【完結】瀧華国転生譚 ~処刑エンド回避のために幼い病弱皇子を手懐けようとしたら見事失敗した~

飛鳥えん

文字の大きさ
上 下
133 / 156
第3部(終章)

『瀧華国転生譚』

しおりを挟む
「そ、そんなの無しに決まってるだろ、ねえ、そうですよね!」
「いいよ」
「……はい!? え、いいんですか? だってこいつ、異分子ですよ」

「同僚」とアケミツの間で、まるでコントのようなやり取りが展開された。蘇芳もまさか、あっさり承諾されるとは思っていなかったから正直拍子抜けだ。顔に出ていなくても、アケミツには心中が読めるだろう。

「君が管理者になるなら、私たちは完全に『寵姫譚』から撤退することになるけど、この意味を正確に分かっている?」
ざわめく会議室が水を打ったようにシンとなった。
蘇芳が黙っていると、アケミツが続けた。
「何かの拍子に現実世界に戻れる可能性は一切断たれる。管理者の権限は永続的だから、よほどのイレギュラーがない限り途中で降りることはできない。つまり、君の知る言葉で言うなら、半永久の無償労働だけど」

生身の人間である君に、それが務まるの?
アケミツは淡々と問いかけてくる。

(永遠の無償労働、か)
蘇芳は一つ深呼吸して、アケミツを見据えた。

「花鶏が繰り返した時間の分くらいは、俺もやってみせないと、今後先生なんて呼ばせられないからな」

アケミツはわずかに目を見開き、そう、とだけ言って頷いた。

「そういう事なら特別手当くらいは付けてあげてもいいけど。正直、こちらとしても悪い条件じゃない」

その口端が少し上がっているのを見て、蘇芳は今更ながらに気付いた。

(こいつ、最初からおれに言わせる気だったな)

あくまで蘇芳から言い出したこと、という体裁を求めていたような言い草ではないか。誘導されたと思うと癪に障るが、それ以外の方策は浮かんでこなかった。

「悪いけど<三觜>は封じさせてもらいます。ただでさえ濫用のし過ぎだから、多少のハンデはつけないとね」
「……俺を222回もそっちの都合で殺しておいてよく言えたもんだな」
「もしかして怒っている?」

蘇芳は思いっきり顔をしかめた。自分がされたことより、それによって花鶏が味わった苦痛の方が許しがたかった。
アケミツはファイルを拾い上げ、軽く手の平で拭うように撫でた後、蘇芳に差し出す。

「権限を委譲しました。これで、この物語を保持する義務と責任はあなたに移行した」

ファイルを受け取って見ると、表紙のタイトルがさっきと変わっていた。

ーー『瀧華国転生譚そうかこくてんせいたん



ぱん、と小気味良く手を叩いたアケミツが、会議室の窓を開けた。

「さて、これから君の願い通り『転生譚』の世界に意識を帰すわけだけれど」

くどいくらいに、これが蘇芳の意思だという言質を取ってくるのが癪だ。

「こういう時は、ぱっと意識を転送してくれるんじゃないのか?」
「君みたいなイレギュラーの戻し方なんて知らないなあ。今回だってエンディングストーリーに上書きする形でやっと君の意識に介在できたんだから」
「……そんなんだからマニュアルの言いなりになって人を222回も殺す羽目になるんだ」
「人間というのは根に持つ生き物だね。方法は知らないけど、予測はできるよ。君、ちょっとこっちに来て外を見てごらん」

手招かれて窓に近寄ると、俄かに信じがたい光景が眼下に広がっていた。
21階のオフィスから眺める街の景色はそこにはなく、見渡す限り、真っ白い雲海が広がっている。

「良かった。権利を委譲したから、上手く繋がったみたい。君、ここから飛び降りていいよ」
「……なんだって?」
「この窓が唯一の扉。彼方あちら側への門になっている。そのファイルは通行証替わり。さあ早く、戻りたいんでしょう?」

蘇芳ははるか下を見下ろした。雲海の向こうは見えない。が、想像を絶する高さなことは分かった。
この世界で一度だけ聞いた花鶏の言葉を思い出す。

『死ぬまで側にいる約束だ、先生』

(ああ、そうだな。今まで何度も、お願いされてきたもんな)

執拗なまでに何度も、花鶏は蘇芳に傍にいて、離れないでと口約束をせがんできた。
その理由が分かった気がする。花鶏の根幹にある、やるせなさと焦りの正体が。

蘇芳はファイルを脇に挟むと、ぐっと足を窓の桟に掛けた。窓枠の上を掴んで全体重を乗せる。
強風が吹き込んできた。眼下の雲海はゆっくりと動き、蘇芳を待ち構えている。

蘇芳は振り向きざま、奥にいる「同僚」にピシッと人差し指を突き立てた。

「人を指差しちゃいけませんて習わなかった?」

舌打ちする。

「ほざけ。お前、最後に一個だけ訂正しろ」
「なんだよ」

蘇芳はにやりとしてみせた。窓の上枠に手をかけ、後ろ向きに身体を半分乗り出す。

「なにが『お前の理想を満たせる奴なんてこの世にいない』だ。いい加減なこと言いやがって」
「……」
「理想ど真ん中の奴を見つけたぞ」
「……言ってて恥ずかしくならないのかなあ」

乾いた笑いを向けられ、蘇芳は鼻を鳴らした。こいつらに恋愛の機微など期待した自分が馬鹿だった。
アケミツに視線を向ける。

「もう邪魔するなよ。ここからは俺たちの物語だ」

靴底で窓枠を蹴って、空中にダイブするだけだ。よし、やってやる、大丈夫だ、花鶏と会えるならこんな恐怖くらい、どうってこと……。

「あ、さっきも言ったけど、君の意識を禁錮する予定でいたから、空いた身体に「彼」を戻しておいたからね。周りとの齟齬は上手いこと埋めておいてくれる?」
「……は?」
「元の蘇芳の人格を戻しておいたってこと。君がこっちにいる間は、本物の蘇芳が彼方に……君、すごい顔だよ?」
「……は?」
「じゃあ、頑張って」
「ちょ、待てッ、お前らなんてことしてッ、うわ!」

慌てて身を乗り出した瞬間、靴底がずるっと滑り、身体がふわっと宙に放り出された後、重力に従い落下した。
高所からの落下。その恐怖さえ、どこかへ飛んで行った。

今、蘇芳の身体には<本物の蘇芳>がいる。もし花鶏が夢に囚われていないなら、傍には<本物の蘇芳>がいる。
蘇芳は愕然としたまま、雲海の雲間に呑まれていった。


どんどん下に落ちている。耳の横を風圧が轟々と唸り声をあげ、内臓がせり上がる感覚に、ジェットコースターさえ嫌いな蘇芳は失神しないだけ自分を褒めてやりたかった。

(どうするんだ……!このまま地面に激突なんてしたら)

真上に白い太陽が見える。その中にぽつんと黒点が浮かんだ。目を眇めると、黒点はみるみる大きくなり、近づいてくる。

蘇芳はそれが何か分かると、あ、と口を開いた。風圧で声が出ないかと思ったら、難なく言葉が出た。

「のんちゃん!」

腕を伸ばした蘇芳の胸元に、ぼふっと黒い塊、ハロウィンの夜のいで立ちの女の子が飛び込んできた。

「まにあった~」

今の蘇芳には女の子が東雲であるという謎の確信がある。そしてこれまでの奇妙な出来事は、彼女が必死になって蘇芳の意識に干渉していたのだと、やっと腑に落ちた。

「のんちゃん、どうやって俺がここにいるって分かったの? それになんでこの世界に」

入って来れるんだ。

東雲はぎゅっと蘇芳の胸に抱き着きながら、ぱっと顔を上げた。風圧で前髪がなびき、小さなおでこがあらわになっている。身一つで急降下しているのに、恐怖や焦りは全く感じられなかった。

