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14歳の朝
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大きく息を吸い込んで、そのまま吐くことが出来ずに過呼吸を起こした。
ひ、ひっと喉を震わせて喘ぐが、声も出ないし身体も痙攣するばかりで、枕元のベルを鳴らして侍女を呼ぶことも出来ない。
「はッ、は、っ……」
苦しい、息が出来ない! 生理的な涙がこぼれて、枕に伝い落ちていく。
(枕……?)
おかしい。
自分は仰向けに寝ている。
石壁の天井ではなく、青いビロードの艶めいた天蓋が見える。
湿った藁ではなく、柔らかい清潔な布団の上に寝ている。
(なんだ、どうなっている?私は死んだのか?)
夏に差し掛かる澄んだ青空。首から上に被せられた布袋のサリサリと肌を刺す感触。縛り上げられた手足。
思い出した瞬間、シュメルヒは今度こそ引き攣った悲鳴を上げた。
「殿下っ、シュメルヒ殿下、どうなさいました!? 大変、侍医を呼んできて!」
部屋付の侍女が慌てて部屋に入ってくる。
牛革の手袋をした手でシュメルヒの布団を剥ぐが、それ以上は触れてこない。
(そうだ。触れない。私は<毒持ち>だから、病気をして苦しんでも、自力で治るまで放置されるだけ)
思い出すと、かえって呼吸はだんだんと落ち着いてきた。昔からそうだった。
どうせ何もしてくれないと分かっているから、身体の方が勝手に何とかしようと必死に自助努力を始めるのだ。
「平気だ……もう楽になった。医者は呼ばなくていい」
侍女がほっと息をついてシュメルヒの額に浮かんだ汗を手巾で拭った。その手巾は厳重に袋に入れて焼却されるだろう。汗も体液であり、血液ほどではないが有害だとされている。
「良かった。もうお辛くはございませんか」
「うん」
本当は苦しいが、言ったところで大して効かない薬湯が貰えるくらいなので、そう答えた。
「それよりキイラ、今日は何年の何月何日?」
侍女のキイラはぽかんとした。起き抜けに何を言っているのか。やっぱり具合が悪くて混乱していらっしゃるのか……そんな表情が浮かんでいた。
「や、やっぱり先生を」
「いいから答えて。教えてくれたら下がっていいから。何日?」
喉に触った。なんだか耳に届く自分の声が、少し高く感じる。まるで自分の声ではないような……。
「今日……今朝は大陸の暦で763年、冬終わりの14日でございます」
シュメルヒは目を見開き、そのまま何を言わずに天蓋を見上げた。キイラがおろおろと様子を伺うのを無視して、ぼうっと虚空を見つめる。
763年。シュメルヒが処刑されたのが、確か……771年の秋終わり。
仮妃としてヨアンに嫁いだのが、767年。
今のシュメルヒは、これが現実なら、まだ14歳になったばかり。祖国……イレニア王国で暮らしている。
ヨアンとの<仮婚約>の話もまだ出ていない。
(これは、過去……なのか?)
よろよろとベッドから出て、鏡台に近寄った。磨かれた鏡を恐る恐る覗き込む。
一瞬、見知らぬ他人に見えてビクッと身構えてしまった。
鏡の向こう側から、顔色の悪いほっそりとした少年が睨みつけてくる。腰下まである長い白金色の髪、冷たい氷色の瞳、人形のように硬質で愛想のない表情……間違いなく、若かりし頃の自分だ。
763年といえば……まだ14歳になったばかりの。
「シュメルヒ様、本当にどうされたのですか?」
シュメルヒは呆然と鏡の自分と見つめ合った。過去に戻ったのだ。
悪夢を嘆くべきか、神のご加護に感涙すべきか分からなかった。
分かるのは、たった一つの揺らがない事実だけだ。
(このまま時が過ぎれば、間違いなく私はまた死ぬ運命にある……)
恐怖と悲しみが胸を突いた。
今まで感じたことのない感情が沸き起こる。
おろおろしている侍女を鏡越しに見て、シュメルヒは「朝の支度を」と言った。キイラが驚く。
「え、もうですか?」
普段のシュメルヒならまだ眠りの中にいる時間帯だ。
「……あと、ガシム教授に連絡をして、週末の授業をしてくれるよう頼んで」
「え、え?」
矢継ぎ早に言われて、キイラは頭が追いつかない。
ガシム教授といえば専属の家庭教師だが、厳しくて小言が多く、シュメルヒにはすっかり毛嫌いされていたはずだ。
当然、シュメルヒは日頃から授業にも熱心ではない。よく体調不良を理由に登城したガシム教授をそのまま追い返したりするが、半分くらいは仮病なのをキイラは知っていた。
