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第二章 旅は道連れ
55 名前を付けるのも慣れたものです
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可愛い幼児が家族になってくれる、それはとてもとても嬉しいことなのですが、ふと冷静に考えてしまいました。
「家族になってくれるのは凄く嬉しいんですけど、旅に連れて行くには…」
例え150年生きてきたとしても、見た目2歳児の幼児を、先の見えない旅に連れて行くのはどうなのかと、私の中の冷静な部分が訴えてきます。
「………………ここで旅を終わらせる?」
思わず呟いたら、隣に座るチャックに膝を叩かれてしまいました。
「ちょっと落ち着きなよ、あんたの一番の目的はオクサンなんだろ?」
はっ!そうでした。
私は沢山のものを見て回って、住み良い場所を見つけて、そこに妻を呼んで、家族と幸せに暮らす事が目的でした。
……でももうここで良く無いか?
と、思ってしまうほど幼児にメロメロです。
妻に続いて二度目の一目惚れです。
「あんた念話使えないの?」
「もうそろそろ手に入る予定です」
「俺は念話持ちだから、あんたさえ覚えれば、離れてても会話出来るし、なんか予定があるならそれを先に済ましてくれば?
そのオクサンも一緒に行動してないなら、ここに呼んで一緒に待っててもいいんじゃない?」
「ええと……」
私の事情を話した方がいいような気がするので、アインに確認を取るように視線を向けると、頷いて下さったので、私は詳しく話をしました。
「へぇ、別世界からの来訪者だったんだ。
初めて見たよ。
ならまずあっちこっち行ってみて、定住先が決まったら呼んでくれればそこに行くよ。
それで良いんじゃないの?」
念話を覚えたら声は聞くことができますけど、姿を見ることはできないんですよね?
それは寂しい気がします。
「転移の魔法は使えないの?」
知らない魔法名にアインを見ると、いつものように説明をしてくれました。
転移魔法は、【転送】魔法の進化系で、物を別の場所に移動させる…つまりワープですね。
但し、生き物以外の物体に限るそうですけど、スキルの熟練度を上げて【転移】にすれば、生き物(人間でも動物でも)をワープさせられるそうです。
但し【自分の記憶にある場所のみ】なのだそうで、幼児は【転移】を使えるけど、私のいる場所が自分の知っている場所(行ったことのある場所)でないと、飛んでこれないそうなのです。
私が使えるようになると、ここでも、アインの神殿でも、獣人達の村でも、今まで行ったことがある場所全てにワープができるそうです。
前回【転送】魔法は表示されていませんでした。
ポイントが貯まれば【転送】魔法は出て来るのでしょうか。
出てきたらすぐに入手して、どんどん熟練度を上げると、この場所まで顔を見に来ることができるようになるのですね。
ああ…夢が広がります。
「まあ、俺だってやる事いっぱいあるし、すぐには動けないから、待ってる間に色々仕事や厄介ごとを片付けておくよ。
その間、何かあったら念話で話せば良いし、【転移】覚えたら会いにくれば良い。
可愛い俺の顔を見たいのは仕方ないだろうからね」
「子供扱いされるのが嫌で姿変えの魔法を使っていたのでは無いのか?
可愛いとは子供扱いだろ?」
小さな胸を張って、ふふんと鼻で笑う幼児に、大人気なく突っ込むブルース。
「この人は子供扱いと言うより、可愛いもの扱いでしょ?
それに褒められるのは嫌いじゃ無いからね」
こんなに可愛い幼児な見た目なのに、受け答えはちゃんと大人なギャップも可愛いです。
こんな可愛い子が待っててくれるなら、なるべく早く定住の地を見つけないといけませんね。
そして妻と私と3人の子供と、頼りになる兄のような2人で、楽しく幸せに暮らせるなんて、想像するだけで幸せです。
「じゃあサクッと名前つけてもらって体二つで仕事を進めれば、片付くのも早くなるだろうから、名前を付けてくれ」
分裂すれば、作業効率も上がるでしょうけど、出来るのなら……。
「……ボクの名前、付けてくれる?」
膝の上で小首を傾げて可愛く聞いてくれないかとお願いしてみたら、サービス精神が旺盛なのか、にっこり笑顔まで添えてくれました。
「あの曲がずっと頭の中で回っているから、これしか思い浮かびません。
あなたの名前は【コニー(フランシス)】です」
名前を付けると膝の上でコニーが、
「ここでいいか、たいして重くもないのだし」
と呟き体が光出しました。
光が収まった時には膝の上の幼児は2人になっているでは有りませんか!
右膝と左膝の上に一人ずつ。
これはなんのご褒美なのでしょうか?
心臓がキュッと音を立てます。
両手に抱えて連れて逃げたい衝動に駆られましたよ。
だって可愛いが2倍!
しかも分裂したてで、少し小さくなっていて、可愛さ無限大!
「可愛い可愛いはしゃぎ過ぎて、怪しい人みたいになっていた」
というのは、後日チャックから告げられた言葉です。
夜、借りた部屋でティちゃんから話しかけられました。
〈子供を目の前にすると上がるテンション、どんだけやねん!
ポイントが2ポイント貯まったよ。
元々ここに着く迄に8割以上ゲージが貯まっていたんだけど、ゲージで言うと、1ゲージ半一気に貯まったからね。
それで【念話】スキル覚えるんだよね?
念話は0.5ポイントどから、後の0.5ポイント何にする?
残りの1ポイントは【転送】魔法でよかったんだよね? 〉
「【念話】は0.5ポイントなのですか?
