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第2部
嫉妬の鏡(3)
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花鶏は吸い込まれるように、目の前にいる彼の大事な先生を見つめた。
ーあなた、私のことが好きなんですか。
意外なことに、言った本人が一番驚いた顔をしていた。
目の前の綺麗な顔が、みるみる強張って、青ざめ、かと思えば赤くなり、慌てたように視線をきょろきょろさせ始めると、花鶏は自分までふわふわ浮き立つような気分になった。
(え……、先生、今それを言うのか……というか、俺がそういうつもりでいたの、一応気づいてはいたのか)
まれにみる鈍感な人だから、本当に気づいていないんだと思っていた。
そりゃあ、さすがに大人なんだし、あえて気づかぬ素振りで波風立たないようにしているのかもと疑ったことは何度もあるが。
だからこそ、瀧華国を出る時。
ここではできないことを、思うままやってみたらいいと言われて、思ったのだ。
瀧華国の外でなら、俺の気持ちを先生にぶつけても、いいんじゃないかと。
たとえ先生が拒絶したとしても、どうせこのまま有耶無耶にされるのは耐えられそうにない。
それに打算もあった。
(この人は本当の意味で俺を拒むことなんてできない)
可愛がられている自覚があった。愛されいてると知っていた。
花鶏だってそうだからよく分かる。
親のように、兄のように、師として、蘇芳が大好きでたまらない。
いつからそこに、欲を孕んだ情が混じったのか、花鶏は実を言えばあまり思い悩むことをしなかった。
言ってしまえば、最初から、だったと思う。
何なら幼い頃、花鶏を虐げていた蘇芳のことでさえ、思い出して憎しみを感じるということはないのだ。
自分でも不思議だった。
さすがに節操がないなと思いもする。
が、本心だった。
ある時から別人のように変わって、自分を大事にしてくれるようになった理由は分からない。
一生分からない気もする。
それでもいい。
今のままでも、きっと蘇芳の中で、花鶏は一番なのかもしれない。
けれども。
(先生は情に篤い。それに魅力的だ。いつか別の人間が、俺と同じように先生の特別になりたいと思ったら。先生は俺を一番から降ろさないだろうけど、余った分くらいはくれてやろうとするかもしれない)
それが嫌だ。
余りなんて無くしてほしい。
花鶏は蘇芳への感情がすべてだ。他に割く余地がない。蘇芳は花鶏を優しい人間だと言うことがあるが、それは間違いだ。
(先生にそう思ってもらえるよう、振舞う癖がついてるだけだ……雨月兄上のような本物の善人とは違う)
まがい物でも、凶兆でも、要らない皇子でも、先生が大事にしてくれた自分がいい。
他の人間は、きっと先生でなくてもいいじゃないか。
(でも俺は、先生でないと、幸福にも不幸にもなりたくない)
だから俺から盗るな、と強く思う。
(先生が、俺に昔してきたことに罪悪感を持ってることも知ってる)
昔、月下の庭で「もう許してる」と蘇芳に伝えた。本心だった。
それでも、その心が余すことなく手に入るなら、それさえも利用したい。
浅ましくて、醜い。自分が蘇芳にふさわしいかと問われたら、自信をもって答える。そんなわけあるか、と。
「なにか、言ってください」
蘇芳の言葉に、瞬きする。
困り果て、でもどこか吹っ切れたようにも見える蘇芳の顔。
じわじわと首に血が上るのを感じた。
「いや、先生、ご自分からは絶対に言わないつもりだと思っていたので。ええと、大丈夫ですか、踏み込んじゃって」
「……なんですか、その言い方」
こっちはキヨミズの舞台から飛び降りた気分なのに。
呟きに、どこか知らないがさぞ高い舞台なんだろうな、と思った。
「俺、もう遠慮しないですけど」
「今までだってしてこなかったくせに、恩着せがましい」
蘇芳が恨みがましく言う。口が悪い。それに、さっき呼び捨てにしたことも忘れていない。
