4 / 13
宰相の息子視点
しおりを挟む
私の名は、ハシヴァル・ヴェーラズ 、父は宰相として、国に仕えている。
私は同じ歳で幼馴染でもある殿下と共に、講堂へ向かっている。
入学式で殿下が挨拶をする為だ。
その途中、不審者が現れた。
いきなり茂みを突っ切って出てくる。
怪しい。
石畳に思いっきり転ける。
鈍臭い。
殿下の歩みを止めた。
不敬である。
膝から血を流しながら、立ち上がりもせず、チラチラとこちらを見上げながら、目を爛々とさせている。
怪しい。
トータルで言って【不審者】である。
珍しい桃色の髪は、先程話に上った光魔法に目覚めたと言う男爵令嬢であろう。
不審者であり、男爵令嬢であり、光魔法所持という事は教会派である。
イコール、関わらないのが正解だ。
横目で殿下を見ると、殿下も同じ考えであろう、瞬きで合図をしてきた。
「……式での挨拶は暗記済みですか?」
「私を誰だと思っている、たかだか五分ぐらいのスピーチだぞ」
「それでは急ぎましょう…………」
私たちはこの場を無かったこととして歩みを再開した。
暫く歩き講堂へ辿り着く。
入り口で立ち止まった殿下は後ろを振り返り、誰も居ないことを確認して声を顰める。
「先程の男爵令嬢で間違い無いな?」
「そうですね」
「転んだ女性に手を差し伸べるべきだったかも知れないが…」
殿下は心優しい方だ。
本来ならすぐさま助け起こしたかったであろう。
しかしである、王族の、しかも第一王子が、見た事もない相手に手を差し伸べる事は有ってはならない。
信頼のおける者以外に無闇矢鱈と接触することは、危険なことであるのは殿下も理解している。
先程のような場合だと、殿下の近くにいる者、護衛や私のような側近が手を貸すことがあっても、殿下自身が手を差し出すことは無い。
私も一瞬手を…と思いはしたが、怪し過ぎて動くことをやめたのだ。
何が怪しいって、あの視線が怪し過ぎだ。
もしかして殿下やその側近である私に害を及ぼそうとしていたのかも知れない。
怪しむべきものには近寄らないに越したことは無い。
「先程の対応で間違いはないと思われます。
それより、殿下からの言葉を待っている者が居るのですから、行きましょう」
私が講堂の扉をノックすると、中から扉が開けられた。
顔を上げて中に入って行く殿下の後ろ姿に私は頭を下げました。
私は同じ歳で幼馴染でもある殿下と共に、講堂へ向かっている。
入学式で殿下が挨拶をする為だ。
その途中、不審者が現れた。
いきなり茂みを突っ切って出てくる。
怪しい。
石畳に思いっきり転ける。
鈍臭い。
殿下の歩みを止めた。
不敬である。
膝から血を流しながら、立ち上がりもせず、チラチラとこちらを見上げながら、目を爛々とさせている。
怪しい。
トータルで言って【不審者】である。
珍しい桃色の髪は、先程話に上った光魔法に目覚めたと言う男爵令嬢であろう。
不審者であり、男爵令嬢であり、光魔法所持という事は教会派である。
イコール、関わらないのが正解だ。
横目で殿下を見ると、殿下も同じ考えであろう、瞬きで合図をしてきた。
「……式での挨拶は暗記済みですか?」
「私を誰だと思っている、たかだか五分ぐらいのスピーチだぞ」
「それでは急ぎましょう…………」
私たちはこの場を無かったこととして歩みを再開した。
暫く歩き講堂へ辿り着く。
入り口で立ち止まった殿下は後ろを振り返り、誰も居ないことを確認して声を顰める。
「先程の男爵令嬢で間違い無いな?」
「そうですね」
「転んだ女性に手を差し伸べるべきだったかも知れないが…」
殿下は心優しい方だ。
本来ならすぐさま助け起こしたかったであろう。
しかしである、王族の、しかも第一王子が、見た事もない相手に手を差し伸べる事は有ってはならない。
信頼のおける者以外に無闇矢鱈と接触することは、危険なことであるのは殿下も理解している。
先程のような場合だと、殿下の近くにいる者、護衛や私のような側近が手を貸すことがあっても、殿下自身が手を差し出すことは無い。
私も一瞬手を…と思いはしたが、怪し過ぎて動くことをやめたのだ。
何が怪しいって、あの視線が怪し過ぎだ。
もしかして殿下やその側近である私に害を及ぼそうとしていたのかも知れない。
怪しむべきものには近寄らないに越したことは無い。
「先程の対応で間違いはないと思われます。
それより、殿下からの言葉を待っている者が居るのですから、行きましょう」
私が講堂の扉をノックすると、中から扉が開けられた。
顔を上げて中に入って行く殿下の後ろ姿に私は頭を下げました。
12
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説

