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山を降りたらまずはスキヤキに作って貰いたい物があったのにそれまでに色々有り過ぎてやっとスキヤキにお願い出来た件……長

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お腹にくっついてると危ないのでおもちは背中にくっつけて、カニスキにもらった布で落ちないようくるんで縛る……おんぶ紐…紐じゃないからおんぶ布?で固定して、下山したらやりたかった事をやりますか。

まずはチョココロネの手土産を片付けていたサクラの元へ行ってみると……


「えっと……サクラさん、何をしているのでしょうか……?」
「お帰りなさいませコー様。
先程マーマンの方から海の魚などを頂いたのですが、確か魚などはそのまま置いておくと悪くなると聞いた覚えが有りますので、コー様がお戻りになられるまで保つように少しでも涼しい土の中に埋めておこうと思いまして」

あー、びっくりした。
頂き物が気に入らなくて埋めてるのかと思った。

でも確かにすぐ食べるなら良いけど、一度に全部食べるの勿体無いかな?
それならば、ちょっと試してみようかなと、オニギリとカマメシを呼んできて貰った。

「カマメシは氷魔法使えるんだよね。厚さこれくらいで大きさこれくらいの板10枚くらい作れる?」
これくらいって、厚さ10センチ、縦横30×50センチ程の大きさを手振りで伝える。

「別にいくらでも作れるわよ。はい」

多少の誤差は有るけど想像通りの氷の板を作って貰って、下に二枚重ねて四角っぽくなる様並べる。
その上にコの字に囲って上に二枚載せる……あ、一枚余った、真ん中に入れとこう。

イメージで言うとスーパーのレジカゴ横にした感じ?
それをオニギリの土魔法できっちり覆ってもらい、日除けの為のひとまわり大きな風通しの良い囲いを作ってもらう。

俺式氷室だね。

「この中に入れると肉や魚なんか長持ちするんだよ(多分)」
「あら、こんな面倒な事しなくても凍らせたらすぐじゃない」
「いや、そうすると風味が落ちる……気がする?
凍らせて溶かすと美味しくなくなった様な?」

生物や果物なんかはとりあえず冷蔵庫に入れるもんだと思ってたから、返事があやふやになっちゃうよ。

「果物とか飲み物も冷やすと美味しいし、出来れば氷が溶けたらまたお願いしたいんだけど、ダメかなぁ」
「あら、そんな可愛い顔でお願いされて嫌なんて言うわけないでしょ!
いつでも言いなさいよ、氷魔法なんてアタシしか使えないんだから」

バッチーン!とウインクされた……
とりあえず頂き物の魚介類を中に入れる。
海藻類は干しておく。

……海藻乾燥させると昆布になるのかな?
まぁ実験実施。


*****


オニギリは家造りに戻って、サクラはカニスキの元へ。
カニスキ夫婦は町外れに自分達の住処、新たなるカラフルゾーンを作っていて、そのお手伝いだそうだ。

カマメシは
「踊る筋肉~唸る筋肉~」
と歌いながら建設現場に筋肉ウォッチへ……見なかった、聞かなかった、考えない…………よし。

俺はスキヤキの家へ向かう。
スキヤキの家は鍛冶場が有るのでカラフルゾーンとは反対の町外れの川のそばにある。

他の家より大きくて、音が隣の家の騒音にならない様少し離れてる。
近づくとカーンカーンって鉄を打つ音が聞こえてきた。

「スキヤキ、今いい?」
「ん?どうした?」
「今何作ってるの?急ぎの物?」
「ん?コーが山に行く前に頼んでった物は全部出来たぞ、あそこ」

指差した場所にはノコギリと金槌と斧が複数置いてある。

「もうあんなに出来たんですか?凄いですね」
「んで今は小物……釘とか言ったかな?それを量産してる」

この世界には釘と金槌は無い。
木を組み立てる時は溝を作って嵌め込む方法だ。
だって金槌で釘を打つ筋力も体力も無いからね、人族は。

でもやっぱり釘と金槌が有った方が絶対効率良いと思うし、魔族なら問題なく使えると思うから、スキヤキにお願いした。

「でだ、ドワーフの奴らも呼び寄せたから。
奴らが来たら生産速度上がるぜ」
「ありがとうこざいます。
ドワーフ族はどんな方々なのですか?」
旅の途中会ってないよね、確か。

「ん?基本的に地面に穴掘って住んでんな。
土魔法と火魔法使える奴らが殆どで、鉄で色んなもん作ってるんだけど、実用品って殆ど無いな。
大きい塊とか薄く伸ばしただけの物とか、どれだけキレイな四角を作れるかとか、意味の無い物ばかり作ってるな。
何を作ったらどんな事出来るってわかんないんだから仕方ないね」

ああ、成る程、物を使う文化が無いからオブジェみたいなものになるのか。

「だから俺が街で人族に鉄の可能性を教えて貰ったんだ。
凄いよなぁ、武器や防具や調理器具……でも鉄で作ると重くて使えないから軽金属で作ったけどな」
「ここの皆なら多少重くても問題なく使えるでしょうから、ガンガン作っちゃって下さい。
俺の居た世界では、鉄を使った色んな物が有りました。
全部って訳にはいかないですけど、生活が便利になる物色々作って欲しいです。
出来る範囲で良いのでよろしくお願いしますね」
「おお、鉄の事なら任せとけ!」
「それじゃあ取り急ぎ作って貰いたい物が三点有るんですけど……」

俺は地面に図面を書いて大きさや用途を説明する。

「どうですか?作れます?」
「ん?コレとコレは簡単だからすぐ作れるぞ。
陽が傾く前には出来るな。
こっちはちょっと時間くれ」
「おおおー、有り難い!
それではこの二つお願いします」
頭を下げてウキウキ気分で食堂に戻る。

食堂には一息入れてるガーリックとアンズが居た。
「あ、ガーリック、途中で持って帰って貰ったやつどこに有りますか?」
「あー、隣の小屋に置いてるよ」
「ありがとう。シルジット達はまだ戻って来て無いの?」
「まだみたいだね」

んー、どうしょう、シルジットとホッティが居ないとなると後は……

「ガーリック、ちょっとお願いが有るんだけどいいかなぁ」
「私に出来る事ならね」
絶対俺よりガーリックの方が器用だから、是非手伝ってもらおう。

「まず荷物置いた所に行くの?」
椅子から立ち上がって近寄ってくる。
おや?アンズは?
「アンズどうしたの?」
いつもなら俺にくっついて居るのに、そう言えば食堂出る時から側に居なかったよね。

『………………』

返事がない、寝てるのかな?
「…………」
ガーリックがちらっとアンズに視線を送ったけど、そのまま外に出て行った。

頭の中にクエスチョンマーク浮かべながら、ガーリックの後を追って隣の小屋へ向かう。






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