明治物語

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明治物語

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見目麗しい少年少女。
街を歩けば噂が飛び交う。

「ねぇねぇ、あの子...」
「やっぱりあの噂、本当だったのね...」
「あの噂?」
「えぇ、なんでもね...」



「姉さん、僕ら今、恋人同士に見えているのかな。」

『うふふ、そうかもしれないわね。』

「姉さんが今日も綺麗だから、皆姉さんを見てるや。」

『違うわ、貴方を見てるのよ。だってこんなにかっこいいんだもの!』

「ねえ姉さん、僕ね、姉さんのこと大好きだよ。」

『ありがとう、私も好きよ!』


『大好きだから、もう私のことは忘れて欲しいの...お願いよ、幸せになって...』
人形それは、私じゃないのよ。』


道を行くのは少年一人。
姉を亡くした少年一人。


「なんでもね...お姉さん亡くして、狂っちゃったんだって、彼。」


人形を自身の姉と認識してしまった彼が、姉の望んだような幸せを手に入れる日は来るのだろうか。


彼の人生の分岐点はそう遠くない。彼の物語の結末がどうであれ、それでも今はただひたすら、偽りの世界で彼は彼なりに幸せを感じ続けるのだろう。
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