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勧誘するよ
しおりを挟む「スキヤキさんは鍛冶職人なんですね」
「職人?そんなんじゃないさ。
あくまでも趣味でやってるんだからな。
俺はいろんな物を作りたい、鉄を巧く打てない人族は、自分に作れない物を作って欲しい。
そーゆーの、需要と供給とか言うんだろ?
自分が楽しいからやってるだけだ」
「そうだね。俺達も造りたいから造ってるだけだもんね」
3人はうんうんと頷き合っているけど、アンズは不満げに声を上げる。
『えー?俺は何か作ろうとか思わねえな。
戦う方が面白いじゃん』
「やっぱりその辺は、俺達純血種との違いなんじゃないの?」
成る程、力を求める魔族と、それぞれの興味のある事を極めようとする純血種、そんな差が有るのかな。
「だって、こんな石っころが鉄になって、それがまた色ん物に変わるんだぜ。
面白いよなぁ」
目をキラッキラさせる美少年。
でもスキヤキ君…。
「前居た沼の水だと不純物が混じる事が有るからね、流れる川の水だと完成度も上がりそうじゃない?
そう思って川の近くの洞窟探してたんだけど、コイツらが家要らないかって言うから造ってもらったんだ」
どうやら三人はまだ会ったばかりみたい。
「洞窟だと、火魔法で熱くなったら息苦しくなって倒れたりするだろ?」
ああ、二酸化炭素中毒とか言うやつだね。
「木の洞たと鉄作れないだろうし。
そこで家だ!」
オニギリがドヤ顔で胸を張る。
「家、良いよね。
洞窟だと、雨が降ると地面がぬかるんでくるし、木の洞だと虫が凄いからね。
人族の街に獲物持って行った時に雨が降ってさ、雨宿り?とか言って家の中に入れてもらったんだけど、兄貴と二人でこりゃスゲーってなってさ」
「これは俺達も家に住むのが良いんじゃないかって、家造ってる人紹介してもらって弟子入りしたってワケよ」
「で、俺は土魔法と火魔法使えるから外側造って」
「風魔法と水魔法使える俺が木を加工してドアや床とか造ったりで二人で造れるようになったワケよ」
「造れる様になったからには造りたいじゃないか。
だから出会う奴らに家要らないかって聞いて回っているんだ」
建設屋さんの飛び込み営業?
でもこれは使えるよね。
「造れるのは家だけですか?」
「寝る時に簡単な囲い作ったりはするよな」
「後は街に建っていた物なら一通り作れると思う」
「それなら城とかも造れたりします?」
「「城?」」
二人の声が重なる。
そしていつもの説明を…。
*****
「へえー、魔族を纏める…ねえ」
「まあ俺達純血種は、色んな知識やら物を人族から教えてもらったり交換したりするから、共存するのはありがたいと思うけど。
確かに普通の魔族は力試しが一番って奴らばかりだから、迷惑かける事多いだろうな」
「まあアイツらも、楽しい事したいって思ってるだけで悪気は無いだろうけど、人族はめちゃくちゃ弱いから、離れて欲しいってのは分からなくもないけど」
「確かにそんな面倒な事誰もやらないからな。
アンタが他の世界から召喚されたってのもわかるわ」
三人がこんな面倒な事よくやろうとするよな、的な視線で俺を見る。
「でも城か」
「あのでっかい建物だろ?
そりゃあ造ってみたいよな」
鬼人の二人は乗り気みたいだ。
「後これからどんどん他の純血種の方々の所を回るから、家を建ててって人もいっぱい居るんじゃないかな」
「おお、普通の魔族なら家ってもピンとこないだろうけど、純血種なら家の良さ分かるだろうな」
「そしてらドンドン造れるワケか」
そりゃあ面白そうだと、二人は頷きあう。
二人の勧誘に手応えを感じたから、ここは三人目も……。
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