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覚醒?
しおりを挟むさあ、気を取り直してリベンジ開始。
今度こそ美味しいご飯を!
お米を研いで……米粒を砕かない様力加減をして……水を捨てる時に米が流れない様慎重に…………あああ!
もう、俺の不器用さん!!
またもや米粒を流してしまったけど、前回よりは全然マシだよね。
うん、進歩進歩。
そして次は水の量か……。
前回は多くてべちゃべちゃになっちゃったから…こんなもんかな?
少なめに水を入れて竃に持って行こうとしたら……
ペチペチペチペチ……
おもちが背中をペチペチ叩く。
「ん?何どうしたの?」
「……………………」
相変わらず瞳は閉じたままなので、起きてるのか寝てるのかわからない。
寝ぼけたのかな?
「まぁ良いか」
と、歩き出そうとするとまた
ペチペチペチペチ……
『アルジ、何か伝えたがってるよ』
肩の上のアンズが言う。
「うん、そうみたいだけど、言葉喋れないし……アンズ、何言ってるかわかる?」
『わかんないけど…多分その食べ物の事を言いたいんじゃないの?』
うん、俺もそう思うので、試しに水場に戻って水の量を減らしてみた。
ペチペチペチペチペチペチペチペチ!
違うらしい。
ならばと増やしてみる。
少しずつ、少しずつ水を増やすと
ペチーン!
と一発思いっきり叩かれた。
赤ん坊だから痛くもなんともないんだけどね。
ちょっとだけびっくりした。
成る程、米に対して水の量は1.5倍って感じなのか……ってえ?
もしかして、もしかして、もしかするの?!
竃に移動して食堂の台所から火種を貰って来る。
興味を引かれたニブやロアが付いて来た。
竃に火を入れて風を起こしてもらい、火の勢いを強くすると……
ペチペチペチペチペチペチペチペチ!
どうやら火が強すぎたみたいだ。
薪を掻き出し火の勢いを弱くするとそれで良いみたい。
このまま弱火でじっくり炊くのかな?と思っていたら、暫くするとまたおもちがペチペチ叩く。
「えっと…火を消すの?」
ペチペチペチペチペチペチ!
「強くするの?」
ペチーン!!
ペチペチの合図のまま火加減を調節する。
すると良い匂いがして来た。
今度は成功?思わず蓋を開けようとしたら
ベシーーン!!!
と頭を叩(はた)かれた…。
今のは少し痛かった……、
火を止めてからも『ペチペチベシーーン』で合図され、ふっくらご飯出来ました!
蓋を取らずしばし放置の後、全体をざっくり混ぜるみたいなんだけど、混ぜ方までペシペシされました。
でも、これってやっぱり、おもちが神様の加護持ちの俺の救世主って事なんだよね?
これは味噌醤油やカレーも遠くない?
それどころか、材料さえ見つければ、いろんな物が食べれるようになるって事だよね?
ああ、ワクワクドキドキが止まりませんわな。
でも、でも、できる事なら早く言葉が話せるようになって欲しい。
いくら力のない赤ちゃんだと言えど、何度も何度も叩かれると、痛みは蓄積するのですよ。
俺の背中は只今紅葉模様です。
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