キイラは腑に落ちないまま、とにかく言われた通り朝の支度と朝食の準備を始めた。
シュメルヒは<毒持ち>のため、家族であろうと賓客であろうと、一緒の食卓にはつかない。
公式行事で料理が出される場合は、シュメルヒのみ別の席が用意されてそこで食すことになる。
なのでキイラは、シュメルヒが誰かと食事する姿は見たことがなかった。
もし奇跡的に<番>が見つからない限り、シュメルヒは一生誰とも食卓を共にすることはないのだろう。
あ、とキイラは口元を押さえた。
(そうだ、思い出してよかった。週末はあの方がいらっしゃる日だから、教授を呼んじゃ駄目じゃないの)
いつものように、一人で着替えをしていたシュメルヒに声をかけた。
介添えをせず着替えるなどシュメルヒの身分では本来ありえないが、イレニア王宮内では見慣れた光景だった。
「シュメルヒ様、週末はジュール様がおいでになる日でしたわ。ですから教授に、は……」
キイラの声が徐々に萎んでいった。こちらを振り向いたシュメルヒの顔が、見たことのない冷たい表情を浮かべていたからだ。
戸惑うキイラを見て、シュメルヒはいつも通りの素っ気ない顔つきに戻った。
「ドラン侯爵家には予定ができたからと断りを入れておいて。教授はさっき言った通り、週末の午後に来てもらうようにして」
吃驚してまじまじと主人を見返してしまった。
ジュール・ドランはシュメルヒの婚約者で、聡明で端正なアルファの少年だ。
シュメルヒより二つ年上で、身分を笠に着ない朗らかな性格だと、城勤めの使用人たちからも好かれている。
何より<毒持ち>であるシュメルヒにも屈託なく接し、将来は<番契約>が正式に決まっている相手だった。
シュメルヒは誰に対しても素っ気ないが、内心ではそんなジュールをかなり好いていて、彼が訪れる日は全部の予定を空けて待っているのが常なのに。
(それなのに、ガシム教授の授業を優先するなんて……一体どんな心境の変化なのかしら)
混乱したまま部屋を出て行こうとした時、シュメルヒに呼び止められた。
「キイラ」
「はい、殿下」
「……いつもありがとう。使用人の中でお前が一番、私に近寄って世話をしてくれていた」
「え」
驚いて主人を見るが、シュメルヒは用は済んだとばかりに背を向けて本棚のある隣室に引っ込んでしまっていた。
「キイラ。嫌だ、あなたったら、どうしたの?泣いてるの?」
廊下で同僚に呼び止められ、急いで目元を拭った。少し涙ぐんでいたようだ。
「えっと、何でもないわ、気にしないで」
『ありがとう』なんて、シュメルヒ様に言われたのははじめてだ。
最初は嫌だった。
今でも時々怖い。
いくら王族とはいえ、<毒持ち>の人間のお世話なんて何かあったらどうしよう。
そんな不敬を隠してお仕えしてきた。そのうち、吃驚するぐらい一人で何でもこなしてしまう主人に驚いた。
着替えも、髪を梳かすのも、食事も、入浴も。
シュメルヒは幼い時から、ほとんどすべてを自分一人で行っていたのだ。こんな王族、世界中探したってどこにも居やしないだろう。
けれどすぐに気づいた。
(ひとりでこなしてるんじゃない。そうせざるを得ないんだわ)
体液が猛毒である彼の世話を、使用人は皆、肌に触れなくてよい距離で済まそうとする。女官長もお妃様も、そんな使用人を咎めたりなさらないからだ。
暗黙の了解、となっている。
だから彼は、自分で自分の世話をするしかないのだ。
病気をしても怪我をしても、すぐに誰かが止血したり触診したりできない。汗を拭うのでさえ、普通の人間は躊躇する。
たとえ熱を出して寝込んでも、額の汗を拭ってくれる手さえないのだ。
『使用人の中でお前が一番、私に近寄って世話をしてくれていた』
キイラはぎゅっと裾を握った。嬉しいよりも、申し訳ない心地だった。
(お礼なんてやめてください。だって私、シュメルヒ様に直接触れたことすらありません)
早くジュール様と<番>になって欲しいと思った。
<毒持ち>の毒が効かない唯一の相手が<番>だ。それも、政略ではなく心から愛し合う真実の番同士だけが、毒を無効化し、触れ合うことができると言われている。
早くお二人にはそうなって欲しい。
そうすればシュメルヒ様は、やっと手袋越しではなく肌を触れ合わせることができる相手を得ることができる。
キイラは切にそう願い、同僚を促して朝食の準備のため厨房に向かった。
ひ、ひっと喉を震わせて喘ぐが、声も出ないし身体も痙攣するばかりで、枕元のベルを鳴らして侍女を呼ぶことも出来ない。
「はッ、は、っ……」
苦しい、息が出来ない! 生理的な涙がこぼれて、枕に伝い落ちていく。
(枕……?)
おかしい。
自分は仰向けに寝ている。
石壁の天井ではなく、青いビロードの艶めいた天蓋が見える。
湿った藁ではなく、柔らかい清潔な布団の上に寝ている。
(なんだ、どうなっている?私は死んだのか?)
夏に差し掛かる澄んだ青空。首から上に被せられた布袋のサリサリと肌を刺す感触。縛り上げられた手足。
思い出した瞬間、シュメルヒは今度こそ引き攣った悲鳴を上げた。
「殿下っ、シュメルヒ殿下、どうなさいました!? 大変、侍医を呼んできて!」
部屋付の侍女が慌てて部屋に入ってくる。
牛革の手袋をした手でシュメルヒの布団を剥ぐが、それ以上は触れてこない。
(そうだ。触れない。私は<毒持ち>だから、病気をして苦しんでも、自力で治るまで放置されるだけ)
思い出すと、かえって呼吸はだんだんと落ち着いてきた。昔からそうだった。
どうせ何もしてくれないと分かっているから、身体の方が勝手に何とかしようと必死に自助努力を始めるのだ。
「平気だ……もう楽になった。医者は呼ばなくていい」
侍女がほっと息をついてシュメルヒの額に浮かんだ汗を手巾で拭った。その手巾は厳重に袋に入れて焼却されるだろう。汗も体液であり、血液ほどではないが有害だとされている。
「良かった。もうお辛くはございませんか」
「うん」
本当は苦しいが、言ったところで大して効かない薬湯が貰えるくらいなので、そう答えた。
「それよりキイラ、今日は何年の何月何日?」
侍女のキイラはぽかんとした。起き抜けに何を言っているのか。やっぱり具合が悪くて混乱していらっしゃるのか……そんな表情が浮かんでいた。
「や、やっぱり先生を」
「いいから答えて。教えてくれたら下がっていいから。何日?」
喉に触った。なんだか耳に届く自分の声が、少し高く感じる。まるで自分の声ではないような……。
「今日……今朝は大陸の暦で763年、冬終わりの14日でございます」
シュメルヒは目を見開き、そのまま何を言わずに天蓋を見上げた。キイラがおろおろと様子を伺うのを無視して、ぼうっと虚空を見つめる。
763年。シュメルヒが処刑されたのが、確か……771年の秋終わり。
仮妃としてヨアンに嫁いだのが、767年。
今のシュメルヒは、これが現実なら、まだ14歳になったばかり。祖国……イレニア王国で暮らしている。
ヨアンとの<仮婚約>の話もまだ出ていない。
(これは、過去……なのか?)
よろよろとベッドから出て、鏡台に近寄った。磨かれた鏡を恐る恐る覗き込む。
一瞬、見知らぬ他人に見えてビクッと身構えてしまった。
鏡の向こう側から、顔色の悪いほっそりとした少年が睨みつけてくる。腰下まである長い白金色の髪、冷たい氷色の瞳、人形のように硬質で愛想のない表情……間違いなく、若かりし頃の自分だ。
763年といえば……まだ14歳になったばかりの。
「シュメルヒ様、本当にどうされたのですか?」
シュメルヒは呆然と鏡の自分と見つめ合った。過去に戻ったのだ。
悪夢を嘆くべきか、神のご加護に感涙すべきか分からなかった。
分かるのは、たった一つの揺らがない事実だけだ。
(このまま時が過ぎれば、間違いなく私はまた死ぬ運命にある……)
恐怖と悲しみが胸を突いた。
今まで感じたことのない感情が沸き起こる。
おろおろしている侍女を鏡越しに見て、シュメルヒは「朝の支度を」と言った。キイラが驚く。
「え、もうですか?」
普段のシュメルヒならまだ眠りの中にいる時間帯だ。
「……あと、ガシム教授に連絡をして、週末の授業をしてくれるよう頼んで」
「え、え?」
矢継ぎ早に言われて、キイラは頭が追いつかない。
ガシム教授といえば専属の家庭教師だが、厳しくて小言が多く、シュメルヒにはすっかり毛嫌いされていたはずだ。
当然、シュメルヒは日頃から授業にも熱心ではない。よく体調不良を理由に登城したガシム教授をそのまま追い返したりするが、半分くらいは仮病なのをキイラは知っていた。
キイラは腑に落ちないまま、とにかく言われた通り朝の支度と朝食の準備を始めた。
シュメルヒは<毒持ち>のため、家族であろうと賓客であろうと、一緒の食卓にはつかない。
公式行事で料理が出される場合は、シュメルヒのみ別の席が用意されてそこで食すことになる。
