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第3部(終章)
<最終話> PM.1 1F窓際
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「……とあるけれど、先生、これをこのままレポートにするのは、さすがにダメじゃない?」
リップを塗った唇にペンを当てて、少女が眉をしかめた。
今日は建国記念日で、少女の通う学校は半日休みだ。
ひゃっほー遊びに行こう、と思っていたら、母上様に「来週の中間試験の勉強は?」と捕まってしまい、挙句に家庭教師に連絡されて臨時の講習を入れられてしまった。
横暴だ。なにより家庭教師の契約違反だ、先生が可哀想である、などと文句を垂れたが。
当の教師が、午後の一時間くらいなら暇だから構わない、と快諾してしまった。
がっかりだ。
せめて先生が断ってくれたら、友達と遊びに行けたのに。
結局、家で模擬試験の答案解説を受け、電車で帰るという先生に、母上様が駅まで送ってやりなさいと言った。
まあそれくらいならいいか、と思い、連れだって駅にほど近いカフェでラテを奢ってもらった。
窓際のカウンター席に腰かけてオフィス街を眺めながら、鞄から歴史のレポートのために借りてきた参考図書を取り出す。
ちら、と店内を見ると、若い女の人からの視線が少女たちの座る方へ……正確には隣へ向けられている。
(まただ。みんな好きだな、こういう綺麗系の顔)
少女はどっちかというと、もうちょっと濃いめの渋い感じが好みだ。
先生はシンプルな生成りのシャツを着ていて、暑いからか袖をまくっていてラフな雰囲気だ。
隣に座っていると、香水とは違う、なんだか良い匂いがする。シャンプーかな。
薄いレンズのメガネをかけているけど、伊達らしい。
その方が落ち着いて見えるから、だって。
それはどうか知らないけれど、パっと見、インテリな感じ。笑うとちょっと……かわいい感じだ。好みのタイプじゃないけど。
「まあ、この国の歴史はちょっと特殊だからなあ。この本は特に……だいぶ著者の妄想と言うか、出鱈目も多いね」
パラパラと本をめくった先生が、苦笑している。
「教科書にある記載だけまとめて出すか、国立図書館でちゃんとした本を探すかした方がいい」
「面倒臭い」
「そう言わずに。君のお母さんに、こういうレポート類も手を抜かないように見張れって言われてる」
「先生は生徒の味方じゃないの」
「給料を払ってくれてる人の味方かな」
世知辛いことを言って、先生はカフェラテを口に運んだ。
「住んでると普段意識しないけど、交換留学でよその国から来た子は、皆びっくりするの。おとぎ話みたいな歴史を国民みんなが信じていて、その癖世界で一番ハイテクな国なのが、ちぐはぐで変な感じだって」
医療や先進技術は、瀧珠国が大陸でもっとも発展していると言われている。
大昔には、<神力>と言われる神様みたいな不思議な力を持っている人たちもいたと言うけれど、ほんとかどうか分からない。
そういう不思議な話は小説や映画の中ではお馴染みだけれど、今は科学の時代だ。
「そういえば、おばあちゃんが<慈王様>と<蘇芳様>のお参りに行くって言ってた。先生は? 行く?」
建国記念日なので、とくにお年寄りは足を運ぶ人が多い。
お墓は高台にあるから、付近まではロープウェイが運航していて、お年寄りや身体の不自由な人でも参ることができるようになっている。
「行ったことないな」
「一回も? へえ、珍しいね」
大抵、小さい頃に家族に連れられてお参りするものだ。
