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シーズンバトルに行き当たった(二回目)
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さて、カラフルハウスを出て、待合場所の沼に向かう馬車の中。
駄女神にクレーム入れて、今はまだ移動中。
そしてまたもやトラブル発生です。
*****
明日には待合場所に着くと言う昼過ぎ、林の中の広場でワーウルフのシーズンバトルに行き会ってしまった。
50匹近いワーウルフが集っている。
半数以上は一歩下がった所に居るので、そちらは負け組みが集まって会えるんだろう。
広場の中央では20匹程が闘っている。
牙を剥き、爪で引き裂き、体当たりをし、血塗れになりながら闘っている。
「迫力ある…」
小さく漏らすとシルジットも頷く。
「私も話には聞いていましたが、こうして間近に見るのは初めてです」
前回は海の中のスピード競争を、陸から見ていただけだもんね。
そうこうしているうちに、負け組がこちらに気づいた。
『おい、人族が居るぞ!』
『大事な闘いを邪魔しに来たのか?』
『なんだなんだ、ちょっかいかけに来たのか?』
『丁度いい、負けてむしゃくしゃしてたんだ、こいつらを追い払うのは俺がやるぜ!』
『なんだと!抜け駆けすんなよ、俺もやるぜ!』
あ…なんかやばい感じ?
「かなり唸ってますが、彼らは何か言っているのですか?」
あー、やっぱり言葉は俺しかわかんないんだ。
チョココロネとカニスキ達が別格だったんだね。
「シルジット、かなりヤバイです、他の四人と避難してください。
あと、馬車から木刀取って来てもらえますか?」
「わかりました」
四人を下がらせて、いきりたっているワーウルフの前に進み出る。
正直言って数が数だし、あの爪と牙を相手って不安でしかないけど、ここで俺がビビっていてはナメられる。
弱者判定されたら、逃げても追いかけて来られるかもしれないし、絶対馬車なんてすぐ追いつかれるだろうから、虚勢でもいいから引かないで強気で向き合う。
俺が負けたら皆がやられるから、やれるとこまでやらないと…。
『んー?何こいつ、俺たちに向かってくる気か?
人族のクセに生意気な』
『へへへー、お前俺より弱いんだからそこで見てなよ、こいつは俺がブチのめす!』
『なんだとー、俺は弱くねえ!』
『一番最初に負けたクセに』
『よーし、先にお前ぶっとばーーす!』
一部が内輪もめを始めたけど、まだ14,5匹はこちらに向かって牙を剥いている。
『アイツ木の棒持ってるぞ』
『何だよ、身体一つで闘うのが決まりだろ』
『何だよ、卑怯か?』
ワーウルフ達が騒めきだしたので、冷静に聞こえる様にゆっくり答える。
「そっちには立派な爪や牙が有るけど、俺には無いからね。
爪と牙の代わりに使わせてもらうよ」
『!!!!』
『おい!あの人族喋ったぞ!』
『人族なのに言葉が通じるのか?』
騒つくワーウルフたち。
「まあ、色々事情が有って、魔族の人達の言葉は通じるよ。
詳しい事は後でゆっくり説明するから、やるならとっととやろうか」
正直いつまでも対面している緊張感がキツイ。
やるなら早く終わらせたいから、敢えて挑発してみる。
『でもそっちは一人だろ?
弱い人族相手にこっちが複数だと笑い者になるからな。
誰がやるか決めるから待ってろ』
いつの間にか中央に居たワーウルフ達も、闘いを中断してこちらを見ている。
『えー、アルジ一人で楽しむつもりなの?
僕も混ぜてよ』
馬車の中で寝て居た(と思う、スライムって顔が無いからはっきりわからないけど)アンズがぴょんぴょん跳ねながら近づいてきた。
『!!!スライム……だと…』
『ふむふむ、ワーウルフね。
これくらいならアルジと俺とで楽勝だね。
纏めてかかってきなよ』
跳ねながら挑発するアンズ。
『ちっ…、スライム相手でもここまでバカにされたら引けないぜ!