なのでキイラは、シュメルヒが誰かと食事する姿は見たことがなかった。
もし奇跡的に<番>が見つからない限り、シュメルヒは一生誰とも食卓を共にすることはないのだろう。
あ、とキイラは口元を押さえた。
(そうだ、思い出してよかった。週末はあの方がいらっしゃる日だから、教授を呼んじゃ駄目じゃないの)
いつものように、一人で着替えをしていたシュメルヒに声をかけた。
介添えをせず着替えるなどシュメルヒの身分では本来ありえないが、イレニア王宮内では見慣れた光景だった。
「シュメルヒ様、週末はジュール様がおいでになる日でしたわ。ですから教授に、は……」
キイラの声が徐々に萎んでいった。こちらを振り向いたシュメルヒの顔が、見たことのない冷たい表情を浮かべていたからだ。
戸惑うキイラを見て、シュメルヒはいつも通りの素っ気ない顔つきに戻った。
「ドラン侯爵家には予定ができたからと断りを入れておいて。教授はさっき言った通り、週末の午後に来てもらうようにして」
吃驚してまじまじと主人を見返してしまった。
ジュール・ドランはシュメルヒの婚約者で、聡明で端正なアルファの少年だ。
シュメルヒより二つ年上で、身分を笠に着ない朗らかな性格だと、城勤めの使用人たちからも好かれている。
何より<毒持ち>であるシュメルヒにも屈託なく接し、将来は<番契約>が正式に決まっている相手だった。
シュメルヒは誰に対しても素っ気ないが、内心ではそんなジュールをかなり好いていて、彼が訪れる日は全部の予定を空けて待っているのが常なのに。
(それなのに、ガシム教授の授業を優先するなんて……一体どんな心境の変化なのかしら)
混乱したまま部屋を出て行こうとした時、シュメルヒに呼び止められた。
「キイラ」
「はい、殿下」
「……いつもありがとう。使用人の中でお前が一番、私に近寄って世話をしてくれていた」
「え」
驚いて主人を見るが、シュメルヒは用は済んだとばかりに背を向けて本棚のある隣室に引っ込んでしまっていた。
「キイラ。嫌だ、あなたったら、どうしたの?泣いてるの?」
廊下で同僚に呼び止められ、急いで目元を拭った。少し涙ぐんでいたようだ。
「えっと、何でもないわ、気にしないで」
『ありがとう』なんて、シュメルヒ様に言われたのははじめてだ。
最初は嫌だった。
今でも時々怖い。
いくら王族とはいえ、<毒持ち>の人間のお世話なんて何かあったらどうしよう。
そんな不敬を隠してお仕えしてきた。そのうち、吃驚するぐらい一人で何でもこなしてしまう主人に驚いた。
着替えも、髪を梳かすのも、食事も、入浴も。
シュメルヒは幼い時から、ほとんどすべてを自分一人で行っていたのだ。こんな王族、世界中探したってどこにも居やしないだろう。
けれどすぐに気づいた。
(ひとりでこなしてるんじゃない。そうせざるを得ないんだわ)
体液が猛毒である彼の世話を、使用人は皆、肌に触れなくてよい距離で済まそうとする。女官長もお妃様も、そんな使用人を咎めたりなさらないからだ。
暗黙の了解、となっている。
だから彼は、自分で自分の世話をするしかないのだ。
病気をしても怪我をしても、すぐに誰かが止血したり触診したりできない。汗を拭うのでさえ、普通の人間は躊躇する。
たとえ熱を出して寝込んでも、額の汗を拭ってくれる手さえないのだ。
『使用人の中でお前が一番、私に近寄って世話をしてくれていた』
キイラはぎゅっと裾を握った。嬉しいよりも、申し訳ない心地だった。
(お礼なんてやめてください。だって私、シュメルヒ様に直接触れたことすらありません)
早くジュール様と<番>になって欲しいと思った。
<毒持ち>の毒が効かない唯一の相手が<番>だ。それも、政略ではなく心から愛し合う真実の番同士だけが、毒を無効化し、触れ合うことができると言われている。
早くお二人にはそうなって欲しい。
そうすればシュメルヒ様は、やっと手袋越しではなく肌を触れ合わせることができる相手を得ることができる。
キイラは切にそう願い、同僚を促して朝食の準備のため厨房に向かった。
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