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第二章 旅は道連れ
48 サラッとランクアップ
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到着した町は、先日の町より大きく、町は高い壁に囲まれていました。
この辺りはヤマイヌが多いそうで、町を壁で囲っているのだとか。
門を出入りする人達を見ていると、住人は前の町より人族が多い様です。
前の町はほぼ亜人の方々でしたから。
平原の王の治める国へ近づけば近づく程、人族が増えてくるそうです。
この町の近くには大きな湖が有って、魚貝類が名産なんだそうですが、ブルースもシナトラも肉食ですので、あまり興味が無い様です。
「ここは素通りでよくはないか?
次の町に腕の良い附与師がおるのだろ?
このまま次の町を目指さないか?」
どうやらブルースは、早く自分用の武器をカスタマイズしたい様です。
気持ちはよーく分かります。
「まずはギルドです。
ギルドで3人のランクアップをしてから、食料の調達です。
アイテムボックスが有るのですから、この地の食材を購入しておくのがベストだと思いますからね」
「魚など要らぬだろ」
あまり魚が好きではないブルースが、嫌そうに言いますけど、アインはどうやら色々と考えての事のようです。
「この地特有の魚貝も有りますし、折角組合に所属しているのですから、商業ギルドに登録して、行商として他の地で売り、金銭を稼ぐのも良いのではないですか?」
アインの提案に、ブルースの顔はさらに渋くなります。
「金か?
まるで人族の様だな」
「お金は手段で有って、目的では有りません」
「どう言う事だ?」
行商して旅費を稼ぐとかではないのですか?
私にも分かりません。
「まだこの辺りは私の管轄内です。
この国の中なら他の方の治める地でも、多少は顔が効きますけど、絶対ではありません。
場所によっては警戒されるだけではなく、攻撃を仕掛けられる事もあるかもしれません。
しかし行商人なら、初めて訪れる場所でも、大抵は受け入れられます」
成る程、小さな村にいきなり旅人が押しかけたら、不審者扱いされても仕方ないですけど、商人なら無下に追い出される事も少ないでしょう。
これから旅を続けるにあたって、商業ギルドで【行商人】として登録して、各地で仕入れた物を別の場所で売る、そうすれば旅も順調に進むでしょうね。
「冒険者だと警戒されるところでも、行商人なら受け入れられやすいです。
その時その時で、冒険者として振る舞うか、商人として振る舞うか、使い分けるのが良いと思いますよ」
さすがアインですね。
私には思いつきませんでしたよ。
「それに商人には情報が集まりますからね」
ニヤリと言う擬音が付きそうな顔でアインが笑っています。
何か企んでいる様な顔ですよ。
「成る程、情報か。
確かに商人には情報が集まりやすいな」
ブルースも納得した様です。
「ですから今日はここで一泊しましょう。
冒険者ギルド、商業ギルド、商品になる物の仕入れ、ですね」
わかったと頷く私とブルース。
黙って聞いていたチャックも頷きます。
随分大人しいと思っていたシナトラは、町を取り囲む壁にもたれ掛かり寝ています………。
会話の邪魔をするわけではないですし、寝る子は育つと言いますから、これはこれで良しとしましょう。
シナトラを起こし(チャックが蹴りを入れてました)町へ入ります。
門があるので、町に入るのに審査か何かが有るのかと思っていましたけど、門は無人でした。
夜行性のヤマイヌが侵入しないように、夜になると門を閉じるだけで、人の出入りは自由なんだそうです。
関所の様な所かと思っていましたけど、違いました。
まずは宿をとり、冒険者ギルドへ向かいます。
依頼ボードで倒した魔獣の討伐依頼がないかチェックしましたら、いつくか該当する討伐依頼と、素材の依頼、薬草採取の依頼が有ったので、依頼用紙を持ち窓口へ。
それぞれの窓口で用紙とカードと素材などを共に出し、依頼達成と共にランクアップをお願いしました。
手続きの間に買い取りカウンターへ周り、素材などの買い取りをお願いします。
その間にブルースに、次の町へ行くまでの間に受けられそうな依頼を選んでもらいました。
アインは宿を探しに別行動です。
素材などはそこそこの値段がつき、良い収入となりました。
一旦表の窓口へ戻り、ランクアップしたギルドカードを受け取り、支払い窓口で、依頼達成の報酬と、素材などの料金を受け取りブルースの元へ。
依頼を選び終わったブルースを探すと、昼間なのに酒場でお酒を飲んでいました…。
「アインに怒られますよ」
「なに、少し喉を潤した程度だ。
黙っておれば気付かれぬ」
「僕も飲む!」
テーブルに両手をつき、シナトラが身を乗り出します。
勿論却下ですよ?
可愛い仕草をしても絆されませんからね。
ブルースが受けた依頼は、隣町のギルドへの荷運びと、護衛の任務でした。
護衛と言いましても、朝出て夕方には到着する程の距離の護衛です。
ランクの低い冒険者や、何かのついでに受ける様な依頼です。
近いうえに獰猛な動物も出ないし、魔獣が出るとしても、虫系や小型のものだけだそうです。
なので、通常はわざわざ護衛を頼むことはなく、馬車で駆け抜けるそうなのですけど、今回の依頼者は、二人の幼な子なのです。
女児姉妹の母親が出産のため、姉妹は隣町の祖母の家に預けられていたようです。
無事出産も終わり、祖母が姉妹を家へ連れて帰る予定でしたけど、出発直前にギックリ腰になってしまい、動くに動けないそうです。
母親は出産直後で動けない、父親は仕事もあるし、生まれた子と妻の面倒を見なければならないので迎えに来れない、そこで隣町のまで子供二人を送ってくれる冒険者を依頼したとのこと。
条件は【下の妹(2歳半)が怖がらない見た目】だそうです。
実際年齢はともかく、私達大体二十歳前後に見えますから、威圧感はないでしょう。
明日の朝の出発の為にも、さっさと他の用事を終わらせなければなりませんね。
私達四人は商業ギルドへ向かいました。
この辺りはヤマイヌが多いそうで、町を壁で囲っているのだとか。
門を出入りする人達を見ていると、住人は前の町より人族が多い様です。
前の町はほぼ亜人の方々でしたから。
平原の王の治める国へ近づけば近づく程、人族が増えてくるそうです。
この町の近くには大きな湖が有って、魚貝類が名産なんだそうですが、ブルースもシナトラも肉食ですので、あまり興味が無い様です。
「ここは素通りでよくはないか?
次の町に腕の良い附与師がおるのだろ?
このまま次の町を目指さないか?」
どうやらブルースは、早く自分用の武器をカスタマイズしたい様です。
気持ちはよーく分かります。
「まずはギルドです。
ギルドで3人のランクアップをしてから、食料の調達です。
アイテムボックスが有るのですから、この地の食材を購入しておくのがベストだと思いますからね」
「魚など要らぬだろ」
あまり魚が好きではないブルースが、嫌そうに言いますけど、アインはどうやら色々と考えての事のようです。
「この地特有の魚貝も有りますし、折角組合に所属しているのですから、商業ギルドに登録して、行商として他の地で売り、金銭を稼ぐのも良いのではないですか?」
アインの提案に、ブルースの顔はさらに渋くなります。
「金か?
まるで人族の様だな」
「お金は手段で有って、目的では有りません」
「どう言う事だ?」
行商して旅費を稼ぐとかではないのですか?
