上 下
21 / 94

勧誘するよ

しおりを挟む

「スキヤキさんは鍛冶職人なんですね」
「職人?そんなんじゃないさ。
あくまでも趣味でやってるんだからな。
俺はいろんな物を作りたい、鉄を巧く打てない人族は、自分に作れない物を作って欲しい。
そーゆーの、需要と供給とか言うんだろ?
自分が楽しいからやってるだけだ」
「そうだね。俺達も造りたいから造ってるだけだもんね」

3人はうんうんと頷き合っているけど、アンズは不満げに声を上げる。
『えー?俺は何か作ろうとか思わねえな。
戦う方が面白いじゃん』
「やっぱりその辺は、俺達純血種との違いなんじゃないの?」

成る程、力を求める魔族と、それぞれの興味のある事を極めようとする純血種、そんな差が有るのかな。

「だって、こんな石っころが鉄になって、それがまた色ん物に変わるんだぜ。
面白いよなぁ」
目をキラッキラさせる美少年。
でもスキヤキ君…。

「前居た沼の水だと不純物が混じる事が有るからね、流れる川の水だと完成度も上がりそうじゃない?
そう思って川の近くの洞窟探してたんだけど、コイツらが家要らないかって言うから造ってもらったんだ」

どうやら三人はまだ会ったばかりみたい。

「洞窟だと、火魔法で熱くなったら息苦しくなって倒れたりするだろ?」
ああ、二酸化炭素中毒とか言うやつだね。

「木の洞たと鉄作れないだろうし。
そこで家だ!」
オニギリがドヤ顔で胸を張る。

「家、良いよね。
洞窟だと、雨が降ると地面がぬかるんでくるし、木の洞だと虫が凄いからね。
人族の街に獲物持って行った時に雨が降ってさ、雨宿り?とか言って家の中に入れてもらったんだけど、兄貴と二人でこりゃスゲーってなってさ」
「これは俺達も家に住むのが良いんじゃないかって、家造ってる人紹介してもらって弟子入りしたってワケよ」
「で、俺は土魔法と火魔法使えるから外側造って」
「風魔法と水魔法使える俺が木を加工してドアや床とか造ったりで二人で造れるようになったワケよ」
「造れる様になったからには造りたいじゃないか。
だから出会う奴らに家要らないかって聞いて回っているんだ」

建設屋さんの飛び込み営業?
でもこれは使えるよね。

「造れるのは家だけですか?」
「寝る時に簡単な囲い作ったりはするよな」
「後は街に建っていた物なら一通り作れると思う」
「それなら城とかも造れたりします?」
「「城?」」
二人の声が重なる。
そしていつもの説明を…。


*****


「へえー、魔族を纏める…ねえ」
「まあ俺達純血種は、色んな知識やら物を人族から教えてもらったり交換したりするから、共存するのはありがたいと思うけど。
確かに普通の魔族は力試しが一番って奴らばかりだから、迷惑かける事多いだろうな」
「まあアイツらも、楽しい事したいって思ってるだけで悪気は無いだろうけど、人族はめちゃくちゃ弱いから、離れて欲しいってのは分からなくもないけど」
「確かにそんな面倒な事誰もやらないからな。
アンタが他の世界から召喚されたってのもわかるわ」

三人がこんな面倒な事よくやろうとするよな、的な視線で俺を見る。

「でも城か」
「あのでっかい建物だろ?
そりゃあ造ってみたいよな」
鬼人の二人は乗り気みたいだ。

「後これからどんどん他の純血種の方々の所を回るから、家を建ててって人もいっぱい居るんじゃないかな」
「おお、普通の魔族なら家ってもピンとこないだろうけど、純血種なら家の良さ分かるだろうな」
「そしてらドンドン造れるワケか」
そりゃあ面白そうだと、二人は頷きあう。

二人の勧誘に手応えを感じたから、ここは三人目も……。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ
ファンタジー
主人公の黒杉楊一はある日の事、学校で過ごしていたらクラスメイト全員が異世界召喚されてしまった。 異世界召喚された者は勇者といわれて、能力を授かるのだが・・・ クラスメイトの皆は全員、勇者、剣士、魔導士などのこの世界ではチート並みに強い位置する職業に天職するにもかかわらず、黒杉陽一だけは最弱職業村人で召喚される!そのせいでステータスは他の人と比べ低く、劣等生として扱いをされるのであった。 しまいには、初期スキルしか覚えられないという不運に! そんな、黒杉の異世界生活が始まるのであったが・・・、魔獣討伐の時にクラスメイトの一人に裏切られて谷底に落ちるのであった!なんとか奇跡的に生きたが、そこで出会うのはなんと銀髪ロリの美少女に出会う! そして、彼女とその仲間達の出会いで運命が動き出す!

神主だった俺が転生したらパン屋でお嬢様の指南役!?

ナギノセン
ファンタジー
蒼玉剣人は、少しだけ特殊な家に生まれたこと以外はごく普通の高校二年生。 夏休みに入った彼には、目前にニつの大きなイベントが控えていた。 高校総体予選と神社の夏祭りだ。 中学から始めたフェンシングは、優勝候補の一角と目されるほどの腕前にまでなった。 今日も夏休みを返上して練習に励んだ。 夏祭りは、彼の生まれた家が千年を超える歴史を持つ神社で、その重要な大祭である。 長男の彼は物ごころのつく前から手伝わされて、気がつけば神前神楽も舞えるし笙も吹ける万能神主になっていた。 その彼が、夏祭りの御山詣の最中に事件は再び起こった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

エー太くんとビー子ちゃん

月澄狸
ファンタジー
時に仲良く、時に諍いあうエー太くんとビー子ちゃんの日常。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

出来立てダンジョンに入ったら道具が擬人化しだした~後に見つけたマジカルスパイスで最強へ

夜行回
ファンタジー
 冒険者に憧れていた悠人と仲間たちが悲劇教団と戦うファンタジー。  悠人は妹の足を治す冒険を始め、リュセラや凛音らと奇妙なダンジョンに挑む。ダンジョンでは魔法や擬人化した物体が登場します。   へんてこな彼らに辟易する悠人達、だが100均と調味料が大好きな悠人、トライ狂いの凛音、道具が絡むと情けないリュセラ達も大概ですよ。  人生の最高のスパイスは悲劇なんかじゃない。喜びというスパイスを足そう。 それはそれとして掛けすぎだと思うなー。  体調の都合で途中から文字数が減少しますが、ご心配なく。まだ飲めます。  更新を2日に一度にします。もう一つ小説を書くための準備です。  この作品も他作と交互に進めるようにします。

異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う

馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!? そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!? 農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!? 10個も願いがかなえられるらしい! だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ 異世界なら何でもありでしょ? ならのんびり生きたいな 小説家になろう!にも掲載しています 何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします

処理中です...