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第二章 旅は道連れ
60 初心者がいきなり乗馬で無事なわけないですよ
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テントの中を見回しながら、つくづく思います。
皆さん本当に大きい。
私の身長は以前と同じ、16…四捨五入して170㎝だとして、シナトラは私より少し高く、アインがそれより高く、ブルースは多分15㎝程高いくらいですかね。
遊牧民の方々は、腰の曲がったババ様が私と同じ目線で、女性の方でもブルースより背が高いですし、男性の方は更にです。
多分私より50㎝程高い様な気がします。
以前外国人バレーボール選手に囲まれた時より圧迫感が凄いです。
座った座高でさえ、立ったチャックより高い方も居ますよ。
「ねぇ、おっちゃん達は何の獣人なの?」
ナイスです、気になっていたけど聞けなかったんですよ。
「我らは人族だぞ。
魔王様のおかげで逞しい体を手に入れられた、幸運な人族だ」
「えー、ミミとか無いけど熊の獣人だと思った」
ホルさんの答えに、シナトラだけでなく、私も驚きました。
「ほっほっほ、この見た目のおかげで、他の国との交渉が有利に運ぶこともあるのじゃよ。
我らに合わせて馬も逞しく育つようになったから、交渉の場に馬に乗った若者を数人連れて行くと、こちらの言い分がすんなり通るからのぅ」
圧迫面接と言う言葉が浮かんできましたけど、違いますよね。
「ヤギ達も立派な体つきですよね」
アインが外を見ながら言います。
ヤギ……ヤギねえ…………私には山羊と羊に見えるのですけど。
「我らはヤギの乳と毛ヤギの織物で生計を立てておるが、他の一族の動物達も立派な体つきをしておるぞ。
毛ヤギや毛牛が多いが、薬にもなるオオツノシカなども、他の場所より大きく育っておる。
これも魔王様の加護、ありがたいことだねえ」
ババ様が山に向かって手を合わせています。
毛ヤギは羊ですよね、毛牛はヤクですかねぇ?
オオツノシカは……トナカイ?いや違うかもしれませんね。
「面白いのが、最近首の長い毛ヤギを飼い始めた一族がおるとのことでな、今度顔を合わせた時に分けてもらおうかと言っておるのじゃよ」
首の長い羊……アルパカですよね、絶対。
遊牧の話を聞いたり、山の向こうの話をしたり、なんだかんだで日が暮れてしまったので、今日は泊めていただく事となりました。
私達を案内してくれたホルさんと、その弟のネグさんのテントに分かれて休むことに。
休む前に歓迎の宴を催して下さいました。
ヤギを3頭潰して、焼いたりスープにしたり。
新鮮なチーズやミルク、焼きたてのパンとナンの間のような物、カラフルな果物。
そして見たことのあるあの木の実は…
「あ!酒の実!!」
シナトラと出会った時に、まだ熟していなかった酒の木の実ですね。
シナトラ大興奮です。
「もう塾してんの?
この近くに木があるの?
僕も欲しい!取っていいかな⁈」
ホルさんの胸ぐらを掴んで(身長差で縋り付いている様にしか見えませんが)問い詰めています。
あ、ほら、チャックに頭叩かれたじゃないですか。
「酒の木はこの平原はたくさん生えてるから、見つけたら好きなだけ持って行くといい。
取り尽くさずに、数個ずつでも残しておけば、後は持って行って良いぞ。
こちらも珍しい物沢山貰えたしな」
宴が始まる前に、商人としての初仕事を行ったのですよ。
ちゃんとギルドカードを提示して、許可を持っている事を説明してから、大量に仕入れている魚介類を、彼らの織物と物々交換の取引をしたのです。
草木染めの落ち着いた色合いですけど、緻密な模様のベストの様な服と、敷物などを数点。
手作りですので、同じものは二つとありません。
たくさんの品を見せていただき、柄の気に入った物を仕入れさせていただきました。
魚貝類はとても喜ばれました。
この平原にも、勿論川はありますし湖もいくつか有ります。
しかしながら、川の生き物はその水源や土地により生態系が違いますから、見たことのない魚などはとても興味を惹かれた様です。
元営業のサガなのか、美味しい調理の仕方(と言っても焼き加減とかだけですが)、それぞれに合うハーブ、保存の方法、廃棄する頭や骨を使ってスープの出汁にすることや、思いつく限りのプレゼンをしてしまいました。
真剣に聞いてくださった女性陣にはとても喜ばれて、私も久しぶりの感覚に満足感を覚えました。
うん、行商って楽しいかもしれません。
アインに感謝です。
明日は酒の木の群生している場所まで、ホルさん達が案内してくれるそうです。
その辺りに別の一族の拠点があるそうですので、そこまで連れて行ってくれるとのこと。
どうやらその一族は、ババ様の弟さんの一族だそうで、馬と鹿を主に扱っているようです。
そこで面白い仕入れができるのではないかと、ババ様が勧めてくださったので、お言葉に甘えることにしました。
そちらの一族にもぜひ魚貝類を食べさせたいと言われて、断る理由もありませんしね。
翌日、朝ごはんまでいただいて、弟さんの一族の拠点へ向かいました。
私は馬に乗れませんので、私とチャックはホルさんの馬に、シナトラはネグさんの馬、ブルースとアインは馬に乗れる様なので、2人で一頭借りて出発です。
大きな馬なので、大人2人でも楽々ですね。
足の速さも凄いです。
空気抵抗が……体感速度で80キロくらい出ていそうです。
「あんたら初心者いるから、ゆっくり走ってる。
一時間くらいかかるけど、大丈夫か?」
「は…はひ…」
その大丈夫は時間的な事なのか、慣れない騎乗でグラングランしていることに対してなのか。
そりゃあ若い頃はバイクでかっ飛ばしてたよ?
でもバイクと馬は全っっ然別モン!
ケツは痛いし、上下運動で朝メシ吐きそうだし、もう二度と乗りたくねえ!
あ、ダメですね、大人な私がどこかに行っていましたね。
でも本当に乗馬は懲り懲りです。
皆さん本当に大きい。
私の身長は以前と同じ、16…四捨五入して170㎝だとして、シナトラは私より少し高く、アインがそれより高く、ブルースは多分15㎝程高いくらいですかね。
遊牧民の方々は、腰の曲がったババ様が私と同じ目線で、女性の方でもブルースより背が高いですし、男性の方は更にです。
多分私より50㎝程高い様な気がします。
以前外国人バレーボール選手に囲まれた時より圧迫感が凄いです。
座った座高でさえ、立ったチャックより高い方も居ますよ。
「ねぇ、おっちゃん達は何の獣人なの?」
ナイスです、気になっていたけど聞けなかったんですよ。
「我らは人族だぞ。
魔王様のおかげで逞しい体を手に入れられた、幸運な人族だ」
「えー、ミミとか無いけど熊の獣人だと思った」
ホルさんの答えに、シナトラだけでなく、私も驚きました。
「ほっほっほ、この見た目のおかげで、他の国との交渉が有利に運ぶこともあるのじゃよ。
我らに合わせて馬も逞しく育つようになったから、交渉の場に馬に乗った若者を数人連れて行くと、こちらの言い分がすんなり通るからのぅ」
圧迫面接と言う言葉が浮かんできましたけど、違いますよね。
「ヤギ達も立派な体つきですよね」
アインが外を見ながら言います。
ヤギ……ヤギねえ…………私には山羊と羊に見えるのですけど。
「我らはヤギの乳と毛ヤギの織物で生計を立てておるが、他の一族の動物達も立派な体つきをしておるぞ。
毛ヤギや毛牛が多いが、薬にもなるオオツノシカなども、他の場所より大きく育っておる。
これも魔王様の加護、ありがたいことだねえ」
ババ様が山に向かって手を合わせています。
毛ヤギは羊ですよね、毛牛はヤクですかねぇ?
