【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮

文字の大きさ
上 下
14 / 206
第二章 旅は道連れ

14 交換品はわからないものが多いです

しおりを挟む
「お兄さんとその子は家族なの?」
シナトラに聞かれましたので、私は頷きましたけれど、チャックに否定されてしまいました。
「か……家族なんかじゃ無いし!
まだ家族だなんて認めてないし!
こいつはそう思ってても、そんな簡単に群れになんないからね!」
私は家族のつもりなのですが、残念です。

「僕は?僕は家族?」
シナトラが乗り出して聞いてきます。
「そうだね、僕はそのつもりだよ。
見た目はシナトラの方が年上だけど、僕の子供になってくれると嬉しいな」
「うわー!なるなる!
じゃあお兄さんは父ちゃんだね」

父ちゃんですか、とっても嬉しい響きですねえ。
でも、見た目的にはシナトラより若い私が『父ちゃん』と呼ばれるのは、不都合が生じる事も出てくるかもしれませんね。
残念ですけれど、父ちゃんは諦めた方がいいでしょうか。

「父ちゃんもいいけど、シナトラの見た目だと、ジョニーと呼んでもらう方がいいかな」
「じょ兄さん?」
「……発音がちょっと違うかな。
ジョニーだよ」
「ジョニーさん?」
「そうだね、そう呼んでくれ」
「うん、わかった、ジョニーさん」

チャックのちょっと天邪鬼なところも可愛いですけれど、シナトラの素直さも可愛いですねえ。
昨日から心がほっこりしっぱなしですよ。

「チャック?」
シナトラがチャックを指差し、呼び名を確認しています。
「はあ?なんで呼び捨て?」
「見た目が小さいから?
僕の方が背も高いし、大人に見えるよ?」
そうですね、実年齢……生きてきた年数はチャックの方が上なのですが、どう見てもシナトラの方が年上です。
なんとかなだめすかして、お互い「チャック」「シナトラ」と呼び合うように説得しました。

さて、ちょっと気になった先程の木の実を調べてみましょうか。
ええと……


【酒の実
この大陸の森には大抵生えている樹だよ。
暑くなる季節の前に実がなって、その実が熟したら自然に落ちるんだ。
密集して壺のようになった樹の真ん中の窪みに落ちて、そのままそこで発酵すると、夏の終わりには果実のお酒になるんだよ。
自然界のお酒で、動物達が飲むだけじゃなくて、人族も夏の終わりになると、このお酒を手に入れようと、冒険者が森に入るんだ。
 但しこの実は、自然に落ちるまでそのままにしておかないとダメなんだよ。
お酒の元なんだけど、落ちる前はとーーーっても酸っぱくて、酸っぱ過ぎて苦く感じるくらいなんだ。
だから落ちる前の実は食べちゃダメだよ 】


そうですか、自然に発酵するまで飲めないのですか。
お酒の実と言うくらいですから、絞るか何かすればお酒が飲めると思ったのですけれど、残念ですね。
夏の終わりまで待ちましょう。

おや、またポイントが貯まっていますね。
最初だから貯まるのが早いのか、チャックとシナトラが可愛い過ぎて、幸せを感じたお陰なのか。

今度はチャックのアドバイスに従って、料理の能力と交換しましょう。
ええと……

【スキル 調理 0.5ポイント】

おや、半分なのですか?
なら同じく0.5ポイントの物と併せて交換しましょう。

【魔法 バフ 0.5ポイント
 魔法 デバフ 0.5ポイント
 スキル 調合 0.5ポイント
 スキル 隠蔽 0.5ポイント
 スキル 隠匿 0.5ポイント
 魔法 霧魔法 0.5ポイント 】

ざっと見た感じで0.5ポイントなのはこの辺りですかね。
バフとデバフ…わからないので後回しです。
隠匿は何となく予想つきますけれど、このもう一つは恥ずかしながら読めません。
あまり用途が無い気がしますので、これも後回しです。
霧魔法…ですか。
霧をおこしてどうするのでしょう?
これも後回しですね。
この調合がいいでしょう。
薬草を鑑定した時に、調合して傷薬や毒消しになるとか書いてありましたから。

2ポイント目で、料理のスキルと調合のスキルを手に入れました。

ふふふ、これで美味しいものが食べられますね。
さらば生焼け、さらば黒焦げ、ですよ。
今日は材料が無いので、明日からの食事が楽しみです。

明日も頑張って歩く為に、今日は早めに就寝です。
毛布が一枚しかないので、三人でくっついて寝る事になりました。

くっついて寝ると暖かいですね。
見た目はちょっと問題があるかもしれませんが、誰も見ていませんし、60近いおじさんと、生まれて1年の赤子と5年の幼児ですから、問題はないです……よね?



