倒したんです。
美味しかったです。
私が倒したのは、ゾウガメ?でした。
美味しかったです。
「………オレはまだランクアップ早いと思う…」
俯いたチャックが小声で呟きます。
「えー、そんな事ないよ。
だって僕が大口トカゲ倒せたの、チャック兄ちゃんが麻痺で痺れさせてくれたからじゃん」
「そうですよ、私が叩き割った時も、チャックが空から亀の注意を引いてくれたからですよ」
私達の言葉にブルースも頷きます。
「そうだぞ、直接倒すだけが実力ではない。
我らはパーティなんだぞ、一人ではなくサポート有っての勝利と言うものもある」
チャックの頭にぽんっと手を乗せ、何より至近距離の戦い方は学び始めたばかりだろ?と言うブルースは、珍しく年長者らしいですね。
………いえ、いつも残ね……子供っぽ…………ゴホン。
……あ! いつもはアインが収めてくれますからね。
ブルースの大人さ加減が目立たなかっただけです…よね?
《目的地に着いたよ。
俺はその辺で草でも食ってるから、帰る時また呼んで》
私達を下ろしたドドは道に生えてる草を食べだしました。
まさに道草を食うですね。
さて、ダンジョンです。
私の知っている巨大迷宮と違い、土まんじゅうに扉が付いている、と言う感じです。
扉の横にある水晶?にカードをかざすと、重たい音を立てて扉が自動で開きました。
中は下へ降りる階段が有ります。
「ダンジョンは地下なのですか?」
「大抵はそうだな。
たまにバカでかい樹の中や、山の中の空洞とかも有るが、地下が多いぞ」
「中真っ暗です」
「ああそうだな。
ライトを頼む」
「? ライトもカンテラも持っていませんけど?」
「は?」
ライト…私は懐中電灯やペンライトみたいなものかと思ったんですけど、光を照らす魔法の事でした。
どっちみち使えませんが。
「あー、そうか、光魔法使える奴居ないか」
「……………あ!少し待って下さい」
《アイン、アイン、今大丈夫ですか?》
私が念話で話しかけると、すぐ応答がありました。
《ジョニー?どうしたんですか?
今依頼を受けているんですよね?》
《そうなんです、今からダンジョンへ入ろうとしているんですけど、灯りがないんです》
以前買い物をした時、ランタンは魔法があるから要らないと言われたので、返品したんですよね。
《………………………私としたことが……》
どうやらアインはあの時、私が余りにも無駄買いが多く、最低限以外のものは要らないと返品させたのですけど、自分が光魔法を使えるから、ランタンも要らない、と思ったそうなのです。
《そうですよね、私が使えるからと言って、いつも行動を共にしている訳ではないのですから、ランタンは返品してはいけませんでしたね》
《いえいえ、あれは調子に乗って買いすぎた私が悪いのですから。
それより今あかりが欲しいので、出来れば買ってきていただけますか?
受け渡しは転送魔法がありますから》
《ちょっと待って下さい》
アインとの念話が一旦途絶えましたけど、すぐにまた繋がりました。
《私の神殿でヨルゼルが準備しましたので、そちらから受け取ってください》
おお、そんな裏技が使えるのですね。
私からアインへ、アインからヨルゼル氏へ伝達されて、ヨルゼル氏から品を受け取る。
アインの神殿なら色々ありましたもんね。
念話も転送も便利ですねえ。
私は無事カンテラを手にしました…3つほど。
これは私とチャックとシナトラの分ですよね。
折角ですから、先頭を行くブルースと、しんがりのシナトラ、真ん中で並んでいるチャックと私で一つと、3つ共ありがたく使うことにしました。
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