オオツノシカは……トナカイ?いや違うかもしれませんね。
「面白いのが、最近首の長い毛ヤギを飼い始めた一族がおるとのことでな、今度顔を合わせた時に分けてもらおうかと言っておるのじゃよ」
首の長い羊……アルパカですよね、絶対。
遊牧の話を聞いたり、山の向こうの話をしたり、なんだかんだで日が暮れてしまったので、今日は泊めていただく事となりました。
私達を案内してくれたホルさんと、その弟のネグさんのテントに分かれて休むことに。
休む前に歓迎の宴を催して下さいました。
ヤギを3頭潰して、焼いたりスープにしたり。
新鮮なチーズやミルク、焼きたてのパンとナンの間のような物、カラフルな果物。
そして見たことのあるあの木の実は…
「あ!酒の実!!」
シナトラと出会った時に、まだ熟していなかった酒の木の実ですね。
シナトラ大興奮です。
「もう塾してんの?
この近くに木があるの?
僕も欲しい!取っていいかな⁈」
ホルさんの胸ぐらを掴んで(身長差で縋り付いている様にしか見えませんが)問い詰めています。
あ、ほら、チャックに頭叩かれたじゃないですか。
「酒の木はこの平原はたくさん生えてるから、見つけたら好きなだけ持って行くといい。
取り尽くさずに、数個ずつでも残しておけば、後は持って行って良いぞ。
こちらも珍しい物沢山貰えたしな」
宴が始まる前に、商人としての初仕事を行ったのですよ。
ちゃんとギルドカードを提示して、許可を持っている事を説明してから、大量に仕入れている魚介類を、彼らの織物と物々交換の取引をしたのです。
草木染めの落ち着いた色合いですけど、緻密な模様のベストの様な服と、敷物などを数点。
手作りですので、同じものは二つとありません。
たくさんの品を見せていただき、柄の気に入った物を仕入れさせていただきました。
魚貝類はとても喜ばれました。
この平原にも、勿論川はありますし湖もいくつか有ります。
しかしながら、川の生き物はその水源や土地により生態系が違いますから、見たことのない魚などはとても興味を惹かれた様です。
元営業のサガなのか、美味しい調理の仕方(と言っても焼き加減とかだけですが)、それぞれに合うハーブ、保存の方法、廃棄する頭や骨を使ってスープの出汁にすることや、思いつく限りのプレゼンをしてしまいました。
真剣に聞いてくださった女性陣にはとても喜ばれて、私も久しぶりの感覚に満足感を覚えました。
うん、行商って楽しいかもしれません。
アインに感謝です。
明日は酒の木の群生している場所まで、ホルさん達が案内してくれるそうです。
その辺りに別の一族の拠点があるそうですので、そこまで連れて行ってくれるとのこと。
どうやらその一族は、ババ様の弟さんの一族だそうで、馬と鹿を主に扱っているようです。
そこで面白い仕入れができるのではないかと、ババ様が勧めてくださったので、お言葉に甘えることにしました。
そちらの一族にもぜひ魚貝類を食べさせたいと言われて、断る理由もありませんしね。
翌日、朝ごはんまでいただいて、弟さんの一族の拠点へ向かいました。
私は馬に乗れませんので、私とチャックはホルさんの馬に、シナトラはネグさんの馬、ブルースとアインは馬に乗れる様なので、2人で一頭借りて出発です。
大きな馬なので、大人2人でも楽々ですね。
足の速さも凄いです。
空気抵抗が……体感速度で80キロくらい出ていそうです。
「あんたら初心者いるから、ゆっくり走ってる。
一時間くらいかかるけど、大丈夫か?」
「は…はひ…」
その大丈夫は時間的な事なのか、慣れない騎乗でグラングランしていることに対してなのか。
そりゃあ若い頃はバイクでかっ飛ばしてたよ?
でもバイクと馬は全っっ然別モン!
ケツは痛いし、上下運動で朝メシ吐きそうだし、もう二度と乗りたくねえ!
あ、ダメですね、大人な私がどこかに行っていましたね。
でも本当に乗馬は懲り懲りです。
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