上 下
34 / 121
第二章 旅は道連れ

34 町へ到着、ギルドへ行きましょう

しおりを挟む

日が暮れているのに町は賑やかです。
日が暮れたから賑やか、という事も有るのかもしれません。
夕食の時間なのか、道の脇の屋台や、食事処からいい匂いが漂って来ます。

気の早い方はもうお酒を召されている様で、赤い顔をした陽気な男性が大きな声で笑ったりしています。
人も亜人も、皆笑顔で良いですね。
こちらも陽気な気分になって来ます。


まずは宿を手配してから夕食を取ることにしました。
宿は冒険者用の宿屋で、個室はなく、パーティーで一部屋ないし二部屋を借りるのが通常の様で、私達5人も同室です。

町の建物は漆喰とレンガの建物とログハウスの様な木造で、陽の木を使っている建物はありませんでした。
人通りの多い町では、流石にプライバシーを考えているのでしょうね。

それと前の世界と違うのが、窓にガラスが無い事ですかね。
壁をくり抜き窓を作り、木の扉が付いてる感じ……で伝わるでしょうか。

裏道にはほったて小屋の様な木の家と、土で作ったカマクラの様な家?も有ります。
貧民街とか言うのではなく、種族によっては土の中が落ち着く方もいらっしゃるそうで、皆が皆人族の家に住みたがるのでは無いのだと、アインが教えて下さいました。

後は仕事などで暫く居るけど定住しない方々が、土地だけ借りてとりあえずテントで寝床確保、と言う場合もあるそうです。
工事現場のプレハブ感覚ですね。

宿はレンガのいかつい感じの建物のでしたので、少し安心しました。


「5人なら二段ベッド二つの部屋に、追加のベッド一台入れる事になるけどいいかい?」
宿屋の女将さんから聞かれましたけど、部屋が狭くなりますから、断りましょう。
きっとチャックは私のベッドに潜り込んでくるでしょうから。
一応確認は取っておきましょうかね。

「チャック、私と同じベッドで構いませんか?」
「別に、そっちの方が良いって言うなら、仕方ないから一緒で良いよ」
そっぽを向いていますけど、口元が上がっていますから、天邪鬼になっているだけなのでしょう。

追加のベッドを断って、二段ベッドの下の段をブルースとアインに進めたのですが、ブルースは
「我が他者の下になるなど有り得ぬわ」
と、上の段を選びました。
私としてはあまり丈夫そうでは無い、木の梯子を登らすのは悪いかな、と思ったのですけどね。

結果的にアインと私達が下の段、ブルースとシナトラが上の段に寝る事に落ち着いてから、外に食事を取りに行きました。


ブルースとシナトラは肉料理、アインはお酒のみ、チャックは果物の盛り合わせ、私は野菜炒めや野菜がメインのスープとご飯を頼みます。
肉を食べる事が続いたので、久しぶりに野菜がたっぷりの食事は、とても満足できました。

宿に戻って、クリーンの魔法をかけてもらい、早めに床に着きました。
明日は冒険者ギルドへ行き、冒険者として登録をした後、素材や魔石を売る予定です。

シナトラと買い物をするためにも、宝石の換金もしないといけませんね。
明日もやる事が沢山です。
……何か忘れている事がある様な気がしますけど…何だったでしょう?


翌朝朝食を食べてから、冒険者ギルドへ向かいます。
アインは登録しなくとも身分証明できる物が有るそうなので、留守番です。

宿を出る前に【設定】を指導されました。

チャックとシナトラは、西の森の奥にある獣人の集落から出てきて、魔王城で私と出会って一緒に行動を取る事にした、と言う設定です。
そして私は子供の頃魔王(ヨルゼル氏)に拾われた孤児で、独り立ちする為に城を出た…との設定です。

間違っても他の世界から来たとか、無性人の様に亜人化が出来るとは言ってはならないと、念を押されました。

登録の時には名前や種族などの基本情報を、ギルドカードに映されるそうで、バレてはいけない事がちゃんと隠されてるかもチェックしていただきました。
職業の場所には、使える魔法と使用武器を記載するそうですので、差し障りのない【水魔法】と【打撃武器】にしておきました。

ついでにチャックとシナトラのステータスも、本人に了承を取り見せていただきました。


名前 チャック
年齢 5歳
種族 亜人・翼人(マネ鳥)・男性
職業      (状態異常魔法・クリーン・短剣)
健康状態 良好


名前 シナトラ
年齢 1歳
種族 亜人・獣人(森オオネコ)・男性
職業      (植物魔法・クリーン・剣)
健康状態 良好


二人とも私とお揃いで、職業欄は空白です。
今日からここに【冒険者】と入るのですね、少しワクワクします。

そう言えば……
「ブルースも登録するんですよね?」
横を歩いているブルースに尋ねてみると、彼はニヤリと笑って、カバンの中からカードを取り出しました。

「我は以前亜人化した時に登録しておるからな。
我は冒険者の先輩だぞ」
そう言ってカードを見せてくれました。

カードには、
【サーリュスギルド発行
ケイエス・アーモスト
416歳
亜人・獣人(王様トカゲ)・男性
冒険者(ブレス、風魔法・索敵・念話・身体能力上昇・クリーン・武器全般)
ランク 4 】

と書かれています。
この【ケイエス・アーモスト】というのは、以前を亜人ていた時の名前でしょうか?
それに【クリーン】は全員持っていますね。
う亜人必須の魔法なのでしょうか?

「どうだ、凄かろう」
「ええ、凄いですね、416歳なのですか」
思った以上に長生きされているのですね。
これが30年前だとすると、今は446歳ですか。

「そこではない!
ランクだ、ランク」
ランクと言われましても、分からないのですが。

どうやらランクと言うのは、登録当初は、ランク10で、活躍すればどんどん上がっていくそうです。
10からはじまるのなら、4はそれなりに凄い…のですか?

「ふん、まあ冒険者を知らぬのなら、分からなくても仕方ないか。
冒険者になれば、ランク4まで行くのが大変なのはわかるだろうからな」
機嫌を損ねた様で申し訳ないのですが、少しでも早くブルースの凄さがわかる様になれば良いですね。






しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

リス獣人のお医者さまは番の子どもの父になりたい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:246

塩対応彼氏

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:9

ファンタジー短編集

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,384pt お気に入り:58

あなたの頭、お作りします! 〜デュラハン防具職人の業務日誌〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:235pt お気に入り:2

偽りの恋人が一枚上手すぎる

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:18

辺境の娘 英雄の娘

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:1,872

M男子受けが幸せな短編集

BL / 完結 24h.ポイント:447pt お気に入り:18

【R18】コンビニ行ってきます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

お前の全てを奪いたい【完】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:45

公爵令嬢の婚約解消宣言

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:239

処理中です...