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『君の知らない魂の傷痕』
001 『Restart』
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「魂は存在するのでしょうか?」
夏休み、生徒や教授の姿がほとんどない大学内。
沈みかけた陽の光が、乱雑に積み上げられた資料の隙間から入り込む研究室で、彼は教授に答えを求めた。
教授は、パソコン画面に向けていた目線をゆっくりと彼の方へ向ける。
彼は、新東京大学クラフト専攻科の卒業生だけが着用を許される黒のクラフトスーツを着ていた。
それは、様々な機械に改造・改良、そして新たなシステムの構築を施す専門家《クラフター》としての認められた証。
卒業生である彼の容姿は、ボサボサに伸びた髪の毛に、徹夜続きなのか、目の下に大きな隈ができて目も血走っている。
「久しぶりに顔を見せたと思ったら、随分と辛気臭い顔をしているな。その様子だと、特に成果を得られたわけでもなければ、進展もなかったといったところか」
そう言うと、教授はライトペンシルを手に取り『魂は存在するのか?』と、クリアボードに白光りする文字を書いた。
「君の知りたい魂の存在についてだが、これまでも様々な分野で研究が進められてきた。なぜ、非科学的で目に見えない存在を確かめずにはいられないと思う?」
心理学者の教授は、変わり者で常に気難しい顔をしている人だ。機嫌を損ねたら今日一日、いや、場合によっては今後ずっと口も聞いてもらえない可能性もある。
そうなることを、なるべく避けたい彼は、慎重に言葉を選ぶ。
「……興味でしょうか」
彼の答えに、教授は小馬鹿にするように鼻で笑う。
「確かに興味は大事なことだ。興味がなければ、研究しようという意欲が湧かない。しかし、だが、しかしだ。興味があるというだけで、形のないものが存在するのか、否かについて、時間と金と労力を費やせるだろうか? 私には無理だ。君は、どうだい?」
「無理だと思います」
「そうだろう? だから、私は興味以外にも必要なものがあると考えている。何か分かるかい?」
再び投げ掛けられた質問に、彼は顔を顰める。
「分かりません。俺が知りたいのは、研究に至るまでの過程じゃない。魂が存在するかどうかです!」
と、早く答えが知りたいという焦りもあり、彼は声を荒げてしまう。
——やってしまった。
思わず感情的になってしまったことを後悔した彼は、恐る恐る教授の顔を覗き見る。
予想に反して、新しい発見をした子供のような表情をする教授。
「そう、それだ。君の焦りと怒りという感情を生み出してしまうほどのものこそが、私が思う興味以外に必要なもの。つまりは願いだ」
「願い……ですか?」
「そうだ。魂の存在について知りたいということは、魂が存在していてほしいという願い。誰しもが、一度は魂について考える。死への恐怖を断ち切るための安心感が欲しいからだ。肉体は朽ち果てても、魂が存在していれば、己という概念が消えることはない。それが魂の存在を証明したいという人間の深層心理。興味を上回る恐怖がなければ、人は行動しない。未知との遭遇ほど恐ろしいものはないからね。恐怖するからこそ、それが存在して欲しいと願い、真実を求める。しかし、だが、しかしだ。今や医療も発達して、大抵の病気や怪我は治せる時代だ。死を意識するには、君は若過ぎる。それにもかかわらず、何を焦っている? 君のそれは、恐怖でもなければ興味でもない。私は君が魂に執着している理由が気になっていた。君の目的はなんだい? 吾妻ユウラ君」
彼——吾妻ユウラは、少し躊躇いつつも話し始める。
「今から半年前、卒業式の3日前に母が不治の病で亡くなりました」
「なるほど、つまり君は亡くなった母親に会いたい一心で魂の存在に執着していたという訳か」
「いえ、確かに母に会いたいのは間違いないですけど、それが理由ではないんです。母が死の直前に、言い残したことが気になって……」
「言い残したこと?」
「私の肉体が朽ち果てたとしても、私の魂はあなたの側にあり続ける。もし、これから先、あなたが多くの人と出会い、学び、真実へ辿り着くことができたなら、また会えるから。と言っていたんです」
「何か疑問に思うことがあるのかい? 私には、残される子に対して母親が悲しませないと言った言葉のように思うのだが」
「俺も初めはそう思いました。でも、俺の母は魂とか霊とか、信じるような人じゃないんです。それなのに、魂の存在を肯定して、また会えると言ったんです」
