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ホルノーン

11 潜入?

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第三者視点です

残虐な表現があります、ご注意下さい


ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー




ジョニー達4人は、【一時的に姿の消える薬】を飲んだ後、施設内に侵入した。

二階建ての建物の、一階の一部屋に灯が灯っていて、そこに職員の4人が揃っているのが確認できる。
どうやら酒盛りをしているらしい。

チャックが窓の隙間から二階を確認しても、子供達の姿は見当たらない。

ジョニーが念話でブルース達に聞いたところ、彼方の施設では半地下が有り、その個室に子供達は居たそうだ。
それを聞いて探してみたけれど、半地下どころか、地下室もありそうにない。

それどころか、いくら気配を探しても、この建物の中に、ジョニー達4人と、職員の4人以外の人の気配が無い。

「ひょっとしてもう連れて行かれたのでしょうか?」
「そうみたいですね」
ジョニーの言葉にアインが頷く。

「どうするの?職員締め上げる?」
「何処に連れて行かれたのか、聞くしかないんだから、締めるしかないんじゃない」
なるべく騒ぎは起こしたくなかったジョニー達だが、そうは言っていられない。

「じゃあチャックの魔法で麻痺させてから突入、4人を縛り上げましょう」
アインの案に頷き、姿を消したままのチャックがそっと部屋の入り口を開けて、酒盛りをしている4人の職員に、麻痺の魔法をかける。

「なんだ、酒が回ったか?
手先がピリピリして来やがった」
「んあ?なんだこれ、俺も痺れて来た」
「酒に変な物でも入ってたか?
それとも食い合わせってやつか?」
随分と酔いが回っていたのか、職員のうち3人は、酔ったせいかと笑っていたが、4人目の職員は酒のせいではないと気づいた様だ。

「馬鹿野郎、酒じゃないだろ、これは魔法だ」
その言葉に3人も警戒を強めようとしたけれど、少し遅かった。
3人は麻痺して椅子から転げ落ちる。

魔法だといち早く気づいた職員は、魔法防御を展開したおかげで、深くかかる事はなく、少し痺れながらも、壁際に立てかけてあった剣を取り、周囲を見回す。

「誰だ!何処にいる!」

「『誰だ何処にいる』と怒鳴っても、『はい、ここに居ます』なんて答える者は居るわけないのに、なぜ問いかけるのでしょうか?
様式美ってやつですかねぇ」
ジョニーが思わずツッコミながら手足をを縛り上げ、床に転がす。

姿を見せるのは都合悪いかと、姿を消したまま、尋問を開始した。
「なぁ、おっちゃん達、ここに子供居るって聞いたのに居ないんだけど、何処に居るの?」
「…………………………」
シナトラが尋ねてみたけど、職員達は口を開かない。

「指の一本でも落としてみる?」
「……怖い事を言わないで下さいよ」
チャックの提案はジョニーが却下する。
「でも聞いたくらいで喋らないでしょう。
痛い目に合わせないと、子供達の居場所なんて分かるわけないんじゃない?」
チャックは力任せに吐かせる気満々だ。

「力で訴えるのも良いですけど、こんなのはどうでしょう」
フード付きの黒いローブを着たアインが、薬の効果を消し姿を現した。
顔を隠す為に、アイマスクを付けている。

「え?いつの間にそんな小物準備してたんですか?」
黒いローブから覗くのは、黒いアイマスクと、白い肌だけで、とても怪しい雰囲気を醸し出している。
そのアインはマジックバッグから、掌に収まる大きさの金の小瓶を取り出した。

「丁度いい所に骨つき肉が有りますね、これで試してみましょう」

テーブルの上の皿に、食べかけの骨つき肉が有る。
その肉に、小瓶の中の液体を数滴垂らすと、ジュッ と言う音とともに、刺激臭が部屋の中に広がった。
液体を垂らした箇所は、骨ごと溶けて穴が空いている。

「ふふふ、この薬、肉も骨も、爪や牙でも溶かすんですよ。
口から飲ませるのも良いですけど、寝かせて目玉に一滴垂らしたら、脳まで溶けるのか試してみても良いですか?」

マスクで目元を隠した、黒いローブの死神の様な男が音も立てずに近寄る姿は、職員達の恐怖心を煽る。
麻痺していない職員は、縛られたままジタバタと体を動かし、少しでも離れようとする。

「や…、やめてくれ!
何でも言うこと聞くから、それを近づけないでくれ!」
麻痺して動けない3人は、せめて視界から消したいとばかりに、ぎゅっと目を閉じる。

「私達は子供が何処にいるのか聞きたいだけです。
……だから4人もいりませんよね?」
ニッコリと笑うアインの姿に、麻痺して横たわる職員のズボンにシミができる。

「こ!子供達は出荷した!
1日くらい早く寄越しても問題ないだろって、客が!
だから渡してもう居ない!」

男の言葉に、麻痺している3人も、嘘ではないとばかりに、視線で訴える。
マスク越しの視線に疑われていると感じだ男が言葉を重ねる。
「本当だって、無事出荷できたから酒盛りをしてたんだ」

「………嘘ではない様ですね。
勿論子供達を連れて行った場所も教えてくれるのですよね?」
「勿論だとも!客の屋敷と名前と教える!
壁の絵の後ろが金庫だ、そこに顧客名簿が有る、鍵は食器棚の一番下の棚の裏に貼り付けてある」
言われた場所に鍵は有ったので、金庫を開け、書類を取り出す。

「これであなた達はホルノーンを裏切った事になりますね」
「もう国には戻らない、この仕事も二度としないから、命だけは助けてくれ」

アインはジョニーが居るであろう方に向かい「どうしますか?」と問いかける。

「ここで時間をかけるより、子供達を助けにいきましょう」
「分かりました。
………試してみたかったんですけどね」
アインの言葉に、職員の一人は気を失った。

そうだと、アインは職員達に近付き、透明な石の付いた首輪を一人ずつに嵌めていく。
「この首輪は心臓が動いている限り外れない魔法を掛けてあります。
これであなた方が何処に居るかが分かります。
例え他の大陸まで行こうとも、何をしているのか私に伝わってきます。
次に犯罪を犯したら、実験材料になって頂きますからね。
ふふふ、私としてはそちらの方が楽しいのですけど」

アインの笑顔に、全ての職員が気を失ったのを見て、興味を失った様に職員の元を離れ、ジョニーに書類を手渡した。

「便利な道具を持ってるのですね、魔道具ですか?」
ジョニーが尋ねると、
「そんな便利な道具は有りませんよ。
それは普通の拘束具です。
失敗したガラス片を嵌め込んでいるだけなんですけど、それっぽく見えますかねぇ」
アインなら、そんな道具が無くても、悪事を働いたら気付きそうですけどねと、ジョニーは思う。

「さて、子供達を迎えに行きましょう」
何事もなかった様に告げるアインに向けると、チャックとシナトラの瞳には、怯えが浮かんでいた。





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