【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

33 『後でスタッフが美味しくいただきました』と言うやつですかねぇ

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そういえばと思い浮かんだ事を、誰とはなく尋ねてみました。

「昨日まで魔物など見かける事は無かったのに、なぜ沢山遭遇するのですか?」
聞いてみると、ブルースとアインが答えてくれました。

「魔物というやつは魔素の取り込みすぎで暴走した奴らだからな。
人族や亜人の多い地に行くと増えるぞ」
「人は生活するのに色んな魔法を使いますからね。
魔法を使えば魔素が発生します。
しかしそれは微々たる物ですから、人には影響を及ぼしませんが、魔法を使わない動物などには、元々自身の中で作られている魔力に、生きていく上で自然に取り込まれる星の魔素、それに加えて、人から発生した魔素まで取り入れてしまう事で魔化してしまうのです」

そう言われれば、人からも魔素が出ているとか何とか、タブレットで見たような。

「人の多く住む場所の近くには、稀に【魔素溜まり】ができる事がある故、冒険者が対処しておる」
「対処をしないと魔物が大量発生しますからね」
「スタンピートだな。
我には旨い食糧が増えて嬉しいが、他の種族にとっては些か厄介かも知れぬ」
「少数なら対応できても、大量発生されると危ないでしょう」

【魔素溜まり】……イメージ的に、ゴミが風で袋小路に運ばれて、それが溜まった状態みたいな物ですかねえ。
それを綺麗にするのが冒険者と呼ばれる職業の方ですか。

「人によっては、わざと魔化させる奴らも居るがな」
ブルースの言葉に、
「わざと…ですか?
凶暴化させて生物兵器として使う、とかですか?」
私が尋ねると、会話をしていなかったチャック達まで、私を凝視します……何故?

「お前怖いこと考えるな」
「そうですか?
以前の世界で、生き物を使って相手を責めたり、毒ガスを研究したり、細菌兵器とかも聞いたことありますねえ。
噂では自然災害まで発生させたりとかも有りましたし、ミサイルや核兵器など、人類を殲滅させる兵器など、複数の国が所持していましたし」

私の言葉に四人が距離を取りましたよ。
その表情は正に『ドン引き』ですね。

「お前はどんな殺伐とした世界から来たのだ」
「平和な国でしたよ?(表面上かもしれませんが)
戦争をしている国は有りましたけど、私の暮らす日本は数十年戦争とは無縁な国でした」
平和な国だから幸せな生活が送れるとは限らないんですけど、銃弾に怯える事もなく、日々を過ごせるのは平和なのでしょうね。

「どういう国か想像できん」
「難しそうな世界だった様ですね」
「そうですね……」
昭和に青春を過ごした私には、目まぐるしく変わる周囲に、生きにくさを感じる事も多々有りましたね…。
まだこの世界に来て数日ですが、この世界で妻と第二の人生を送れると言うのは、以前より生き易い気がします。
沢山の場所を回って、家族で幸せに暮らせる場所を探しましょう。
旅の目的が一つ増えましたね。

コホンとわざとらしい咳払いをしたアインが話を戻します。
「魔化させると、肉が美味しくなるそうですし、それ迄無かった角が生えたり、牙や爪が素材になるほど頑丈になったりしますので、わざと魔化させるのです」
成る程、品質向上ですね。

ブルースも立ち直った様で話しかけて来ます。
「金の無い奴らは普通の動物、金持ちは魔物の肉を食うから、冒険者はどちらも狩るぞ」
成る程、冒険者は狩人でもあるのですね。

「じいちゃんに名前をくれた無性人の人は、魔物の牧場をしてたって聞いた」
それまで無言だったチャックも会話に加わって来ました。

「ほう、其方の祖父も亜人なのか」
「ううん、じいちゃんは群れを守る知恵を付けるために名前を貰ったんだって。
群れに帰る時に名前を返したから、マネ鳥だったよ」
ほう、そうだったのですね。
詳しい事は聞いて良いのか分からず、祖父の方が亜人だと思っていました。

「随分と優秀な方なのですね。
喧嘩して名前を返して飛び出したどこかの誰かさんとは大違い」
「なっ!!貴様!人にバラすなと言っておったろ!」

アインの言葉に慌てふためいたブルースがその口を塞ぎましたけど、もう聞こえてしまいましたよ。
そうですか、ブルースは以前の家族と喧嘩して飛び出したのですか。
家族といえども譲れない事は有りますからね。
結婚を認められず、駆け落ちした私達と同じ様な人生?を送って来たのですね。
親近感が湧きます。

あ、そうですか、喧嘩別れをしたから、最初に行くのを渋っていたのですね。
今回再開したら、仲直りができれば良いですねぇ。


そこからはチャックもたまに会話に参加しつつ、先を進みました。
シナトラは、会話に参加する事なく、魔物を探すことに集中している様です。
森オオネコと生まれてまだ一年、獲物以外の他の動物とも、ましてや亜人と接する事の無かった彼には、興味のない話だったのでしょう。
決して難しくてついて来れない、なんて事は無いと思いますよ。

狩をしながらの道行でしたので、町に到着した時には日が暮れていました。





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