上 下
2 / 17
プロローグ*終わりのはじまり*

転生先は王子でした!

しおりを挟む

時が経つのは早いもので。
あの赤ん坊ギャン泣きの夜から3年の月日が流れた。

煌びやかな部屋の装飾。
いったいいくらかかるんだと、値段も想像したくない。


あの夜の綺麗な女性は、私の母親。
ユーリア・キャベル・アストラルと言う名前だ。
美人は名前まで綺麗ですよね~。
そして、私の名前はディーン・キャベル・アストラル、と言うらしい。
見た目はお母様と同じハニーブロンドに、王族に現れる空色から深い海色へとグラデーションしている瞳で、顔はお父様に似ているそうだ。
まぁ、3年も経てばこの環境には適応してくる。

転生もの。
それは昨今流行っていたネット小説や漫画を読んでいたため、赤ん坊の時には自分のおかれた状況だけはなんとか理解できた。
そのため、割と手のかからない赤ん坊でユーリアお母様をたびたび困らせたなぁ。

そして、私が転生したこの世界。

“アストラル王国”

その王国の第一王子こと、私なのです!


う~ん、最初は何で前世の記憶を持ったまま異性に転生したかなぁとか悩んだもんですよ。
でも、王子の待遇?良すぎでしょ!
前世のブラックと比べ物にならん生活水準ですわ。
まぁ、前世からの性格上わがままなるものは言わずに育ってきましたけどね。

そんな私、ディーン王子に弟が出来たことで新しい前世の記憶を思い出してしまったのだ。

弟。第二王子の名前。
ジーク・キャベル・アストラル

そしてアストラル王国。

私の名前、ディーン・キャベル・アストラル。




………あーぁ。何ですぐに思い出さなかったんだろう。
この世界、私が前世でプレイしていた乙女ゲーム「アストラルの剣」そのものだよ。

しかも私、メインの攻略対象者じゃんっ!
弟のジークも攻略対象者だよ。

うーわどーしよう…。

攻略はするのが楽しいのであって、攻略はされたくないなー。




うん、ヒロインと関わらないように頑張ろーそーしよー。

あ、あと後に私の婚約者になるあの悪役令嬢とも関わらないようにしないとなぁ。
プレイしていた時はあの令嬢に何度邪魔されイラついたことか!!

まずは、ゲームのシナリオと設定?ってやつ。変えていきたいねぇ。

たしかディーンとジークって王妃と第二妃それぞれの子供で、この第二妃が権力バカだったんだよなー。
その権力争いが私たち兄弟にまで影響していてあんまり仲良くない設定だったなぁ。

まずはその兄弟不仲説、それを覆さないとな!
ジークって結構好きなキャラクターだったし、正直兄弟嬉しいし、仲良くしたい。
よし!決まり!そーときまれば…。


「お母さま。わたし、弟に会いに行きたいです」

「…そうね。お母様も会ってみたいわ。マリサに相談してみましょ」


早くに始まった王子教育。
私が優秀すぎるがゆえに早まってしまったお勉強の休憩で、お母さまのティータイムにお邪魔していた。

正直お母さまはあの第二妃と仲が良くない。
そりゃ優しいユーリアお母さまと権力バカとじゃ仲良くはなれないよねぇ。
一方的に第二妃がお母さまを目の敵にしてる感じだし。
だから困ったような顔をされながら笑われていた。


「はい、王妃殿下。サーシャ様のお加減にもよりますがご予定をお聞きします。」


そばに控えていたこのマリサという女性。
いわゆる私の乳母で、仕事の早い侍女なのです。
お母さまからの信頼も厚く、教育にも熱い。
3歳にも容赦しないんだよなぁー。

でも美人。
さすが乙女ゲーム。メイドも侍女も美人ばっかり。
執事や王子教育の先生たち、見習いでさえイケメンだもんなぁ。

自分の将来が末恐ろしいぜ⭐︎
まぁ知ってるけど⭐︎



しおりを挟む

処理中です...