23 / 206
第二章 旅は道連れ
23 タブレットの機能が上がってきています
しおりを挟む
会議室の様な部屋にアインは居ませんでしたので、食事をした部屋へ、三人で向かいます。
それにしても不思議なのは、この大きな神殿の様な建物の中に、私たち以外の人の気配がしないことです。
アインは魔族の王様なのですから、部下や従者、またはメイドなど居そうですのに、見かけません。
私のイメージでは、王様の住んでいる場所には、たくさんの人が働いている……と言うものなのですけれど、魔族の方々は違うのでしょうか?
食事をした部屋…ダイニングですかね、そこにブルースとアインが居ました。
どうやらお酒を飲んでいる様ですね。
「よぅ、起きたのか」
「ええ、いつの間にか眠ってしまいました」
「肉獲って来たぞ。
調理場に置いてるから好きに料理しろ」
「ありがとうございます。
…魔族の方々は食事をしないのですよね?
なのに立派なキッチンが有るんですね」
ガスコンロや電子レンジが有る…と言うわけでは無いですけど、魔力で火加減が調整出来る、煙の出ない不思議かまど、水魔法の魔石とか言う物に蛇口の付いた水道もどき。
他にも使う人のベストポジションに自動的になる調理台や、食洗機らしき食器棚など有りました。
冷蔵庫なのであろう箱の中身は、昼に使った残りの食材と、ブルースの言っていただろう新たな肉…と言いますか鹿が丸ごと入っています。
「私達魔族は食事を取る必要は無いですけど、嗜好品として食べる事も有ります。
それに他種族のお客様を招いた時などは、食事を振るまう事も有りますからね」
「そうなのですか。
料理はアインが作るのですか?」
「いえ、部下で料理を作れる者に任せています」
おや、やはり一人暮らし?では無い様ですね。
「部下の方がいらっしゃるのですか?
この建物の中に人の気配がしませんから、一人で過ごされているのかと思いました」
ついでとばかりに、先程の疑問を尋ねてみました。
「ジョニーには申し訳ないのですが、ここに居る者達は、人族が苦手な者ばかりなのですよ。
ですから、地下にこもってしまいました」
「え?私のせいで隠れてしまわれたのですか?」
それでは仕事に差し障ってしまうのではないでしょうか。
「大丈夫ですよ、片割れが部下の元に行っていますから」
半身が旅に出る事を説明したり、自分が残るので問題はない事など、話をしに行っているそうだ。
「部下の方々は納得してくださるでしょうか」
「半身が残るのですから、何も問題はないですよ。
それに今は平和な世の中ですからね」
「コイツの一族で問題を起こす様な奴はいない。
他の魔族だと喧嘩っ早い奴ばかり居る一族もあるが、ここの奴らは躾が行き届いているから問題は起きないぞ。
何か問題を起こせば制裁が有るからな」
笑いながらブルースが言います。
「制裁など人聞きの悪い。
指導をしているだけですよ」
ニッコリと笑うアインの背後に黒い物が見える気がします。
ブルースは慌てて視線を逸らしていますけど、アインは黒い笑顔のままです…。
「ねえ、お腹すいた」
シナトラの発言に場の空気が戻りました。
こう言うのを【空気クラッシャー】とでも言うのでしょうか。
「ああ、すみません、食事の準備をして来ますね。
シナトラとチャックは座って待ってて下さい」
私が言うと、シナトラは「はーい」と返事をして、ブルースの横の椅子に腰掛けます。
チャックは「手伝うよ」と、私の後について来ました。
「手伝う程のものでもないですけどね。
昼は焼いたから、夜は煮込みましょうか」
ブルースが獲って来てくれていたのは、鹿ではなく、角が三本とライオンの様な尻尾の鹿の様なモノでした。
鑑定してみましたけど、角以外では毛皮と睾丸が素材でしたので、アインの指導の元解体して、ザクザクと切っていきます。
睾丸を取るのに少しばかり躊躇したのは、男性なら気持ちを分かってもらえると思います。
適当な大きさに切り鍋に入れ、昼にチャックが採って来てくれていた栗の様な木の実と一緒に煮込みます。
調味料が有ったのでお借りして、出来上がったのは……何でしょう?
見た目には栗入りの角煮の様な感じですけど、味はスパイスが効いていてエスニック料理の様な感じです。
………まあ、美味しければ何でも良いでしょう。
料理を提供すると、美味しいと好評でした。
昼も肉、夜も肉でしたね。
最近では、肉は重くて量を食べることが出来なかったのですが、体が若返っているから食べられます。
ですがそろそろ肉以外が食べたいですねえ。
特に食べたいのはご飯なのですが。
食事が終わって、食洗機の様な物に食器を入れた後、アインにポイント交換について相談してみることにしました。
「………と言うわけで、交換できる物について相談したいのですけど、何と交換したら良いのか教えてもらえますか?」
「交換品にどう言ったものが有るのか書き出して……はまだ文字が書けないですよね。
読み上げてもらえますか?」
「そうですね。
このタブレットが他の人にも見ることが出来れば良いのですけど……おや?」
右下隅の星印が点滅しています。
確かこれは【設定】でしたよね、タップしてみましょう。
【設定
個別指定情報開示 オン/オフ 】
これは、指定した相手に画面が見える様になる……で良いのでしょうか?