翌朝、先に進むのも勿論なのですけれど……風呂に入りたいです。
川で水浴びをしていましたけど、川から離れると水浴びもできません。
手拭いを濡らして体を拭くことはできますけれど、頭を洗いたいです。

因みに今私の髪の毛は、パサパサゴワゴワで、指も通りません。
シャンプーとリンスが欲しいです……。
二人は風呂に……、いえ、元が動物ですから、体が汚れても気にならないのでしょうね。
一応、風呂に入りたくないかと聞いてみましたら、

「え?体の汚れ?
クリーンの魔法で清潔を保ってるよ?」
シナトラが言うには、クリーンと言う魔法が有って、体の汚れだけではなく、対象物は何でもキレイにできるそうなのです。

「もしかして、川に入ってジタバタしてたのって、クリーンが使えなかったからなの?
頭から水をかぶってたから、何してんのかと思ったよ」
チャックが呆れ口調で言いますが、魔法などこの世界で初めて対峙したのだから、わからない事が多くても仕方ないと思いませんか?
確かそんな魔法は私には無かったですよね?
今一度堪忍してみましょうか、オープン。

「この世界の虎やオカメインコは、そんな魔法が使えるのですね」
画面を確認しながら言うと、二人は「虎?」「オカメインコ?」と首を傾げます。

「僕は森オオネコだよ?」
「オカメインコとかなにそれ、初めて聞くんだけど。
オレはマネ鳥だよ」
「ええ?虎じゃないの?」

マネ鳥…と言うのはなんとなく理解できます。
オカメインコはおしゃべりが出来ますからね。
でも、大猫って……どう見ても虎でしたよね?

ちょっとタブレットで調べてみましょう。

【動物
この世界では『動物学』なんて発達していないから、適当に大まかな種類で分けて、見た目や住む場所で名前を付けてる事が多いよ。
例えば、長ネズミはオコジョだし、丸ネズミはハムスター、ムササビはデカ目ネズミと呼んでるよ。
デカ目ザルはリス猿、ウスノロザルはナマケモノ、オヤジザルはゴリラ。
本当に適当なんだ。
あまり細かく考えちゃあダメだよ。
ざっくばらんにいこう 】

………………まあ、そう言うモノだと思うしかないですね。

因みにクリーンの魔法はやはり無かったので、チャックにかけてもらいました。
体はスッキリですし、髪の毛のパサつきもなくなりましたし、なんなら着ていた服までピカピカです。

……なぜでしょう、そこはかとない敗北感があります……。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

実験施設から抜け出した俺が伝説を超えるまでの革命記! 〜Light Fallen Angels〜

朝日 翔龍
ファンタジー
 それはある世界の、今よりずっと未来のこと。いくつもの分岐点が存在し、それによって分岐された世界線、いわゆるパラレルワールド。これは、そ無限と存在するパラレルワールドの中のひとつの物語。  その宇宙に危機を及ぼす脅威や魔族と呼ばれる存在が、何度も世界を消滅させようと襲撃した。そのたびに、最強無血と謳われるレジェンド世代と称されたデ・ロアーの8人集が全てを解決していった。やがては脅威や魔族を封印し、これ以上は世界の危機もないだろうと誰もが信じていた。  しかし、そんな彼らの伝説の幕を閉ざす事件が起き、封印されていたはずの脅威が蘇った。瞬く間に不安が見え隠れする世界。そこは、異世界線へと繋がるゲートが一般的に存在し、異世界人を流れ込ませたり、例の脅威をも出してしまう。  そんな世界の日本で、実験体としてとある施設にいた主人公ドンボ。ある日、施設から神の力を人工的に得られる薬を盗んだ上で脱走に成功し、外の世界へと飛び出した。  そして街中に出た彼は恐怖と寂しさを覆い隠すために不良となり、その日凌ぎの生き方をしていた。  そんな日々を過ごしていたら、世界から脅威を封印したファイター企業、“デ・ロアー”に属すると自称する男、フラットの強引な手段で険しい旅をすることに。  狭い視野となんの知識もないドンボは、道中でフラットに教えられた生きる意味を活かし、この世界から再び脅威を取り除くことができるのであろうか。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...