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⑬まだ夏休み
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頻繁に聡の家の周辺に足を運んでいた有司は佐々峰が聡の家に来る率は考えていたより少ない事を知る。聡が出かける事もあったし、そもそも会っていない日もあるようだった。
もっと、聡の行動を把握する必要がある。そう考えた有司は、ついには直接的な行動に出る事にした。
“毎日ヒマ。映画でも見ない?”
有司は聡に宛ててメールを送った。こんな風に誘うのは今まで無かったから怪しまれるかと思ったが、案外早く返信が来た。
“ごめん!俺ちょっと忙しいんだ”
あっけなく頓挫してしまった。遊ぶ約束なら乗ってくるとタカを括っていた有司は断られた時の想定をしていなかった為、少し悩んでしまった。しかし、その時“そんなに暇なの?”と、聡の側から助けが差し伸べられた。
有司が返信しようとすると、“暇なら明日ウチ来ない?”と願ってもない提案が聡の側から投げられた。
聡の部屋に入る事が出来る。有司は色めき立った。こんなにすんなり行くと思っていなかったが、早々に機材の準備に取りかかった。マンガの中を切り抜いてカメラを仕込んだもの。電源タップに仕込んだ盗聴用のデバイス。更にピンカメラを仕込んだ水筒などをリュックに詰めた。
どれもこれも有司の『盗み見る』という執着が、対象に一歩ずつ近づく工程の中で用意されたものだ。PCからリモートコントロールの点検を全て終えた後でひと息つく。以前、中に入った時の聡の部屋は雑然としていた。これらの小道具があっても気にならないぐらいに物が散乱していた。有司はPC上に保管してある動画を再生した。庭先で佐々峰が漏らしている動画だ。聡の部屋にカメラが置ければもっと違う佐々峰が見られる。有司はうっとりした表情で、画面を見ていた。
翌日、約束の時間に家の前に着くと聡は門扉の前で待っていた。
「よーっす!」
聡は軽装で有司を出迎える。
「有司から誘うの初めてじゃん?だから今日は特別招待!」
聡は以前からの気の良い友人の顔になっていた。有司は自分の思惑がバレないよう、平静に装うので必死だ。
「お菓子、買って来たんだ」
駅前のコンビニで買い揃えたスナック菓子を目の前に掲げると「お、後で食べよーなー」とあまり興味を示さずに有司を家に招き入れた。
「おじゃましまーす」
有司は誰もいない家の中へ律儀に挨拶をしながら入っていく。
「どーぞー」と聡が後ろから、それに答えた。
有司が靴を脱ぎ玄関に上がると聡が「えっと、有司。カバン貸して」と唐突に言い出した。
有司の心臓は大きく波打った。
「な、何で?」
「いや、邪魔だから?」
聡も曖昧に答える。まさかカメラの事を見抜いてるのかとの疑念を持ったが「いいから早く」と聡が急かしてくる為、恐る恐るカバンを渡した。
「おっも。何入ってるの?」
聡がカバンを開けようとしたので。有司は慌てて「ま、マンガとかゲームとかだよ。勝手に開けるなよ」と必死に拒むと「あ、そう」と傍にカバンを降した。
いきなり出鼻を挫かれた有司がカバンを部屋までどうやって運ぶかを思案していると、今度は「そんじゃあ、後ろ向いて」と聡が要求して来た。
カバンの事で頭がいっぱいだった有司が何も考えずに後ろを向くと、聡は有司の背中で両手に手錠をかけた。
「え?」
「ごめん。触るのダメだから」
何のことか理解できないでいる有司に聡は「じゃ、部屋行こか」と声をかけサッサと階段を昇り始めたので「カバン!」と声をかけるくらいしか有司には出来なかった。
「何だよ、面倒だなー」
渋々、有司のカバンを肩にかけ改めて階段を昇る聡の後に、手錠をはめられたまま有司はついて行く。そして、次第に状況を呑み込み始めた。
階段を昇るにつれて、聞こえて来たのは佐々峰の声だった。それも喘ぎ声。有司はここに来て聡の言った特別招待の意味を知った。
「ねえ、これって」
「しっ!」
聡は人差し指を口に当て大袈裟に喋らないよう訴えた。有司は黙ってついて行くしか無かった。
「はあっ!はあん!んんっ!」
部屋の扉を開けると、ベッドに裸の佐々峰がひとりで悶えていた。目隠しをして後ろ手で縛られている。下着は履いているものの股間の所が不自然に引っ張られており、それがヴァギナに挿入されているバイブを固定しているのだと気付けたのはウィンウィンとなり続けるモーター音のおかげだった。
ベッドには挿入されている以外にも様々な玩具が転がっていた。
もっと、聡の行動を把握する必要がある。そう考えた有司は、ついには直接的な行動に出る事にした。
“毎日ヒマ。映画でも見ない?”