使う前に一度調べた方が良さそうですね。
検索を………
それにしても不思議なのは、この大きな神殿の様な建物の中に、私たち以外の人の気配がしないことです。
アインは魔族の王様なのですから、部下や従者、またはメイドなど居そうですのに、見かけません。
私のイメージでは、王様の住んでいる場所には、たくさんの人が働いている……と言うものなのですけれど、魔族の方々は違うのでしょうか?
食事をした部屋…ダイニングですかね、そこにブルースとアインが居ました。
どうやらお酒を飲んでいる様ですね。
「よぅ、起きたのか」
「ええ、いつの間にか眠ってしまいました」
「肉獲って来たぞ。
調理場に置いてるから好きに料理しろ」
「ありがとうございます。
…魔族の方々は食事をしないのですよね?
なのに立派なキッチンが有るんですね」
ガスコンロや電子レンジが有る…と言うわけでは無いですけど、魔力で火加減が調整出来る、煙の出ない不思議かまど、水魔法の魔石とか言う物に蛇口の付いた水道もどき。
他にも使う人のベストポジションに自動的になる調理台や、食洗機らしき食器棚など有りました。
冷蔵庫なのであろう箱の中身は、昼に使った残りの食材と、ブルースの言っていただろう新たな肉…と言いますか鹿が丸ごと入っています。
「私達魔族は食事を取る必要は無いですけど、嗜好品として食べる事も有ります。
それに他種族のお客様を招いた時などは、食事を振るまう事も有りますからね」
「そうなのですか。
料理はアインが作るのですか?」
「いえ、部下で料理を作れる者に任せています」
おや、やはり一人暮らし?では無い様ですね。
「部下の方がいらっしゃるのですか?
この建物の中に人の気配がしませんから、一人で過ごされているのかと思いました」
ついでとばかりに、先程の疑問を尋ねてみました。
「ジョニーには申し訳ないのですが、ここに居る者達は、人族が苦手な者ばかりなのですよ。
ですから、地下にこもってしまいました」
「え?私のせいで隠れてしまわれたのですか?」
それでは仕事に差し障ってしまうのではないでしょうか。
「大丈夫ですよ、片割れが部下の元に行っていますから」
半身が旅に出る事を説明したり、自分が残るので問題はない事など、話をしに行っているそうだ。
「部下の方々は納得してくださるでしょうか」
「半身が残るのですから、何も問題はないですよ。
それに今は平和な世の中ですからね」
「コイツの一族で問題を起こす様な奴はいない。
他の魔族だと喧嘩っ早い奴ばかり居る一族もあるが、ここの奴らは躾が行き届いているから問題は起きないぞ。
何か問題を起こせば制裁が有るからな」
笑いながらブルースが言います。
「制裁など人聞きの悪い。
指導をしているだけですよ」
ニッコリと笑うアインの背後に黒い物が見える気がします。
ブルースは慌てて視線を逸らしていますけど、アインは黒い笑顔のままです…。
「ねえ、お腹すいた」
シナトラの発言に場の空気が戻りました。
こう言うのを【空気クラッシャー】とでも言うのでしょうか。
「ああ、すみません、食事の準備をして来ますね。
シナトラとチャックは座って待ってて下さい」
私が言うと、シナトラは「はーい」と返事をして、ブルースの横の椅子に腰掛けます。
チャックは「手伝うよ」と、私の後について来ました。
「手伝う程のものでもないですけどね。
昼は焼いたから、夜は煮込みましょうか」
ブルースが獲って来てくれていたのは、鹿ではなく、角が三本とライオンの様な尻尾の鹿の様なモノでした。
鑑定してみましたけど、角以外では毛皮と睾丸が素材でしたので、アインの指導の元解体して、ザクザクと切っていきます。
睾丸を取るのに少しばかり躊躇したのは、男性なら気持ちを分かってもらえると思います。
適当な大きさに切り鍋に入れ、昼にチャックが採って来てくれていた栗の様な木の実と一緒に煮込みます。
調味料が有ったのでお借りして、出来上がったのは……何でしょう?
見た目には栗入りの角煮の様な感じですけど、味はスパイスが効いていてエスニック料理の様な感じです。
………まあ、美味しければ何でも良いでしょう。
料理を提供すると、美味しいと好評でした。
昼も肉、夜も肉でしたね。
最近では、肉は重くて量を食べることが出来なかったのですが、体が若返っているから食べられます。
ですがそろそろ肉以外が食べたいですねえ。
特に食べたいのはご飯なのですが。
食事が終わって、食洗機の様な物に食器を入れた後、アインにポイント交換について相談してみることにしました。
「………と言うわけで、交換できる物について相談したいのですけど、何と交換したら良いのか教えてもらえますか?」
「交換品にどう言ったものが有るのか書き出して……はまだ文字が書けないですよね。
読み上げてもらえますか?」
「そうですね。
このタブレットが他の人にも見ることが出来れば良いのですけど……おや?」
右下隅の星印が点滅しています。
確かこれは【設定】でしたよね、タップしてみましょう。
【設定
個別指定情報開示 オン/オフ 】
これは、指定した相手に画面が見える様になる……で良いのでしょうか?
使う前に一度調べた方が良さそうですね。
検索を………
20
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる