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第3部(終章)
はつり姫
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国一番の美女は誰かと問われたら、蜜瑠璃皇女だと答える者は多いだろう。仙姫と称されるだけあり、彼女の容色は確かに類を見ないものだ。
では妻にしたいのは誰かと問われたら?
雨月皇子は、もはや定められたように、その名を口にするだろう。他の名前など到底、考えうるべくもないと言うように。
蒼穹宮で催された観桜の宴に、花鶏は蘇芳を伴って出席した。
彼らがカデンルラから帰国して、身辺を整えようやく以前の生活に身体が馴染んできたという頃。
後宮に宮を持つすべての皇子皇女にその招待状が届き、花鶏はそれを蘇芳にも見せた。
最初は、このタイミングなんだなと、そう思っただけだった。
おそらく、雨月は子の宴の中で兄弟たちにはつり姫を自分の妃候補として紹介するのだろう。
観桜の宴には他にも、紫雲城で開かれた<妃選定の儀>のために集められた良家の子女たちがよばれており、彼女たちは雨月皇子に見初められることを夢見ているが、それが叶わなければ、お家のためにも他の皇子の目に留まりたいとも考えているのだ。
「黒曜宮には桜花がないので、兄上に頼んで枝を貰ってきたら駄目でしょうか。先生のお部屋に飾って差し上げます」
蘇芳は桜の枝は切ったら駄目だろ、と思いつつ
「私は白梅の香りが好きですから、この庭でするお花見も大好きですよ」と、暗に遠慮した。
できれば行きたくないんだよなぁ、とも考えてしまう。正確に言えば、花鶏に行ってほしくない。
というのも、はつりと花鶏を会わせるのが何となく気が進まないのだ。
『寵姫譚』の世界で、虐王となった花鶏は託宣を授かった巫女姫であるはつりの出自が奴婢と知って、最初こそ侮っていたものの、次第に彼女に惹かれ雨月から奪おうとした、というエピソードがある。
はつりは作中、純粋で朗らかな芯の強い少女として描かれている。
それはどこか、ここにはいない花雲にも似た気質だった。原作ルートの花鶏は、姉に似た優しい少女に惹かれたのだろうか。
今の花鶏が……蘇芳を想ってくれている花鶏が、はつりに横恋慕するとも思えないが、しかし良い気はしないというのが、彼氏としての蘇芳の本音だった。
そうでなくとも、カデンルラに行っている間、後宮には美しく華のある美女たちが集められ、たった一人の妃や側室の座を巡って火花を散らしているのだ。
そんなところに最近お付き合いだしたばかりの可愛い恋人を晒したい男がいるだろうか。
今ほど黒曜宮が敷地の端っこにあることを喜んだ日はない。できればあまり出歩かないで欲しいくらいなのだ。
しかし序列が上の雨月皇子からの誘いは断れない。せめて家臣として近くで見守るれるだけ良しとするしかなかった。
蒼穹宮の庭園。
楽団は琴の音を主として、ことさら典雅に、風靡な庭園にふさわしい音色を揺蕩わせている。
まるで天女のようにそれぞれが得意な楽器を手に演奏しているのも、妃選定の儀のために後宮に集められた子女たちだ。
彼女たちは自分の得意分野をそれぞれ収めていて、それは雅楽や織物や詩吟、舞やはては武術に至るまでと幅広い。
観桜の宴にふさわしく、結い上げた髪に花を挿し、口唇は鮮やか、頬には紅を差し、まとう衣は刺繍も鮮やかに彩られ、蒼穹宮に咲く花々が人の姿を為したように皆麗しかった。
彼女たちが立ち歩けば、しゃらんと簪や耳飾りの音が鳴り、甘い香りが風に乗って蘇芳の元にも届くようだ。
蘇芳は目の前の光景にやや圧倒されつつ、花浴とともに少し離れた場所で佇んでいた。
花鶏は他の兄弟たちに挨拶した後、どこぞの高官に捕まり話し込んでいる。漏れ聞こえてくる言葉からして、カデンルラの一連の政権騒動について言及されているようだった。
まさか人質同然に送り出された第3皇子が、本来即位するはずだった兄皇子に叛乱を起こした弟皇子と懇意であるとは寝耳に水だろう。外交上、花鶏に取り入ろうとする輩がちらほらと出てきそだうとは思っていたが、早速だ。
余りしつこいようなら助け舟を出そうと思って見ていたら、ちょいちょいと花浴に袖を引かれた。
「蘇芳様。お二人が不在の間、わたくし、面白い話を聞きましてよ」
ほう、と適当に相槌を打って花鶏の方を見ていたら、花浴はため息をついて話し始めた。
彼女は二人の子供がいると思えないほど若々しく、そしてどこからか宮中の噂話を拾ってきては、蘇芳や花鶏に披露してくれる。
「後宮百華の中で誰が雨月殿下の寵愛を授かるのか、宮中で賭けをしてますの。呆れたことに下女や女官だけでなく文官まで加わって」
「貴女もその一人ですか?いけませんよ、そんなはしたない。由緒正しい儀式なんですから」
「まあ蘇芳様ったら。わたくしは賭けておりません。賭けが偏らないように人々にそれとなく情報を教えて差し上げたり、順位の高い方の近況を侍女から聞いたり」
「……胴元の側じゃないですか」
だって蘇芳様たちがいなくて暇だったんですもの、と少ししんみりした声に蘇芳はこれ以上の苦言を呈すのをやめた。
それで?と目線で促すと、花浴は口元に袖をあて、庭園でひと際目を引く乙女たちの一角を蘇芳に示した。
その中心には目を引く美女がいた。
石膏のような肌の白さと気の強そうな吊り上がった瞳が印象的な、珊瑚の簪をさした女性。
「薔琵さまと仰いまして。お家柄もこの中では一段と高くて、あの通り目を引くお姿ですから、皆々あの方に賭けているんですわ」
(皆々って……そんなにオッズが集中したら賭けにならないんじゃないか?)
