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うそでいいから、もっかい言って
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「お、おかえりジル! えーっと、今日はまだその、スープしか出来てなくて」
「……………」
「あと半刻待ってくれれば、もう一品二品ちゃちゃっと作るから待ってて……へ?」
ジルの太い指が、ポルカの両頬を包み込む。無骨な手のひらに似合わない優しい力加減に、ポルカは目をパチクリさせた。
「じ、ジル」
「あ゛ぁ?」
「『あ゛ぁ』、じゃないって。いきなりどうし……っっ!?」
ちゅ
やけに可愛らしい音が、鼻先で鳴る。柔らかな感触と共に降ってくるそれは、続いてポルカのおデコや目元、頬や顎で鳴った。
「ジルっ!? ななななななに」
「五月蝿え、黙れ」
「はんぅっ!」
ぢゅうっと一際強く下唇に吸い付かれ、ポルカの肩がびくっ!と跳ねる。熱をもったジルの唇は、しばらくポルカの下唇を食んだ後でぴったり口に合わさってきた。
「ん、んぅっ……ふぁ」
「ちゅ、ン」
「ふっ、んゆゥっ……!」
一体何がどうなって、どんなスイッチが入ったのか?口内を探る肉厚な舌が、ポルカの舌を絡めとって攫ってゆく。ジルの口の中へ引きずり込まれたポルカの舌は、先っぽを扱かれ、軽く歯を当てられたりして只管弄くり倒された。あまりにも濃い口づけに、ポルカの足腰が震え始めて止まらない。
「ンンんんんぅう~~~~~~ッッ!!」
ヂュゥウっと吸い上げられた瞬間。ポルカはついに、カクンと崩れ落ちてしまった。
……しかし、膝小僧が床につく前で止まる。ポルカの腰を抱えるように、ジルの太い腕が回って支えたからだ。
「あ、ァふっ……ちゅ」
「ン、おいポルカ……もっと……はぁ、舌出せ、んっ」
「ふぁ、あぃ………ンンン゛~~~ッ!!!」
音を立てて、唾液と一緒に強く舌を吸い上げられて膝といわず腰から下がガクガクする。
すっかりくにゃんくにゃんの役立たずになった足腰を軽々と支え、ジルはポルカに覆いかぶさる。さながら、捉えた獲物にトドメをさして肉を食らう肉食獣のように……
「は、あゥ」
……唇が離れる頃には、もうポルカの顔は『ポーーっ』なんて通り越して『デロンデロン』に蕩け切っていた。
そんな、もはや軟体生物じみたポルカを太い腕の中に囲いこんで、ジルは喉の奥で唸る。奥歯で苦虫を噛み潰したような表情に、蕩けたポルカの胸の奥がズキリと痛んだ。
しかし、耳たぶに食いつかれた次の瞬間
「――――ぃ」
漏れ聞こえてきた“例の言葉”に、ポルカの体温と心臓が一気に躍り上がった。
「……、っかい」
「あ゛?」
その時、ポルカの脳みそはかつてない程に阿呆になっていたのもいけなかった。いつもだったら、朝焼け色の瞳に睨みつけられれば『ううん、何でもない』とはぐらかす所だ。しかし、本当にこの時は、予想外の濃い口づけと聞こえて来た“例の言葉”で体も頭もすっかり蕩けきって正しい行動がスポンと抜け落ちていたのである。
「うそで、いいから」
だから、つい馬鹿なことを、言ってしまった。
「うそでいいから、もっかい言って」
「……………」
「あと半刻待ってくれれば、もう一品二品ちゃちゃっと作るから待ってて……へ?」
ジルの太い指が、ポルカの両頬を包み込む。無骨な手のひらに似合わない優しい力加減に、ポルカは目をパチクリさせた。
「じ、ジル」
「あ゛ぁ?」
「『あ゛ぁ』、じゃないって。いきなりどうし……っっ!?」
ちゅ
やけに可愛らしい音が、鼻先で鳴る。柔らかな感触と共に降ってくるそれは、続いてポルカのおデコや目元、頬や顎で鳴った。
「ジルっ!? ななななななに」
「五月蝿え、黙れ」
「はんぅっ!」
ぢゅうっと一際強く下唇に吸い付かれ、ポルカの肩がびくっ!と跳ねる。熱をもったジルの唇は、しばらくポルカの下唇を食んだ後でぴったり口に合わさってきた。
「ん、んぅっ……ふぁ」
「ちゅ、ン」
「ふっ、んゆゥっ……!」
一体何がどうなって、どんなスイッチが入ったのか?口内を探る肉厚な舌が、ポルカの舌を絡めとって攫ってゆく。ジルの口の中へ引きずり込まれたポルカの舌は、先っぽを扱かれ、軽く歯を当てられたりして只管弄くり倒された。あまりにも濃い口づけに、ポルカの足腰が震え始めて止まらない。
「ンンんんんぅう~~~~~~ッッ!!」
ヂュゥウっと吸い上げられた瞬間。ポルカはついに、カクンと崩れ落ちてしまった。
……しかし、膝小僧が床につく前で止まる。ポルカの腰を抱えるように、ジルの太い腕が回って支えたからだ。
「あ、ァふっ……ちゅ」
「ン、おいポルカ……もっと……はぁ、舌出せ、んっ」
「ふぁ、あぃ………ンンン゛~~~ッ!!!」
音を立てて、唾液と一緒に強く舌を吸い上げられて膝といわず腰から下がガクガクする。
すっかりくにゃんくにゃんの役立たずになった足腰を軽々と支え、ジルはポルカに覆いかぶさる。さながら、捉えた獲物にトドメをさして肉を食らう肉食獣のように……
「は、あゥ」
……唇が離れる頃には、もうポルカの顔は『ポーーっ』なんて通り越して『デロンデロン』に蕩け切っていた。
そんな、もはや軟体生物じみたポルカを太い腕の中に囲いこんで、ジルは喉の奥で唸る。奥歯で苦虫を噛み潰したような表情に、蕩けたポルカの胸の奥がズキリと痛んだ。
しかし、耳たぶに食いつかれた次の瞬間
「――――ぃ」
漏れ聞こえてきた“例の言葉”に、ポルカの体温と心臓が一気に躍り上がった。
「……、っかい」
「あ゛?」
その時、ポルカの脳みそはかつてない程に阿呆になっていたのもいけなかった。いつもだったら、朝焼け色の瞳に睨みつけられれば『ううん、何でもない』とはぐらかす所だ。しかし、本当にこの時は、予想外の濃い口づけと聞こえて来た“例の言葉”で体も頭もすっかり蕩けきって正しい行動がスポンと抜け落ちていたのである。
「うそで、いいから」
だから、つい馬鹿なことを、言ってしまった。
「うそでいいから、もっかい言って」
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