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宴〜準備編

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夜は宴だ。

俺的にはお別れ会?
カクムンドさん達お疲れ様でした慰労会?

アンズとワーウルフがあの牛もどき沢山狩ってきて、シルジットとホッティが山に迄行って、山でしか手に入らないハーブを採ってきてくれた。

オーガ達は川で魚や蟹……?足が四本だけど蟹みたいなのや緑色の海老?川なのに海老?みたいなのを………ってそれ食べれるんだよね?

オネエ二人は卵を持って来てくれた。
旅に出て始めての卵料理が……と一瞬喜んだけど、純血種が卵から生まれるって聞いた後に卵料理って、何となくシュールか気がしないでも無いんだけど……。

「何いってんのよ、ちゃんと鳥の卵よ!」

いや、わかっていて思春期の男の子としては、ちょっと、ほんのちょびっと複雑なんですよ。


料理はスケエリアが興味のある人に作りながら教えている。

オーガの二人とガーリックも楽しそうに料理を作っている。

ホッティも興味はある様だけど、人見知り発動でチラチラと覗き見はしているけど、輪には入れないみたい。
かなり慣れたシルジットに調合したハーブを渡し、スケエリア達に使うように届けてもらったりしている。

イメージ的に料理しそうなオネエ二人は、今夜寝る簡易小屋を作ってるオニギリ達の筋肉鑑賞をしている………。

「二人とも料理はしないの?」
「やぁだぁ~、料理って作るものじゃなくて食べる物でしょ?」
「そうよ、アタシ達は味のアドバイスをする味見係をしてあげるの。
こ~んなステキなあたし達が料理までしちゃうと、完璧過ぎて近寄りがたくなっちゃうじゃない?」
「いやだぁ~、強くて美しくて空も飛べて料理までってなったら他の人に悪いわよ~」
「そうそう、みんな自主喪失して生きる気力なくしちゃうわ」
「や~だぁ~~」

…………………………コミュニケーション取ろうとした俺が馬鹿でした。

カクムンドさん達の所に行って、このモヤモヤはパンを捏ねる力にしよう。
あ、どうせなら小麦粉も塩も有るんだからうどん作る?
めっちゃコシのあるうどんが出来るかも。


*****


日が暮れる頃には宴の準備は整った。

「じゃあ準備も整ったし、食べますか」

お酒なんか有ればここで「カンパーイ!」とかになるんだろうけど、酒の準備無いし、何より俺は飲めないから、ちょっと締まりがないけど皆んなで「いただきます」だ。

宴と言うには静かな。
ただ大勢で集まった食事会みたいな雰囲気の中、背後から声をかけられた。

「あら、お久しぶり。場所が決まったから来たわよ」
「お兄ちゃん久しぶり」

ラムネ入りの壺を持った……と言うと違う風に聞こえるかな?
ラムネは本体チューリップだから、チューリップの植えられた壺(植木鉢の代用品?)を持ったカニスキが現れた。

「お久しぶりです。
丁度今から宴が始まるんですよ。
動物の肉とか食べれますか?」
「私は雑食だから何でも食べるけど、この子には新鮮な水か果物いただけるかしら」

スペースの有る場所で、カニスキは脚を折って座る。
……こ、怖い…………、蜘蛛が危険を感じたり死んじゃうと脚をくるっと丸めるじゃん、モロあんな感じなんだもん。
しかも巨大……。

俺はなるべく直視しないよう、微妙に視線を外し食べ物をカニスキの前に置きながら話しかける。

「丁度良かったです。
明日にはスケエリア達街へ戻るんですよ」

自分の事を言ってるのに気づいたスケエリアと、話をしていたサクラが近づいて来る。

「こんばんは、お久しぶりです。
折角再開したのですけど、私明日にはここを立つんですよ」
「そうなの?残念ね。
でもある意味ではタイミング良かったかも。
待ってる間に作ったからいくつか持って行ってね」

カニスキが持っていた荷物からカラフルな布を取り出す。

「これは……とても綺麗ですね。
貴女が作られたのですか?
……手触りも素晴らしい…」
サクラが興味津々だ。

「ええ、私が布を作ってこの子が色を付けるの」
「とても綺麗な色ですね。種類も豊富ですし素晴らしいですね」
「えへへへ、褒められちゃった」

両手で顔を隠しラムネが照れ笑いする。
その様子を見たカニスキが身悶えしている。

うん、ブレない人だ。





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