それに、確かに彼女が特別美しいのは分かるが、肝心の本命馬の名前が出ていないではないか。そういえば、ダークホースはどこへ行った?
「はつり……姫は番付で何位くらいですか?」
花浴は驚いたように蘇芳を見た。
「あら、外国ににらしたのによくご存じ。ええ、はつり様はたしかに後宮に居られますけど……でもあの方は」
なぜか言いにくそうにしている花浴に怪訝な目を向けると、ようやく口を開いた。
「雨月殿下はたしかにはつり様を傍に置いて重用されていますが、あくまで託宣を受けた巫女姫としてですわ。ご本人は平民のお生まれで宮中には馴染んでおられないし。それに託宣を受けたと言っても、はつり様ご自身はそのお力を示したことが一度もありませんから。国難から民を守る力と言いますが、その国難とは何なのでしょう」
花浴はそんな未来は見当もつかないようで、その口調にまだ見ぬ国難とやらへの不安は見受けられなかった。
蘇芳はやや困惑した。
(どうも思ってたのと違うな。雨月と知り合って結構経ってるはずなのに、なんで二人は惹かれ合ってないんだ?もしかして周りに関係を隠してるのか?)
その可能性が高そうだ。ヒーローとヒロインの仲が進展していない、なんておかしいではないか。
(いや、もしかすると今日この場がその転換期なのかも。ライバルの妃候補たちの前ではつりを紹介して真打登場ってわけか)
となると、ダークホースの存在を知っている蘇芳もこの賭けに乗ってみてもいいのでは、なんてせこい考えも沸いてきた。
(結果を知ってるから八百長になっちゃうな。う~んでも臨時収入はあって困らないし)
蘇芳は扇を広げて、ほんの小さく欠伸した。うららかな陽気と楽の音が久しぶりの”瀧華国の蘇芳”の緊張をほぐしていく。
(まあいいか、そんなに心配しなくても。二人が出会えば上手くいくのは必然なんだし)
「国難といっても、はつり姫がいるなら彼女が何とかしてくれますよ。おそらく、有事の時以外は軽々しくその御力を振るってはいけないとか、そういうことだと思いますよ」
「遠見の力を持つ巫術師たちが予測できないようことが起こるなら、怖いですわ。でも、今は蘇芳様と花鶏様が黒曜宮にいらっしゃるので、花浴はそれだけで心安らかですわ」
花浴が嬉しそうに笑うので、蘇芳も苦笑してそれきりこの話は終わりになった。
そうこうするうちに、花鶏も高官から解放され戻ってきた。
邸内の見事な桜の木の下で歓談していると、人の波が左右に動き、雨月皇子がお付きの者たちを従えて現れた。
「皆、今日はどうもありがとう。こうして蒼穹宮に集ってくれて感謝する。またここ居られる美しいご令嬢方にも、どうか桜の宴を楽しんでいただきたい」
そして、と蘇芳は後方の花鶏に笑顔を向けた。
「遊学から戻った我が弟にも、久々に会えて嬉しいよ。良き経験をしたようだ。後で話を聞かせておくれ」
周囲がちらちらと花鶏に視線を向ける。当の花鶏は平然と兄に微笑み返したが、それを見た令嬢たちが扇の向こうでなにやらひそひそ囁き合ったり、ほんのり熱っぽい眼差しを送るのに気付いてしまい、蘇芳は内心複雑だった。
良いことなのだ。花鶏に対する風当たりが和らぐことは蘇芳の望みでもある。しかし、こう見目麗しい美女たちがちらちらと傍らの恋人に秋波を送るこの状況は……彼氏としてはいささかストレスを感じなくもない。
花鶏の方を見ると、視線に気づいたようで、すぐに蘇芳を見てなに?という優しい笑みで首を傾げた。
その笑顔に、また何人かの令嬢が熱い視線を送る。
蘇芳は無言で、その手に自分の扇を押し込んだ。
「え、なに。あおいで欲しいんですか?」
「違います、それで顔でも隠してください」
不思議そうな表情を浮かべながら、言われた通り素直に扇をかざす花鶏を見て、花浴がくすくす笑っている。
(この人はどこまで気付いてるんだ? どうも……たまに訳知り顔なのが気になるんだよな)
ところで、はつり姫の紹介はまだか?
蘇芳はそれが気になってきょろきょろあたりを見渡し、花鶏がだんだんと顔を曇らせるのに気付いていなかった。
「先生、さっきから随分熱心に見ておられるようですが……気になるんですか?」
「え?……ええ、そりゃまあ。気になりますよ」
半ば上の空に答えると、花鶏の纏う空気はずっしりと見えない重みを増したようだ。
「……そうですか、へぇ。みな美しい者たちですからね」
蘇芳はその言葉に思わず花鶏を凝視した。その視線があまりに深刻さを帯びていたので、花鶏は一瞬たじろいでしまったくらいだった。
「な、なんですか」
「いえ、ただの嫉妬です。お気になさらず」
花鶏は驚いて蘇芳の横顔を見た。澄ました表情だが、よく見ると唇がツンと尖り、見ようによっては拗ねているようにも見える。
花鶏は心臓が捕まれた心地になって、自然と蘇芳の手を握ろうとしたが、その前に蘇芳が気づき、こちらを睨んできた。
自重せよ、ということだろう。
花鶏はまだむず痒い気持ちが収まらず、そっと蘇芳に顔を寄せた。押し付けられた扇が役に立ち、二人の顔を隠す。
「嫉妬、してくださるんですか先生。花鶏は嬉しいです。でも、俺にとって一番美しい人は貴方です」
蘇芳は大人気ない自分を恥じるように俯いて「前を向いていなさい」と、ぼそぼそ言った。花鶏は笑って、扇で蘇芳の赤くなった顔に風を送ってやった。
キン、と張りつめた弦が切れ、次いで短い悲鳴が上がった。
何事かと音のした方を見ると、楽団の中で琴を弾いていた令嬢が手を押さえて俯いている。
演奏中に弦が切れるのは珍しくない。しかし、雨月皇子が主催する観桜の宴。そこで演奏を披露するのだから、楽才を自負しているのだろう。主催者によっては、弦が切れるのは縁起が悪い、興醒めだと言われる場合もあるのだ。そのことに神経質になる者もいる。
彼女はそうだったらしく、きっ、と顔を上げると、近くにいた少女を呼び寄せ叱責し始めた。
「貴方の用意した琴の弦が切れたわ!これは偶然などではありません!あなたが糸に細工したのでしょう、わたくしを妬んで!」
叱責された少女は、切りそろえた前髪の下の大きな瞳を右往左往させ、今にも泣きだしそうに肩を竦めている。助けを求めて周りを見るも、誰も面倒ごとはご免とばかりに我関せずとばかりに目を逸らした。
そのことに、また少女の目に涙が盛り上がった。
(あれは……)
よく見れば少女の装いは侍女のそれではない。桜色の長裙の上に長衣を羽織り、編み込んだ髪には真珠の簪。控えめな化粧と相まって、他の令嬢たちより頼りなく見えるが、間違いなく妃候補の一人だろう。
蘇芳も何となくそちらを見ていたが、突然はっと思い出した。
(はつり姫じゃないか!なんでそんなとこに?え、雨月は何してるんだ)
こういう時、手を差し伸べてくれるのがヒーローポジションの彼の仕事だろう。まさに絶好の見せ場ではないか。さあ早くはつり姫を庇って他の令嬢に二人の親密さをアピールする時だ。息巻いた蘇芳は雨月を探すが、なんと離れた場所であろうことか薔琵達と楽し気に歓談中ではないか。
(なぜそっちなんだ!?お前のヒロインはこっちだぞ)
その間にも、はつり姫に対して日頃から鬱憤でもあるのか、令嬢の怒りがヒートアップしていき、周りはそっと演奏を中断し二人から距離を取る始末だ。
なんだって琴の弦くらいでそこまで怒れるんだと思っていたら、どうやら茶会の席順がどうとか、衣装が真似しているだとか、はては貴族でも何でもないくせに託宣にかこつけて平民が肩を並べるなんて分不相応だなどエトセトラ。
要ははなから相当思うところがあるらしく、ここぞとばかりにネチネチ嫌味を浴びせている。
(女の闘いは怖いな……)
はつりは黙って耐えていたが、我慢ならなくなったのか、ついに涙目で反論した。
「でも、それは雨月様がそうしなさいと私に言って下さったんです」
うわ、と蘇芳は思わず内心で呻いた。
公式の場で、殿下ではなく「様」呼び。それにこの言い方、本人にその気がなくとも、相手のプライドを真っ向から叩く悪手だ。当然、相手は切れる。
カッとなった令嬢が、なんと茶壷ごとはつりに向かって投げつけた。
(さすがにそれはないだろ!)