「確かにそれは興味深いな。人が考えを改め、否定し続けていたことを肯定するには己の目で見て、体験する以外にない。もしかすると、君のお母さんは死期を悟った際に何かを見たのか、あるいは君の知らないときに生死を彷徨い臨死体験をしたのかも知れないな。実際、過去にも何人もの人が臨死体験したという事例もある」
「ええ、俺も臨死体験については調べてみました。科学的に完全に否定も肯定もできない現象。体験した本人の証言以外に確証を得られるものは何もない。だからこそ、気になるんです。俺の母が本当に伝えたかったことが何なのか」
「分からないな」
「そうですよね。自分の母親が何を伝えたいか分からないのに、教授が分かるわけが」
「違う。分からないのは、魂が存在するとして君はどうするつもりなのか……だ」
「……感情を持つアンドロイド《Alice》をご存知ですか?」
「いや、聞いたこともないな」
「《Alice》は人間に近い姿をしていて、人間に近しい感情を持っています。大きく違う点があるとすれば、体の構造と魂の有無。もし、母の言う通り、肉体が朽ち果てても魂が残り続けると言うのなら、肉体は魂の入れ物でしかないと仮定できます。だから俺は、《Alice》を魂の入れ物に代用できないかと考えました」
魂の存在し得るのか。否か。
《Alice》に母親の魂を定着させ、あの言葉の真意を聞くためには必要不可欠な情報。魂が存在することがわかれば、特定の魂を識別する方法、その魂を捕獲する方法、それを定着させる方法と、次の段階へと進むことができる。
そう考えた彼は、教授に答えを求めに来たのだった。
「だから俺は、魂が存在するのか知りたいんです。本当に存在するなら、《Alice》に魂を定着させることも不可能では——」
「待て」
息もつかせぬ早さで話し迫ってくるユウラに、教授は犬に命令をするように手をかざし制止する。
「君の動機は理解した。しかし、だが、しかしだ。君は答えを私に求めた時点で、真実を求める研究者ではない。研究者たるもの自ら考え行動し、答えを導き出さなければ、真の答えには辿りつかない。仮に私が君の質問に答えを提示したところで、その答えは、私が考え行動した結果、辿り着いた私だけの答えでしかない。君のお母さんも、そういう意味を込めて、君自身が多くの出会いと学びを経て真実へ辿りつけと言ったのではないか?」
「……」
ユウラは、やってはならないズルをしようとしていたことに気づく。
今まで何人もの科学者、医学者、研究者たちが魂の存在について研究を重ね、その生涯を賭して辿り着こうとした答え。それを幾人もの人たちの努力と時間を無視して、答えを手に入れようとしていた。
これからすることは、雲を掴むようなこと。いや、それよりも難しいことかもしれない。
ユウラは道標が欲しかった。今進んでいる道が、間違いではないと自信を持ちたかった。過去の偉人たちが残して来た、綺麗に均された危険のない道を歩こうとしていた。
「すみません、俺が間違っていました……。失礼します」
俯きながら背を向け、帰ろうとするユウラの肩に手を添えて教授は言う。
「待ちたまえ、私も1つ分からないことがあってな。先ほどから、パソコンが固まって動かないのだが、下手に触って壊しても困る。確か君はクラフター専攻科だったな。機械には詳しいだろう? 診てくれないか?」
「良いですよ。……ああ、これ色々開きすぎて処理速度が追いついていないだけですね。この型のパソコンなら、一度、再起動だけで直りますよ」
「さすが将来有望な天才クラフターと言われるだけあって、診断が早いな」
「天才だなんて、過大評価ですよ。でも、そのパソコンは、もうどこも取り扱ってないので、修理も部品の調達も難しいと思います。完全に故障してしまう前に最新のHGP、Hologram Graphic Phonに変えることをお勧めします」
「H……G……。いや、買い換えるのは遠慮しておこう。新しい機械は、どうも苦手でね」
「そうですか。では、俺はこれで失礼します」
「ああ、また何かあれば、ここへ来なさい」
掛けられた言葉を背に受け、ユウラは研究室を後にした。
陽が沈み、薄暗く静まり返った学内で、パソコンの妙に大きな再起動音が耳に入り、身体中を駆け巡る。
考えて、考えて、ひたすら考え続けて、悩み、もがき、苦しみ、ノイズが掛かり処理しきれなくなった心をクリアにするためにも、気を取り直し前進し続けるしかない。歩むことこそが真実へと辿り着く唯一の手段。
ユウラは、学内を見渡しながら自分に言い聞かせる。
——ここから、Restartしよう。
夏休み、生徒や教授の姿がほとんどない大学内。
沈みかけた陽の光が、乱雑に積み上げられた資料の隙間から入り込む研究室で、彼は教授に答えを求めた。
教授は、パソコン画面に向けていた目線をゆっくりと彼の方へ向ける。
彼は、新東京大学クラフト専攻科の卒業生だけが着用を許される黒のクラフトスーツを着ていた。
それは、様々な機械に改造・改良、そして新たなシステムの構築を施す専門家《クラフター》としての認められた証。
卒業生である彼の容姿は、ボサボサに伸びた髪の毛に、徹夜続きなのか、目の下に大きな隈ができて目も血走っている。
「久しぶりに顔を見せたと思ったら、随分と辛気臭い顔をしているな。その様子だと、特に成果を得られたわけでもなければ、進展もなかったといったところか」
そう言うと、教授はライトペンシルを手に取り『魂は存在するのか?』と、クリアボードに白光りする文字を書いた。
「君の知りたい魂の存在についてだが、これまでも様々な分野で研究が進められてきた。なぜ、非科学的で目に見えない存在を確かめずにはいられないと思う?」
心理学者の教授は、変わり者で常に気難しい顔をしている人だ。機嫌を損ねたら今日一日、いや、場合によっては今後ずっと口も聞いてもらえない可能性もある。
そうなることを、なるべく避けたい彼は、慎重に言葉を選ぶ。
「……興味でしょうか」
彼の答えに、教授は小馬鹿にするように鼻で笑う。
「確かに興味は大事なことだ。興味がなければ、研究しようという意欲が湧かない。しかし、だが、しかしだ。興味があるというだけで、形のないものが存在するのか、否かについて、時間と金と労力を費やせるだろうか? 私には無理だ。君は、どうだい?」
「無理だと思います」
「そうだろう? だから、私は興味以外にも必要なものがあると考えている。何か分かるかい?」
再び投げ掛けられた質問に、彼は顔を顰める。
「分かりません。俺が知りたいのは、研究に至るまでの過程じゃない。魂が存在するかどうかです!」
と、早く答えが知りたいという焦りもあり、彼は声を荒げてしまう。
——やってしまった。
思わず感情的になってしまったことを後悔した彼は、恐る恐る教授の顔を覗き見る。
予想に反して、新しい発見をした子供のような表情をする教授。
「そう、それだ。君の焦りと怒りという感情を生み出してしまうほどのものこそが、私が思う興味以外に必要なもの。つまりは願いだ」
「願い……ですか?」
「そうだ。魂の存在について知りたいということは、魂が存在していてほしいという願い。誰しもが、一度は魂について考える。死への恐怖を断ち切るための安心感が欲しいからだ。肉体は朽ち果てても、魂が存在していれば、己という概念が消えることはない。それが魂の存在を証明したいという人間の深層心理。興味を上回る恐怖がなければ、人は行動しない。未知との遭遇ほど恐ろしいものはないからね。恐怖するからこそ、それが存在して欲しいと願い、真実を求める。しかし、だが、しかしだ。今や医療も発達して、大抵の病気や怪我は治せる時代だ。死を意識するには、君は若過ぎる。それにもかかわらず、何を焦っている? 君のそれは、恐怖でもなければ興味でもない。私は君が魂に執着している理由が気になっていた。君の目的はなんだい? 吾妻ユウラ君」
彼——吾妻ユウラは、少し躊躇いつつも話し始める。
「今から半年前、卒業式の3日前に母が不治の病で亡くなりました」
「なるほど、つまり君は亡くなった母親に会いたい一心で魂の存在に執着していたという訳か」
「いえ、確かに母に会いたいのは間違いないですけど、それが理由ではないんです。母が死の直前に、言い残したことが気になって……」
「言い残したこと?」
「私の肉体が朽ち果てたとしても、私の魂はあなたの側にあり続ける。もし、これから先、あなたが多くの人と出会い、学び、真実へ辿り着くことができたなら、また会えるから。と言っていたんです」
「何か疑問に思うことがあるのかい? 私には、残される子に対して母親が悲しませないと言った言葉のように思うのだが」
「俺も初めはそう思いました。でも、俺の母は魂とか霊とか、信じるような人じゃないんです。それなのに、魂の存在を肯定して、また会えると言ったんです」
「確かにそれは興味深いな。人が考えを改め、否定し続けていたことを肯定するには己の目で見て、体験する以外にない。もしかすると、君のお母さんは死期を悟った際に何かを見たのか、あるいは君の知らないときに生死を彷徨い臨死体験をしたのかも知れないな。実際、過去にも何人もの人が臨死体験したという事例もある」
