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〜レオノーラ・ダクソルン〜
しおりを挟むこんにちは、公爵家の次女に転生した、レオノーラ・ダクソルン こと長谷川 温和(はるな)です。
趣味は前世、今世共に読書で、前世では紙媒体は場所を取り、床を変形させるので、ネット書籍を読む様になったある日、無料サイトに辿り着き、色々読み散らかして来ました。
そして、多分、この世界はその作品の一つだと思われます。
ナーロッパと言われていた世界観、半端に日本の物があり、貴族社会の筈が、かなりなあなあと言いますか、緩い。
庶民が貴族の馬車の前を横切ったからと言って鞭打ちする、なんて事もなく、領主であろうともタメ口をきいても罰せられず、平民メイドが貴族の子女を虐めても、バレなければ大丈夫とか、有り得ないですわ。
お屋敷で虐げられている子女を虐めたり、その子供の持ち物を盗んだりなど、日本の常識でもあり得ないでしょう。
なのにバレた時は、貴族以上に酷い罰則があるとは、ハンパ感この上ないですわ。
読み物として読んでいた時は、サラリと読み流していましたけど、転生して現実となってみると、違和感しかありません。
まあ、小説は創作世界の事ですから、あまりとやかくいうのはナンセンスですね。
それよりも、記憶を思い出したきっかけは、この国の第一王子である、ウェイントール・ルスコフリスとのお見合いです。
幼い頃に王子との婚約、親は宰相の公爵令嬢、しかも私、銀髪の美少女でしたの。
これはパターン的に、悪役令嬢で断罪されるか、ヒロインを逆ざまぁすると言う、いくつも読んだ小説なのでは?
たくさん読みすぎてどのお話しかは分かりませんけど、この先学園に入学すると、婚約者の王子がヒロインと出会う確率が高いのでは?
だって転生モノのパターンでしょ?
そして前世の記憶のある王道パターンとして、悪役令嬢の私がフラグを折って、断罪の時に逆ざまぁをするんですよね?
…………でも、私、王子のこと好きなんですよね、かなり本気で。
いや、分かりますよ、これって【幼い頃はとても優しかったのに、王子妃教育が進むにつれてだんだんと疎遠になって来て、学園に入学する頃には距離があり、ヒロインと出会ってからは………】ってパターンですよね?
でも、本当に優しいんです、ウェイントール殿下は。
いつも優しくて、気を遣ってくれて、王子妃教育が上手くいかなくて落ち込んでいる時も慰めてくれて、ご自身もお忙しいのに、少しでも時間があれば会いに来てくださるし…。
何より見た目がどストライク!!
なのでぽっと出のヒロインなんかに奪われたくありません。
だから私は考えました。
パターンを知ってるなら、早期対応が出来るのではないか、と。
そこでまず私のした事は、父親に現世の記憶があると言う告白です。
どうやらこの世界には前世の記憶を持って生まれ変わる人が稀にいるらしく、別の世界の記憶がある人もごく少数では居たと記録があるそうで、すんなりと信じてもらえました。
それを踏まえて、これから私や王子に起こる事を告げ、その回避のために力を借りる事になりました。
男爵家が庶子の娘を引き取る書類を提出して来たら知らせてもらう様手配したのですけど、庶子を引き取る男爵家の多い事……。
全ての家を調べましたけど、なかなか【当たり】はなく、この世界は小説とは関係は無いのだろうかと思い始めた頃、私の学園入学の年に、【当たり】がでました。
どうやら一つ年下の様で、今年は関わることがない様です。
この男爵家、それなりの資産がある様で、王子の事を細かく調べている様です。
主に好みを。
娘の入学までに、ウェイントール殿下の好みに仕上げるつもりなのでしょう。
いくら今は優しくても、好みの女性から言い寄られると殿下も靡いてしまうかもしれません。
そして、その一年後には………。
不安の目は潰すに限りますね。
公爵家の為にも、私のためにも、もしかすると私に逆ざまぁされてしまうかもしれない殿下の為にも。
ふふふふふ、公爵家にできない事は少ないのですよ。
火のないところに煙を立てることもできますの。
公爵令嬢である私を貶める事は、公爵家を貶める事なのですからね。
身分の違いを、身をもって味わっていただきましょう。
ふふふふふふ。
あら?冤罪をでっち上げるのかですって?
高位貴族を侮る事が既に罪ですわ。
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