リタヴィア

ドワーフ

4

俺は夢を見ていた。
ねじれている木、土から根が出ている木、落ち葉が沢山ある木、俺は沢山の木々に囲まれていた。
見た事無い花や、芽が沢山があり心を奪われた。
近くには川の流れる音や水が岩にぶつかる音などが響き渡っている。
木からはチラチラと太陽の光が差し込み、清々しい気持ち。
そして……気付くと俺の横に立っていたコールは笑いながら自分を見ていた。
どうしても聞きたい。今直ぐにでも聞きたい。
コールは本当に俺の事を裏切ったのか。はたまた、アイツらが俺を騙していたのか…
でも俺は死んでしまう。いや、もう死んでしまったのかもしれない。
またコールのパイ食べたかった……
薄れていく景色とコールの笑顔のなか、俺はずっとそう思っていた。

「……………ぅ…ん……」
あれ、ここは……
気付くと俺は襲われた場所で目が覚めた。
俺…
「俺………生きてる……」
どうして生きているんだ…毒だったんじゃないのか？
動こうとすると、鎖が邪魔でそこから動けなかった。
どうしよ……
さり気無く自分の方に勢い良く引っ張ると
ガチャン、と鎖は切れてしまった。
「えっ、」
何でこんなに脆くなってる!?
よく見るとコケまで生えており長い事この状態だったことを物語っている。
しかもさっきまで真夏日で蒸し蒸しとした空気だったのに、今ではパラパラと雪が降っているではないか。
「寒い…!」
俺は今、半袖半ズボン状態。冬らしい格好ではない。
俺は急いで家がある北の方向へ走った。何処かも分からない所に居たくなかったからだ。

案の定、家の近くにある川を見つけて近くを探し回った。
無い…無い!
「家がない…」
あったはずの家がそこには無かった。
売地と書いてある看板がポツリ。
家があったという痕跡が全く無く、俺は唖然としていた。
俺はやはりコールに裏切られたのか……
しかも俺の今の持ち物は、［金］しかも果物など買うくらいだから少ない。
それぐらいだ。あ、あと夏の服装ぐらいで……
有り得ない…服も無い…金も無い…
どうすればいいんだよ…
この真実は俺には残酷すぎた。

そして俺は、ずっと忘れていた…
俺は一体何の注射を打たれたのかを…