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エルフの住処へ
しおりを挟む三人?でご飯を食べながらホッティに話しかける。
「で、ホッティはアンズに何か用が有るの?」
ホッティはオドオドしながらも口を開く。
「…スライムの体………薬になる……ムカムカする時…飲むとスッキリ……
体…分けて……」
スライムの消化機能?スキル?が胃腸薬みたいな物になるのかな?
「アンズの体ってそんな効果が有るんだ」
『ん?そう言えば昔もそんな事言って体を寄越せって襲われた事有ったな』
「え?大丈夫だったの?」
「……スライムに…戦い挑む……バカのやる事………戦って勝てる訳ない…。
…だからお願い……少し体…下さい…」
ペコリと頭下げられても…
「アンズ、体あげるとか出来るの?」
『アルジと戦った時削ったでしょ?
ああいった破片が薬になるらしいよ。
前の時は刃物持ってない相手だったから、返り討ちで終わったけど、薬作ったらアルジの役にも立つんでしょ?
なら削って良いよ』
アンズちゃん!なんて良い子!
「でも痛くないの?」
いくら薬になるとか言われても、こんな健気で可愛いアンズに痛い思いさせるなんて俺には無理!
『んー、痛いとかないよ。
アルジが頭の毛切るみたいな感じ?
だから大丈夫だよ』
戦った時がっつり削ったけど、数日で元通りのサイズになったから、痛くないなら少し貰って良いかな?
「本当に痛く無いんだね?
なら少し貰って良い?」
『大丈夫大丈夫。
でも削れば良いとか秘密にしといてね。
まあ負ける事無いけど、刃物持った集団に囲まれたくない………いや、それも面白いか』
顔も表情も無いけど、ニャリと笑ったのが伝わって来た。
アンズちゃんってば、可愛いのにバトル野郎なんだから。
ホッティに借りたナイフでアンズを少し削って、削った物をホッティに渡すと、凄く喜んだ。
アンズとは違う可愛いさが有るんだよね。
一人っ子だから弟が出来たみたいな感じかな?
いや、小動物的な可愛さか?
だから敢えて実年齢は聞かないでおこう。
*****
昼食も済んでいざ行かん、エルフの住む場所へ。
日が暮れる前にエルフが居ると言う森に着いた。
うんうん、見た感じ深い森のようでいかにもエルフが居そうですよ。
ただ森に馬車は入れそうに無いので、二手に分かれる事にした。
人族の言葉が通じるとの事なので、説明係にシルジット、魔族の代表でオニギリ、何かあった時の為にアンズを。
残りは森の外で待っててもらう。
何かあった時の防衛は、トンソクとサクラ、ワーウルフで何とかなるかな?
カクムンド達は当てにならないし、ホッティも戦えば純血種だから強いだろうけど、性格的に自分から戦いはしないだろうな。
まあ、各自自分の身を守る事だけはやって貰おう。
ふふふふー、さてとエルフエルフ。
*****
森に入ってしばらくするとオニギリが立ち止まった。
「居たぞ、あそこに」
指差す方を見てみると、おおー、如何にもエルフと言う見た目のイケメンが二人居て、木々の間からこちらを見て居る。
「こんにちは、俺はコウイチ・ササキノと言います。
ちょっとお話が有ってここまで来ました。
宜しければ話を聞いていただけませんか?」
急には近づかず、距離を置いて話しかけると、顔を見合わせて何か会話をしたエルフは返事をしてくれた。
「人族とオーガだな?
名乗ったお前は人族とも魔族とも違うようだが」
おお、凄い、見てわかるんだ。
しかもこんな距離なのに。
「俺は別の世界から召喚されました。
この世界で魔族を束ね、魔王になる様に女神様から申しつかりました。
今、町を作る為に旅をしながら魔族の方達に理解を求めています。
そこでエルフの方も協力いただけたらと」
二人はまた顔を見合わせて頷く。
「詳しい話を聞こう。
家に来るが良い」
いや、詳しい話も何も今話した事が全てなんだけど。
補足はシルジットに任せよう。
とりあえずエルフの住む場所へ招かれた。
森の中の開けた場所に建つ数件の丸太小屋……ん?ログハウス?ウッドハウス?なんか言い方有った様な?
「木のウロとかに住んでるのかと思った」
思わず口にすると、案内の為前を歩いていたエルフが笑う。
「そこまで大きな木はそんなに無いからね。
実際問題この体の大きさで寝起きしたり食事したりするのにどれだけ大きな木が居ると思う?」
そりゃそうだ。
「空間魔法とかでスペース拡張とか?」
「空間の魔法?」
二人は頭を捻る。
「魔法の事はわからないな。
女性に聞いてくれ。
今の時間なら食事の準備してるからこっちだ」
「手前の方の小さな家は寝る家、中程の大きさは魔法の家、大きなのが話し合いや食事をする家だ」
感覚的に寝室、仕事部屋、食堂って感じなのかな?
今は時間的に夕食準備中で食堂に居るって事?
奥まった場所に、一際大きな丸太小屋が有った。
促され中に入ると男性が一人、床に座って矢の手入れをしていた。
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