【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

38 依頼を受けてみました

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彼はラルーセンと言うランク5の冒険者だそうです。
男性3人、女性2人の5人でパーティを組んでいたのですけど、最近メンバーが結婚してしまい、パーティは解散、今はソロで依頼を受けているのだとか。

「やっぱりパーティに女性はいかんよ。
長期の依頼も嫌がるし、汚れ仕事も嫌がる。
雑魚寝もこっちが気を使うし、すぐ疲れたって言うし」
何やら色々溜まっているようですねえ。

「挙げ句の果てに『私達結婚するからパーティ抜けます』だあ?
パーティは結婚相手を探す場所じゃないんだよ!
確かにうちの2人は良い男だったけどな、あの2人も仲間より女を取るとは、今まで一緒に仕事してきた年月はなんだったんだよ!」
とうとう机に突っ伏してしまいました。

どうやら成人後から、幼馴染3人で冒険者パーティーとして活躍して、ランク5に上がった時に、ランクも中堅になったし、これから色々依頼の幅も広げるためにも、メンバーを増やそうとしていたそうです。

その話を聞いた魔法使いと回復職の若い女性2人がメンバーに入れてくれと言ってきたとか。
問題もなさそうだったので了承したそうなのですが、実際メンバーにしてみると……まあ色々あって、最終的にメンバー内でくっつてしまったとか。
結婚するにあたって、冒険者だと収入が不安定だし、危険がある上に、依頼であちらこちらに行く事にもなるから、辞めて定職についてくれと言われて、それに従ったと。

「そりゃあちょっとは『女の子と同じパーティヤッホーイ』とかも思ったさ。
年頃の男女が居たら懇(ねんご)ろになるのは仕方ないかも知れないけどな、それでそれまでの関係が壊れるなんて思ってもなかったぞ。
あんたらはいつまでも仲良く居てくれよ」
突っ伏したまま、ラルーセンは愚痴っています。

私も旅に女性は連れて行くつもりはありません。
いつまで続くかもわからない、どこに行くかもわからない様な旅に女性を連れて歩くのは可哀想だと思います。
拠点を決めて、その拠点に女性が居るのは『アリ』だと思いますけど、旅には……ねえ。

それに何より、妻以外の女性と旅をするのは、個人的に『ナシ』なんですよね。
頑固だと思われるかもしれませんが、譲れないです。

そのまま眠ってしまったラルーセンを、女将さんに聞いた部屋まで運んで行きました…ブルースが。
なぜ我が…と言ってはいましたけれど、ちゃんと運んでくれるのがブルースですね。

そのまま私達も、部屋へ戻って寝る事にしました。



翌日、一階の酒場で軽い朝食を出していると聞いたので、そこで朝飯を済ませて、冒険者ギルドへ向かいました。

昨日は掲示板……依頼ボード?を見ていなかったので、どんな依頼があるのかを見たいと思ったので、チャックとシナトラと3人で見に行きます。

私の中のイメージでは、『冒険者』といえば、未開のジャングルに分け入ったり、聳え立つ山に登ったり、秘宝を求めて遺跡に臨む…とかなのですけど、依頼に書かれているのは……

《荷物の配達依頼》
《庭の草むしりを頼みます》
《店の宣伝をして欲しい》
《家事代行を願う》

………何でも屋ですか?それとも便利屋ですか?

ランク10は子供のお使い程度の依頼で、町の中で済む事ばかりです。
ランク9になると、薬草や食材の採取などの町の近くで出来ることや、調合の手伝いなども有りますね。
ランク8から討伐系、ランク6から近場の護衛などもあります。

ランク10、9は、受けた依頼をキチンと期限内にこなせるかを見るものらしいです。
簡単な依頼だからと手を抜いたりすれば、ランクが上がらないそうです。

そこで真面目に続けられそうなら、戦闘能力のテストを受けて動物の討伐(狩)を受けられるランク8へ。
ランク7は、討伐対象が動物でも凶暴なもの、それにあまり強くない魔物の討伐も受けられる様になるそうです。

ランク5になると、色々な依頼を受けられる様になり、一人前の冒険者と呼ばれるそうです。
ランク4は、有名な冒険者、指名依頼というものが有るそうです。
ブルースの元のランクですね。

ランク3になると一流の冒険者、ランク2になると、国の英雄と呼ばれるそうで、国に一人居れば負け知らずで、ランク1は伝説級の冒険者と呼ばれ、一人で国を滅ぼせるのだとか。

勿論私達はランク10なので、お使いレベルの依頼を三つ受ければランクが上がるそうです。
なので早速3人で依頼を受ける事にしました。


最初の依頼はお屋敷の庭の草むしりです。 

町の長のお宅の依頼で、今からの季節、庭で立食パーティーなども行う為に、庭の草むしりなのだそうですけど、なかなか広いです。
この世界では、庭木の剪定や花壇の手入れなどは、庭師の仕事ですけど、そこいらに生えている雑草の草むしりは雑用になるんですって。

今までの依頼ですと、子供や体力のない方ですと、5人で一日がかりで終わるか翌日までかかるかの広さだそうですけど、田舎の庭規模ですかね。

そこに生えている草を全て刈り取り、処分する依頼で、もし有益な草が有っても、花壇からタネが飛んだ物なので、処分対象にしてくれと言われました。
勿体無い。

しかしうちにはシナトラが居ます。
植物魔法で雑草だけを一気に枯らし、紛れて生えていた薬草やハーブは回収しました。
一応貰っていいか聞いてから、許可が出ればいただきましょう。

枯らした雑草は私とチャックが集めて、火魔法で燃やします。
燃えた灰はチャックに一っ飛びして町外れのゴミ収集所に捨ててきてもらいました。

全て終わるまでに、30分も掛からなかったですね。
確認した町の長の補佐の方が驚いていました。
気前のいいことに、薬草はいただけることになりました。
これでお薬とか作るんですよね。
後で調べましょう。


早く終わったので次の依頼を受けました。
町外れのお家の庭の木の、蜂の巣の撤去です。
何でも、撤去しても定期的に蜂が巣を作ってしまうのだとか。

まずはチャックが麻痺魔法で巣の中の蜂を麻痺させます。
毎晩一緒に寝ていますので、虫を少しの時間痺れさせるくらいの魔法は使えるようになりました。
大量にはまだ無理ですけど。

お家の方に許可を取って、蜂の巣が出来ている枝を切り取り、蜂の巣を枝ごと町から30分ほど離れた林へ持って行き、シナトラの魔法で林の奥の木に枝を接木しました。

きっと巣の痕跡でも残っていて、同じ場所に巣を作るのでしょうから、枝ごと移動させると、以降巣を作らないのでは?と考えたのです。
それに中の蜂もそのままですから、麻痺が切れた後も、蜜を集める働き蜂は、女王蜂の居るこの巣に戻るでしょう。

ついでなので林で木の実を取り、帰り道でも見つけた薬草を、言われたままに回収しながら町へ戻りました。
野生の薬草はいくつか種類がありましたけど、シナトラに言われるまま採っていますので、どんな薬草が有ったのかは、宿で鑑定してみましょう。

先ほどのと合わせると、そこそこの量になりました。


昼ごはんを食べて、まだ時間があるので、もう一つ仕事を受けました。
今度はお店の商品検収(検品?)のお手伝いです。

なんでも雨や風の影響で、順番に届くはずの荷物が、一気に同じ日に届いたため、納品の確認、数のチェック、各商隊への支払いの計算などをしないといけないそうです。

シナトラが言われた場所へ商隊別に荷物を運び、チャックが飛びながら中身を確認し、内容ごとに運ぶ場所を指示します。

運び終わった中身を数えた数を板に書いて、一先ず箱の上に乗せてもらいます。
荷物から板を回収して、内容と数をまとめて板に書き(こちらの文字は書けないですから、日本語で書いて説明する時に教えれば良いですよね)、合計数を書いた板を渡しながら、内容と数をお店の方に伝えます。

それを5回ほど繰り返したら、作業は終わりました。
どうやら私たちが五つの商隊の荷物の検品をしている間、お店の人達で一つの商隊の検品しか終わらなかった様です。

商人の方々は、主に人族で、獣人は小動物(ミミからしてネズミですかね?)ばかりだったので、荷物を運ぶ力仕事からして、差が出た様です。

それに見ていると、一箱開けて確認して数えてから運び、次の箱を開けて、同じ種類のものが出てきたら、「あれ?さっきのどこに行った?」とわらわら探し出してそちらに纏めて、また数を数え直して………、作業効率という考えはないのでしょうか?
私が口を出すのは差し出がましいですかねぇ。

後ほどこっそり上役の方に伝えるくらいならいいですよね?






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