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シーズンバトルに遭遇
しおりを挟むチョココロネに貰ったイルカサイズの魚は、流石に持ち運びできないので、他の人をアンズに呼んできてもらう事にした。
会話ができないシルジットたち相手であっても、アンズなら何とかしてくれるだろう。
「そうだ、今日はこの辺で寝ていくのかい?」
今から解体してたら日暮れ近くになるだろうな。
「多分この辺で野宿だと思うけど、何で?」
「いや、今夜あたりトップ決着がつくだろうから、ちょっとばかり騒がしいと思うぞ」
「トップ決着…あ、シーズンの」
ヤバい、純血種とばかり会ってたからすっかり忘れてた。
「トップのマーマンが女体化するんだよね」
「ああ、女体化して、する」
…んん?ちょっとニュアンスが…。
「海は全ての母だからな。
シーズンはこの海から徐々に陸に広がっていくんだ」
桜前線デスカ。
「まあこれからも行き当たることもあるだろうし、シーズンって言うの言葉でしか知らないから、これも経験?」
「そうだな、何事も経験って聞くしな」
それに海の中の事でしょ?
バトルがすぐ隣って訳でも無いんだし。
あまり近くで戦われるのは、やっぱりちょっと怖いからね。
とか思っていた俺のバカ。
見たく無いもの見ちゃう事になるなんて、思ってもみなかったよ。
*****
イルカサイズの魚の名は鯖だった。
いや、本当に鯖な訳ではなく、味が完全に鯖で、翻訳機能が僕の知ってる一番近い魚の名前に聞こえるんだと思う。
牛もどきとか豚もどきは、見た目が全く一致しないから、こちらの世界の名前でそのまま聞こえたのかな?
だってイルカサイズと言っても、見た目青魚って言うのかな?銀色で黒の柄?が有る見たことあるような見た目だったから。
鯖はスケエリアが見事に捌いてくれました。
肉派だけどたまには魚もイイヨネ。
で、だ。
いつものように馬車の中にスケエリアとアスリム、男二人は交代で見張り、僕はアンズ枕で寝ようとしてたら海の方から雄叫びが。
何だ?と岩場から海を覗いてみると、四、五十匹のマーマンが。
珍しく想像通りの見た目だった。
青緑の鱗な生えた肌の二足歩行の生物で、エラと背びれが有るのが見える。
きっと近くで見たら水掻きもあると思う。
顔はちょっと距離があるからはっきり見えないけど、某キャラクターに似ている…大丈夫か?
そんなマーマン達は、輪になって歓声を上げている。
今まさに決着がつくところなのかな。
他の五人も起きてきた。
「え?不味いですね、もうシーズンが来ているとは」
あ、そう言えばチョココロネと話してる時、シルジット達居なかったな。
「薬を飲まなければ。
スケエリア、貴女も飲んでくださいね」
「そうね、姫より先に出来てしまったら問題あるから仕方ないか」
え?ちょっと、それってまさか…
「人族にもシーズンって関係有るの?」
「え?そりゃあありますよ。
コウイチ様の世界には無いのですか?」
逆に驚かれてしまった。
確かに、人間以外には発情期って有る…あれ?有るよね?
で、人間は年中発情期とか、どこかで聞いたけど……。
【ボク】にはまだ関係のない話です……。
「ある程度はコントロール出来ますが、番っても良いと思う相手が近くにいると釣られてしまうので、制御出来る薬を飲みます」
「え?俺も飲んだ方がいいの?」
「コウイチ様は異世界の方ですし、影響は無いかと」
あー、番っても良いと思う相手が居ないし、その前に唯一の女性が俺に興味ないスケエリアだしね。
飲まなくて良いなら飲まないよ。
「カクムンド達はどうします?」
「俺は…いい」
すっごく真剣な顔で断るカクムンドさん。
彼も番う相手が居ないのだから、関係ないんじゃないの?
「アスリムは?」
アスリムも首を横に振る。
それこそ子供には関係無いことだからね。
*****
そうこうしているうちに決着がついたようだ。
一際高い歓声が上がる。
マーマン達はガチバトルではなく、長く潜れる方が勝ちのようだ。
負けた方が酸欠の気絶で浮かび上がって来たみたい。
周りで見ていたマーマンが砂浜に連れて行き、人工呼吸している。
男同士と言うより、半魚人のマウストゥーマウス、見たくない。
勝った方は輪の中心で片手を振り上げている。
彼が勝ったのか、と何気なしに見ていると、変化が始まった。
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