【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

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第二章 旅は道連れ

14 交換品はわからないものが多いです

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「お兄さんとその子は家族なの?」
シナトラに聞かれましたので、私は頷きましたけれど、チャックに否定されてしまいました。
「か……家族なんかじゃ無いし!
まだ家族だなんて認めてないし!
こいつはそう思ってても、そんな簡単に群れになんないからね!」
私は家族のつもりなのですが、残念です。

「僕は?僕は家族?」
シナトラが乗り出して聞いてきます。
「そうだね、僕はそのつもりだよ。
見た目はシナトラの方が年上だけど、僕の子供になってくれると嬉しいな」
「うわー!なるなる!
じゃあお兄さんは父ちゃんだね」

父ちゃんですか、とっても嬉しい響きですねえ。
でも、見た目的にはシナトラより若い私が『父ちゃん』と呼ばれるのは、不都合が生じる事も出てくるかもしれませんね。
残念ですけれど、父ちゃんは諦めた方がいいでしょうか。

「父ちゃんもいいけど、シナトラの見た目だと、ジョニーと呼んでもらう方がいいかな」
「じょ兄さん?」
「……発音がちょっと違うかな。
ジョニーだよ」
「ジョニーさん?」
「そうだね、そう呼んでくれ」
「うん、わかった、ジョニーさん」

チャックのちょっと天邪鬼なところも可愛いですけれど、シナトラの素直さも可愛いですねえ。
昨日から心がほっこりしっぱなしですよ。

「チャック?」
シナトラがチャックを指差し、呼び名を確認しています。
「はあ?なんで呼び捨て?」
「見た目が小さいから?
僕の方が背も高いし、大人に見えるよ?」
そうですね、実年齢……生きてきた年数はチャックの方が上なのですが、どう見てもシナトラの方が年上です。
なんとかなだめすかして、お互い「チャック」「シナトラ」と呼び合うように説得しました。

さて、ちょっと気になった先程の木の実を調べてみましょうか。
ええと……


【酒の実
この大陸の森には大抵生えている樹だよ。
暑くなる季節の前に実がなって、その実が熟したら自然に落ちるんだ。
密集して壺のようになった樹の真ん中の窪みに落ちて、そのままそこで発酵すると、夏の終わりには果実のお酒になるんだよ。
自然界のお酒で、動物達が飲むだけじゃなくて、人族も夏の終わりになると、このお酒を手に入れようと、冒険者が森に入るんだ。
 但しこの実は、自然に落ちるまでそのままにしておかないとダメなんだよ。
お酒の元なんだけど、落ちる前はとーーーっても酸っぱくて、酸っぱ過ぎて苦く感じるくらいなんだ。
だから落ちる前の実は食べちゃダメだよ 】


そうですか、自然に発酵するまで飲めないのですか。
お酒の実と言うくらいですから、絞るか何かすればお酒が飲めると思ったのですけれど、残念ですね。
夏の終わりまで待ちましょう。

おや、またポイントが貯まっていますね。
最初だから貯まるのが早いのか、チャックとシナトラが可愛い過ぎて、幸せを感じたお陰なのか。

今度はチャックのアドバイスに従って、料理の能力と交換しましょう。
ええと……

【スキル 調理 0.5ポイント】

おや、半分なのですか?
なら同じく0.5ポイントの物と併せて交換しましょう。

【魔法 バフ 0.5ポイント
 魔法 デバフ 0.5ポイント
 スキル 調合 0.5ポイント
 スキル 隠蔽 0.5ポイント
 スキル 隠匿 0.5ポイント
 魔法 霧魔法 0.5ポイント 】

ざっと見た感じで0.5ポイントなのはこの辺りですかね。
バフとデバフ…わからないので後回しです。
隠匿は何となく予想つきますけれど、このもう一つは恥ずかしながら読めません。
あまり用途が無い気がしますので、これも後回しです。
霧魔法…ですか。
霧をおこしてどうするのでしょう?
これも後回しですね。
この調合がいいでしょう。
薬草を鑑定した時に、調合して傷薬や毒消しになるとか書いてありましたから。

2ポイント目で、料理のスキルと調合のスキルを手に入れました。

ふふふ、これで美味しいものが食べられますね。
さらば生焼け、さらば黒焦げ、ですよ。
今日は材料が無いので、明日からの食事が楽しみです。

明日も頑張って歩く為に、今日は早めに就寝です。
毛布が一枚しかないので、三人でくっついて寝る事になりました。

くっついて寝ると暖かいですね。
見た目はちょっと問題があるかもしれませんが、誰も見ていませんし、60近いおじさんと、生まれて1年の赤子と5年の幼児ですから、問題はないです……よね?



翌朝、先に進むのも勿論なのですけれど……風呂に入りたいです。
川で水浴びをしていましたけど、川から離れると水浴びもできません。
手拭いを濡らして体を拭くことはできますけれど、頭を洗いたいです。

因みに今私の髪の毛は、パサパサゴワゴワで、指も通りません。
シャンプーとリンスが欲しいです……。
二人は風呂に……、いえ、元が動物ですから、体が汚れても気にならないのでしょうね。
一応、風呂に入りたくないかと聞いてみましたら、

「え?体の汚れ?
クリーンの魔法で清潔を保ってるよ?」
シナトラが言うには、クリーンと言う魔法が有って、体の汚れだけではなく、対象物は何でもキレイにできるそうなのです。

「もしかして、川に入ってジタバタしてたのって、クリーンが使えなかったからなの?
頭から水をかぶってたから、何してんのかと思ったよ」
チャックが呆れ口調で言いますが、魔法などこの世界で初めて対峙したのだから、わからない事が多くても仕方ないと思いませんか?
確かそんな魔法は私には無かったですよね?
今一度堪忍してみましょうか、オープン。

「この世界の虎やオカメインコは、そんな魔法が使えるのですね」
画面を確認しながら言うと、二人は「虎?」「オカメインコ?」と首を傾げます。

「僕は森オオネコだよ?」
「オカメインコとかなにそれ、初めて聞くんだけど。
オレはマネ鳥だよ」
「ええ?虎じゃないの?」

マネ鳥…と言うのはなんとなく理解できます。
オカメインコはおしゃべりが出来ますからね。
でも、大猫って……どう見ても虎でしたよね?

ちょっとタブレットで調べてみましょう。

【動物
この世界では『動物学』なんて発達していないから、適当に大まかな種類で分けて、見た目や住む場所で名前を付けてる事が多いよ。
例えば、長ネズミはオコジョだし、丸ネズミはハムスター、ムササビはデカ目ネズミと呼んでるよ。
デカ目ザルはリス猿、ウスノロザルはナマケモノ、オヤジザルはゴリラ。
本当に適当なんだ。
あまり細かく考えちゃあダメだよ。
ざっくばらんにいこう 】

………………まあ、そう言うモノだと思うしかないですね。

因みにクリーンの魔法はやはり無かったので、チャックにかけてもらいました。
体はスッキリですし、髪の毛のパサつきもなくなりましたし、なんなら着ていた服までピカピカです。

……なぜでしょう、そこはかとない敗北感があります……。





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