【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

35 ギルドであれこれ教えていただきました

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冒険者ギルドに到着しました。
結構広い二階建ての建物です。
中に入ってみましたら、どうやら一階の半分は食堂になっている様です。
残りの半分で、受付カウンター、掲示板、机と椅子が数セット、ソファーとテーブルが二つ、二階への階段……ざっとみた感じそんなところです。

「あれが依頼ボードだ。
ランクに合わせてあそこで依頼を探し、カウンターに持って行くのだ。
だが、ギルドメンバーが、コイツには無理だと判断すれば、ランクに関係なく受ける事ができぬ。
ギルドメンバーはギルドカードで色々調べられるからな」

機嫌をなおしたブルースが色々教えてくれます。
掲示板とは言わず、依頼ボードという物なんですね。


どうやら先程見せていただいたカードは、身分証明だけではなく、依頼の達成や未達成などの仕事に対する詳細も、魔法で記載されているのだそうです。
専用の道具でしか見ることが出来ないので、個人情報は保護されているようです。

「ソファーなどは依頼主との話し合いに使ったりするが、そっちのイスは好きに使えるぞ。
まあ依頼主でも高額依頼なら二階へ行くがな」
成る程、今も椅子に腰掛け、机に突っ伏して寝ている人が居ますね。
そして2階はVIPルームといったところですか。

「カウンターは入り口側の二つは依頼者用受け付け、簡単な依頼ならそちらでさっさと済ませるな。
他は冒険者用の受け付けだ。
依頼を受けるのも、達成報告も、あの二つ以外ならどこでもできるぞ」
入り口側の受付に有る椅子は、他のカウンターの簡素な木の椅子と違って、一人掛けのソファーとなっていますから、見分け易いですね。

「建物の裏には買い取り窓口がある。
依頼以外で手に入れた素材を売るのは、直接裏口へ行けばよい」
では後で私も行かなければいけませんね。

「あちら側は酒場だ。
冒険者にはやはり酒が付き物だからな」
食堂ではなく酒場でしたか。
酒と聞いてシナトラの目が輝きます。
さすが虎……森オオネコですね、酒好きな様です。

「とまあ、規模の差はあれも、どこのギルドの作りはこんなもんだ。
では受付で登録するとするか」
意気揚々と前を歩くブルースに付いて行き、年配の男性が居る受付へ向かいます。

「おう、久しぶりだな、まだこの町に居たのだな」
「………!!ケイエス・アーモストか⁈
あんた生きていたんだな!」
「我が死ぬわけなかろう。
ちょっとばかり元の姿に戻っておったのだ」
「東の果てのギルドでお前達のパーティーの出国登録が有ったって聞いたが、お前の名前がなくてそれっきり噂も聞かないから、てっきり……」
「色々有ってな、パーティーから抜けただけだ」
「まあ無事なら何よりだ」
「しかし随分歳をとったものだな」
「あんた達がこの町を拠点にしてた頃から35年くらいだからな。
俺もそろそろお役御免だよ」

どうやらこの職員はブルースの事を知っているみたいですね。
ブルースが前にいたパーティーの事も。

「で、今日はどうした?」
「此奴らの登録に付き合ってきたのだ」
こちらを見られたので、ペコリと頭を下げてカウンターに近寄りました。

「初めての登録かい?
冒険者の事は知っているのかな?」
「我が説明したゆえ、登録だけしてくれ」
「3人ともかい?」
聞かれたので頷きます。
まずは私から、渡された書類に……。

「すみません、私字が書けないので、ブルースに書いてもらっても良いですか?」
「代筆は大丈夫だけど……ブルース?」
職員さんが首を傾げるのを見て
「我の事だ」
とブルースが言います。
「名前が変わったのか?」
「まあ、色々有ってな」
「それなら……」

名前が変わった事と、30年も冒険者として活動していなかったので、ブルースも登録をし直す事になりました。

結局四人で登録する事になったうえに、チャックとシナトラも字が書けないので、ブルースが四人分の書類を書く羽目に……。


「すみません、アインに習ってはいるのですが、まだ少しの文字しか書けないんですよ」
「出来ぬ事は仕方あるまい。
まあ、何に対しても優秀な我がいた事を感謝するが良い」
「ありがとうございます」
「ブルースのおっちゃんありがとう」
シナトラも口に出してお礼を言います。
その横でチャックも頭を下げました。

渡した書類を職員さんが別の職員さんに渡します。
カードはすぐにできるそうなのですが、普通ならここで冒険者について説明があるそうです。
私達は大まかな事はブルースに聞いていますので、逆にわからない事はないかと、職員さんに聞かれました。

「あ、そう言えば両替はこちらでもできるのですか?」
「ああ、勿論できるぞ。
専門の換金所も有るが、ギルドで素材の売買をするから、そのついでに金にしたり、石で渡したりするな。
また、ギルドでお金を預かる事もしているぞ」
「預けておくと便利だぞ。
盗賊共に身包み剥がされる奴も居たりするからな」

まあ、我らなら返り討ちだがな、とブルースは笑いますけど、盗賊なども居る世界なのですね。
余分なお金は預けましょう。

「ああ、ついでにギルド組合会員に登録するかい?
最近はギルドで協賛しあっててな、冒険者ギルド、商業ギルド、生産ギルド、薬師ギルドの四つを利用する時にギルドカードを掲示すれば、割引やらのサービスが受けれる様になってるぞ」
「ん?以前はそんなシステムなかったよな?」
「ここ20年ばかり前から始まったから、あんたは知らないかもな」


詳しく教えていただけた話によりますと…

・冒険者は必要な素材を集めてくる
・素材は鍛冶屋にも薬剤師にも必要
・冒険者には武器や薬が必要
そこでお互いの利害の一致で提携を組む事に。


そこに乗っかったのが、目端のきく商人で、
・旅をするのに護衛が必要
・冒険者には武器以外にも色々必要
と、こちらでも提携を組む事に。


素材収集や護衛の依頼を受ける時には、ギルド会員が優先されるそうです。
その代わりに、冒険者に安く商品を提供してくれるとか。

但し、各ギルドに所属していても、評判が悪いとこのシステムは使えないそうです。
信用関係の築けない相手に、便宜を図る人は居ませんからね。

「ケイエス・アーモストの連れなら大丈夫だろうから、組合に登録しておくかい?
勿論問題を起こしたら登録解除されるけどね。
冒険者自体はよっぽどの事をしない限りは、冒険者ギルドから追い出す事はないけど、組合員はシビアだと言うことは納得してもらわなきゃいけないけどね」

買い物が安くできるのなら、登録しておく方がお得でしょうね。
問題を起こすつもりはないですし。

私達は登録をお願いしました。
  

これでシナトラの初めてのお買い物をお安くできて、私の武器もお値打ちに手に入れられるのですね。
良い事を教えていただけました。






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