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ホルノーン

15 夢だろ、コレ(ジョージ視点)

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残酷な表現が入ります。
閲覧ご注意下さい


ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー




十代の頃、ツッパらかってた俺は、黒歴史と言って良いほど、ヤンチャをしていた。

夜な夜なバイクで走り回り、他校へカチコミしたりなど喧嘩も絶えず、その高校も途中でリタイア。
同じチームに居た幼馴染がヘッドを引き継いでからは、親衛隊長などと粋がり、鉄パイプ片手にブイブイ言わせてた。

今考えると恥ずかしい事なのだが、あの頃は【カタカナの名前】と【漢字の当て字】がカッコいいと思ってて、俺の苗字は城島だから、ジョージと呼ばせていた。
他にも、マイケルやらジミーやらボギーやら、皆好き勝手に名乗っていたな……今思うと本当に恥ずかしい。


17になるかならないかの頃、チームの追っかけだった一つ下の奴が、正式にチームの一員となった。
後藤 丈二、俺のニックネームと同じ【ジョージ】だったので、読み方変えて【ジョニー】と名付けたのは俺だ。

懐いてきたので可愛がったな。
バイクが無いって言うから、潰したチームから巻き上げた一台を譲ったこともある。

『先輩、先輩』
と子犬の様に懐いてきたジョニーだけど、奴が17の頃、奴のマドンナに出会ったんだよな。
相手はお金持ちの病院の娘、しかし家の中で爪弾きにされていて、少し影のある儚いイメージの女性。

なんだかんだあって、女性が他の男に嫁がされると落ち込んでいたから、連れて逃げろって言ったのは俺だ。
チームの仲間や足を洗った先輩たちにも声をかけて集めたカンパを渡し、背中を押した。

後輩が居なくなって暫く後、ヘッドが結婚したのをきっかけに、その座を譲り、卒業すると言うので、俺も同時期にチームを抜けた。
鳶職の親父に弟子入りして、鳶職人として働きながら、俺と同じ時期にレディースのチームを抜けた彼女と所帯を持つ。


娘二人に恵まれて、喧嘩しつつも別れる事なく日々を過ごしていた。
五十になって、そろそろ体力的に仕事を辞めようかと思っていたある日、足を滑らせ足場から転落。
安全帯は着けていたんだけど、どうやら金具がイカれていたようだ。


走馬灯って本当にあるもんだな。
5階の高さから落ちるのなんて一瞬のはずなのに、色々浮かんで来たよ。

喧嘩ばかりだったけど、貧乏暮らしに付き合ってくれた嫁さん、根暗で本やゲームにのめりかんでた長女、逆にケバくて遊びまわってた次女、仕事を辞めて夫婦で田舎で暮らしていた両親も、そろそろお迎えが来そうで、揃って養老院に入った。
未だに年に一度は集まって酒を酌み交わしている、チームの仲間たち。
そういえばあの懐いてきてた後輩は、駆け落ちしてから会ってないけど、元気に暮らしているんだろうか。

五十か…、仲間内で俺が一番先に死んじまうんだな。
まあまあ楽しい人生だったけど、もう少し長生きしたかったかな。
今度生まれてくる時も、仲間たちとバカやって、笑っていられたらいいな。

そこそこ満足のいく人生だった。







………


……………

………………誰かに呼ばれている気がする…………。




気がつけば、目の前には懐かしい顔。
夢見てるのかな?
別れた時よりちょっと大人な顔の後輩が、あの頃と同じ様に懐いてくる。
しかも俺も同じ年くらいまで若返っている。
夢かな。

後輩の周りには、白い男?と緑の髪の男、紫の髪の子供がいる。
皆美形だな、ビジュアルバンドか?

話を聞くと、変態に売られた子供を助けに行くから、手を貸せと。
それを言葉じゃなく、頭の中に映像を流してくる……話じゃ無いじゃん。

つうか魔法を使ってるよ、コイツ。

うん、コレ夢だな。

夢なら暴れても大丈夫だよな。

だってマジムリ、あの映像で見た内容は、子供を持つ親としては許し難い。
手渡された鉄パイプを握りしめて、子供の救出に向かう。


そこで予想以上に胸糞悪い話を聞いて、ガチにキレたよ俺は。
歪んだ性欲を満たすために、相手の体を切り刻むとか、あり得ねえだろ。

でも俺以上にキレたジョニーが、魔法で変態らをブチ飛ばし、それだけでは怒りが収まらないのか、首謀者のオッサンを、魔法で滅多撃ちにしている。

それを見て遅れて逃げようとした残りのオッサン達の手足を、逃げられない様に砕いておいた。

呻き声が上がってるって事は、死んではいないんだろうけど、そろそろ止めないとヤバそうだな。
ガチにキレてるジョニーに近づくのは、正直気が進まないし、ぶっちゃけて言うなら、オッサンが死のうが関係無いけど、ジョニーを人殺しにはしたく無いからな。

「ジョニー、落ち着け」

声をかけながら、ジョニーの両肩に手を置いた。






ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー



暴力シーンを避けるため、先輩視線にして、リンチシーンをサラッと流しました。
……流れてない?


ジョニーもだけど、ちょこちょこ死語が入るのは、そう言う年代だからです。




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