私にも分かりません。
「まだこの辺りは私の管轄内です。
この国の中なら他の方の治める地でも、多少は顔が効きますけど、絶対ではありません。
場所によっては警戒されるだけではなく、攻撃を仕掛けられる事もあるかもしれません。
しかし行商人なら、初めて訪れる場所でも、大抵は受け入れられます」
成る程、小さな村にいきなり旅人が押しかけたら、不審者扱いされても仕方ないですけど、商人なら無下に追い出される事も少ないでしょう。
これから旅を続けるにあたって、商業ギルドで【行商人】として登録して、各地で仕入れた物を別の場所で売る、そうすれば旅も順調に進むでしょうね。
「冒険者だと警戒されるところでも、行商人なら受け入れられやすいです。
その時その時で、冒険者として振る舞うか、商人として振る舞うか、使い分けるのが良いと思いますよ」
さすがアインですね。
私には思いつきませんでしたよ。
「それに商人には情報が集まりますからね」
ニヤリと言う擬音が付きそうな顔でアインが笑っています。
何か企んでいる様な顔ですよ。
「成る程、情報か。
確かに商人には情報が集まりやすいな」
ブルースも納得した様です。
「ですから今日はここで一泊しましょう。
冒険者ギルド、商業ギルド、商品になる物の仕入れ、ですね」
わかったと頷く私とブルース。
黙って聞いていたチャックも頷きます。
随分大人しいと思っていたシナトラは、町を取り囲む壁にもたれ掛かり寝ています………。
会話の邪魔をするわけではないですし、寝る子は育つと言いますから、これはこれで良しとしましょう。
シナトラを起こし(チャックが蹴りを入れてました)町へ入ります。
門があるので、町に入るのに審査か何かが有るのかと思っていましたけど、門は無人でした。
夜行性のヤマイヌが侵入しないように、夜になると門を閉じるだけで、人の出入りは自由なんだそうです。
関所の様な所かと思っていましたけど、違いました。
まずは宿をとり、冒険者ギルドへ向かいます。
依頼ボードで倒した魔獣の討伐依頼がないかチェックしましたら、いつくか該当する討伐依頼と、素材の依頼、薬草採取の依頼が有ったので、依頼用紙を持ち窓口へ。
それぞれの窓口で用紙とカードと素材などを共に出し、依頼達成と共にランクアップをお願いしました。
手続きの間に買い取りカウンターへ周り、素材などの買い取りをお願いします。
その間にブルースに、次の町へ行くまでの間に受けられそうな依頼を選んでもらいました。
アインは宿を探しに別行動です。
素材などはそこそこの値段がつき、良い収入となりました。
一旦表の窓口へ戻り、ランクアップしたギルドカードを受け取り、支払い窓口で、依頼達成の報酬と、素材などの料金を受け取りブルースの元へ。
依頼を選び終わったブルースを探すと、昼間なのに酒場でお酒を飲んでいました…。
「アインに怒られますよ」
「なに、少し喉を潤した程度だ。
黙っておれば気付かれぬ」
「僕も飲む!」
テーブルに両手をつき、シナトラが身を乗り出します。
勿論却下ですよ?
可愛い仕草をしても絆されませんからね。
ブルースが受けた依頼は、隣町のギルドへの荷運びと、護衛の任務でした。
護衛と言いましても、朝出て夕方には到着する程の距離の護衛です。
ランクの低い冒険者や、何かのついでに受ける様な依頼です。
近いうえに獰猛な動物も出ないし、魔獣が出るとしても、虫系や小型のものだけだそうです。
なので、通常はわざわざ護衛を頼むことはなく、馬車で駆け抜けるそうなのですけど、今回の依頼者は、二人の幼な子なのです。
女児姉妹の母親が出産のため、姉妹は隣町の祖母の家に預けられていたようです。
無事出産も終わり、祖母が姉妹を家へ連れて帰る予定でしたけど、出発直前にギックリ腰になってしまい、動くに動けないそうです。
母親は出産直後で動けない、父親は仕事もあるし、生まれた子と妻の面倒を見なければならないので迎えに来れない、そこで隣町のまで子供二人を送ってくれる冒険者を依頼したとのこと。
条件は【下の妹(2歳半)が怖がらない見た目】だそうです。
実際年齢はともかく、私達大体二十歳前後に見えますから、威圧感はないでしょう。
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私達四人は商業ギルドへ向かいました。
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