皆、一斉にいくぞ!!』
中央に居た一番身体の大きなワーウルフが吠えるのを合図に、全てのワーウルフが俺とアンズに向かってくる……………。
すみません、楽勝でした。
いえ、九割アンズがやってくれました。
スライム最強。
駄女神にクレーム入れて、今はまだ移動中。
そしてまたもやトラブル発生です。
*****
明日には待合場所に着くと言う昼過ぎ、林の中の広場でワーウルフのシーズンバトルに行き会ってしまった。
50匹近いワーウルフが集っている。
半数以上は一歩下がった所に居るので、そちらは負け組みが集まって会えるんだろう。
広場の中央では20匹程が闘っている。
牙を剥き、爪で引き裂き、体当たりをし、血塗れになりながら闘っている。
「迫力ある…」
小さく漏らすとシルジットも頷く。
「私も話には聞いていましたが、こうして間近に見るのは初めてです」
前回は海の中のスピード競争を、陸から見ていただけだもんね。
そうこうしているうちに、負け組がこちらに気づいた。
『おい、人族が居るぞ!』
『大事な闘いを邪魔しに来たのか?』
『なんだなんだ、ちょっかいかけに来たのか?』
『丁度いい、負けてむしゃくしゃしてたんだ、こいつらを追い払うのは俺がやるぜ!』
『なんだと!抜け駆けすんなよ、俺もやるぜ!』
あ…なんかやばい感じ?
「かなり唸ってますが、彼らは何か言っているのですか?」
あー、やっぱり言葉は俺しかわかんないんだ。
チョココロネとカニスキ達が別格だったんだね。
「シルジット、かなりヤバイです、他の四人と避難してください。
あと、馬車から木刀取って来てもらえますか?」
「わかりました」
四人を下がらせて、いきりたっているワーウルフの前に進み出る。
正直言って数が数だし、あの爪と牙を相手って不安でしかないけど、ここで俺がビビっていてはナメられる。
弱者判定されたら、逃げても追いかけて来られるかもしれないし、絶対馬車なんてすぐ追いつかれるだろうから、虚勢でもいいから引かないで強気で向き合う。
俺が負けたら皆がやられるから、やれるとこまでやらないと…。
『んー?何こいつ、俺たちに向かってくる気か?
人族のクセに生意気な』
『へへへー、お前俺より弱いんだからそこで見てなよ、こいつは俺がブチのめす!』
『なんだとー、俺は弱くねえ!』
『一番最初に負けたクセに』
『よーし、先にお前ぶっとばーーす!』
一部が内輪もめを始めたけど、まだ14,5匹はこちらに向かって牙を剥いている。
『アイツ木の棒持ってるぞ』
『何だよ、身体一つで闘うのが決まりだろ』
『何だよ、卑怯か?』
ワーウルフ達が騒めきだしたので、冷静に聞こえる様にゆっくり答える。
「そっちには立派な爪や牙が有るけど、俺には無いからね。
爪と牙の代わりに使わせてもらうよ」
『!!!!』
『おい!あの人族喋ったぞ!』
『人族なのに言葉が通じるのか?』
騒つくワーウルフたち。
「まあ、色々事情が有って、魔族の人達の言葉は通じるよ。
詳しい事は後でゆっくり説明するから、やるならとっととやろうか」
正直いつまでも対面している緊張感がキツイ。
やるなら早く終わらせたいから、敢えて挑発してみる。
『でもそっちは一人だろ?
弱い人族相手にこっちが複数だと笑い者になるからな。
誰がやるか決めるから待ってろ』
いつの間にか中央に居たワーウルフ達も、闘いを中断してこちらを見ている。
『えー、アルジ一人で楽しむつもりなの?
僕も混ぜてよ』
馬車の中で寝て居た(と思う、スライムって顔が無いからはっきりわからないけど)アンズがぴょんぴょん跳ねながら近づいてきた。
『!!!スライム……だと…』
『ふむふむ、ワーウルフね。
これくらいならアルジと俺とで楽勝だね。
纏めてかかってきなよ』
跳ねながら挑発するアンズ。
『ちっ…、スライム相手でもここまでバカにされたら引けないぜ!
皆、一斉にいくぞ!!』
中央に居た一番身体の大きなワーウルフが吠えるのを合図に、全てのワーウルフが俺とアンズに向かってくる……………。
すみません、楽勝でした。
いえ、九割アンズがやってくれました。
スライム最強。
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