ならアインに相談してきます」
私はアインと相談の上で、その日のうちに【念話】【転送】【結界】の3つを交換しました。
必要な物、欲しい物が出てきている現状、【バフ】【デバフ】はいつ手に入れられるのでしょうね。
一応頭の隅には置いていますよ?
「家族になってくれるのは凄く嬉しいんですけど、旅に連れて行くには…」
例え150年生きてきたとしても、見た目2歳児の幼児を、先の見えない旅に連れて行くのはどうなのかと、私の中の冷静な部分が訴えてきます。
「………………ここで旅を終わらせる?」
思わず呟いたら、隣に座るチャックに膝を叩かれてしまいました。
「ちょっと落ち着きなよ、あんたの一番の目的はオクサンなんだろ?」
はっ!そうでした。
私は沢山のものを見て回って、住み良い場所を見つけて、そこに妻を呼んで、家族と幸せに暮らす事が目的でした。
……でももうここで良く無いか?
と、思ってしまうほど幼児にメロメロです。
妻に続いて二度目の一目惚れです。
「あんた念話使えないの?」
「もうそろそろ手に入る予定です」
「俺は念話持ちだから、あんたさえ覚えれば、離れてても会話出来るし、なんか予定があるならそれを先に済ましてくれば?
そのオクサンも一緒に行動してないなら、ここに呼んで一緒に待っててもいいんじゃない?」
「ええと……」
私の事情を話した方がいいような気がするので、アインに確認を取るように視線を向けると、頷いて下さったので、私は詳しく話をしました。
「へぇ、別世界からの来訪者だったんだ。
初めて見たよ。
ならまずあっちこっち行ってみて、定住先が決まったら呼んでくれればそこに行くよ。
それで良いんじゃないの?」
念話を覚えたら声は聞くことができますけど、姿を見ることはできないんですよね?
それは寂しい気がします。
「転移の魔法は使えないの?」
知らない魔法名にアインを見ると、いつものように説明をしてくれました。
転移魔法は、【転送】魔法の進化系で、物を別の場所に移動させる…つまりワープですね。
但し、生き物以外の物体に限るそうですけど、スキルの熟練度を上げて【転移】にすれば、生き物(人間でも動物でも)をワープさせられるそうです。
但し【自分の記憶にある場所のみ】なのだそうで、幼児は【転移】を使えるけど、私のいる場所が自分の知っている場所(行ったことのある場所)でないと、飛んでこれないそうなのです。
私が使えるようになると、ここでも、アインの神殿でも、獣人達の村でも、今まで行ったことがある場所全てにワープができるそうです。
前回【転送】魔法は表示されていませんでした。
ポイントが貯まれば【転送】魔法は出て来るのでしょうか。
出てきたらすぐに入手して、どんどん熟練度を上げると、この場所まで顔を見に来ることができるようになるのですね。
ああ…夢が広がります。
「まあ、俺だってやる事いっぱいあるし、すぐには動けないから、待ってる間に色々仕事や厄介ごとを片付けておくよ。
その間、何かあったら念話で話せば良いし、【転移】覚えたら会いにくれば良い。
可愛い俺の顔を見たいのは仕方ないだろうからね」
「子供扱いされるのが嫌で姿変えの魔法を使っていたのでは無いのか?
可愛いとは子供扱いだろ?」
小さな胸を張って、ふふんと鼻で笑う幼児に、大人気なく突っ込むブルース。
「この人は子供扱いと言うより、可愛いもの扱いでしょ?
それに褒められるのは嫌いじゃ無いからね」
こんなに可愛い幼児な見た目なのに、受け答えはちゃんと大人なギャップも可愛いです。
こんな可愛い子が待っててくれるなら、なるべく早く定住の地を見つけないといけませんね。
そして妻と私と3人の子供と、頼りになる兄のような2人で、楽しく幸せに暮らせるなんて、想像するだけで幸せです。
「じゃあサクッと名前つけてもらって体二つで仕事を進めれば、片付くのも早くなるだろうから、名前を付けてくれ」
分裂すれば、作業効率も上がるでしょうけど、出来るのなら……。
「……ボクの名前、付けてくれる?」
膝の上で小首を傾げて可愛く聞いてくれないかとお願いしてみたら、サービス精神が旺盛なのか、にっこり笑顔まで添えてくれました。
「あの曲がずっと頭の中で回っているから、これしか思い浮かびません。
あなたの名前は【コニー(フランシス)】です」
名前を付けると膝の上でコニーが、
「ここでいいか、たいして重くもないのだし」
と呟き体が光出しました。
光が収まった時には膝の上の幼児は2人になっているでは有りませんか!
右膝と左膝の上に一人ずつ。
これはなんのご褒美なのでしょうか?
心臓がキュッと音を立てます。
両手に抱えて連れて逃げたい衝動に駆られましたよ。
だって可愛いが2倍!
しかも分裂したてで、少し小さくなっていて、可愛さ無限大!
「可愛い可愛いはしゃぎ過ぎて、怪しい人みたいになっていた」
というのは、後日チャックから告げられた言葉です。
夜、借りた部屋でティちゃんから話しかけられました。
〈子供を目の前にすると上がるテンション、どんだけやねん!
ポイントが2ポイント貯まったよ。
元々ここに着く迄に8割以上ゲージが貯まっていたんだけど、ゲージで言うと、1ゲージ半一気に貯まったからね。
それで【念話】スキル覚えるんだよね?
念話は0.5ポイントどから、後の0.5ポイント何にする?
残りの1ポイントは【転送】魔法でよかったんだよね? 〉
「【念話】は0.5ポイントなのですか?
ならアインに相談してきます」
私はアインと相談の上で、その日のうちに【念話】【転送】【結界】の3つを交換しました。
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