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第1章
24 シャウのモヤモヤ
しおりを挟むラオスにもイラザにも会わなくなって一週間。
またも母さんに家から追い出された。
ただ、ザンガにはずっと恥ずかしい姿を見せてしまったから、護衛には違う人をってお願いしたらウルガが護衛についてくれた。
しかも、今日はウルガが休みの日だという。
休みの日に護衛してもらうのは申し訳ないと言ったら、独り身だから暇してるんだって、だからデートしようってウインクして言われた。
冗談ぽくいって僕が気にしないように言ってくれるウルガに、結局僕は甘えることにした。
母さんが怖いというのもあるんだけどね。
デートっていう名目上、ショッピングに出かけることになった。
といっても僕は服や装飾品に興味がなくて、お店を知らないのでウルガに任せることにした。
最初に行ったお店はフリルたっぷり使った服屋さんだった。
僕は店の前に来ただけで、ウルガに首を振った。
入ってみればいいのにと勧められたが丁重にお断りした。
そんなシャウにウルガはしょうがないなって笑っていた。
次のお店に向かったとき、アクセサリー店の前でラオスが立っているのが見えた。
僕は驚いて立ち止まると、後ろからウルガがぶつかった。
突然立ち止まったシャウに驚きながらも、視線の先を見て納得していた。
「おーい、ラ…」
ウルガがラオスに呼びかけるのを慌てて口を塞いで止めた。
そしておそるおそるラオスを見ると、ウルガの声に気づかなかったのか、アクセサリーを眺めたままだった。
それにほっとしていると、ウルガは何か感じ取ったのか一緒にラオスを観察し始めた。
「へー、珍しいな」
ラオスがアクセサリーを見ていることを言っているのだろう。
僕もラオスがアクセサリーを誰かに贈っているのは見たことなかった。
その割には凄く真剣にアクセサリーを眺めてて、誰かに贈るつもりなのかなと思えた。
手にしているアクセサリーはどれも青色系で、その青がこの前見た女の子のワンピースの色に似ているのに気づいた。
(あの女の子に贈る物を選んでいるのかな)
また胸がツキンと痛んだ。
「あらぁ、ラオス様ぁ」
そこにアーリュセリアが通りかかった。
「素敵なアクセサリーですねぇ」
そう言うと、ラオスの隣に並び手元を覗き込む。
隣で覗き込むアーリュセリアに構わずラオスは悩んでいるみたいだったが、唐突にアーリュセリアに話しかけた。
「アーリュセリアはどれがいい?」
「えっ」
「俺だとどれがいいかわかんないからさ」
「…えっとぉ、わたしはこれがいいと思いますぅ」
アーリュセリアが嬉しそうに笑っていた。
(なんだよ。そのアクセサリーはあの女の子に贈るためじゃなかったのかよ)
女の子だったら誰でもいいわけ?
本当に信じられない。
ラオスの女ったらし!
ムカムカする気持ちが湧き上がってきた。
ムカムカしたままラオスを睨みつけると、シャウはその店の前を離れた。
ムカムカしたまま歩き続けていると、ウルガが隣に並んで歩いていた。
隣にいるウルガを見て、ウルガがいたことを思い出した。
「ごめんなさい」
「いや、俺の店選びが良くなかったな」
シャウはそれに頭を振った。
「あっちにもいい店あるんだ。行くか?」
「うん」
モヤモヤした気持ちを抱えたままシャウはウルガと歩き出す。
そのままぶらぶらといろいろな店の前を歩いていると、アクセサリーを扱っている店が見えてきた。
ふと気になって目線を向けると、さっきラオスが手にしていたアクセサリーと似たものが店頭に並んでいた。
シャウがジッと見ていることに気づいたウルガはシャウに問いかけた。
「シャウ、俺が買ってやろうか?」
ウルガの言葉に僕は首を振った。
別にアクセサリーが欲しいわけではなかった。
ただ、ラオスに貰えるアクセサリーが欲しいと思ってしまっただけだった。
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