【完結】異世界に召喚されて勇者だと思ったのに【改訂版】

家へおいでよ私のお家へ

俺がアンズにした様な説明を聞いたハラミさんは予想通り、

「纏める者が居ると面倒ごとが減るのは歓迎だけど、自分がそこに住むかは分からないわ」

とのこと。
純血種ならこうだろうと予想した通りの返答だったけど、その後に続いた言葉は、ハラミさんならではのお言葉。

「だってそこにはシルジット居ないんでしょう？」

言うんじゃないなかあと思いました。

「そうですね。最終的には私は城に帰りますから」
「だったら私ここから動きたく無いわ。
こうして家も建てたんだし」
「そうですか。
まあこんなに立派な家を造られたんですものね。
ここは誰かと住まわれるのですか？」
おっと、シルジットさん、それ聞くの？

「フフフ、分かっていて惚けてるの？
それとも焦らしてるの？」

ハラミさんが微笑む。
きっとこれが妖艶な微笑みと言うんだろうけど、ちょっとゾッとする笑顔だ。

「こ、こ、は、貴方と私の愛の巣よ」

ズバリと言い切ったハラミさんに、シルジットさんが答えるより先に動いたのが

「ちょっと待ちなさいよ！」

スケエリア？
え？もしかしてスケエリアってシルジットさんの事……、

「黙って聞いていれば勝手な事言って！
何がシルジットとの愛の巣よ！
シルジットはこの仕事が終わったら私と一緒になるのよ！」

ええええ…修羅場？
普通こういうのは異世界から来た勇者…じゃなかった、魔王になる為わざわざ呼ばれた俺が取り合いされるんじゃないの？

ええええええ………、

「フフフ、面白い事言うわね小娘。
シルジットが欲しいなら力尽くで奪いなさいよ」
「望むところよ！」

ちょっと落ち着こうよ、スケエリア。
貴女ヘナチョコでしょ？
女性とはいえ、元がオークの人になんてこの世界の人族が勝てるわけないじゃん！

「人族のくせにいい度胸ね。
いいわ、外に出なさい」
「ええ。私の代わりにこの方が戦いますから」

言いながら俺を押し出すスケエリア…ってなぜ俺が戦うの？

「人族は弱いからね、代理でも良いわよ。
私って心が広いから」
「コウイチ様、よろしくお願いします！
この勘違い魔族に目にもの見せてやって下さい！」
「ええええええ…」

右腕をスケエリアに、左腕をハラミさんに掴まれて引きずられ、外へ連れ出される。

両手に華だけど、シュチュエーションが違うよね？

何で他の男の修羅場に巻き込まれてるの、俺。

ああ…マジに帰りたいです