【完結】異世界に召喚されて勇者だと思ったのに【改訂版】

七地潮

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ドラゴンの言うことにゃ 続き

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「!み……耳が……」
耳が痛いし脳も震えて体にも響く。

『おお、すまんな、余りにも面白い答えだったからな』

うわー、くわんくわんしてるよ
「いや、だって他の事って言われても、過去の事聞いても仕方ないし、これからの事は自分達次第だと思うし」

『ほほう、やはりお前は好ましいな。
そうだ、過去は過去、未来は自分達次第、理だな』

理と言うか親の教えかな。
過去に拘って捉えられると前に進めないし、未来は周りが決める物でもこう有るべきと決めてしまうものでもなく、時と場合によって良いと思う方に進む。

現実主義の父さんと、妄想世界の母さん、人生経験豊富なばあちゃんの教えだね。

『ほう、いい親だな』

「ありがとうございます」
ちょっと照れくさいけど、褒められると嬉しいな。

『では思うようにやれば良い。
失敗から学ぶ事も有るだろうが、お前ならアレの望みも叶えられるだろう』

アレとは女神の事かな?

『食べ物に関しては、米は全く同じでは無いが、類似の穀物が有るので探すが良い。
他の物に関しては、今年生まれる純血種にアレが加護を付けるので、育つのを待つが良い』

「加護とは調合のスキルですよね?
でも今も調合のスキル持っている仲間が居ますけど、まず俺自身調味料などどうやって造られてるかわからないから説明出来ないし、説明出来ない物は作れないのでは?」

『ふむ、そうだな。
なら我からの加護も加えてやろう。
材料がこちらの世界に有る物で、お前が頭の中で味を思い出せる物を再現出来る様にするのはどうだ?』

「思い浮かべると作れる?
………頭の中を覗かれるのですか?」

『イメージが伝わる、だな。
但しそのイメージ通りに再現するのに試行錯誤を重ね、そのイメージに擦り合わせていく、と言う形になるがな』

うーんと、昔の人が豆がどうにかなってるのを何とかかんとか味噌まで改良していった、みたいな工程をそのスキルで補正して作れる様になるって感じなのかな?

『そう言う感じだ。
後はそのイメージを再現出来るのは食べ物に限る。
お前の居た世界の物はこの世界にはまだ早い。
故に食べ物関してのみとなる』

「全然問題有りません。
とても有り難いです。
生活環境の違いは我慢できても、やっぱり食べ物は日本人としてかなりの比重が有りますから」

え?食いしん坊の僕だけ?
いやいや、飽食の日本人なら食べ物は大事だよ。うん。
だって、色んな小説なんかでも、飯テロは多いじゃん。

『後は…我はこの大陸の一部となっておるので仲間にはなれぬが、ここに案内して来た男を代わりに連れて行け』

「え?要らない」

思わず即答してしまったら、ガーリックがぶっと吹き出した。

『まあそう言うな。
そこのもアレも同じく我の一部なのだから』

「え?」

『我の身体の一部に意思と使命を与えた命だ。
アレはまだ我との繋がりが強い故、何かあればアレから我に伝わる。
そして我の意思でアレを動かす事ができる故力を貸す事が出きるぞ』

「え?ならあの添い寝とかももしかして……」

『いや、それは違うぞ。
我の一部と言えど、一度離れて意思を与えれば別の命となる。
それぞれの意思で個性も出てくる。
だがアレはまだ繋がりが強い故意思を乗っ取る事ができる。
無論必要時以外はしないがな。
緊急時には力を貸せる』

それまで黙って話を聞いていたガーリックが、恐る恐るドラゴンに問いかけた。

「私の意思も乗っ取られるのでしょうか?」

『いや、稀に強い思いが我に届く事はあれど、他の者達との繋がりは薄くなっておる。
意思を乗っ取る事は出来ぬな』

そうですかと、少しホッとした様に答える。
緊急対応は嬉しいけれど、通常時が『アレ』なんだよね…トラブルメーカーになりそうな予感ビシバシデスヨ。

「一応ありがとうございます?
でも出来るなら神様の力を借りずに、自分達だけでやって行こうと思います」

『それで良い。
無論何でもかんでも力を貸せる訳ではない。
最終な手段が有るとでも思うが良い』

「はい。ありがとうございます。
……でもあの性格はもう少しどうにかなりませんかねぇ」

『無理だ。
あれがアレの個性なのだからな』

性質は変えられないか。
トラブルが無ければ良いな…。


その後町を作るのに適した場所を教えてもらい、ドラゴンに別れを告げた。

ある意味ファンタジーにオネエキャラは付き物だけど…皆仲良くしてくれるかな……。

もうちょっと普通な……まあ言っても仕方ないか。

よし、皆んなと合流しよう。




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