それどころか、わくわくした顔で、

「のんちゃん、がんばった~! えらいえらいして~!」

蘇芳は一瞬呆気に取られたが、すぐに我に返り、慌てて東雲の頭をワシャワシャし、頬っぺたを手で挟んで「えらいえらい!」と褒めた。

事実、東雲には感謝してもしきれない。
<異界>からの脱出にギミックアイテムが必要になる、というのはゲームに限った話ではない。昔話や民話なんかでもその手の話はよく出てくる。
思い出の品や、普段使っている物、会いたい人。
蘇芳が記憶を取り戻すために必要だったものは、「花鶏との思い出の品」だ。
約束の折り紙。贈り物の硝子のペン。そして海に流した星灯。
東雲はそれらをこの世界に送り込んだ。

東雲は拳を口に当てくふふ、と笑うと「いいこいいこもして~!」と強請った。ご機嫌だ。
相変わらず落下中ではあったが、蘇芳は要望に応えて「いい子いい子!」と褒めちぎった。
さらに上機嫌になった東雲は、蘇芳の首根っこに抱き着いてはしゃいでいる。

やがて満足したのか、思い出したように、
「ぺしゃんこになるのと、おそらとんでくのと、どっちがいい? どっちでもいいよ」

とんでもないことを聞かれて、蘇芳はうっと言葉に詰まった。どっちでも戻れるという意味だろうか。どちらにせよあってないような二択だった。

「……ぺしゃんこは嫌だなあ」
「わかった。ちょっとまってね」

落下速度が速くなる。雲海の白い世界を抜け、轟々と吹きすさぶ風の中、真横を見ると、はるか下だと思っていた陸地と青い海が見えた。

それは見慣れた景色だった。今となっては「見慣れた」と感じ入るくらい恋しい世界、瀧華国を遠く眺望しながら、蘇芳たちは落下している。こんな状況でなければもっと嬉しかった。

蘇芳はやや涙目になりながら、
「のんちゃん、急かすつもりはないんだけど、ちょっとってどれくらい? 俺、このままだと割とはやくぺしゃんこになりそう」
「あはは」

東雲が無邪気に笑った。蘇芳が顔を引き攣らせていると、東雲の子供らしい表情がすっと真顔になり、目つきが鋭く、目物を狙う蛇のそれになった。
金色の目が大きく見開かれ、黒い瞳孔はさらに細くなる。蘇芳が思わず息を止めた。突然東雲の輪郭が揺らぎ、弾けるように無数の黒い蝶が綿毛を飛ばすように舞い上がった。

「のんちゃん!?」

何千もの黒い蝶は、まるで黒い雨雲のようにひと固まりとなって上空に舞い上がる。腕の中から東雲の姿は消えていた。
真上を見ると、黒い蝶の大群は一度、雲海の中に消え、次の瞬間、雲を突き抜けてまっすぐ何かが凄まじいスピードで落下、いや、飛来してきた。

「!」

黒い、龍だった。
ああ、と思った。驚きのあと、納得して小さく笑ってしまった。遠い日の花鶏との会話を思い出したからだ。

ーー『ね、見て。東雲のここ、1枚だけ逆さの鱗がある。ほら』
ーー『どこに?……へぇほんとだ、面白い』

……なるほど、『逆鱗』ってわけね。

肢体をうねりながら急降下した龍が、絡めとるようにして蘇芳の背中を掬い上げた。
見た目より細くしなやかな胴体に腕を回してしがみ付くと、冷たい鱗の感触は黒蛇だった時のままだ。
かぎ爪のある鳥獣のような手足、馬のような黒い鬣、胴体から尾に掛けてほっそりとしなやかで、頭部には二本の角が生えている。

「すごいな。こんな綺麗な生き物、見たことないよ」

東雲は金色の目でちらりと蘇芳を見てから、嬉しそうに空中で身をくねらせた。

「ひ、うわあ」

危うく振り落とされるところだった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

モブ兄に転生した俺、弟の身代わりになって婚約破棄される予定です

深凪雪花
BL
テンプレBL小説のヒロイン♂の兄に異世界転生した主人公セラフィル。可愛い弟がバカ王太子タクトスに傷物にされる上、身に覚えのない罪で婚約破棄される未来が許せず、先にタクトスの婚約者になって代わりに婚約破棄される役どころを演じ、弟を守ることを決める。 どうにか婚約に持ち込み、あとは婚約破棄される時を待つだけ、だったはずなのだが……え、いつ婚約破棄してくれるんですか? ※★は性描写あり。

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

処理中です...