花鶏はにやりと口角を上げて、蘇芳の手を取った。
今までのように、刃物を触った時のような警戒心が蘇芳の中に見当たらなかった。
そのことが嬉しい。本当に嬉しい。
気持ちを受け入れられたわけではない。これから拒絶されるのかもしれない。
それでも、蘇芳に向ける気持ちの在り処を認めて貰えた。今はただそれだけでいい。
「それじゃあ、先生に俺を意識してもらえるよう、これまで以上に精進しますね」
「せんでよろしい!……私はありのままの貴方でいてくれたらそれでいいのに」
「先生、わざとじゃないんですよね……どうかと思いますよ、今の話の流れでそれは」
蘇芳が不思議そうな顔をする。こういう時の顔は、少しだけ幼い。
黙っていると近寄りがたく澄ました美貌なのに、口を開けば愛嬌と優しがこぼて、おまけに今みたいにちょっと抜けている。
「……ほんとうに、昔から気が気じゃなかった」
「殿下?」
「もう我慢せず花鶏って呼んだら?内心そう呼んでるんでしょう、俺のこと」
何のことやら、と言いたげに蘇芳が目を泳がせた。
その様子が可愛くて、花鶏はばれないように含み笑いをした。
「出ましょうか。さすがに、中座したままとあっては誰か探しに来そうだ」
「むしろイルファーン殿を置いてきたままですが」
「いいですよ、放っておいたら」
「随分親しそうにしていたくせに」
そうだったろうか。確かに、彼とアジラヒムの関係に、自分と蘇芳を重ねていたかもしれないが。
「そうですか?普通でしょう」
納得のいかない顔をした蘇芳を促して、窓辺から離れえると、途端に暗がりになった。
手探りで、扉を開けた。細い光の筋が差し込む。
「それにしても、先生ってやっぱりさすがですね」
まぶしそうに目を細めた蘇芳が、何のことかと表情で問う。
「嫉妬の鏡。先生は自分の姿が映ってたでしょう」
子供の自分に気を取られてよく見ていなかったが、あれはたしかに蘇芳だった。歳も今の蘇芳と変わらなかったように見えた。雰囲気は、少し違ったかもしれない。どこがどうとは言えないが。
「先生は嫉妬なんてしないんですね。あ~あ、俺だけ子供じみて恥ずかしいったらないな、これもあの気取った猫かぶり男のせいだ、先生もそう思うでしょう?」
返事がない。怪訝に思ってみると、蘇芳は俯いて何か考え込むような、茫洋とした眼差しをしていた。
「先生?どうしたの」
「あ、……いえ。何でも。何でもありませんよ、殿下」
「花鶏でいいのに」
くすりと笑って、どうぞと道を開けてやる。
ふと、蘇芳が気づいたように
「そういえば、殿下。貴方まだちゃんと答えてないじゃありませんか」
「はい?」
「だから……、その、あれですよ、さっき言った」
「だから何を?」
「聞いたでしょう私が。好きかと……答えてないでしょう、あの後しっかりとは」
花鶏は今度こそ笑いがこみ上げてきそうだった。今更そんな顔で何を言うかと思えば。
顔の筋肉に力を入れて、神妙に頷く。
「確かにそうですね、言ってませんね」
「ええ。まあ、お互い大人として、こういうのは有耶無耶にすると良くないので」
さんざん逃げ回ってきたくせに。
自分のことを棚上げにして、調子のいいことを言う蘇芳が可愛いくて、ちょっとばかり憎らしい。
だから、花鶏は開けたばかりの扉から、自分だけ外に出た。続けて出てこようとする蘇芳の前に立って邪魔をする。
「殿下?」
花鶏は答えず、無言で上を向いた。あ、と何か見つけたように小さく口を開けると。
つられて蘇芳も天井を見上げる。
すかさず無防備な首筋に手を差し込んで、すっぽりと両手で顔を包むようにしてすくい上げると、目を丸くした蘇芳の唇の横に素早く唇を押し当てた。
1,2,3……。
固まってしまった蘇芳の目が、ゆっくり正気を取り戻していく。
「花鶏っ!」
バッと身を翻して、足早に蘇芳から逃げた。
「花鶏!」
「あはは、ごめんて!怒らないで先生!」
唇に拳を当てた。笑って蘇芳に許しを請いながら、少しだけ涙が滲んだ。
歩きながら、目を瞬いて涙を乾かす。
泣き笑いのような変な顔を、蘇芳に見られたくなくて、すたすたと大股に歩いた。
後ろから追いかけてくる蘇芳の怒った声と足音。
花鶏の大好きな人の声だ。
ーあなた、私のことが好きなんですか。
意外なことに、言った本人が一番驚いた顔をしていた。
目の前の綺麗な顔が、みるみる強張って、青ざめ、かと思えば赤くなり、慌てたように視線をきょろきょろさせ始めると、花鶏は自分までふわふわ浮き立つような気分になった。
(え……、先生、今それを言うのか……というか、俺がそういうつもりでいたの、一応気づいてはいたのか)
まれにみる鈍感な人だから、本当に気づいていないんだと思っていた。
そりゃあ、さすがに大人なんだし、あえて気づかぬ素振りで波風立たないようにしているのかもと疑ったことは何度もあるが。
だからこそ、瀧華国を出る時。
ここではできないことを、思うままやってみたらいいと言われて、思ったのだ。
瀧華国の外でなら、俺の気持ちを先生にぶつけても、いいんじゃないかと。
たとえ先生が拒絶したとしても、どうせこのまま有耶無耶にされるのは耐えられそうにない。
それに打算もあった。
(この人は本当の意味で俺を拒むことなんてできない)
可愛がられている自覚があった。愛されいてると知っていた。
花鶏だってそうだからよく分かる。
親のように、兄のように、師として、蘇芳が大好きでたまらない。
いつからそこに、欲を孕んだ情が混じったのか、花鶏は実を言えばあまり思い悩むことをしなかった。
言ってしまえば、最初から、だったと思う。
何なら幼い頃、花鶏を虐げていた蘇芳のことでさえ、思い出して憎しみを感じるということはないのだ。
自分でも不思議だった。
さすがに節操がないなと思いもする。
が、本心だった。
ある時から別人のように変わって、自分を大事にしてくれるようになった理由は分からない。
一生分からない気もする。
それでもいい。
今のままでも、きっと蘇芳の中で、花鶏は一番なのかもしれない。
けれども。
(先生は情に篤い。それに魅力的だ。いつか別の人間が、俺と同じように先生の特別になりたいと思ったら。先生は俺を一番から降ろさないだろうけど、余った分くらいはくれてやろうとするかもしれない)
それが嫌だ。
余りなんて無くしてほしい。
花鶏は蘇芳への感情がすべてだ。他に割く余地がない。蘇芳は花鶏を優しい人間だと言うことがあるが、それは間違いだ。
(先生にそう思ってもらえるよう、振舞う癖がついてるだけだ……雨月兄上のような本物の善人とは違う)
まがい物でも、凶兆でも、要らない皇子でも、先生が大事にしてくれた自分がいい。
他の人間は、きっと先生でなくてもいいじゃないか。
(でも俺は、先生でないと、幸福にも不幸にもなりたくない)
だから俺から盗るな、と強く思う。
(先生が、俺に昔してきたことに罪悪感を持ってることも知ってる)
昔、月下の庭で「もう許してる」と蘇芳に伝えた。本心だった。
それでも、その心が余すことなく手に入るなら、それさえも利用したい。
浅ましくて、醜い。自分が蘇芳にふさわしいかと問われたら、自信をもって答える。そんなわけあるか、と。
「なにか、言ってください」
蘇芳の言葉に、瞬きする。
困り果て、でもどこか吹っ切れたようにも見える蘇芳の顔。
じわじわと首に血が上るのを感じた。
「いや、先生、ご自分からは絶対に言わないつもりだと思っていたので。ええと、大丈夫ですか、踏み込んじゃって」
「……なんですか、その言い方」
こっちはキヨミズの舞台から飛び降りた気分なのに。
呟きに、どこか知らないがさぞ高い舞台なんだろうな、と思った。
「俺、もう遠慮しないですけど」
「今までだってしてこなかったくせに、恩着せがましい」
蘇芳が恨みがましく言う。口が悪い。それに、さっき呼び捨てにしたことも忘れていない。
花鶏はにやりと口角を上げて、蘇芳の手を取った。
今までのように、刃物を触った時のような警戒心が蘇芳の中に見当たらなかった。
そのことが嬉しい。本当に嬉しい。
気持ちを受け入れられたわけではない。これから拒絶されるのかもしれない。
それでも、蘇芳に向ける気持ちの在り処を認めて貰えた。今はただそれだけでいい。
「それじゃあ、先生に俺を意識してもらえるよう、これまで以上に精進しますね」
「せんでよろしい!……私はありのままの貴方でいてくれたらそれでいいのに」
「先生、わざとじゃないんですよね……どうかと思いますよ、今の話の流れでそれは」
蘇芳が不思議そうな顔をする。こういう時の顔は、少しだけ幼い。
黙っていると近寄りがたく澄ました美貌なのに、口を開けば愛嬌と優しがこぼて、おまけに今みたいにちょっと抜けている。
「……ほんとうに、昔から気が気じゃなかった」
「殿下?」
「もう我慢せず花鶏って呼んだら?内心そう呼んでるんでしょう、俺のこと」
何のことやら、と言いたげに蘇芳が目を泳がせた。
その様子が可愛くて、花鶏はばれないように含み笑いをした。
「出ましょうか。さすがに、中座したままとあっては誰か探しに来そうだ」
「むしろイルファーン殿を置いてきたままですが」
「いいですよ、放っておいたら」
「随分親しそうにしていたくせに」
そうだったろうか。確かに、彼とアジラヒムの関係に、自分と蘇芳を重ねていたかもしれないが。
「そうですか?普通でしょう」
納得のいかない顔をした蘇芳を促して、窓辺から離れえると、途端に暗がりになった。
手探りで、扉を開けた。細い光の筋が差し込む。
「それにしても、先生ってやっぱりさすがですね」
まぶしそうに目を細めた蘇芳が、何のことかと表情で問う。
「嫉妬の鏡。先生は自分の姿が映ってたでしょう」
子供の自分に気を取られてよく見ていなかったが、あれはたしかに蘇芳だった。歳も今の蘇芳と変わらなかったように見えた。雰囲気は、少し違ったかもしれない。どこがどうとは言えないが。
「先生は嫉妬なんてしないんですね。あ~あ、俺だけ子供じみて恥ずかしいったらないな、これもあの気取った猫かぶり男のせいだ、先生もそう思うでしょう?」
返事がない。怪訝に思ってみると、蘇芳は俯いて何か考え込むような、茫洋とした眼差しをしていた。
「先生?どうしたの」
「あ、……いえ。何でも。何でもありませんよ、殿下」
「花鶏でいいのに」
くすりと笑って、どうぞと道を開けてやる。
ふと、蘇芳が気づいたように
「そういえば、殿下。貴方まだちゃんと答えてないじゃありませんか」
「はい?」
「だから……、その、あれですよ、さっき言った」
「だから何を?」
「聞いたでしょう私が。好きかと……答えてないでしょう、あの後しっかりとは」
花鶏は今度こそ笑いがこみ上げてきそうだった。今更そんな顔で何を言うかと思えば。
顔の筋肉に力を入れて、神妙に頷く。
「確かにそうですね、言ってませんね」
「ええ。まあ、お互い大人として、こういうのは有耶無耶にすると良くないので」
さんざん逃げ回ってきたくせに。
自分のことを棚上げにして、調子のいいことを言う蘇芳が可愛いくて、ちょっとばかり憎らしい。
だから、花鶏は開けたばかりの扉から、自分だけ外に出た。続けて出てこようとする蘇芳の前に立って邪魔をする。
「殿下?」
花鶏は答えず、無言で上を向いた。あ、と何か見つけたように小さく口を開けると。
つられて蘇芳も天井を見上げる。
すかさず無防備な首筋に手を差し込んで、すっぽりと両手で顔を包むようにしてすくい上げると、目を丸くした蘇芳の唇の横に素早く唇を押し当てた。
1,2,3……。
固まってしまった蘇芳の目が、ゆっくり正気を取り戻していく。
「花鶏っ!」
バッと身を翻して、足早に蘇芳から逃げた。
「花鶏!」
「あはは、ごめんて!怒らないで先生!」
唇に拳を当てた。笑って蘇芳に許しを請いながら、少しだけ涙が滲んだ。
歩きながら、目を瞬いて涙を乾かす。
泣き笑いのような変な顔を、蘇芳に見られたくなくて、すたすたと大股に歩いた。
後ろから追いかけてくる蘇芳の怒った声と足音。
花鶏の大好きな人の声だ。
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