「ええ、俺も臨死体験については調べてみました。科学的に完全に否定も肯定もできない現象。体験した本人の証言以外に確証を得られるものは何もない。だからこそ、気になるんです。俺の母が本当に伝えたかったことが何なのか」
「分からないな」
「そうですよね。自分の母親が何を伝えたいか分からないのに、教授が分かるわけが」
「違う。分からないのは、魂が存在するとして君はどうするつもりなのか……だ」
「……感情を持つアンドロイド《Alice》をご存知ですか?」
「いや、聞いたこともないな」
「《Alice》は人間に近い姿をしていて、人間に近しい感情を持っています。大きく違う点があるとすれば、体の構造と魂の有無。もし、母の言う通り、肉体が朽ち果てても魂が残り続けると言うのなら、肉体は魂の入れ物でしかないと仮定できます。だから俺は、《Alice》を魂の入れ物に代用できないかと考えました」
魂の存在し得るのか。否か。
《Alice》に母親の魂を定着させ、あの言葉の真意を聞くためには必要不可欠な情報。魂が存在することがわかれば、特定の魂を識別する方法、その魂を捕獲する方法、それを定着させる方法と、次の段階へと進むことができる。
そう考えた彼は、教授に答えを求めに来たのだった。
「だから俺は、魂が存在するのか知りたいんです。本当に存在するなら、《Alice》に魂を定着させることも不可能では——」
「待て」
息もつかせぬ早さで話し迫ってくるユウラに、教授は犬に命令をするように手をかざし制止する。
「君の動機は理解した。しかし、だが、しかしだ。君は答えを私に求めた時点で、真実を求める研究者ではない。研究者たるもの自ら考え行動し、答えを導き出さなければ、真の答えには辿りつかない。仮に私が君の質問に答えを提示したところで、その答えは、私が考え行動した結果、辿り着いた私だけの答えでしかない。君のお母さんも、そういう意味を込めて、君自身が多くの出会いと学びを経て真実へ辿りつけと言ったのではないか?」
「……」
ユウラは、やってはならないズルをしようとしていたことに気づく。
今まで何人もの科学者、医学者、研究者たちが魂の存在について研究を重ね、その生涯を賭して辿り着こうとした答え。それを幾人もの人たちの努力と時間を無視して、答えを手に入れようとしていた。
これからすることは、雲を掴むようなこと。いや、それよりも難しいことかもしれない。
ユウラは道標が欲しかった。今進んでいる道が、間違いではないと自信を持ちたかった。過去の偉人たちが残して来た、綺麗に均された危険のない道を歩こうとしていた。
「すみません、俺が間違っていました……。失礼します」
俯きながら背を向け、帰ろうとするユウラの肩に手を添えて教授は言う。
「待ちたまえ、私も1つ分からないことがあってな。先ほどから、パソコンが固まって動かないのだが、下手に触って壊しても困る。確か君はクラフター専攻科だったな。機械には詳しいだろう? 診てくれないか?」
「良いですよ。……ああ、これ色々開きすぎて処理速度が追いついていないだけですね。この型のパソコンなら、一度、再起動だけで直りますよ」
「さすが将来有望な天才クラフターと言われるだけあって、診断が早いな」
「天才だなんて、過大評価ですよ。でも、そのパソコンは、もうどこも取り扱ってないので、修理も部品の調達も難しいと思います。完全に故障してしまう前に最新のHGP、Hologram Graphic Phonに変えることをお勧めします」
「H……G……。いや、買い換えるのは遠慮しておこう。新しい機械は、どうも苦手でね」
「そうですか。では、俺はこれで失礼します」
「ああ、また何かあれば、ここへ来なさい」
掛けられた言葉を背に受け、ユウラは研究室を後にした。
陽が沈み、薄暗く静まり返った学内で、パソコンの妙に大きな再起動音が耳に入り、身体中を駆け巡る。
考えて、考えて、ひたすら考え続けて、悩み、もがき、苦しみ、ノイズが掛かり処理しきれなくなった心をクリアにするためにも、気を取り直し前進し続けるしかない。歩むことこそが真実へと辿り着く唯一の手段。
ユウラは、学内を見渡しながら自分に言い聞かせる。
——ここから、Restartしよう。
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