転生令嬢は攻略したくない
リオール
恋愛
「駄目だ、攻略したいと思えない!」
実は転生令嬢の私。
やり遂げる事の出来なかった乙女ゲームの世界で、けれど攻略したい対象がいない!
このまま誰ともくっ付かないノーマルエンドにする?学園生活楽しむ方向で行く?
そう思ってたら、不意に声がした。
「俺と友達になるか?」
どこか懐かしい声。
彼は一体誰?
====================
連載となるかは未定です


ほら、誰もシナリオ通りに動かないから
蔵崎とら
恋愛
乙女ゲームの世界にモブとして転生したのでゲームの登場人物を観察していたらいつの間にか巻き込まれていた。
ただヒロインも悪役も攻略対象キャラクターさえも、皆シナリオを無視するから全てが斜め上へと向かっていってる気がするようなしないような……。
※ちょっぴり百合要素があります※
他サイトからの転載です。

【完結】悪役王子に宣戦布告したつもりがなぜか良い雰囲気になってます
花見 有
恋愛
前世に読んでいた恋愛小説の世界に転生したマリッタは、小説の推しカプを別れさせようと嫌がらせをする悪役王子に「二人に嫌がらせするなら許さない」と宣戦布告した。ここから、悪役王子との攻防が始まるかと思いきや、翌日、悪役王子はマリッタの元を訪れて昨日の事を謝ってきたのだった。

山あり谷あり…やっぱ平坦なのがいいよね
鳥類
恋愛
ある日突然前世の記憶が蘇った。まるでそれを覆っていたシャボン玉が割れて溢れ出たように。
思い出したことで気づいたのは、今自分がいる世界がとある乙女ゲームの世界という事。
自分は攻略対象の王太子。目の前にいるのは婚約者の悪役令嬢。
…そもそも、悪役令嬢って…俺が心変わりしなきゃ『悪役』にならないよな?
気付けば攻略対象になっていたとある王太子さまが、自分の婚約者を悪役令嬢にしないためにヒロインさんにご退場いただく話です。
ヒロインは残念女子。ざまぁはありますが弱めです。
ドラマティックな展開はありません。
山も谷も盛り上がりも無くてもいい、大切な人と一日一日を過ごしたい王子さまの奮闘記(?)
サラッとお読みいただけたらありがたいです。

【完結】みそっかす転生王女の婚活
佐倉えび
恋愛
私は幼い頃の言動から変わり者と蔑まれ、他国からも自国からも結婚の申し込みのない、みそっかす王女と呼ばれている。旨味のない小国の第二王女であり、見目もイマイチな上にすでに十九歳という王女としては行き遅れ。残り物感が半端ない。自分のことながらペットショップで売れ残っている仔犬という名の成犬を見たときのような気分になる。
兄はそんな私を厄介払いとばかりに嫁がせようと、今日も婚活パーティーを主催する(適当に)
もう、この国での婚活なんて無理じゃないのかと思い始めたとき、私の目の前に現れたのは――
※小説家になろう様でも掲載しています。


『候補』だって言ったじゃないですか!
鳥類
恋愛
いつのまにやら『転生』して美幼女になっていましたよ!魔法がある世界とかサイコーか!
頑張って王宮魔導師になるぞ!と意気込んでいたら…いつのまにやら第一王子殿下の『婚約者候補』にされていた…!!
初投稿です。
異世界転生モノをやってみたかった…。
誤字脱字・タグ違いなどございましたらご一報いただければ幸いです。
内容については生温くサラッと読んでいただけたらと…思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる