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攻略1*攻略対象者たちと仲良くしましょう*
訂正。やっぱデートでした。
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あれから、包んでもらったブレスレットを大事そうに胸の辺りで両手で持っている姿は、とても微笑ましい。
何故だか、店の中にいる平民の姿に扮した護衛達も、微笑ましい顔をしている。
おかげで店の中の雰囲気に、居た堪れなくなる。
そんな空気の中、シルビアは嬉しそうな表情を隠しもせず、真っ直ぐ、私を見つめる。
「ディー。大事にします。ずっと」
「…あぁ。まぁ、まだシルビィには贈り物をした事が無かったからな」
花がほころぶような笑顔に、思わず照れてしまい、頬をかきながら言わなくていい一言まで添えてしまった気がする。
「…もう少し、見てまわるか?」
「それでしたら、二階のカフェでお茶にしませんか?」
「そうだな。では行こう」
慣れたように右腕を出すと、そっとシルビアが腕を組んでくれた。
エスコートにも、だいぶ慣れたようだ。
前世は30代、恋人はスマホの中だった女が、王子としてよくここまで成長したもんだ。
…あらためて思うけど、前世の女性だった頃の記憶が遠い昔の別人の記憶のように感じる時がある。それも、シルビアといる時だ。
シルビアと居ると、いつもそうだ。いつの間にか、薫だった『私』ではなく、ディーンの『私』を見てほしい。そう、強く思ってしまう。
この感情がなんなのか、今はまだ深くは知りたくない。
今はまだ、子供だからと、自分に言い聞かせられるから。
そんな事を考えていたら、いつの間にか二階のカフェまで着いてしまったようだ。
しかし、この雑貨屋はよく出来ているな。
一階で買い物、二階で休憩できるカフェスペースを備えている。そりゃ、流行るわけだわ。
「いらっしゃいませ~!お席はあちらをお使いください」
「あぁ。ありが………」
「……?……」
声が聞こえ、顔をあげると、4人目の攻略対象者、アレン・ロノウェーが、いた。
言葉に詰まった私を、シルビアは不思議そうに見ていた。
「んんっ!ありがとう」
「はいっ!」
一つ、咳払いをして、アレンに席まで誘導してもらった。
いやいやいや、そりゃ言葉にも詰まるって!
顔を上げたらアレンですよ?!
子供ながらお店の手伝いなのか、ウェイターみたいな給仕の格好してるし。あの子、ズボン履いてなかったら女の子と間違えられるだろうな。可愛いかよ。
肩上くらいに切り揃えられた黒髪に、大きな瞳。美少女もビックリな美少年だ。
確かに、アレンは可愛い系の攻略対象だった。
「メニューがお決まりになりましたら、お声掛けくださ~い」
去り際に頭を傾げてニッコリと微笑む彼は、前世で言う、あざと女子にそっくりだ。
確か、同い年だったはず。この年齢であれだけあざとかったら、ストーリー始まってからの腹黒さに納得せざるを得なかった。
何故だか、店の中にいる平民の姿に扮した護衛達も、微笑ましい顔をしている。
おかげで店の中の雰囲気に、居た堪れなくなる。
そんな空気の中、シルビアは嬉しそうな表情を隠しもせず、真っ直ぐ、私を見つめる。
「ディー。大事にします。ずっと」
「…あぁ。まぁ、まだシルビィには贈り物をした事が無かったからな」
花がほころぶような笑顔に、思わず照れてしまい、頬をかきながら言わなくていい一言まで添えてしまった気がする。
「…もう少し、見てまわるか?」
「それでしたら、二階のカフェでお茶にしませんか?」
「そうだな。では行こう」
慣れたように右腕を出すと、そっとシルビアが腕を組んでくれた。
エスコートにも、だいぶ慣れたようだ。
前世は30代、恋人はスマホの中だった女が、王子としてよくここまで成長したもんだ。
…あらためて思うけど、前世の女性だった頃の記憶が遠い昔の別人の記憶のように感じる時がある。それも、シルビアといる時だ。
シルビアと居ると、いつもそうだ。いつの間にか、薫だった『私』ではなく、ディーンの『私』を見てほしい。そう、強く思ってしまう。
この感情がなんなのか、今はまだ深くは知りたくない。
今はまだ、子供だからと、自分に言い聞かせられるから。
そんな事を考えていたら、いつの間にか二階のカフェまで着いてしまったようだ。
しかし、この雑貨屋はよく出来ているな。
一階で買い物、二階で休憩できるカフェスペースを備えている。そりゃ、流行るわけだわ。
「いらっしゃいませ~!お席はあちらをお使いください」
「あぁ。ありが………」
「……?……」
声が聞こえ、顔をあげると、4人目の攻略対象者、アレン・ロノウェーが、いた。
言葉に詰まった私を、シルビアは不思議そうに見ていた。
「んんっ!ありがとう」
「はいっ!」
一つ、咳払いをして、アレンに席まで誘導してもらった。
いやいやいや、そりゃ言葉にも詰まるって!
顔を上げたらアレンですよ?!
子供ながらお店の手伝いなのか、ウェイターみたいな給仕の格好してるし。あの子、ズボン履いてなかったら女の子と間違えられるだろうな。可愛いかよ。
肩上くらいに切り揃えられた黒髪に、大きな瞳。美少女もビックリな美少年だ。
確かに、アレンは可愛い系の攻略対象だった。
「メニューがお決まりになりましたら、お声掛けくださ~い」
去り際に頭を傾げてニッコリと微笑む彼は、前世で言う、あざと女子にそっくりだ。
確か、同い年だったはず。この年齢であれだけあざとかったら、ストーリー始まってからの腹黒さに納得せざるを得なかった。
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