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第1章
39 守り人の一族 Ⅳ
しおりを挟む「おはよう、シャウ」
「みんな、おはよう」
ミスリーに起こしてもらい、お祖母ちゃん達の所へ移動する。
そこにはすでにみんな揃っていてお祖母ちゃんと母さんと一緒に朝食の用意を手伝っていた。
その中にルティスもいてびっくりしてしまった。
(王子様って家事もするの? ルティスって本当に王子様っぽくないよね)
何でもするルティスに驚きを隠せなかった。
食事の用意ができる頃には、お祖父ちゃん、父さんが起きてきて、お祖母ちゃん、母さん、僕、ラオス、イラザ、ルティスで食事をとった。
食事が終った頃に、マークル叔父さんとミスリーが訪ねてきた。
すると、父さんが僕たちに向きなおると、仕事の時のような真剣な顔つきになる。
それに僕たちは自然に姿勢を正し、気を引き締めた。
「今日は結界をどの様に維持しているのか見学させてもらえることになった」
「「「「 ! 」」」」
僕は息を飲んだ。
周りも同時に息を飲んだのが聞こえてきた。
そんな重要な所を見せてもらえるなんて思わなかった。
「行くぞ」
「「「「はい」」」」
父さんと一緒にマークル叔父さんの後に着いていく。
マークル叔父さんに案内されて辿り着いた先は村の中心部に建てられた建物だった。
その中に入っていくと、部屋の中心にシャウの身長くらいの大きな石塔があって、その石塔の周りに3人が均等に並んで両手で触れていた。
その石塔は白く輝いていた。
マークル叔父さんが入っていくと、石塔に手を触れていた3人が気づき頭を下げる。
「仕事中に邪魔をして申し訳ない。やりづらいだろうが普段通りで頼む」
「「「はい」」」
事前に説明があったのか、僕たちが来ても慌てずに作業を続けている。
マークル叔父さんは3人の様子を確認した後、僕たちに向きなおった。
「この石塔から森に張っている結界に呪いを祓う力を流し込み、魔物が結界から出ないようにしています」
「質問をしてもよろしいですか?」
イラザがマークル叔父さんに問いかけていた。
「どうぞ」
「皆さんのお話を聞いたときから気になっていたのですが、結界が張られていれば魔物は結界の外に出られないのですよね?」
「そうですね」
「ですが、実際は結界の外にも魔物がいるのはどうしてなのですか?」
イラザの質問にマークル叔父さんはひとつ頷くと説明してくれた。
「皆さんと昨日お会いした場所を覚えていますか?」
「はい」
「あの場所にここにある石塔と同じ石を地面に突き刺してます。それを均等にこの石塔から輪を描くように地面に差し込んで結界を張っているのですが、何らかの理由でその石が機能しなくなってしまうのです。魔物はその結界が弱くなった場所から出て行っているのではないかと思います。石が機能しなくなる理由は分かっていません。その為、定期的に石を交換するために結界を見回っています」
「そう言うことなのですね。本当に骨の折れるようなご苦労をなさって下さりありがとうございます」
イラザの言葉に僕たちも頭を下げていた。
事前に話を聞いていても大変だと思っていたのに、それ以上に苦労の多いことに頭が上がらなかった。
「いいのですよ。ここに居るわたし達はそれを納得した上でしているのですから」
頭を下げ続ける僕たちにマークル叔父さんは苦笑を漏らした。
「さて、説明は終わりましたが、どうしましょうか?」
「そうだな。少しだけ村を見てもいいだろうか?」
「よろしいですよ。わたしがご案内します」
「じゃあ、こいつらだけ頼む」
と、父さんが示したのはラオス、イラザ、ルティスの3人だった。
「父さん、僕は?」
「シャウはマジルダ殿が話があると呼んでいたからそっちだ」
「そっか、残念だけどしょうがないね。後で話聞かせてね」
「ああ」
「分かりました」
「とても残念ですが、お祖父様とたくさんお話されて下さいね」
「じゃあ、また後でね」
父さんと共にお祖父ちゃんの所へ戻った。
「ただいま」
「お帰りなさい、シャウちゃん」
お祖母ちゃんが迎えてくれて、お祖父ちゃんの前に座る。
お祖父ちゃんはやっぱりしかめっ面で怒った顔をしている。
「シャウ、ミイシアから聞いたが、呪いに直接触れるそうだな?」
「はい」
「これをやる」
そう言って差し出されたのは、先ほどの場所で見た石塔の石に似た石だった。
よく分からなくて無言で見つめていると、母さんが苦笑いで話しかけてきた。
「シャウが心配だから、その石を使いなさいって事よ」
「?」
「その石には呪いを祓う時の身体の負担を減らしてくれる力があるのよ。だから、受け取ってあげて」
「!」
お祖父ちゃんを見ると、顔は怒っているようにしか見えなかったけれど、さっきよりも耳が赤くなっているのが分かった。
シャウは嬉しくてお祖父ちゃんに飛びついて抱きついた。
「お祖父ちゃん、ありがとう」
「は、早く離れなさい」
声も言葉も怒っているようにしか聞こえないけれど、赤くなった耳で照れているだけだと分かったのでシャウは気にせずに抱きつき続けた。
そんなシャウに諦めたのか、頭を撫でてくれた。
シャウは感謝の気持ちが落ち着くと身体を離し、お祖父ちゃんの前に座り直す。
「シャウ、呪いを祓う時苦しくならないか?」
「呪いが身体に入ってきたときは気持ち悪かったけど、大丈夫だよ」
「そうか。シャウ、これから呪いを治療するときは祈りなさい。追い出そうとするのではなく良くなるようにと、元に戻るようにと、そう昔から言い伝えられている」
「分かった、そうしてみるね。この石もありがとう」
シャウが笑ってお礼を言うと、やっとお祖父ちゃんも笑ってくれた。
といっても口の端が少しだけあがっただけだったけれど、笑ってくれたのは分かった。
父さんは話が終わったのを見計らうと、声をかけてきた。
「じゃあ、そろそろ戻らないといけないから、これで失礼します」
「もう行くのか」
「申し訳ありません」
「また連れてこい」
「分かりました」
「お祖父ちゃん、また来るね」
「ああ、待ってるよ」
父さんと話していたお祖父ちゃんは、シャウの言葉にまた笑ってくれた。
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