上 下
2 / 94

召喚されました

しおりを挟む


俺が召喚されたのは、タリタル国と言う大陸唯一の国。
人族の他に、魔族と動物の住まう世界とのこと。

この世界を作ったのは女神シンシリア。
なんと、この女神と交信ができるらしい。
良いのかそんなに簡単に神様と接して。

「王家の一族にはシンシリア様から、夢にて神託を告げられます。
しかしながら、夢ではこちらからの交信はできません。
今から行く神託の間は女神様の像を設置してお、毎日祈りを捧げる聖なる空間となっており、こちらでは女神様からの意思が有れば会話を交わすこともできます」

神様って、現世にそんなに簡単に世界に干渉して良いの?

「勿論誰でも、と言う訳ではありません。
王族、神官など、女神様に認められた者のみ会話をする事が出来るのです」

ファンタジー小説だとあるあるな神様と接するだけど、なんだかなぁって感じ。
この場合話的に、主人公にあたる俺も交信できるのでは?

「笹木野様、ここまでの事で何か質問などございませんか?」
「ああ、良くある話なので大丈夫です」
「おお、笹木野様の世界では召喚は一般的なのですか?」
「はぁ、まぁ良くある話です」

小説ではね。

「おおおお、叡智に溢れた素晴らしい世界なのですね」
酷く感動している大臣に、乾いた笑いを返していると神託の間に着いた。

「ここからは、王と笹木野様のみでお願いします」

大きな両開きの扉が騎士の手で開けられる。
割と広い部屋の奥には女の子を象った石像が一体、その前には絨毯が敷かれている。

「女神シンシリア様の像です。この前に跪き祈りを捧げます。さあ、笹木野様もこちらへ」

王様に言われるまま少女の像…いや、幼児の像の前に跪く。

「あの…この像が女神様なのですよね?」
思わず聞いてしまうよ。だって5、6歳くらいの女の子の像だよ?
女神様って美しいお姉さんじゃないの?

「こちらがシンシリア様の像ですが何か問題でもありますか?」
「いえ、確認しただけです…」
子供だろって突っ込んじゃダメだよね。

なんだかモヤモヤしていると、隣に跪いた王様が何か祈りの様なものを呟きだした。
王様を真似て胸の前で両手を組み眼を閉じる。
しばらくすると、目を閉じてても分かる程の眩しさを感じた。

《笹木野 孝一、目を開けなさい》

言われるままに目を開けると真っ白な空間に幼い女の子と二人で居た。
おお、やっぱり俺も交信できるんだ。
そうだと思った。

「…シンシリア様ですか?」
《はい、私がシンシリアです。
この世界を作り管理している者です。
今回は突然こちらの世界へ連れてきてしまい申し訳有りませんでした》

「あの足首を掴んだのは貴女の手ですか?」
《はい、私です。
こちらの世界に連れてくるに当たって貴方には死んでいただく必要がありまして…》
「死んで…って…随分一方的ですね。
何で僕なんですか?
いきなり異世界に連れてこられて魔王になれとかはともかく、死んでもらう必要とか、勝手過ぎだよ!
父さんや母さん…ばあちゃんだって悲しむし、俺だってまだまだ色々やる事があったのに!」

なんだか段々頭にきて怒鳴ってしまった。
女神は何も言わず俺が落ち着くのを待ってるようだ。

《…………落ち着かれましたか?
まずは謝らせて下さい。
私の不手際で世界のバランスが崩れるのを阻止する為に、貴方に多くの負担をかけてしまいます。
本当に申し訳ございません。
こちらの都合になりますが、何故貴方を召喚しなければいけなかったか説明させてください》

小さな女の子が真剣に謝っているのを見てると、落ち着かざるおえないよね。
こっちが虐めてるみたいに見えるもん。
俺はとりあえず話を聞くことにした。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

異世界でホワイトな飲食店経営を

視世陽木
ファンタジー
 定食屋チェーン店で雇われ店長をしていた飯田譲治(イイダ ジョウジ)は、気がついたら真っ白な世界に立っていた。  彼の最後の記憶は、連勤に連勤を重ねてふらふらになりながら帰宅し、赤信号に気づかずに道路に飛び出し、トラックに轢かれて亡くなったというもの。  彼が置かれた状況を説明するためにスタンバイしていた女神様を思いっきり無視しながら、1人考察を進める譲治。 しまいには女神様を泣かせてしまい、十分な説明もないままに異世界に転移させられてしまった!  ブラック企業で酷使されながら、それでも料理が大好きでいつかは自分の店を開きたいと夢見ていた彼は、はたして異世界でどんな生活を送るのか!?  異世界物のテンプレと超ご都合主義を盛り沢山に、ちょいちょい社会風刺を入れながらお送りする異世界定食屋経営物語。はたしてジョージはホワイトな飲食店を経営できるのか!? ● 異世界テンプレと超ご都合主義で話が進むので、苦手な方や飽きてきた方には合わないかもしれません。 ● かつて作者もブラック飲食店で店長をしていました。 ● 基本的にはおふざけ多め、たまにシリアス。 ● 残酷な描写や性的な描写はほとんどありませんが、後々死者は出ます。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...