非力な令嬢の手で幸いした。が、距離が近かったためそれはこめかみに当たり、中身をぶちまけた挙句、薄く皮膚を切ったらしい。血がぽたりと垂れ、白い上衣の上に染みを作った。
あ、と誰かが声を漏らした。しかし誰も、彼女たちに近寄らない。後宮での出来事には、常と異なる暗黙の了解がある。
ここでの行いはすべて自己責任、そして誰がどんな言動を取り、対処するのか、それによって格が決まるのだ。
皆、成り行きを注視しているが仲裁には入らない。ライバルである彼女たちを検分している。
(だからって、はつりは貴族の出じゃないし、信託で連れてこられた普通の女の子だぞ)
後宮の駆け引きなんて知る由もないのだ。こういう時のために、信頼できる宮女をつけてやるべきなのに、雨月は何をしてるんだ。
ふら、とはつりがよろめいた。血を見たせいか、はたまた心労か、そのまま後ろへ倒れ込みそうになるが、そこには池がある。蘇芳はさすがに駆け寄ろうとしたが。
(距離が。遠すぎる!)
隣で空気が大きく揺らぎ、黒衣が翻った。花鶏が助走の無しを疑うような動きで庭園に据え置かれた大小の岩を飛んで行き、あっという間にはつりの元へたどり着いた。
が、彼女の身体はもう水面に落ちる寸前で、仕方なく花鶏は自分が池に飛び込み、上半身を捻って少女の身体を受け止めた。
池といっても深い。花鶏は鳩尾まで池に浸かり、衣は水を吸って墨のように濃くなった。
花鶏は前髪に付いた水滴を頭を振って払うと、すっかりシンと静まった周囲に穏やかな笑みを見せた。
「お騒がせしてしまいました。皆さん、どうぞお構いなく。この人の傷の手当てをして参ります」
想定外の大事になってしまい震える令嬢にも、花鶏は軽く目配せして微笑んだ。気にしてませんよ、という風に。
何とも気まずい空気の中、はつりが目を開け、そろりと身を動かし、花鶏の顔を見上げて目を見開いた。
「あ、あたし、あの」
「動かないでください。傷は大したことないですが、貧血でしょう。日陰で休まれると良いですよ」
はつりは呆気に取られたような顔をいていたが、ふいに大きな目に涙の膜が張り、ぽろぽろと零れた瞬間、わっと花鶏の胸に縋りついて泣き始めてしまった。
花鶏は不思議そうな顔で少女を一瞥すると、池から上がり、花浴を呼んだ。
「傷の手当をさせてやって。あと、誰か男手を呼んでくれないか」
「はい花鶏殿下。あ、でも……」
花浴が困り気味にはつりを見ると、彼女の手はしっかりと花鶏の胸元を掴んでいる。まるで怯えたように花鶏の胸に顔を埋めた彼女に、蘇芳は歩み寄って手を伸ばした。
「殿下、私がお運びしましょう。濡れた衣服を着替えて来てください。さ、はつり様」
手を差し出すが、はつりは蘇芳の方を見ようともしない。
蘇芳は眉をひそめた。何となく、庭園には良くない空気が流れ始めている。
助け舟を出したのは雨月皇子だった。取り巻きを離れてやってくると、ごく自然にはつりを抱きかかえる。今度ははつりもそれに抗うことはなかった。
「花鶏、すまなかったね、お前にも怪我がなくてよかった……誰か、弟に拭く物を」
「とんでもない、兄上。巫女姫様がご無事で何よりでした」
「あとりさま」
確かめるような小さな声がして、見るとはつりが大きな瞳でじっと花鶏を見つめていた。
その頬がゆっくりと紅潮するのを、蘇芳は目の端で捕らえ何とも言えない気分になった。
その表情はある意味見慣れたものだった。思春期になった頃から、花鶏が蘇芳を見つめてくる表情に、それはよく似ていた。
(マジか……)
どうやら蘇芳の想定した未来とは、どう言う訳かややずれた方向へ舵を切っているらしい。それも、蘇芳にとってあまり喜ばしくない方向へと。
では妻にしたいのは誰かと問われたら?
雨月皇子は、もはや定められたように、その名を口にするだろう。他の名前など到底、考えうるべくもないと言うように。
蒼穹宮で催された観桜の宴に、花鶏は蘇芳を伴って出席した。
彼らがカデンルラから帰国して、身辺を整えようやく以前の生活に身体が馴染んできたという頃。
後宮に宮を持つすべての皇子皇女にその招待状が届き、花鶏はそれを蘇芳にも見せた。
最初は、このタイミングなんだなと、そう思っただけだった。
おそらく、雨月は子の宴の中で兄弟たちにはつり姫を自分の妃候補として紹介するのだろう。
観桜の宴には他にも、紫雲城で開かれた<妃選定の儀>のために集められた良家の子女たちがよばれており、彼女たちは雨月皇子に見初められることを夢見ているが、それが叶わなければ、お家のためにも他の皇子の目に留まりたいとも考えているのだ。
「黒曜宮には桜花がないので、兄上に頼んで枝を貰ってきたら駄目でしょうか。先生のお部屋に飾って差し上げます」
蘇芳は桜の枝は切ったら駄目だろ、と思いつつ
「私は白梅の香りが好きですから、この庭でするお花見も大好きですよ」と、暗に遠慮した。
できれば行きたくないんだよなぁ、とも考えてしまう。正確に言えば、花鶏に行ってほしくない。
というのも、はつりと花鶏を会わせるのが何となく気が進まないのだ。
『寵姫譚』の世界で、虐王となった花鶏は託宣を授かった巫女姫であるはつりの出自が奴婢と知って、最初こそ侮っていたものの、次第に彼女に惹かれ雨月から奪おうとした、というエピソードがある。
はつりは作中、純粋で朗らかな芯の強い少女として描かれている。
それはどこか、ここにはいない花雲にも似た気質だった。原作ルートの花鶏は、姉に似た優しい少女に惹かれたのだろうか。
今の花鶏が……蘇芳を想ってくれている花鶏が、はつりに横恋慕するとも思えないが、しかし良い気はしないというのが、彼氏としての蘇芳の本音だった。
そうでなくとも、カデンルラに行っている間、後宮には美しく華のある美女たちが集められ、たった一人の妃や側室の座を巡って火花を散らしているのだ。
そんなところに最近お付き合いだしたばかりの可愛い恋人を晒したい男がいるだろうか。
今ほど黒曜宮が敷地の端っこにあることを喜んだ日はない。できればあまり出歩かないで欲しいくらいなのだ。
しかし序列が上の雨月皇子からの誘いは断れない。せめて家臣として近くで見守るれるだけ良しとするしかなかった。
蒼穹宮の庭園。
楽団は琴の音を主として、ことさら典雅に、風靡な庭園にふさわしい音色を揺蕩わせている。
まるで天女のようにそれぞれが得意な楽器を手に演奏しているのも、妃選定の儀のために後宮に集められた子女たちだ。
彼女たちは自分の得意分野をそれぞれ収めていて、それは雅楽や織物や詩吟、舞やはては武術に至るまでと幅広い。
観桜の宴にふさわしく、結い上げた髪に花を挿し、口唇は鮮やか、頬には紅を差し、まとう衣は刺繍も鮮やかに彩られ、蒼穹宮に咲く花々が人の姿を為したように皆麗しかった。
彼女たちが立ち歩けば、しゃらんと簪や耳飾りの音が鳴り、甘い香りが風に乗って蘇芳の元にも届くようだ。
蘇芳は目の前の光景にやや圧倒されつつ、花浴とともに少し離れた場所で佇んでいた。
花鶏は他の兄弟たちに挨拶した後、どこぞの高官に捕まり話し込んでいる。漏れ聞こえてくる言葉からして、カデンルラの一連の政権騒動について言及されているようだった。
まさか人質同然に送り出された第3皇子が、本来即位するはずだった兄皇子に叛乱を起こした弟皇子と懇意であるとは寝耳に水だろう。外交上、花鶏に取り入ろうとする輩がちらほらと出てきそだうとは思っていたが、早速だ。
余りしつこいようなら助け舟を出そうと思って見ていたら、ちょいちょいと花浴に袖を引かれた。
「蘇芳様。お二人が不在の間、わたくし、面白い話を聞きましてよ」
ほう、と適当に相槌を打って花鶏の方を見ていたら、花浴はため息をついて話し始めた。
彼女は二人の子供がいると思えないほど若々しく、そしてどこからか宮中の噂話を拾ってきては、蘇芳や花鶏に披露してくれる。
「後宮百華の中で誰が雨月殿下の寵愛を授かるのか、宮中で賭けをしてますの。呆れたことに下女や女官だけでなく文官まで加わって」
「貴女もその一人ですか?いけませんよ、そんなはしたない。由緒正しい儀式なんですから」
「まあ蘇芳様ったら。わたくしは賭けておりません。賭けが偏らないように人々にそれとなく情報を教えて差し上げたり、順位の高い方の近況を侍女から聞いたり」
「……胴元の側じゃないですか」
だって蘇芳様たちがいなくて暇だったんですもの、と少ししんみりした声に蘇芳はこれ以上の苦言を呈すのをやめた。
それで?と目線で促すと、花浴は口元に袖をあて、庭園でひと際目を引く乙女たちの一角を蘇芳に示した。
その中心には目を引く美女がいた。
石膏のような肌の白さと気の強そうな吊り上がった瞳が印象的な、珊瑚の簪をさした女性。
「薔琵さまと仰いまして。お家柄もこの中では一段と高くて、あの通り目を引くお姿ですから、皆々あの方に賭けているんですわ」
(皆々って……そんなにオッズが集中したら賭けにならないんじゃないか?)
それに、確かに彼女が特別美しいのは分かるが、肝心の本命馬の名前が出ていないではないか。そういえば、ダークホースはどこへ行った?
「はつり……姫は番付で何位くらいですか?」
花浴は驚いたように蘇芳を見た。
「あら、外国ににらしたのによくご存じ。ええ、はつり様はたしかに後宮に居られますけど……でもあの方は」
なぜか言いにくそうにしている花浴に怪訝な目を向けると、ようやく口を開いた。
「雨月殿下はたしかにはつり様を傍に置いて重用されていますが、あくまで託宣を受けた巫女姫としてですわ。ご本人は平民のお生まれで宮中には馴染んでおられないし。それに託宣を受けたと言っても、はつり様ご自身はそのお力を示したことが一度もありませんから。国難から民を守る力と言いますが、その国難とは何なのでしょう」
花浴はそんな未来は見当もつかないようで、その口調にまだ見ぬ国難とやらへの不安は見受けられなかった。
蘇芳はやや困惑した。
(どうも思ってたのと違うな。雨月と知り合って結構経ってるはずなのに、なんで二人は惹かれ合ってないんだ?もしかして周りに関係を隠してるのか?)
その可能性が高そうだ。ヒーローとヒロインの仲が進展していない、なんておかしいではないか。
(いや、もしかすると今日この場がその転換期なのかも。ライバルの妃候補たちの前ではつりを紹介して真打登場ってわけか)
となると、ダークホースの存在を知っている蘇芳もこの賭けに乗ってみてもいいのでは、なんてせこい考えも沸いてきた。
(結果を知ってるから八百長になっちゃうな。う~んでも臨時収入はあって困らないし)
蘇芳は扇を広げて、ほんの小さく欠伸した。うららかな陽気と楽の音が久しぶりの”瀧華国の蘇芳”の緊張をほぐしていく。
(まあいいか、そんなに心配しなくても。二人が出会えば上手くいくのは必然なんだし)
「国難といっても、はつり姫がいるなら彼女が何とかしてくれますよ。おそらく、有事の時以外は軽々しくその御力を振るってはいけないとか、そういうことだと思いますよ」
「遠見の力を持つ巫術師たちが予測できないようことが起こるなら、怖いですわ。でも、今は蘇芳様と花鶏様が黒曜宮にいらっしゃるので、花浴はそれだけで心安らかですわ」
花浴が嬉しそうに笑うので、蘇芳も苦笑してそれきりこの話は終わりになった。
そうこうするうちに、花鶏も高官から解放され戻ってきた。
邸内の見事な桜の木の下で歓談していると、人の波が左右に動き、雨月皇子がお付きの者たちを従えて現れた。
「皆、今日はどうもありがとう。こうして蒼穹宮に集ってくれて感謝する。またここ居られる美しいご令嬢方にも、どうか桜の宴を楽しんでいただきたい」
そして、と蘇芳は後方の花鶏に笑顔を向けた。
「遊学から戻った我が弟にも、久々に会えて嬉しいよ。良き経験をしたようだ。後で話を聞かせておくれ」
周囲がちらちらと花鶏に視線を向ける。当の花鶏は平然と兄に微笑み返したが、それを見た令嬢たちが扇の向こうでなにやらひそひそ囁き合ったり、ほんのり熱っぽい眼差しを送るのに気付いてしまい、蘇芳は内心複雑だった。
良いことなのだ。花鶏に対する風当たりが和らぐことは蘇芳の望みでもある。しかし、こう見目麗しい美女たちがちらちらと傍らの恋人に秋波を送るこの状況は……彼氏としてはいささかストレスを感じなくもない。
花鶏の方を見ると、視線に気づいたようで、すぐに蘇芳を見てなに?という優しい笑みで首を傾げた。
その笑顔に、また何人かの令嬢が熱い視線を送る。
蘇芳は無言で、その手に自分の扇を押し込んだ。
「え、なに。あおいで欲しいんですか?」
「違います、それで顔でも隠してください」
不思議そうな表情を浮かべながら、言われた通り素直に扇をかざす花鶏を見て、花浴がくすくす笑っている。
(この人はどこまで気付いてるんだ? どうも……たまに訳知り顔なのが気になるんだよな)
ところで、はつり姫の紹介はまだか?
蘇芳はそれが気になってきょろきょろあたりを見渡し、花鶏がだんだんと顔を曇らせるのに気付いていなかった。
「先生、さっきから随分熱心に見ておられるようですが……気になるんですか?」
「え?……ええ、そりゃまあ。気になりますよ」
半ば上の空に答えると、花鶏の纏う空気はずっしりと見えない重みを増したようだ。
「……そうですか、へぇ。みな美しい者たちですからね」
蘇芳はその言葉に思わず花鶏を凝視した。その視線があまりに深刻さを帯びていたので、花鶏は一瞬たじろいでしまったくらいだった。
「な、なんですか」
「いえ、ただの嫉妬です。お気になさらず」
花鶏は驚いて蘇芳の横顔を見た。澄ました表情だが、よく見ると唇がツンと尖り、見ようによっては拗ねているようにも見える。
花鶏は心臓が捕まれた心地になって、自然と蘇芳の手を握ろうとしたが、その前に蘇芳が気づき、こちらを睨んできた。
自重せよ、ということだろう。
花鶏はまだむず痒い気持ちが収まらず、そっと蘇芳に顔を寄せた。押し付けられた扇が役に立ち、二人の顔を隠す。
「嫉妬、してくださるんですか先生。花鶏は嬉しいです。でも、俺にとって一番美しい人は貴方です」
蘇芳は大人気ない自分を恥じるように俯いて「前を向いていなさい」と、ぼそぼそ言った。花鶏は笑って、扇で蘇芳の赤くなった顔に風を送ってやった。
キン、と張りつめた弦が切れ、次いで短い悲鳴が上がった。
何事かと音のした方を見ると、楽団の中で琴を弾いていた令嬢が手を押さえて俯いている。
演奏中に弦が切れるのは珍しくない。しかし、雨月皇子が主催する観桜の宴。そこで演奏を披露するのだから、楽才を自負しているのだろう。主催者によっては、弦が切れるのは縁起が悪い、興醒めだと言われる場合もあるのだ。そのことに神経質になる者もいる。
彼女はそうだったらしく、きっ、と顔を上げると、近くにいた少女を呼び寄せ叱責し始めた。
「貴方の用意した琴の弦が切れたわ!これは偶然などではありません!あなたが糸に細工したのでしょう、わたくしを妬んで!」
叱責された少女は、切りそろえた前髪の下の大きな瞳を右往左往させ、今にも泣きだしそうに肩を竦めている。助けを求めて周りを見るも、誰も面倒ごとはご免とばかりに我関せずとばかりに目を逸らした。
そのことに、また少女の目に涙が盛り上がった。
(あれは……)
よく見れば少女の装いは侍女のそれではない。桜色の長裙の上に長衣を羽織り、編み込んだ髪には真珠の簪。控えめな化粧と相まって、他の令嬢たちより頼りなく見えるが、間違いなく妃候補の一人だろう。
蘇芳も何となくそちらを見ていたが、突然はっと思い出した。
(はつり姫じゃないか!なんでそんなとこに?え、雨月は何してるんだ)
こういう時、手を差し伸べてくれるのがヒーローポジションの彼の仕事だろう。まさに絶好の見せ場ではないか。さあ早くはつり姫を庇って他の令嬢に二人の親密さをアピールする時だ。息巻いた蘇芳は雨月を探すが、なんと離れた場所であろうことか薔琵達と楽し気に歓談中ではないか。
(なぜそっちなんだ!?お前のヒロインはこっちだぞ)
その間にも、はつり姫に対して日頃から鬱憤でもあるのか、令嬢の怒りがヒートアップしていき、周りはそっと演奏を中断し二人から距離を取る始末だ。
なんだって琴の弦くらいでそこまで怒れるんだと思っていたら、どうやら茶会の席順がどうとか、衣装が真似しているだとか、はては貴族でも何でもないくせに託宣にかこつけて平民が肩を並べるなんて分不相応だなどエトセトラ。
要ははなから相当思うところがあるらしく、ここぞとばかりにネチネチ嫌味を浴びせている。
(女の闘いは怖いな……)
はつりは黙って耐えていたが、我慢ならなくなったのか、ついに涙目で反論した。
「でも、それは雨月様がそうしなさいと私に言って下さったんです」
うわ、と蘇芳は思わず内心で呻いた。
公式の場で、殿下ではなく「様」呼び。それにこの言い方、本人にその気がなくとも、相手のプライドを真っ向から叩く悪手だ。当然、相手は切れる。
カッとなった令嬢が、なんと茶壷ごとはつりに向かって投げつけた。
(さすがにそれはないだろ!)