子供が健やかに大きくなれますように。見守ってもらえますように。そう願ってお参りする。
「お墓参りってのが、なんかこう、うん」
歯切れの悪い言い方だ。
一度は行ったことがある人が多いから、決まりが悪かったのかもしれない。
別に気にしなくていいのに。人それぞれだ。
「ご注文のケーキをどうぞ」
お洒落な女の店員さんが、笑顔でトレイを置いていく。戻る時にさりげなく、トレイの上に小さいメモが置かれていた。
それを見た先生の顔が曇る。紙には小さく連絡先がメモされていた。
「それ、捨てるの? 先生」
「うん」
「恋人にバレたら怒られるから?」
……そうなのだ。先生は恋人がいる。それも聞くところによると、物凄く嫉妬深い人らしい。
先生に自覚はないようだけど、話を聞く限り、結構な束縛系だと思う。
先生は暢気だから、そういうところが可愛いって、授業終わりにたまに惚気る。
生徒相手に惚気ないでよと思うけれど、仕方ないので聞いてあげている。
先生は質問の意味が分からないような、不思議そうな顔をした。
「いや? 愛してるからだけど」
「……」
なんでこっちが負けた気にならなくちゃいけないんだろう。
「年下なんだっけ。どこで知り合ったの」
「うん。昔生徒だった……あ、違う、今のなし!付き合い出したのは大人になってからだから。君のお母さんに言わないでくれ」
「……教え子に手を出すとか、倫理的にアウトだと思う」
「だから違うんだって」
本気で慌ててるみたいだ。視線をウロウロさせた先生は、外を見て「あ」と口を開けた。
なにかと思って見ると、ガラスを隔てた向こう側で若い男の人が、ちょうど向こうもこっちを見て笑顔で駆け寄ってくるところだった。
うわ、凄い美形。
先生と趣が違う感じの人だ。背が高くてちょっと野性味がある、だけど上品な雰囲気……矛盾してるけどそんな感じ。
特に印象的なのが目だった。鋭い、というのとも違う。優し気なのに、自分にまとわりつく視線に興味がないみたいに、受け流してる感じだ。
癖のある黒髪が風に乱れているのさえ、映画のワンシーンみたいにカッコいい。年齢は20代前半くらい。
その人は店内に入ってくると、女の人だけでなく男の人の視線も引きつけながら、まっすぐこっちに歩いてきた。
「先生!よかった、行き違いになるかと思った」
うわぁ。無意識に声が出そうになった。
何というか、砂糖と生クリームとバニラを鍋にぶちまけて煮込んだみたいな、甘ったるい笑顔と声だったのだ。
その人は先生の前に立つと、ジャケットのポケットから端末を取り出して画面を見せた。
見慣れたメッセージツールの画面には一言。
PM.1 1F 窓際。
「この辺ビルに入ってるカフェが多くて、これだけじゃ分からないよ、先生」
文句を言いながらも、その人は嬉しそうににこにこして先生を見ている。
ちなみに、隣に座った人間は無視だ。視界に入ってないのかも。
ちょっとムカついたので、会話に割って入った。
「先生、この人は」
先生と呼んだ時、その人は一瞬、こっちをじっと見た。その目が何だか怖かったけど、負けじと見つめ返す。
なによ、私の先生なのは本当だもん。
すると、その人はすぐさま表情を和ませて、笑いかけてきた。
「こんにちは。君が先生の生徒さんかな。お勉強を頑張っていて、偉いんだね」
「……どうも。お兄さんも、先生の生徒さんですか?」
さっきからずっと、先生と呼んでいるし。
もしかして大学生? でも、先生が大学生を受け持っているという話は聞いたことがない。
その人はにっこり笑って、先生に目配せした。
「俺の先生だよ。初めて会った時からずっと、ね」
なにそれ。どういう意味?
首を捻っていたら、コホン、とわざとらしい咳払い。先生だった。
「……はいはい、分かったからそのくらいで。迎えにきてくれてありがとう」
「先生に言われたらどこでも行くよ」
ちょっと赤くなっている先生に、当然みたいに手を差し出す。
そして先生も自然な流れでその手を取って立ち上がった。
呆気に取られていたら、先生がケーキの皿を、すっと目の前に移動させてくれた。
「勉強お疲れ様。中間試験もこの調子で頑張ろうね。じゃあ、また来週」
綺麗にデコレーションされたレモンタルト。美味しそうだけど、学生にはちょっと値段が高いなと思っていたから嬉しい。
注文した時から、多分くれるんだろうなと思っていたけれど。
でもお礼を言おうとして、ハッと気づいた。
さっきの先生の言葉。年下の、元教え子で、大人になってから付き合い出した……。
「これって口止め料?」
先生は困ったように笑うと、またねと手を振って、その人と店の外に行ってしまった。
まあ別に、いいんだけど。
フォークですくったレモンタルトのクリームは少し酸っぱくて、同じくらいに甘かった。
いいんだけどね……タイプじゃないもの。
「子供と張り合うなよ。あの子のこと、ちょっと睨んでただろ」
店を出て駅の方に歩きながら、一応叱っておいた。
「だって……やっぱり別の仕事にしません? 先生だったら何でもできるでしょ? 人に教えるのが好きなのは分かるけど、俺以外の人間に先生って呼ばれてるのを見ると、嫉妬する」
しゅんと拗ねた声で反論される。
溜息をついて、仕方ないなあと頬を摘まんだ。
「……いっそ籍でも入れるか。もう嫉妬しなくて済むように」
途端、ぱっと顔を輝かせたが、すぐに文句がかえってきた。
「そいうのはもっとムードを作って言ってくださいよ!こんな道端じゃなくて!」
やれやれ。
「流行のドラマの見過ぎだ、花鶏」
アケミツの言う「特別手当」の意味が分かった時、正直……嬉しさよりも心苦しかった。
アケミツは花鶏達を駒にしか見えていないから、都合のいい存在である蘇芳に手向けた褒美……最後の置き土産のつもりだったのだろう。
花鶏の意思も、そこから生じる長い長い時間も、人生も……本人に了解も得ずに決めてしまったのだ。
花鶏の成長が緩やかになり、ある時から明らかに他人とずれ始めた時、蘇芳は本人に伝えた。
申し訳なくて、背負わせたものが苦しくて、自分だけなら何とかなると思った運命に巻き込んだことが悲しくて俯く蘇芳に、花鶏はいつものように愛情を湛えてた笑みを向けた。
「なんて顔してるの、先生。……よかった。知らずに先生をひとりにしてたかもしれないと思うと、そっちの方が俺は本気で怒るよ」
ハッとして顔を上げると、花鶏は顔を手の平で挟んで視線を合わせた。
「怒るよ。俺も先生も、お互い無しで生きてくのがどれほど辛くて虚しいか、もう知ってるだろ? 独りにならないでよ。俺はずっと貴方といるよ」
唇を噛んで涙をこらえている蘇芳に笑って、目尻に口づける。
「泣かないで、先生」
瀧華国の騒動が収束するにしたがって、少しずつ、準備を整えていった。
蘇芳にはどうしても、管理者として放置しておけない問題があり、それは花鶏にも関わることだった。
正確には……「これまでの花鶏たち」に。
『名もない国』の首族長たちへ橋渡しをすることは、かつてカデンルラでアジラヒムたちと交わした口約束のひとつだ。
口約束だから、彼らが果たしてくれるかは分からなかったが、有難いことに、アジラヒムとイルファーンは約束を守ってくれた。
「あんたとはもう関わりたくなかったのに……」
げんなりするアジラヒムの隣で、イルファーンは相変わらずの美しい顔に疑念を浮かべていた。
「東の国の人間は年齢不詳だと言いますが、それにしても……以前お会いした時からお変わりようだ」
妙なものを見る目つきで、蘇芳と花鶏をそう評した。
そこから何年もかけて、少しずつ準備をした。
会談を重ね、人脈を作り、根回しをし、やがて雨月王朝が隆盛を迎え、ゆるやかに落ちついた頃、ふたりは身辺整理をした。
すでに姿が変わらないことを隠すことが難しくなっていて、ほとんど隠遁生活を送っていたため、出国の時も親しい人々だけに最後のお別れをした。
みな、何かの不思議を目の当たりにしながらも、そっとふたりとの別れを惜しみ、送り出してくれるのが有難かった。
「無理をしないように。何かあれば文を出してください。沙羅は自由に国を行き来しますから、困ったことがあれば、あなたの呼ぶ声に応えてくれるでしょう」
「彼女は外の世界に行くのを楽しみにしてましたよ。蘇芳先生も、いつでも帰ってきてくださいね。花鶏と一緒に」
落ち着いた大人の女性となったはつりは、両親の元へ戻り、今は彼女自身の家庭を持つ身だ。
依然として沙羅との意思疎通らしきものができる唯一の人間でもあった。
過去の花鶏たちの悲願のために生まれ、放置されていた国は、それから何代もの王朝を経て、大陸でも最も豊かで進歩した国として人民が平和に暮らしている。
かつて首長たちが皇族を誘拐してまで守ろうと足掻いた結果が、実を結んでいた。
たとえそれが、当時は善の行いではなかったとしても……蘇芳と花鶏にとって、この国は大切なもう一つの祖国だ。
蘇芳と花鶏は首都の郊外に暮らしていて、花鶏はその時代ごとに大学に通い目まぐるしく進歩する技術や知識を吸収するのに勤しんでいる。
蘇芳は蘇芳で、かつて自分がいた世界の様相に近づいていくさまを、不思議な気持ちで眺めていた。
「建国記念日だけど、お参りはいいですよね。自分たちの墓参りしてもしょうがないし。駅前でランチをして、久しぶりに映画でも見ませんか?」
最近忙しかったから、とうきうきしている花鶏に頷いた。
長いこと身分制度に縛られていた反動からか、花鶏はその時々で興味を引いた分野にあれこれと手を出すのが新鮮で楽しいようだった。
仕事に関してもそうだ。
少し前まではエンジニア、今は文筆を生業にしていて、片手間の趣味のような時もあれば、時間を忘れてのめり込む時もある。
蘇芳も夢中になっている時の花鶏は邪魔せず放っておくようにしているので、ゆっくりデートするのも久しぶりだった。
「映画か、いいな。今だと何が」
やってるのかな、と続けようとした時、ポケットに入れた端末のコールが鳴った。
花鶏が嫌そうな顔をした。「仕事用」の端末だったからだ。
ごめんと目で謝ってから、通話に切り替えた。
「はい」
{あ~、ごめんやけどぉ、今日休みなんは知っとるんやけどぉ~}
相変わらずの気の抜けた喋り方に、自分の影響だと分かっていてもため息が出てしまう。
「これからデートなんだよ。そっちだけで対処できないのか?」
{そんなん、ワイかてそうやがな!しゃあないやん、こういうんはこっちの都合お構いなしやんはいつものことやんか!臨時手当だして欲しいんはこっちかて同じやわ}
「相変わらずうるさいな」
通話口から漏れる大声に、花鶏も眉をしかめた。
{お、花鶏のにいちゃん、どうも~。隣のお人、ちと借りまっせ。なんやまた、こっちに飛ばされたもんが居るらしゅうて、巫監術府から連絡きてん。様子見てこいて~}
「またか? 前回保護してから、まだ五十年も経ってないってのに……はあ。花鶏」
通話を切って、花鶏を見上げる。
「ほんとごめん。この埋め合わせは必ず……」
花鶏はぐるりと蘇芳の腰に手を回して自分の方に抱き寄せながら、ん~と考える素振りをした。
「一緒に行こうか、先生。たまにはいいでしょう?」
「一緒にって……仕事はいいのか。それに結構遠出になるぞ?」
花鶏はニヤッと笑った。
「婚前旅行にしよう!それで帰ってきたら、ロマンチックなサプライズプロポーズをして、式を挙げて、籍を入れよう」
「たった今サプライズには失敗したけどな」
「お揃いの指輪も買おう!」
「もう何個も持ってるけど」
呆れている蘇芳にちゅっと軽くキスをして、花鶏がつないだ手を引っ張る。
午後の柔らかい日差しの中へ、軽い足取りで踏み出していく。
「行こう、先生」
振り返って笑う顔を見て、蘇芳も顔を綻ばせた。
緩やかな人並を、ふたりで抜けていく。
いつかこの日々にも終わりが訪れることを、心の隅で穏やかに予感しながら。
大切な人と歩む愛しい日々の軌跡を残して、人生が続いてゆく。
まるで物語の主人公みたいに。
【完】
リップを塗った唇にペンを当てて、少女が眉をしかめた。
今日は建国記念日で、少女の通う学校は半日休みだ。
ひゃっほー遊びに行こう、と思っていたら、母上様に「来週の中間試験の勉強は?」と捕まってしまい、挙句に家庭教師に連絡されて臨時の講習を入れられてしまった。
