【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

文字の大きさ
上 下
58 / 206
第二章 旅は道連れ

58 山脈を超えて

しおりを挟む
「もうこの辺りから隣の国の領域となります。
私は資料上でしか知らないのですけど、着くまでに大まかな説明をしておきますね」

山脈を越え、今はブルースからも降りて、麓を目指して歩いて下山をしているところです。
ゆっくり歩きながらアインの話を聞きました。


今までいた国は、大陸の中のほんの一部で、特殊な方なのだそうです。
他の国では先日チラリと聞いた貴族階級の様なものがあり、宗教もあり、いろんな理由で戦もあちらこちらであるそうです。


貴族階級は、どこの国でも国王が、トップなのは変わりません。
その国王の親族が【特位】と呼ばれ、一親等迄が持てる位(くらい)だそうです。

国が乗っ取られたりして、国王がその座を退いた時には無くなる位ですが、平和な時代なら、ぬくぬくと税金で暮らしているそうなのです。
王様の予備として考えられている、特殊な位なので【特位】なのだそうです。 
貴族階級はよく知らないのですけど、公爵みたいな感じなのでしょうか?
 

【特位】の下はまとめて【従位】と呼ばれるそうです。
これは国の運営に関わる仕事の方に与えられる位で、仕事内容や、国によって上下が変わるそうです。

その中でも、どこでも必ずトップなのが【補佐】。
国王不在時の代理などもする…私のイメージでは【宰相】の様なものなのでしょうか?

他にも【財位】(財務大臣?)【交位】(交渉する人だから外務大臣?)【文位】(歴史書の編纂などをしているそうです…文部大臣?)【魔位】(魔法省のトップなのだとか)【蓄位】(備蓄や何やらを取り仕切っているとか)【伝位】(情報管理部?)【人位】(住民課?)【職位】(ハローワーク?)【軍位】(これはわかりやすいね)【神位】(神殿のトップ)【暗位】(情報収集などの隠密活動だとか)


などなど、色々な位が有るそうですが、国の規模によって全ての位が有るとは限らないようです。
位の上下も国によって変わるのだとか。
そしてどの国でも、子供に位は引き継げず、一代限りなのだそうです。
ボンクラが国の運営に入ってこない様にする為だそうですよ。

その下に、功績を認められて授かる位として、【上位】【中位】【下位】とあり、位と共に領地を拝領されるそうなので、多分これは伯爵とか、子爵、男爵みたいなものなのでしょうか。

この三つは従位と違って、子供に受け継いで行かせることができるそうです。
領主がちょこちょこ変わると、住民が振り回されますからね。

そしてこちらも一代限りの【営位】というものがあり、大商人や豪農、網元や狩猟の纏め役など、国に営利を齎す者に与えられる【名誉賞】みたいなものですかね。
国の会議にも出ることができるし、色々特権は与えられるそうです。

位は全て、補佐が前任者からの推薦を吟味して、問題がなければ国王が認可するそうです。
へーーー。


色々教えて頂いたのですけど、覚えられません。
関わる事もないでしょうから、細かい【従位】は覚えるつもりも有りません。
そう言った位が有るのですね、でいいでしょう。

上中下の位の方々も、直接は関係ないですね。
一番接触が有る可能性なのは【営位】ですかねえ。
でも、大商人などには近づかなければ問題ないですよね。

面倒事には極力関わりたく有りませんからね。


山を降りた辺りは遊牧民の縄張りだそうです。
家畜の餌を求めて、広大な土地を移動しながら生活をしているようです。
イメージ的にモンゴル民が浮かんできますね。
後は、強そうなのと、山羊のバター茶のイメージですね。
ちょっとワクワクします。


山を降りて暫く歩くと、山羊の姿がチラホラ見えてきました。
第一村人……第一部族発見でしょうか、遠くに馬に乗った人の姿が見えます。
どうやら彼方も私達に気付いた様で、こちらへ向かって来ていますね。

「山を越えたら言葉が違う、なんて事は無いよね?」
「大丈夫ですよ」
チャックの問いにアインが答えていますけど、そうですよね、国が変われば言葉も変わる、なんて事はあり得ますよね。
自分が自動翻訳されて言葉に不自由しないので、頭から抜け落ちていました。

会話をしながら歩いている私達に向かい、馬は駆けてきます。
ドドッ、ドドッ、と立派な4本の足が地面を蹴る音が近付くにつれて、思わず凝視してしまいました。

「うわー、でっかーい!」

シナトラが嬉しそうに声を上げていますけど、本当に大きいんです。
馬も人も。
いえ、大きいと言うより『ゴツい』ですね。
北海道で見たばんえい馬に似ていますけど、それより更にゴツいです。

「お前ら、もしかして神の山の向こうから来たのか?」
「神の山?」
「ああ、あの山の向こうには、俺らの先祖に護る力を与えてくれた神様がいらっしゃるから、あの山は神の山なんだ」
「確かに私達は山を越えて来ましたけど、ただの旅人ですよ」
「僕はただの冒険者だよ」
「我はただのトカゲの亜人だ」
「……ただのマネ鳥の亜人です」
「私はただのジョニーです」

アインがさらりと自己紹介?したのに続いて、皆が続きます。
……これで何が伝わるかはわかりませんけど、流れでこうなってしまったのでしょうね。

「俺はただの羊飼いだ。
で、神の山の向こうから来たって事は、お前ら神の国の奴らか?」
「山の向こうに神の国などは有りませんよ。
私達はロスフォータと言う国から来ました。
彼らは冒険者で、私は付き添い…の様なものですかね。
神などは居ませんし、普通に人族や亜人の暮らす国です」

アインの説明に羊飼いは首を振り、
「いや、我々には山の向こうに住む方々は、神の様な存在だから、神の住む国と呼んでいるし、あの山を神の山と呼んでいるだけなのだ」
よくわかりませんが、立ち話もなんだから、彼の一族のテントに来てくれと言われて、断る理由とないですし、詳しく知りたいとアインが言うので、案内について行くことにしました。

案内された先には、大小様々なテントが10基有ります。
一つのテントに一家族が寝起きしているそうで、家族の人数でテントの大きさが違うそうです。

テントの周りでは、女性が手作業をしています。
彼女達は羊飼いに連れられて訪れた私達を怪訝そうな表情を隠さずに見つめてきました。

「ホル、なぜ外部の者を連れて来たのだい」
一際大きなテントから、若い男性に支えられた老婆が姿を表しました。

「ババ様、この方々は神の山の向こうから来たんだ。
連れてこないわけにはいかないだろ」
羊飼い…どうやらホルさんと言われるようですね。
ホルさんの言葉に遠巻きにしていた女性だけでなく、テントの中に居ただろう男性や年配の女性もわらわらと出てきて、あっという間に取り囲まれてしまいました。

何なのだろうと、ブルースやアインの方を見ていたら、サザッと音を立てて皆が跪いてしまいました。

え?ええー?
一体何なのですか?







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...