【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

66 料理スキルが役立つ時がきました

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ブルースは冒険者ギルドへ、以前のパーティがいつ頃まで、どの辺りで活躍していたかを聞きに行きました。

「30年経っておるからな、今は冒険しておらぬだろうが、どの辺りにいるかの目安にはなるだろう」
と言っていました。

アインは近辺諸国の情勢を探りに行かれました…どこに?

私達3人はのんびりと、いろんな店を冷やかしています。
勿論気になった物、美味しそうなものや、ポニー達へのお土産などは買っていますけどね。

すると食材を売っているエリアで、ティちゃんが話しかけてきました。

〈ジャガイモと玉ねぎとニンジンと小麦粉買えば、後は手持ちの材料でクリームシチューが作れるよ 〉
〈な、なんですって! 〉

カカルの民からバターと牛乳を手に入れられるし、塩と肉はあるしで、後は野菜さえあれば私の料理スキルでシチューが……。

正直なところ透明(?)なスープには飽きていたんですよね。
汁物と言えば、味噌汁、お吸い物、コーンスープにクラムチャウダー、クリームシチューとビーフシチュー(嫌いですけど)など、コンソメっぽい物(ここで作っているのってコンソメとも言えないので、あくまでぽい物ですけど)以外の汁物もたくさん有ったのに、ここでは具材を変えても基本のスープは同じなので、飽食の日本人としては辛いものがあったのですよ。

作り方はスキル任せで大丈夫なので、野菜売り場で芋と玉ねぎとニンジンと、乾燥させたコーンの粒を購入します。
肉は鳥でも赤身でも霜降りでも、種類や魔物肉であると言う事を気にしなければ何でもあります。
キノコも入れて具沢山シチューを作りましょう。

家で食べていたのは、それだけでお腹が膨れる具沢山シチューで、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、ブロッコリー、アスパラガス、とうもろこし、しめじ、鶏肉と、具がゴロゴロしていました。
懐かしいですね、ふふふ。

目当てのものを手に入れて、宿に戻ると宿主さんと交渉して、台所の隅を借ります。
作り方を見ている事と、出来上がりの試食で交渉成立だと私は思ったのですけど、すんなり了解した私に、宿主さんが苦い顔をしました。
なぜ?

「簡単に見てていいって言うけど、レシピが盗まれるとか考えないのか?」
「私の故郷の沢山ある料理の一つですし、広まってくれると、私が作らなくてもどこでも食べられるようになりますしね」
作る人が変わるといろんなアレンジも出てくるでしょうし。

「俺が言い出しといてなんだけど、あんたそんなんだったらいいように利用されるぜ」
呆れ顔の宿主さんにため息までつかれました。

「あんた商業ギルドに登録してんなら、後でレシピ登録しときなよ。
いや、あんたはちょっと頼りないな、そこのあんたら、連れの人にでも言って登録しとくようにしときなよ」
私は頼りないのでしょうか?
ここの宿主さんより一回り以上年上だと思うんですけど……ま、いいか。


作業はさくっと略しますけど、後は煮込むだけの状態まで作って部屋に戻り、リンちゃんにじっくり温めを頼みました。

リンちゃんは見た目はすっかり普通のスズメまで成長しています。
熱魔法も随分使えるようになって、ほんのり暖かから、アイロンくらいまでの熱を発することができるようになっています。

なので煮込みのお仕事はリンちゃんにお任せです。
ブルース達が戻ってきたら、皆で食べましょう。


どうやらこの世界ではミルク煮はあっても、シチューは無いそうで、シチューは大絶賛でした。
ふふふ、料理スキルって良いですね。

お裾分けした宿主さんにも好評で、尚更登録するように言われて、アインに付いてきてもらい、ギルドで登録しました。

レシピを書いた物をギルドが複製し、一枚売れる毎にお金が入ってくる……印税みたいな物ですか?

でもそれも最初だけだそうです。
レシピを購入した人が密かに、別の人に安く教えて懐を潤わすのを止めることはできませんもんね。

ではなぜ登録するかと言うと、考案者をはっきりとさせるためなのだそうです。
そうして次々と新しいレシピを登録して行くうちに、位を持つ人の目に止まり、店を持たせてもらえたり、お抱えになったり、城の厨房で働けたりするそうです。

後は何より名誉なんですって。

私はパトロンや出世?や名誉なんて興味ありませんが、そう言ったものが欲しい方や必要な方は沢山いるでしょうね。

さっさと広がって、どこでも美味しいシチューが食べられて、ついでにカカルの民の乳製品が沢山売れると、ホルさん達への恩返しにもなるでしょう。

しかしシチューが出来たのですから、高温のオーブンが有れば、グラタンやドリアもできるんですよね?
ポットパイとか、クリームコロッケも好きですよ。

所謂お子様メニューな、カレー、オムライス、ハンバーグなどなど好きだったんですけど、歳を重ねるごとに胃もたれが……。
いつの間にやら和食を好むようになったのですけど、この若い体なら、いくらでもいけそうですね、ふふふふ。

でも、正直なところ、料理スキルのおかげと乳製品確保のおかげで、作れる料理は増えているのでしょうけど………作るのが面倒くさい……。

妻は朝晩と、弁当まで持たせてくれていましたけど、毎日毎日本当に大変だったでしょうね。
実家ではお手伝いさんがいて、料理などした事ないと言っていたのに、料理本や料理番組を見ながら、毎日毎日………。

再開できたら伝えたい…いえ、伝えなければならない言葉が増えます。
早く会ってちゃんと顔を見ながら順番に伝えましょう。






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