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スライムが現れた
しおりを挟むこれからの方針としては、シーズンに近づき種族毎に集まる時期なので、そこでタイマンで勝ち、支配下に置いて、森を抜けた適度な場所に魔族の街を作りそこで魔王になる、と。
第二の案として、純血種とバトって勝利して戦力とし、純血種に自分の種族を引き連れて来て貰ってそれを束ねる。
「ん?純血種って隠居生活してるんだよね?」
「戦う相手を探してまで戦う事はなくても、魔族の本能として戦いが嫌いというわけではないのです。
戦わなくても、自分は強いと言う事を分かっているので、率先して戦わないのです。
勝つと挑戦者が次々と集まるのが面倒なのだとか」
強い相手とならまだしも、わらわらと集まって来る弱い相手と一々戦うのは面倒かもね。
「この案ですと純血種は、集まって来る有象無象の中から、自分から戦いたい相手とだけ戦って、他の木っ端との戦いコウイチ様に押しつければ良くなります。
それにより闘争本能は満たされますし、面倒な統治もコウイチ様へ押し付ける事で、美味しいところどりになるかと。
なのでコウイチ様は、純血種にさえ勝てば、手取り早く目標達成になるかと」
言い方!
え?何?シルジットさんって黒いの?
それとも翻訳機能がおかしいの?
うん、翻訳機能がおかしいんだよね。
「そうだね、シーズンの期間もそんなに長くもないわけだし、純血種の人と手を組む形になればいいかもね」
「ならそちらに決めますか?」
他のメンバーに異論はないようだ。
「ただ、その純血種の人達がどこに居るかはわかるんですか?」
「ええ、大体の場所は聞いております」
「では、純血種の人達の住んで居るところを回る事にしましょう」
「それでは近くから回りましょうか」
「その前に昼にしないか?」
カクムンドさんの提案で、一旦食事休憩をにする事にした。
*****
城で用意してくれてた弁当を食べてると、近くの草むらがガサゴソと揺れた。
早速初バトルか?
最初の戦いは、スケエリアさん達にお手本?を見せてもらう事となっている。
でも、武器は準備しておかないとね。
因みに戦いは、基本素手か用意してもらった木刀だ。
万が一の為、刀も用意してもらってる。
力の有る者が出てきた時に使えるように、多種多様な武器や防具が、お城の武器庫に集められていた。
ロングソードやスピアなんかカッコいいけど、実際問題剣道の竹刀しか武器?は使った事ないので刀にした。
いや、刀も使った事は無いけど、ロングソードとかよりは、竹刀に近いし、やっぱり日本人としては刀でしょう。
それに今更他の武器を習う時間も無いしね。
でも、刀って意外と重い。
鉄?鋼?なんだから当たり前なんだけど、慣らしておかないと使えないだろうな。
今回は取り敢えず、木刀を取り出し構える。
なるべく軽いものを選んだけど、やっぱり竹刀に比べると重さはある。
かと言って竹刀を作ってもらっても、それで戦って相手を負かす事はできないから、先ずは木刀に慣れるようにしないとね。
ガサゴソと草むらを揺らして出てきたのは…スライム。
ああ、そうだね、冒険の一番最初にエンカウントするのはスライムだよね。
「スライム…だと…」
そうですよね、拍子抜けですよねー。
ドキドキしてたのにスライムなんて。
知らず知らずに力んでいた体の力を抜いて、ばあちゃんっ子としては一度は言ってみたいセリフを口にする。
「スケさん、カクさん、やっておしまいなさい」
スケエリアとカクムンドさんはびっくりした顔でこちらを見た。
「え?スライムですよ?」
「ええ、スライムですねー」
「え?私にも戦えと言うのですか?」
何で焦る?カクムンドさん。
「あ、スケエリアさん、冗談ですよ。
カクムンドさんに任せましょう」
ん?なぜか僕のセリフは四人から冷たい視線を集めてしまう。
いや、言い方悪いけど、スライム如き任せても手抜きじゃないでしょう。
言葉を引っ込めないと理解したカクムンドさんは、何故か青い顔をして両手剣を構える。
スライムはフルフル震えていたと思ったらその場で弾みだした。
ピョンピョンって感じより、ボクサーチックな弾み方の様な?
「!!!!!!!!」
四、五回弾んだと思ったら、かなりのスピードでカクムンドさんのボディーに体当たりした。
「うぐっ…うっ………うぅぅ…」
そのまま倒れちゃったよ?!
「カクムンド!!」
皆の声が重なった。
僕は慌ててスライムと向き合う。
スライムはまた不気味に弾んでいる。
「え?何でこんなにスライムが強いの?」
あのプニプニのスライムボディはもしかして全部筋肉?
「スライムに打撃系は効きません。
剣で周りを削ぎ落とし、核にダメージを与えて下さい!」
刀を投げ渡しながら、シルジットさんがアドバイスをくれた。
言われたとおりスライムアタックを避けながら、少しずつボディを削ぎ落とす。
危険を感じたスライムが逃げ出そうとしたので、思わず核を踏みつけた。
「紐…じゃあ縛れないから何か瓶持って来て!」
スケエリアさんがジャムの入っている瓶を持って来てくれたので、ひとまずそこに核を突っ込む。
スライムのアプリコットジャム漬けの出来上がり…っか中身捨てて来てよ…。
捕獲できたのでカクムンドさんの元へ行ったけど、カクムンドさんの鎧はボディアタックで変形してるし、まだ目を覚ましそうにない。
え?何でこんなに鎧が変形してるの?
シルジットさんの気付け薬のおかげでようやく意識を取り戻したカクムンドさん。
まだまだ聞かなければいけない事が多そうだ…。
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