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まだ続く山の探索

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二日目、一晩寝て流石に落ち着いたホッティとシルジットを連れて出発。
……それでも名残惜しそうだったけどね。

その日最初に発見したのは、はまたもやの木の実ゾーン。
下とは違う種類の果物や木の実がたわわに実ったゾーンだ。
酒造りに持ってこいな酸っぱい葡萄も有ったのでここも要チェック。

更に登ると木々は減ってきて、今度は何と言うんだろう、野菜ゾーン?
とうもろこしやそら豆、西瓜やトマト、茄子にキュウリ、葉っぱ系の野菜は……ほうれん草の他はわからない。

自然発生らしく、形は不揃いで、葉っぱ系は虫食いが有り、キュウリなんかはクリンクリンしている。
そしてじいちゃん家の庭の畑にも沢山なってた、じいちゃん曰く万能豆の枝豆。

塩茹でして枝豆、乾燥させれば大豆、絞って油、絞りかすは鶏たちの餌、発酵させて納豆、茹でて絞って豆乳、にがりを加えて豆腐?豆腐からおから?どうにかして味噌、こうにかして醤油、粉にしたらきな粉だっけ?

豆乳と豆腐とおからときな粉はばあちゃんが作ってたな。
作ってるとこ見たこと無いから作り方は知らないけど……。

ああ、もっと色んなことに興味を持っておくんだった!

夕食時に塩茹でした枝豆を久しぶりに食べたけど、枝豆美味しいよね。
皆にも好評だった。
これは町が出来たら畑作って育てたいな。

俺はは成っているところを見た事なかったからきづかなかったけど、胡麻とか胡椒とかサトウキビとかも有ったらしい。

胡麻は粒を見ればわかるけど、さやの中に入ってると全然わからない。
ましてサトウキビなんて言われてもわからないよ。


元の世界では肉スキーで、まずはお肉、そして洋食、だったのにこちらの世界に来てからは、食べれないと思うからなのか和食が食べたい。

特に煮物やおひたしはほぼ毎日食卓に上ってたから「またか」とか思ってたけど、非常に食べたい。
早く味噌や醤油が手に入らないかな。


*****


翌日も山を登りそろそろ山頂って所にそれは有った。

最初見た時はアケビかな?と思ったその植物、近くで見てみると薄っすら繊毛の生えた紫色っぽい蔦に生えた実で、熟したアケビみたいにバッカリ開いて中身が見えている。

中が白っぽいから遠目では本当にアケビだと思って、大して好きでも無いからスルーしようとしてたんだけど、シルジットの言葉で足を止めて大正解だった。

「コウイチ様、あの実も採って行きませんか?」
「アケビでしょ?
俺はあんまり好きじゃ無いけど、好きな人も居るだろうから少し持ってく?」
「アケビ?……コウイチ様の居た世界ではそう呼ぶんですか?
こちらではタッカクと言いますね。
実を乾燥させて粉にして麺にするんですけど、少し変わった風味で人気が有ります。
ただなかなか手に入らないので収穫して行きたいのですが」
「ん?甘い果物じゃ無いの?」

麺を作るって言うなら穀物?…………もしかして……
タッカクの実を一つ捥いで中の実をよく見てみると……これってどう見ても米だよね?
しかも白米……だよね?木の実だけど、米だよね!

「これって麺にするだけ?
ご飯にして食べれないの?」
「…ご飯……ですか?
それはどう言う食べ方なのですか?」
「これってそのままじゃ食べれないから、麦みたいに粉にして麺を作る物なんじゃ無いの?」

シルジットもガーリックもご飯は知らないみたい。
完熟と言うのか、今にも弾けそうになってる実から白米を取り、米を炊く準備は無いのでとりあえずお粥みたいに煮てみる。

「ああ、やっぱりお米だ、お粥だ、あー、久しぶりのお粥美味しい……」

しみじみと呟きながら久々のお粥を食べる。
お粥なんて病人食だし、大して美味しいと思った事ないのに、今とても感動している。
やっぱり日本人には米だよね。

どうやらこのタッカク高山でしか育たない為、平地では培養出来ないから珍しい物だけど、山の高い所には雑草並みに生えているそうだ。

麺を作るには小麦が有るし、人族としては魔族と取り引きするのなら小麦で作れる物より肉や魚の方が優先になるのは納得だ。

でもこれ麺だけじゃ無いんだよ、米が有れば……
おにぎり、雑炊、チャーハン、丼物なんかも…………
ああ、妄想が止まらない。
大量に収穫して持ち帰る事にする。


*****


その後は足取りも軽くサクサクと山頂を目指し上って行った。

タッカクの群生地から先は、背の低い雑草がちょろっと生えている鉱石地帯だ。
なぜに水晶が剥き出し?
水晶って山の中の洞窟に有るもんなんじゃ無いの?

とかそう言うのはもう考えるだけ無駄だと理解している。
この山自体が季節や土地柄的なもの一切無視なんだし。

ふと思い出した神話の神様でウカ…ウタ……ウケ……?そんな名前の食べ物の神様がいたような。
そんな神様の加護のある山、俺の中ではそんなイメージなのでこの山は【ウノ山】と呼ぶ事にした。

そして、そして、そして!米を持ってウキウキ下山。
え?タッカクだって?
もういいの、これは米、稲の実が米なんだからタッカクの実も米でいいの!

一刻も早くご飯を食べたくて、ガーリックに抱えて貰い一足先に空から下山。
シルジットとホッティはもう一度薬草ゾーンに立ち寄るそうなので、お先に失礼しま~す。





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