47 / 94
エルフの魔法
しおりを挟む「じゃあ私は穴を掘ろうかね」
「なら私は水を貯めるよ」
「そこの木を大きくしようかね」
「よし、あんたの髪を伸ばしてやろう」
言いながら指をさすと、地面に穴が開きそこに水が湧き出す。
指をさされた木は大きくなり沢山の実を付けた。
そして俺の髪が伸びた……。
「魔法はね、有る物に作用するんだよ。
今みたいに土に圧力をかけると固くなり、甕の様になるから水を溜めれる」
「水は空気中に有る水分を集める」
「木は育つ力に作用して発育を促した」
「あんたの髪も成長を促したのさ」
一緒に外に出ていたシルジットが、紐を手渡してくれたので、腰まで伸びた髪を何とか縛る。
後で誰かに切ってもらおう。
エルフの言う様に、魔法は有る物に作用して効果を表す、成る程理解はできる。
しかし疑問が一つ、
「詠唱とか魔法名を言わ無くても、発動するんですか?」
「詠唱って何だい?」
逆に聞かれてしまった。
「えっと、例えば『風よかのものを吹き飛ばせ、ウインド!』とか…」
魔法と言えば詠唱と魔法名じゃ無いの?
確かどこかで読んだ話だけど、効果を詠唱して、魔法名を発言する事で魔法が発動するとかなんとか。
疑問を投げかけたら、四人は目を見合わせて吹き出した。
「何だいそりゃ、恥ずかしいねえ」
「お前さんは明かりをつける時にでも一々前置きするのかい?」
えー?明かりをつける時…?
「例えば『光よ、集う闇を打ち払え、ライト!』とか?」
…………ナイワー……。
自分で言葉にしてても思ったよ。
ナイワーーーー
なんだろう、魔法ってファンタジー世界の物で、現実には無いから色々ドリームが広がって、詠唱とか魔法名を叫ぶとか思ってた。
けど、普通に生活に使うなら、一々行動を口に出すなんて事はしないよね。
聞いてる方も恥ずかしいけど、言ってる方も恥ずかしい。
魔法と浮かれたけど、冷静に考えたら、詠唱ってかなり羞恥プレイだ。
「精神集中とかで詠唱するとか、魔法名叫ぶとかも無いんですね」
「無い無い。
集中するのにペラペラ喋ってどうするの」
確かに、詠唱するのに気が行っちゃって、集中できないよね。
それに戦いの時に魔法名叫ぶと対策取られそうだし。
野球で投げる前に「カーブ投げるぜ!」とか言ってる様なもんだね。
こんなこと言ってたら、漫画家さんや小説家さんからクレー来るかな。
こんな残念世界なのに、何でこんなとこだけキッチリしてんのかな?
本当、この世界の責任者とじっくり話し合いたいね。
あ、でもあの女神じゃあ話し合っても無理か。
あー、なんだかモヤモヤする。
理解はできても、何だかモヤモヤしたまま食堂に戻る。
「まあこんな事くらいしかできないけど、協力はできないね」
中に戻ると冷めたいたお茶を、コボルトが温かい物と交換してくれた。
ありがとうと受け取って折角なので一口飲む。
正直思った以上にショボいけど、例えば畑を作ったりしたら役立つだろうな、と思ってたのに断られた。
「作物などの発育を促すだけでも大変役立つのですが、無理なのでしょうか」
「手伝ってやりたいのは山々なんだがね……」
四人が口をつぐむ。
暫しの沈黙の後、案内してくれた男性エルフが声を掛けてきた。
「手伝いは無理と言う事だ。
そろそろ俺達は夕食にするからこの辺でお開きにしてくれ。
仲間が森の外に居るんだろ?送って行ってやるよ」
追い立てられる様に外に出された。
協力できないと言うなら仕方ない、無理に頼み込むものでも無いしね。
俺たちはエルフの村を出る事にした。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる