20 / 94
あなたのお名前なんて〜の
しおりを挟む移動中に、どうしても気になっていた事を尋ねた。
「ハラミは私が名づけました。
野原で出会った美しい人でハラミです。
自分でもなかなかのセンスではないかと思いますよ」
成る程、優しい人になってと優人と名付ける、とかそう言うノリ?
違うか?
じっくり見ないと気づかないけど、聞こえてくる言葉と口の動きが微妙に違って、吹き替え映画みたいになってるから、僕にはハラミと聞こえても実際は違うのかも。
しかしこの質問はヤバかったみたい。
スケエリアが怖い笑顔を浮かべてる……。
*****
日が暮れる前に、家を建てて回っていると言うオーガを見つけた。
焚き火のそばで、大柄の男二人と小柄な男が酒盛りしている。
「ん?こんな所に人族とは珍しいな」
「本当だ。
この辺は薬草とか食べれる木ノ実とか少ないのにな」
酒を呑んでるイケメン二人がこちらを見る。
またイケメンかよ…。
「俺に仕事頼みに来たのかな?」
俺達に背中を向けて座っていた小柄な男が、振り向いて聞いてくる。
イヤだ、恥ずかしかなるくらいの美少年。
そうか、そうかと大柄二人が頷く。
「よく分かったな、俺がここに居るって。
前居た沼の側より、やっぱ川の近くが良いからな。
コイツらが住処作ってくれるって言うからここに移ったんだ」
何でだか自分の事知ってる前提で話を進める美少年。
『ふぁー、おはようアルジ』
寝て居たアンズが起きた。
え?ずっと大人しかったのって寝てたの?
『…ん?…んん⁈この気配…』
「こりゃまた珍しい、人族とスライムが一緒に居る」
「本当だ」
『あーーー!やっぱりドワーフかよ!』
ドワーフってイメージだと、小柄でガタイの良い、酒好きのヒゲもじゃ中年男だよね。
…もしかしなくても…。
『お前が剣なんかを作ってるから負けちまっただろ!
まあアルジいい奴だし、好きだから良いけどさ』
ああ、アンズは可愛い。
アンズに答えたのはやっぱり美少年。
うん、そうだね、僕もいい加減に慣れよう、この変な世界に。
「そう言ってもなあ、頼まれるんだから仕方ないだろ。
使えもしない武器頼むなんて、人族って馬鹿だなあって思ってたんだけど、使える奴が居たんだ」
そうだよね、騎士でさえアルミの鎧なんだから、使えない武器や防具を注文するっておかしいって思うよね。
「ああ、それ僕なんですけど、魔王になる為に、他の世界から召喚されたんです。
重すぎる物でない限り、金属の武器や防具は使えますよ」
現状使えない武器はあるだろうけど、訓練次第で何でも使えるようになるよね、多分。
「へえ。そう言えばそれ鉄製だよな」
「流石にフルアーマーだと動けませんけどね。
武器は使い慣れている形の刀です」
「へえー、嬉しいね、作ったからには実用して欲しいからね」
そりゃあ武器や防具を観賞用にされるより、使ってもらう方が作り甲斐有るよね。
「おお、スキヤキが楽しそうだ」
「ぶっっ!」
「そりゃあ俺達だって、誰も住まない家建てたって面白くないわけだろ?」
「そりゃそうだ」
三人がうんうんと頷く。
俺が吹き出した事は気づかれなかったみたい。
セーーフ!
「え…っと…スキヤキさん?
ステキナナマエデスネー。
ご自分で付けられたのデスカ?」
「ん?良い名前だろう?
これはな、鉄の作り方を教えてくれた人族が付けてくれたんだ。
何でも鉄を焼いて物を作るのが好きな奴って意味らしいぞ」
鉄って焼くんじゃなくて、溶かすんじゃなかったっけ?
「おお、お前そんな立派な名前なんだ。
俺達は家造りの師匠が、大工道具を使った名前付けてくれたんだぞ」
それってもしかして、もしかしなくても…。
オークの純血種ってどう見ても鬼って言うか鬼人?だからきっとアレでしょ?
「穴を開けるキリを上手く使う鬼だから、合わせてオニギリだ」
「俺はトンカチを使った名前で、仕事が早いからトンソクってわけだ」
やっぱりオニギリ。
でもトンソクは想像外。
美女のハラミ
美少年のスキヤキ
イケメンのオニギリにトンソク…
もしかしてこの世界の魔族って、食べ物の名前を付けるのがセオリーなの?
いや、でも、俺も食べ物の名前付けちゃったけど、偶然だからね。
でもさ、でもさ、俺には食べ物の名前に聞こえるけど、きっとこの世界的には普通の名前…なんだろうな…多分…。
残念度がどんどん増してくるんだけど…
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
転生リンゴは破滅のフラグを退ける
古森真朝
ファンタジー
ある日突然事故死してしまった高校生・千夏。しかし、たまたまその場面を見ていた超お人好しの女神・イズーナに『命の林檎』をもらい、半精霊ティナとして異世界で人生を再スタートさせることになった。
今度こそは平和に長生きして、自分の好きなこといっぱいするんだ! ――と、心に誓ってスローライフを満喫していたのだが。ツノの生えたウサギを見つけたのを皮切りに、それを追ってきたエルフ族、そのエルフと張り合うレンジャー、さらに北の王国で囁かれる妙なウワサと、身の回りではトラブルがひっきりなし。
何とか事態を軟着陸させ、平穏な暮らしを取り戻すべく――ティナの『フラグ粉砕作戦』がスタートする!
※ちょっとだけタイトルを変更しました(元:転生リンゴは破滅フラグを遠ざける)
※更新頑張り中ですが展開はゆっくり目です。のんびり見守っていただければ幸いです^^
※ただいまファンタジー小説大賞エントリー中&だいたい毎日更新中です。ぜひとも応援してやってくださいませ!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる