12 / 94
凹んだ鎧、俺も凹んだ
しおりを挟むなぜか四人の視線が痛い?
疑問に思いながら近づいてみる。
「…もしかして、今スライムと会話してました?」
「え?今の会話聞こえてませんでした?
瓶の中だから声が小さかったのかな?」
四人は顔を突き合わせてボソボソ言い合ってる。
え?なんか空気が変?
「…魔族と言葉は通じないのが普通なんですけど」
「え?
でもシルジットさん、魔族の事純血種の人に聞いたんですよね?」
シルジットさんによれば、純血種は知能が高く、人の言葉も魔族の言葉も理解出来るけど、一般の魔族との言葉での会話は出来ないらしい。
『んー、やっぱ人族は言葉通じないか。
でもコイツだけ分かるって事はコイツ人族に見えるけど純血種?』
あ、なんか瓶の中からも失礼な事言われてる。
そう言えばあの駄女神が、言語理解するとか言ってた様な?
まあ、普通は会話が出来なくても問題ないけど、魔王になろうとしてる奴が、会話による意思の疎通が出来なかったら困るもんね。
よし、あまり気にしないでおこう。
四人にもどうにかこうにか納得してもらう。
旅立数時間で精神的ダメージ凄いんですが…
*****
気を取り直してカクムンドさんに視線を向ける。
……鎧のお腹の部分、スライムアタックされた所がかなり変形してるんだけど…。
「鉄の鎧がこんなに変形するって、どんだけ強いの。
スライムでこれなら、この先出会う奴に勝てる気しないんだけど」
四人はキョトンと首を傾げる。
「この鎧は鉄製ではなくアルミニウム製なんですけど」
「はー?!」
いやいや、アルミで鎧なんて意味無いじゃん!
しかも触ってみたら凄く薄くて、人差し指でぎゅっと押したら凹んだよ。
「え?
何これ?
着る意味有るの?
何でこんなの着てるの?
僕のは普通の鉄製だよね?」
俺が着てるのは鉄製の鎧だ。
身体に合った防具作る暇無かったので、ちょっとブカブカなんだけど。
カクムンドさんのは、見た目は如何にも騎士が着るフルアーマー。
なのにアルミ製って、身体守る気あるの?
「鉄製ですと、重くて身動きが取れなくらるので、皆アルミ製の武器と防具です」
「え?武器も?」
「この世界では鉄製品は、ほんの一部の特殊な物にしか使われていません。
重くて使えませんからね。
鉄製の武器や防具は宝物庫に有った物だけですね」
え?あそこって武器庫じゃなくて、宝物庫なの?
いやいやいやいや、それより重くてとか何言ってんの?
鍛えようよ、鎧くらい着れるようになろうよ。
騎士なんでしょ?
重いなんて言ってるんじゃないよ。
あ、人族は鍛えても強くならないのか?
ああああ……アレもコレも全てあの……
もう考えるのも嫌になってくる。
よし、切り替えよう。
「いやー、しかしスライム如きでこれなら、これから先勝ち続けるの難しい気がしてきますよ」
話を逸らしてみる。
いや、そっちも気になるからね。
「スライムは純血種に次ぐ最強種族ですから」
『おい、兄ちゃん、スライム如きとは聞き捨てならないな』
シルジットさんとスライムの声がダブる。
「スライムは素早いですし、核を確実に粉砕しないと消滅しないと言われています」
『兄ちゃんみたいにこの身体を削る武器持ってるならいざ知らず、そこいらの奴にや負けないぜ』
「アルミの剣では切れないですし、多少の攻撃では核まで届きません。
純血種を除いて一番強いと言われています」
『純血種とやらに進化しないと強くなれないようなザコ供と一緒にしてもらっては困るぜ』
左右からシルジットさんとスライムに説明?された。
そうか、スライム強いのか。
どこからとなく
《だってスライムってプニプニしてて可愛いじゃあないですか。それで最強って良くないですか?》
と聞こえてくるような気がする。
何だろ、本当に脱力だよ。
本当に本当に帰りたい…
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~
夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。
全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。
適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。
パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。
全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。
ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。
パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。
突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。
ロイドのステータスはオール25。
彼にはユニークスキルが備わっていた。
ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。
ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。
LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。
不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす
最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも?
【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる