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宴〜やっぱりお酒は必要だね
しおりを挟む『何だ?これ?』
『今まで嗅いだ事ない匂いだな』
『何だ何だ?人族の飲み物か?』
配られた葡萄酒っぽい感じのお酒の匂いを皆が嗅いでいる。
うんうん、初めての食べ物や飲み物ってとりあえず匂い嗅いでみるよね。
「まぁまぁ、俺達の友達のドワーフが持って来た手土産だ。
毒が入ってるわけでも無いし、ちょっとずつだけど、皆も飲んでくれ」
「コー、ご飯の時は『いただきます』だろ?
酒を飲む時も同じなわけか?」
挨拶は大事と、日常の挨拶をする様にしてるんだけど、今まで飲む事無かったから初めての挨拶……合言葉?
「では皆カップを持って、俺が『乾杯』って言ったら皆も『乾杯』って言いながら、近くの人とカップを軽く合わせて下さい。
……じゃあ良いですか……カンパーイ!」
「「『カンパーイ!』」」
いや、絶対やると思った!
だから軽くって言ったのに、かなり激しくカップ同士をぶつけてあちらこちらでお酒が溢れてる。
「あ、初めてのお酒なんだから一気に飲まないで…………」
遅かった。
皆一気に酒を呷ってる……何だか嫌な予感しかしたいよね………。
『あーっはっはっはー!何だコレ!』
『あれ?お前三人居るぞ?分裂したか?』
『うひゃひゃひゃひゃ~』
『揺れてるぞ!地面が揺れる!気をつけろ!』
「きゃ~はははは、やだぁ~~」
『ZZZZZ』
想像通りです。
二口三口くらいしか飲んで無いはずなのにカオスです。
先程までただの食事会だったのに、一気に宴会って雰囲気になりました。
……お酒って凄い………。
*****
翌朝、飲んだ量が少しだったからなのか、皆の肝臓が強いのか、二日酔いになる事なく朝から元気です。
やっぱりお酒飲む前と飲んでからでは、皆の雰囲気とか全然違ったし、これからも宴や何かめでたい事があった時の為に、お酒を準備した方が良いかと判断する。
俺は飲めないんだけどね、皆の為にも作れるのなら作ろうかな。
オーガの中で一番陽気になってた三人を呼んで、相談してみた。
酒が気に入ったなら、作るのも賛同して、ついでに作るの頼めるかな?と思ったから。
「昨日少しだけどお酒飲まれましたよね。どうでした?」
『いやー、アレは良いな』
『人族はあんな良い飲み物持ってんのか』
よしよし、乗り気だね。
「あれ作ってみませんか?」
『何だって!』
『俺らにも作れんのか?』
『作ったらまた飲めんのか?』
うんうん、良い食いつきだ。
この三人にも街へ行って貰おう。
新たに酒造りの指導を受けさせてもらえるよう手紙に書き足した。
出来れば料理も覚えてきて欲しいけど、魔族の人達は味に拘らないようだし、それは無理かな。
食いしん坊の純血種のチョココロネなら……でも長い事水から離れるのは無理だろうし、人型になれるかもわからないから、今度再会したら聞いてみよう。
とりあえずは、建築と衣装と酒造りを指導してもらう事で良いかな。
*****
そして別れの時が来た。
「それではコウイチ様、町づくり頑張ってください」
「落ち着いたら城にもまた遊びに来てくださいね」
「皆気をつけて帰ってくださいね」
「私はもう暫くこちらに居ますが、手紙の件は宜しく頼みますよ」
「……なるべく早いお帰りをお待ちしております」
スケエリアがとても名残惜しそうにしてるけど、ここはごめんなさいだ。
「暫くは無理でしょうけど、また必ず会いに行きますね」
「再会を楽しみにしております」
「それでは……」
挨拶を交わし馬車を見送った。
「修行に行く時会いに行きますね」
スケエリアと仲良くなったサクラも一緒に見送りだ。
「皆さん頑張ってください」
一月弱しか一緒に居なかったけど、別れはやっぱりちょっと寂しいな。
でもやる事は沢山あるんだし、いつまでもしんみりしてられないな。
馬車を見送った後、今日の予定をこなす事にする。
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