有司は聡に宛ててメールを送った。こんな風に誘うのは今まで無かったから怪しまれるかと思ったが、案外早く返信が来た。
“ごめん!俺ちょっと忙しいんだ”
あっけなく頓挫してしまった。遊ぶ約束なら乗ってくるとタカを括っていた有司は断られた時の想定をしていなかった為、少し悩んでしまった。しかし、その時“そんなに暇なの?”と、聡の側から助けが差し伸べられた。
有司が返信しようとすると、“暇なら明日ウチ来ない?”と願ってもない提案が聡の側から投げられた。
聡の部屋に入る事が出来る。有司は色めき立った。こんなにすんなり行くと思っていなかったが、早々に機材の準備に取りかかった。マンガの中を切り抜いてカメラを仕込んだもの。電源タップに仕込んだ盗聴用のデバイス。更にピンカメラを仕込んだ水筒などをリュックに詰めた。
どれもこれも有司の『盗み見る』という執着が、対象に一歩ずつ近づく工程の中で用意されたものだ。PCからリモートコントロールの点検を全て終えた後でひと息つく。以前、中に入った時の聡の部屋は雑然としていた。これらの小道具があっても気にならないぐらいに物が散乱していた。有司はPC上に保管してある動画を再生した。庭先で佐々峰が漏らしている動画だ。聡の部屋にカメラが置ければもっと違う佐々峰が見られる。有司はうっとりした表情で、画面を見ていた。
翌日、約束の時間に家の前に着くと聡は門扉の前で待っていた。
「よーっす!」
聡は軽装で有司を出迎える。
「有司から誘うの初めてじゃん?だから今日は特別招待!」
聡は以前からの気の良い友人の顔になっていた。有司は自分の思惑がバレないよう、平静に装うので必死だ。
「お菓子、買って来たんだ」
駅前のコンビニで買い揃えたスナック菓子を目の前に掲げると「お、後で食べよーなー」とあまり興味を示さずに有司を家に招き入れた。
「おじゃましまーす」
有司は誰もいない家の中へ律儀に挨拶をしながら入っていく。
「どーぞー」と聡が後ろから、それに答えた。
有司が靴を脱ぎ玄関に上がると聡が「えっと、有司。カバン貸して」と唐突に言い出した。
有司の心臓は大きく波打った。
「な、何で?」
「いや、邪魔だから?」
聡も曖昧に答える。まさかカメラの事を見抜いてるのかとの疑念を持ったが「いいから早く」と聡が急かしてくる為、恐る恐るカバンを渡した。
「おっも。何入ってるの?」
聡がカバンを開けようとしたので。有司は慌てて「ま、マンガとかゲームとかだよ。勝手に開けるなよ」と必死に拒むと「あ、そう」と傍にカバンを降した。
いきなり出鼻を挫かれた有司がカバンを部屋までどうやって運ぶかを思案していると、今度は「そんじゃあ、後ろ向いて」と聡が要求して来た。
カバンの事で頭がいっぱいだった有司が何も考えずに後ろを向くと、聡は有司の背中で両手に手錠をかけた。
「え?」
「ごめん。触るのダメだから」
何のことか理解できないでいる有司に聡は「じゃ、部屋行こか」と声をかけサッサと階段を昇り始めたので「カバン!」と声をかけるくらいしか有司には出来なかった。
「何だよ、面倒だなー」
渋々、有司のカバンを肩にかけ改めて階段を昇る聡の後に、手錠をはめられたまま有司はついて行く。そして、次第に状況を呑み込み始めた。
階段を昇るにつれて、聞こえて来たのは佐々峰の声だった。それも喘ぎ声。有司はここに来て聡の言った特別招待の意味を知った。
「ねえ、これって」
「しっ!」
聡は人差し指を口に当て大袈裟に喋らないよう訴えた。有司は黙ってついて行くしか無かった。
「はあっ!はあん!んんっ!」
部屋の扉を開けると、ベッドに裸の佐々峰がひとりで悶えていた。目隠しをして後ろ手で縛られている。下着は履いているものの股間の所が不自然に引っ張られており、それがヴァギナに挿入されているバイブを固定しているのだと気付けたのはウィンウィンとなり続けるモーター音のおかげだった。
ベッドには挿入されている以外にも様々な玩具が転がっていた。
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