非力な令嬢の手で幸いした。が、距離が近かったためそれはこめかみに当たり、中身をぶちまけた挙句、薄く皮膚を切ったらしい。血がぽたりと垂れ、白い上衣の上に染みを作った。
あ、と誰かが声を漏らした。しかし誰も、彼女たちに近寄らない。後宮での出来事には、常と異なる暗黙の了解がある。
ここでの行いはすべて自己責任、そして誰がどんな言動を取り、対処するのか、それによって格が決まるのだ。
皆、成り行きを注視しているが仲裁には入らない。ライバルである彼女たちを検分している。
(だからって、はつりは貴族の出じゃないし、信託で連れてこられた普通の女の子だぞ)
後宮の駆け引きなんて知る由もないのだ。こういう時のために、信頼できる宮女をつけてやるべきなのに、雨月は何をしてるんだ。
ふら、とはつりがよろめいた。血を見たせいか、はたまた心労か、そのまま後ろへ倒れ込みそうになるが、そこには池がある。蘇芳はさすがに駆け寄ろうとしたが。
(距離が。遠すぎる!)
隣で空気が大きく揺らぎ、黒衣が翻った。花鶏が助走の無しを疑うような動きで庭園に据え置かれた大小の岩を飛んで行き、あっという間にはつりの元へたどり着いた。
が、彼女の身体はもう水面に落ちる寸前で、仕方なく花鶏は自分が池に飛び込み、上半身を捻って少女の身体を受け止めた。
池といっても深い。花鶏は鳩尾まで池に浸かり、衣は水を吸って墨のように濃くなった。
花鶏は前髪に付いた水滴を頭を振って払うと、すっかりシンと静まった周囲に穏やかな笑みを見せた。
「お騒がせしてしまいました。皆さん、どうぞお構いなく。この人の傷の手当てをして参ります」
想定外の大事になってしまい震える令嬢にも、花鶏は軽く目配せして微笑んだ。気にしてませんよ、という風に。
何とも気まずい空気の中、はつりが目を開け、そろりと身を動かし、花鶏の顔を見上げて目を見開いた。
「あ、あたし、あの」
「動かないでください。傷は大したことないですが、貧血でしょう。日陰で休まれると良いですよ」
はつりは呆気に取られたような顔をいていたが、ふいに大きな目に涙の膜が張り、ぽろぽろと零れた瞬間、わっと花鶏の胸に縋りついて泣き始めてしまった。
花鶏は不思議そうな顔で少女を一瞥すると、池から上がり、花浴を呼んだ。
「傷の手当をさせてやって。あと、誰か男手を呼んでくれないか」
「はい花鶏殿下。あ、でも……」
花浴が困り気味にはつりを見ると、彼女の手はしっかりと花鶏の胸元を掴んでいる。まるで怯えたように花鶏の胸に顔を埋めた彼女に、蘇芳は歩み寄って手を伸ばした。
「殿下、私がお運びしましょう。濡れた衣服を着替えて来てください。さ、はつり様」
手を差し出すが、はつりは蘇芳の方を見ようともしない。
蘇芳は眉をひそめた。何となく、庭園には良くない空気が流れ始めている。
助け舟を出したのは雨月皇子だった。取り巻きを離れてやってくると、ごく自然にはつりを抱きかかえる。今度ははつりもそれに抗うことはなかった。
「花鶏、すまなかったね、お前にも怪我がなくてよかった……誰か、弟に拭く物を」
「とんでもない、兄上。巫女姫様がご無事で何よりでした」
「あとりさま」
確かめるような小さな声がして、見るとはつりが大きな瞳でじっと花鶏を見つめていた。
その頬がゆっくりと紅潮するのを、蘇芳は目の端で捕らえ何とも言えない気分になった。
その表情はある意味見慣れたものだった。思春期になった頃から、花鶏が蘇芳を見つめてくる表情に、それはよく似ていた。
(マジか……)
どうやら蘇芳の想定した未来とは、どう言う訳かややずれた方向へ舵を切っているらしい。それも、蘇芳にとってあまり喜ばしくない方向へと。
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