横暴だ。なにより家庭教師の契約違反だ、先生が可哀想である、などと文句を垂れたが。
当の教師が、午後の一時間くらいなら暇だから構わない、と快諾してしまった。
がっかりだ。
せめて先生が断ってくれたら、友達と遊びに行けたのに。
結局、家で模擬試験の答案解説を受け、電車で帰るという先生に、母上様が駅まで送ってやりなさいと言った。
まあそれくらいならいいか、と思い、連れだって駅にほど近いカフェでラテを奢ってもらった。
窓際のカウンター席に腰かけてオフィス街を眺めながら、鞄から歴史のレポートのために借りてきた参考図書を取り出す。
ちら、と店内を見ると、若い女の人からの視線が少女たちの座る方へ……正確には隣へ向けられている。
(まただ。みんな好きだな、こういう綺麗系の顔)
少女はどっちかというと、もうちょっと濃いめの渋い感じが好みだ。
先生はシンプルな生成りのシャツを着ていて、暑いからか袖をまくっていてラフな雰囲気だ。
隣に座っていると、香水とは違う、なんだか良い匂いがする。シャンプーかな。
薄いレンズのメガネをかけているけど、伊達らしい。
その方が落ち着いて見えるから、だって。
それはどうか知らないけれど、パっと見、インテリな感じ。笑うとちょっと……かわいい感じだ。好みのタイプじゃないけど。
「まあ、この国の歴史はちょっと特殊だからなあ。この本は特に……だいぶ著者の妄想と言うか、出鱈目も多いね」
パラパラと本をめくった先生が、苦笑している。
「教科書にある記載だけまとめて出すか、国立図書館でちゃんとした本を探すかした方がいい」
「面倒臭い」
「そう言わずに。君のお母さんに、こういうレポート類も手を抜かないように見張れって言われてる」
「先生は生徒の味方じゃないの」
「給料を払ってくれてる人の味方かな」
世知辛いことを言って、先生はカフェラテを口に運んだ。
「住んでると普段意識しないけど、交換留学でよその国から来た子は、皆びっくりするの。おとぎ話みたいな歴史を国民みんなが信じていて、その癖世界で一番ハイテクな国なのが、ちぐはぐで変な感じだって」
医療や先進技術は、瀧珠国が大陸でもっとも発展していると言われている。
大昔には、<神力>と言われる神様みたいな不思議な力を持っている人たちもいたと言うけれど、ほんとかどうか分からない。
そういう不思議な話は小説や映画の中ではお馴染みだけれど、今は科学の時代だ。
「そういえば、おばあちゃんが<慈王様>と<蘇芳様>のお参りに行くって言ってた。先生は? 行く?」
建国記念日なので、とくにお年寄りは足を運ぶ人が多い。
お墓は高台にあるから、付近まではロープウェイが運航していて、お年寄りや身体の不自由な人でも参ることができるようになっている。
「行ったことないな」
「一回も? へえ、珍しいね」
大抵、小さい頃に家族に連れられてお参りするものだ。
子供が健やかに大きくなれますように。見守ってもらえますように。そう願ってお参りする。
「お墓参りってのが、なんかこう、うん」
歯切れの悪い言い方だ。
一度は行ったことがある人が多いから、決まりが悪かったのかもしれない。
別に気にしなくていいのに。人それぞれだ。
「ご注文のケーキをどうぞ」
お洒落な女の店員さんが、笑顔でトレイを置いていく。戻る時にさりげなく、トレイの上に小さいメモが置かれていた。
それを見た先生の顔が曇る。紙には小さく連絡先がメモされていた。
「それ、捨てるの? 先生」
「うん」
「恋人にバレたら怒られるから?」
……そうなのだ。先生は恋人がいる。それも聞くところによると、物凄く嫉妬深い人らしい。
先生に自覚はないようだけど、話を聞く限り、結構な束縛系だと思う。
先生は暢気だから、そういうところが可愛いって、授業終わりにたまに惚気る。
生徒相手に惚気ないでよと思うけれど、仕方ないので聞いてあげている。
先生は質問の意味が分からないような、不思議そうな顔をした。
「いや? 愛してるからだけど」
「……」
なんでこっちが負けた気にならなくちゃいけないんだろう。
「年下なんだっけ。どこで知り合ったの」
「うん。昔生徒だった……あ、違う、今のなし!付き合い出したのは大人になってからだから。君のお母さんに言わないでくれ」
「……教え子に手を出すとか、倫理的にアウトだと思う」
「だから違うんだって」
本気で慌ててるみたいだ。視線をウロウロさせた先生は、外を見て「あ」と口を開けた。
なにかと思って見ると、ガラスを隔てた向こう側で若い男の人が、ちょうど向こうもこっちを見て笑顔で駆け寄ってくるところだった。
うわ、凄い美形。
先生と趣が違う感じの人だ。背が高くてちょっと野性味がある、だけど上品な雰囲気……矛盾してるけどそんな感じ。
特に印象的なのが目だった。鋭い、というのとも違う。優し気なのに、自分にまとわりつく視線に興味がないみたいに、受け流してる感じだ。
癖のある黒髪が風に乱れているのさえ、映画のワンシーンみたいにカッコいい。年齢は20代前半くらい。
その人は店内に入ってくると、女の人だけでなく男の人の視線も引きつけながら、まっすぐこっちに歩いてきた。
「先生!よかった、行き違いになるかと思った」
うわぁ。無意識に声が出そうになった。
何というか、砂糖と生クリームとバニラを鍋にぶちまけて煮込んだみたいな、甘ったるい笑顔と声だったのだ。
その人は先生の前に立つと、ジャケットのポケットから端末を取り出して画面を見せた。
見慣れたメッセージツールの画面には一言。
PM.1 1F 窓際。
「この辺ビルに入ってるカフェが多くて、これだけじゃ分からないよ、先生」
文句を言いながらも、その人は嬉しそうににこにこして先生を見ている。
ちなみに、隣に座った人間は無視だ。視界に入ってないのかも。
ちょっとムカついたので、会話に割って入った。
「先生、この人は」
先生と呼んだ時、その人は一瞬、こっちをじっと見た。その目が何だか怖かったけど、負けじと見つめ返す。
なによ、私の先生なのは本当だもん。
すると、その人はすぐさま表情を和ませて、笑いかけてきた。
「こんにちは。君が先生の生徒さんかな。お勉強を頑張っていて、偉いんだね」
「……どうも。お兄さんも、先生の生徒さんですか?」
さっきからずっと、先生と呼んでいるし。
もしかして大学生? でも、先生が大学生を受け持っているという話は聞いたことがない。
その人はにっこり笑って、先生に目配せした。
「俺の先生だよ。初めて会った時からずっと、ね」
なにそれ。どういう意味?
首を捻っていたら、コホン、とわざとらしい咳払い。先生だった。
「……はいはい、分かったからそのくらいで。迎えにきてくれてありがとう」
「先生に言われたらどこでも行くよ」
ちょっと赤くなっている先生に、当然みたいに手を差し出す。
そして先生も自然な流れでその手を取って立ち上がった。
呆気に取られていたら、先生がケーキの皿を、すっと目の前に移動させてくれた。
「勉強お疲れ様。中間試験もこの調子で頑張ろうね。じゃあ、また来週」
綺麗にデコレーションされたレモンタルト。美味しそうだけど、学生にはちょっと値段が高いなと思っていたから嬉しい。
注文した時から、多分くれるんだろうなと思っていたけれど。
でもお礼を言おうとして、ハッと気づいた。
さっきの先生の言葉。年下の、元教え子で、大人になってから付き合い出した……。
「これって口止め料?」
先生は困ったように笑うと、またねと手を振って、その人と店の外に行ってしまった。
まあ別に、いいんだけど。
フォークですくったレモンタルトのクリームは少し酸っぱくて、同じくらいに甘かった。
いいんだけどね……タイプじゃないもの。
「子供と張り合うなよ。あの子のこと、ちょっと睨んでただろ」
店を出て駅の方に歩きながら、一応叱っておいた。
「だって……やっぱり別の仕事にしません? 先生だったら何でもできるでしょ? 人に教えるのが好きなのは分かるけど、俺以外の人間に先生って呼ばれてるのを見ると、嫉妬する」
しゅんと拗ねた声で反論される。
溜息をついて、仕方ないなあと頬を摘まんだ。
「……いっそ籍でも入れるか。もう嫉妬しなくて済むように」
途端、ぱっと顔を輝かせたが、すぐに文句がかえってきた。
「そいうのはもっとムードを作って言ってくださいよ!こんな道端じゃなくて!」
やれやれ。
「流行のドラマの見過ぎだ、花鶏」
アケミツの言う「特別手当」の意味が分かった時、正直……嬉しさよりも心苦しかった。
アケミツは花鶏達を駒にしか見えていないから、都合のいい存在である蘇芳に手向けた褒美……最後の置き土産のつもりだったのだろう。
花鶏の意思も、そこから生じる長い長い時間も、人生も……本人に了解も得ずに決めてしまったのだ。
花鶏の成長が緩やかになり、ある時から明らかに他人とずれ始めた時、蘇芳は本人に伝えた。
申し訳なくて、背負わせたものが苦しくて、自分だけなら何とかなると思った運命に巻き込んだことが悲しくて俯く蘇芳に、花鶏はいつものように愛情を湛えてた笑みを向けた。
「なんて顔してるの、先生。……よかった。知らずに先生をひとりにしてたかもしれないと思うと、そっちの方が俺は本気で怒るよ」
ハッとして顔を上げると、花鶏は顔を手の平で挟んで視線を合わせた。
「怒るよ。俺も先生も、お互い無しで生きてくのがどれほど辛くて虚しいか、もう知ってるだろ? 独りにならないでよ。俺はずっと貴方といるよ」
唇を噛んで涙をこらえている蘇芳に笑って、目尻に口づける。
「泣かないで、先生」
瀧華国の騒動が収束するにしたがって、少しずつ、準備を整えていった。
蘇芳にはどうしても、管理者として放置しておけない問題があり、それは花鶏にも関わることだった。
正確には……「これまでの花鶏たち」に。
『名もない国』の首族長たちへ橋渡しをすることは、かつてカデンルラでアジラヒムたちと交わした口約束のひとつだ。
口約束だから、彼らが果たしてくれるかは分からなかったが、有難いことに、アジラヒムとイルファーンは約束を守ってくれた。
「あんたとはもう関わりたくなかったのに……」
げんなりするアジラヒムの隣で、イルファーンは相変わらずの美しい顔に疑念を浮かべていた。
「東の国の人間は年齢不詳だと言いますが、それにしても……以前お会いした時からお変わりようだ」
妙なものを見る目つきで、蘇芳と花鶏をそう評した。
そこから何年もかけて、少しずつ準備をした。
会談を重ね、人脈を作り、根回しをし、やがて雨月王朝が隆盛を迎え、ゆるやかに落ちついた頃、ふたりは身辺整理をした。
すでに姿が変わらないことを隠すことが難しくなっていて、ほとんど隠遁生活を送っていたため、出国の時も親しい人々だけに最後のお別れをした。
みな、何かの不思議を目の当たりにしながらも、そっとふたりとの別れを惜しみ、送り出してくれるのが有難かった。
「無理をしないように。何かあれば文を出してください。沙羅は自由に国を行き来しますから、困ったことがあれば、あなたの呼ぶ声に応えてくれるでしょう」
「彼女は外の世界に行くのを楽しみにしてましたよ。蘇芳先生も、いつでも帰ってきてくださいね。花鶏と一緒に」
落ち着いた大人の女性となったはつりは、両親の元へ戻り、今は彼女自身の家庭を持つ身だ。
依然として沙羅との意思疎通らしきものができる唯一の人間でもあった。
過去の花鶏たちの悲願のために生まれ、放置されていた国は、それから何代もの王朝を経て、大陸でも最も豊かで進歩した国として人民が平和に暮らしている。
かつて首長たちが皇族を誘拐してまで守ろうと足掻いた結果が、実を結んでいた。
たとえそれが、当時は善の行いではなかったとしても……蘇芳と花鶏にとって、この国は大切なもう一つの祖国だ。
蘇芳と花鶏は首都の郊外に暮らしていて、花鶏はその時代ごとに大学に通い目まぐるしく進歩する技術や知識を吸収するのに勤しんでいる。
蘇芳は蘇芳で、かつて自分がいた世界の様相に近づいていくさまを、不思議な気持ちで眺めていた。
「建国記念日だけど、お参りはいいですよね。自分たちの墓参りしてもしょうがないし。駅前でランチをして、久しぶりに映画でも見ませんか?」
最近忙しかったから、とうきうきしている花鶏に頷いた。
長いこと身分制度に縛られていた反動からか、花鶏はその時々で興味を引いた分野にあれこれと手を出すのが新鮮で楽しいようだった。
仕事に関してもそうだ。
少し前まではエンジニア、今は文筆を生業にしていて、片手間の趣味のような時もあれば、時間を忘れてのめり込む時もある。
蘇芳も夢中になっている時の花鶏は邪魔せず放っておくようにしているので、ゆっくりデートするのも久しぶりだった。
「映画か、いいな。今だと何が」
やってるのかな、と続けようとした時、ポケットに入れた端末のコールが鳴った。
花鶏が嫌そうな顔をした。「仕事用」の端末だったからだ。
ごめんと目で謝ってから、通話に切り替えた。
「はい」
{あ~、ごめんやけどぉ、今日休みなんは知っとるんやけどぉ~}
相変わらずの気の抜けた喋り方に、自分の影響だと分かっていてもため息が出てしまう。
「これからデートなんだよ。そっちだけで対処できないのか?」
{そんなん、ワイかてそうやがな!しゃあないやん、こういうんはこっちの都合お構いなしやんはいつものことやんか!臨時手当だして欲しいんはこっちかて同じやわ}
「相変わらずうるさいな」
通話口から漏れる大声に、花鶏も眉をしかめた。
{お、花鶏のにいちゃん、どうも~。隣のお人、ちと借りまっせ。なんやまた、こっちに飛ばされたもんが居るらしゅうて、巫監術府から連絡きてん。様子見てこいて~}
「またか? 前回保護してから、まだ五十年も経ってないってのに……はあ。花鶏」
通話を切って、花鶏を見上げる。
「ほんとごめん。この埋め合わせは必ず……」
花鶏はぐるりと蘇芳の腰に手を回して自分の方に抱き寄せながら、ん~と考える素振りをした。
「一緒に行こうか、先生。たまにはいいでしょう?」
「一緒にって……仕事はいいのか。それに結構遠出になるぞ?」
花鶏はニヤッと笑った。
「婚前旅行にしよう!それで帰ってきたら、ロマンチックなサプライズプロポーズをして、式を挙げて、籍を入れよう」
「たった今サプライズには失敗したけどな」
「お揃いの指輪も買おう!」
「もう何個も持ってるけど」
呆れている蘇芳にちゅっと軽くキスをして、花鶏がつないだ手を引っ張る。
午後の柔らかい日差しの中へ、軽い足取りで踏み出していく。
「行こう、先生」
振り返って笑う顔を見て、蘇芳も顔を綻ばせた。
緩やかな人並を、ふたりで抜けていく。
いつかこの日々にも終わりが訪れることを、心の隅で穏やかに予感しながら。
大切な人と歩む愛しい日々の軌跡を残して、人生が続いてゆく。
まるで物語の主人公みたいに。
【完】
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***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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なんだこれ……。最高すぎるだろ……。
見つけて沼って止められず、会社ズル休みして読んでしまった……。
性癖ぶっささりまくりで辛い。
また、始めから読み直します!!
最高の作品をありがとうございます!!
書籍出たら絶対買って本棚に飾ります。
会社…!会社大丈夫でしたか!?∑(゚Д゚)
思わず二度見してしまいました😅
嬉しいです。ありがとうございます😭
沼ってくださる読者の方がいるのは本当に幸せです!感想もありがとうございました!
どうかバレずに楽しい読書ライフを(^^)
凄く面白かった……!!!!!ココ最近で1番好きなBL小説でした!更新されるのを楽しみに、毎日を過ごしていました。この作品は私にとってひとつの生き甲斐です!😭😭
素敵な作品をありがとうございます〜!!執筆お疲れ様でした!
感想ありがとうございます!
う、嬉しいです…(;´Д`) 長い期間お付き合いくださり、こちらこそ、本当にありがとうございました!!
毎日並走してくださったのですね。
こうして直接お礼が言えるので、感想をいただけてとても嬉しいです。
今この瞬間が私にとっての生き甲斐です。
面白すぎて一気読みしてしまいました、、、今まで中華系のお話に中東系?の国が絡むお話を見たことがなかったので第2章、新鮮で面白かったです!!♡
これからも更新楽しみにしてます!⸝⸝> ̫ <⸝⸝
感想ありがとうございます!(返信が遅くなり申し訳ございません(;'∀'))
第2章、言われてみたら……そうかもしれません💦漢字とカタカナ混在のせわしない感じになりました(笑)が、面白く感じていただけたなら良かったです!
(ムーンライトの更新が先行してしまっていて申し訳ないですが、追いつくよう作業いたしますね!)
同時並行が理想なのですが、すみません!ありがとうございます!